脳卒中
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34 巻 , 2 号
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原著
  • 川原 一郎, 藤本 隆史, 高畠 英昭, 堤 圭介, 小野 智憲, 戸田 啓介, 馬場 啓至, 米倉 正大, 高山 隼人
    2012 年 34 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル フリー
    【背景】Recombinant tissue plasminogen activator(rt-PA)静注療法の適応は,全脳梗塞患者の約5%以下である.僻地においてはその適応はより小さいものと推測される.【目的および方法】2007年1月から2011年6月までの間,長崎県離島にて発症した急性期脳梗塞患者で当院へヘリコプター(ヘリ)搬送となり入院となった患者をretrospectiveに再評価し,rt-PA“drip-and-ship”法の可能性および課題について再検討した.【結果】4例に対して“drip-and-ship”法が施行された.2例において閉塞血管の再開通が得られ症状の改善が見られた.投与後のヘリ搬送に伴う症候性頭蓋内出血例はなかった.【結論】離島においては“drip-and-ship”法が安全であり理想的であると考えられるが更なる症例の集積が必要である.
  • 吉田 優也, 渡邉 卓也, 室石 豊輝, 橋本 正明
    2012 年 34 巻 2 号 p. 76-81
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル フリー
    【目的・方法】rt-PA静注療法の実施率に地域格差があり,特に低人口密度地域の脳卒中救急医療体制の整備が遅れているとされる.本研究では,著しい低人口密度地域に位置する公立能登総合病院(脳卒中診療専門医数4名)に入院した脳卒中患者368例を対象とし,地域レベルの脳卒中救急医療体制を評価した.脳卒中病型は脳梗塞245例,脳出血92例,くも膜下出血31例であった.受診方法は救急搬送198例,外来受診170例であった.【結果】発症から受診までの時間が3時間以内であった脳卒中患者は外来受診で17%,救急搬送で60%であった.rt-PAは脳梗塞245例中21例(8.5%)に投与され,非低人口密度地域における実施率と比較しても遜色のない結果であった.【結論】低人口密度地域でも脳卒中病院前救護体制や脳卒中専門医による初期診療体制の整備が十分であれば,rt-PA静注療法提供体制の地域格差は解消される.
症例報告
  • 三上 毅, 杉野 寿哉, 菅野 彩, 宝金 清博, 三國 信啓
    2012 年 34 巻 2 号 p. 82-88
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル フリー
    甲状腺機能亢進症に併発した類もやもや病4症例を経験したので,文献的考察を加えてその病態や治療指針に関して検討した.2007年1月から2010年12月までに当科で血行再建術を行った,甲状腺機能亢進症に併発した類もやもや病4症例を後ろ向きに検討した.男性2例,女性2例で,平均年齢は27.5歳(14-43歳)であった.全例直接血行再建術と間接血行再建術を行った.神経学的な予後は良好であったが,1例で甲状腺機能の悪化が認められた.周術期の甲状腺機能コントロールは,虚血性合併症を避けるうえでも非常に重要であるが,甲状腺機能亢進症の活動性を評価するのは非常に困難であり,治療指針の検討には内分泌科との連携が重要であると考えられた.
  • 香川 賢司, 岡田 仁
    2012 年 34 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル フリー
    頸部痛ならびに片麻痺で発症し,保存的治療にて自然治癒した特発性脊髄硬膜外血腫を経験したので,MRI上の経時的変化とともに報告する.症例は52歳の女性で,突然の左後頸部痛と左片麻痺にて発症した.頭部MRIでは異常所見は認められず,頸部MRIで脊髄硬膜外血腫が認められた.神経症状が改善傾向にあったため,保存的に治療しながら経時的にMRI followを行った.時間経過とともに血腫は退縮傾向を示し,ヘモグロビンの代謝過程に応じた信号変化がみられた.従来は緊急手術の対象となることが多かったが,本症例のように神経症状の回復傾向が認められる例は保存的に治療可能と考えられる.その場合も神経症状の増悪がみられた場合は速やかに手術を考慮し,そのタイミングを逸しないことが肝要である.また頸髄出血性疾患でも片麻痺を来し得るということを念頭におき,疑ったら頸部まで含めた画像評価を行うことを躊躇してはならない.
短報
  • 高下 純平, 廣岡 さとみ, 野田 和人, 鳥居 孝子, 松本 省二, 川尻 真和, 山田 猛
    2012 年 34 巻 2 号 p. 94-97
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル フリー
    rt-PA静注療法後にcerebral microbleeds(CMB)と同部位に脳出血を認めた1例を報告する.症例は83歳男性.既往歴にアルツハイマー型認知症,高血圧,慢性心房細動がありアスピリン内服中.突然の右上下肢麻痺を来し,救急搬送された.来院時NIHSS 19点.頭部MRI拡散強調画像にて左中大脳動脈領域に高信号域を認め,T2* MRIにて右後頭葉白質にCMBを認めた.MRAでは左中大脳動脈が水平部で閉塞していた.心原性脳塞栓症と診断し,発症125分後にrt-PA静注療法を開始した.投与後に神経症候の増悪や改善はみられなかった.rt-PA投与終了直後の頭部CTにて右後頭葉に径2 cmの出血を認め,CMBの部位に一致していた.CMBは脳出血との関連が指摘されているが,rt-PA静注療法の禁忌項目ではない.脳アミロイドアンギオパチーを疑われ皮質下白質にCMBを有する脳梗塞症例では,rt-PA静注療法にあたり異所性の脳出血を生じる可能性がある.しかしながら,われわれの仮説を証明するには,今後の症例の蓄積が必要である.
「脳梗塞t-PA 研究会」第5 回研究集会
総説
  • 矢坂 正弘
    2012 年 34 巻 2 号 p. 98-103
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル フリー
    脳梗塞急性期のt-PA血栓溶解療法に関して2010年に発表された78欧文論文から目立ったテーマや研究を紹介した.高齢者や若年者におけるt-PA血栓溶解療法を支持する論文を3つ概説した.ワルファリン療法中の急性期脳梗塞へのt-PA血栓溶解療法施行例で,発症前ワルファリン療法の蓋内出血や転帰への影響を支持する論文と支持しない論文を対比するとともに,ダビガトラン療法中の脳梗塞へのt-PA血栓溶解療法の可否を研究する必要性に言及した.t-PA血栓溶解療法例における急性期の再発が,亢進した線溶能による心内血栓の心腔壁からの遊離を促進する可能性を示す文献を紹介した.本邦で行われた市販後調査をまとめたJ-MARS研究や中大脳動脈閉塞を検討したJ-ACT II研究,およびt-PA血栓溶解療法の登録研究であるSAMURAI rt-PA registryから発表された論文を解説した.
短報
  • 岡 史朗, 石原 秀行, 東 真由, 前田 佳彦, 貞廣 浩和, 五島 久陽, 篠山 瑞也, 小泉 博靖, 中山 尚登, 加藤 祥一, 鈴木 ...
    2012 年 34 巻 2 号 p. 104-106
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル フリー
    rt-PA静注療法無効の中大脳動脈M1,M2部閉塞症に対する,バルーンカテーテルによる血栓破砕(percutaneous transluminal angioplasty; PTA)を中心とした血管内血行再建術の治療成績を報告する.全16症例中M1閉塞14例,M2閉塞2例であった.Thrombolysis In Myocardial Infarction(TIMI)分類2以上の再開通を12例(75%)に認めた.Modified Rankin Scale(mRS) 2以下の予後良好群は11例(69%)であった.治療による合併症は認めなかった.rt-PA静注療法後のPTAを主体とする血管内血行再建術は安全かつ高率に再開通が得られる方法と考えられる.
  • 吉村 紳一, 榎本 由貴子, 江頭 裕介, 岩間 亨
    2012 年 34 巻 2 号 p. 107-109
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル フリー
    急性期脳梗塞に対する脳血管内治療の適応を決定するためには,迅速かつ適切な画像診断が不可欠である.これは血管の再開通によって劇的な改善が得られる可能性がある反面,合併症によって却って状態を悪化させる可能性があるためである.急性期の画像診断としてCTとMRIのどちらを行っても良いが,血管内治療を前提とする場合には,MRI拡散強調画像などによる梗塞範囲の解析に加え,MRAなどの血管画像と灌流画像を行って適応を判定することが多い.しかしながら再開通までの時間は短いほど良いため,緊急検査の基本的なプロトールを作成し,これに個別の条件を加味して選択するのが望ましい.一方,組織プラスミノーゲンアクチベーター(rt-PA)静注療法後どの時点で治療無効と判断して脳血管内治療を開始するかについてはコンセンサスがなく,今後も臨床データを蓄積していくことが重要と考えられる.
  • 峰松 一夫
    2012 年 34 巻 2 号 p. 110-113
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル フリー
    脳梗塞急性期の血栓摘除デバイスであるMerci retrieverの国内承認の経緯と,承認後1年時点でのMerciの使用成績調査結果の概要を報告した.Merciは,血栓吸引デバイスであるPenumbraとともに,「医療ニーズの高い医療機器」として日本脳卒中学会他の関連学会より要望書が提出され,治験なしに2010年4月30日に承認された.承認条件は,治療実施基準の策定,適正治療指針の公表,3年間の市販後全例調査の実施である.2011年7月20日現在,199施設,689例にMerciが使用された.今回は,90日後の追跡調査の完了した93例のデータの概要を報告した.すなわち,転帰良好例(mRS 0~2),転帰不良例(mRS 5+6),重篤な有害事象の発生状況とも,海外のプールデータ305例とほぼ同じであった.計3年間にわたる市販後全例調査の結果が待たれる.
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