脳卒中
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34 巻 , 3 号
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原著
  • 天野 慎士, 斎藤 靖, 川路 博史
    2012 年 34 巻 3 号 p. 133-139
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル フリー
    破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血で急性期手術を行った症例で,脳血管攣縮を起こしやすく効果の判定しやすい症例を選び,後ろ向きに調査した.対象群,シロスタゾール(CSZ)とエイコサペンタエン酸(EPA)の投与を加えた群および,更にレベチラセタム(LEV)を加えた群との間で脳血管攣縮発生,脳血管攣縮による脳梗塞発生,予後を調査した.対象群40例,CSZ+EPA群14例,+LEV群19例で,症候性脳血管攣縮の発生は対象群28例(70.0%),CSZ+EPA群は5例(35.7%),+LEV群では7例(36.8%)であった.脳血管攣縮により脳梗塞に至った症例は,対象群で20例(50%),CSZ+EPA群で4例(28.6%),+LEV群で3例(15.8%)であった.対象群よりも両加療群で症候性脳血管攣縮の抑制がみられ,+LEV群では脳血管攣縮による脳梗塞発生の抑制がみられた.
  • 小出 泰道, 須佐 史信, 池田 浩子, 井上 有史
    2012 年 34 巻 3 号 p. 140-146
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル フリー
    【目的】もやもや病に合併するてんかんに関する臨床的特徴の検討を行った.【方法と対象】てんかん発作を呈したもやもや病患者7例について診療録記載や検査結果を検討した.【結果】全例女性で,もやもや病発症年齢は1~9歳(平均3.1±2.7歳)であった.全例が前頭葉,側頭葉各2例を含む症候性部分てんかんに分類された.発作型は胸部絞扼感などの単純部分発作が2例,複雑身振り自動症,回旋発作などを含む複雑部分発作が7例,二次性全般化発作が4例でみられた.発作の誘因は月経3例以外に驚愕が2例でみられた.脳波での発作焦点は発作時,発作間欠時いずれも前方部(前頭-側頭部)が優勢であり,後頭部に焦点をもつものはなかった.【結論】発作症状,あるいは脳波の発作焦点は前頭-側頭部起源が推定される例が多かった.驚愕は,小児期に片麻痺を呈するもやもや病のてんかん発作に特徴的な誘因である可能性が考えられた.
  • 田中 智貴, 神吉 秀明, 山本 晴子, 豊田 一則, 宮田 敏行, 長束 一行
    2012 年 34 巻 3 号 p. 147-155
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル フリー
    【背景及び目的】観血的処置に際しての抗血栓薬の休薬についての問題は,近年エビデンスの蓄積により一定のコンセンサスを得られるようになっている.しかし,抗血栓療法は新薬の登場や併用療法等,さらに複雑化の様相を呈している.今回我々は脳卒中診療に従事する医師にアンケートを取ることにより現状の把握と問題点について検討した.【方法】2010年1~2月にかけて12施設にアンケートを依頼した.対象は180人であり,様々な背景を設定した症例に対して観血的処置をすると想定した場合の抗血栓薬の休薬について質問を行った.また,抗血栓薬中断に関するガイドライン利用の有無,抗血栓薬中断時の脳梗塞発症経験の有無についても質問を行った.【結果】抜歯,白内障手術においては,抗血小板薬の内服を継続するとの回答が多く得られたが(75~90%),内視鏡処置では処置のリスクや脳梗塞再発リスクにより回答が分かれた.ワルファリン服用時の休薬に関しても同様の結果であった.休薬時にヘパリンに置換するかどうかについては,心房細動時に選択する回答は多くみられたが(53~77%),症候性頸動脈狭窄においてはヘパリン置換を選択する回答は少なかった(37%).さらには,抗血栓薬2剤併用時の対応についての回答はばらつきがみられた.また,様々な基礎疾患において抗血栓薬休薬中に実際血栓症の発症を経験したことがあるかどうかについては,頸動脈狭窄,頭蓋内動脈狭窄いずれにおいても有意に症候性の症例で多くの脳梗塞の発症経験があり,ワルファリンについても,奇異性脳塞栓症や発作性心房細動に比べ,弁膜性,非弁膜性心房細動でより脳梗塞を経験しているとの回答が得られた(p<0.01).【結論】抜歯,白内障手術については,多くの医師が抗血栓療法を継続すると回答し,ガイドラインが普及しつつあると考えられた.一方,内視鏡処置時の対応,休薬中のヘパリンの使用,抗血小板薬の多剤併用時等に関する対応についてはエビデンスが乏しく,一定のコンセンサスが得られていないのが現状であり,今後の課題と考えられる.
  • 西村 寿貴, 松平 敬史, 高橋 正年, 片多 史明, 福武 敏夫
    2012 年 34 巻 3 号 p. 156-160
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル フリー
    2006年4月から当院では超急性期脳梗塞患者に対してrt-PA静注療法を開始した.24時間円滑に投与できる体制の確立が必要であると考え,2009年1月から脳梗塞治療を担当する神経内科医の夜間の勤務状態を院外拘束体制から院内当直体制に変更した.院内当直体制(当直群)でのrt-PA投与例とそれ以前の投与群(過去群)の間で検討した.患者背景に両群間で有意差はなかった.発症から投与までの時間に有意差はなかったが,投与前のMRI施行率は当直群で高かった(81% vs 21%,p<0.001).3カ月後のmRS 0-1の割合は当直群で多かった(38% vs 16%,p=0.01).rt-PA投与を行う施設では,脳梗塞治療に従事する医師を24時間病院内に待機させることで患者の予後を向上させる可能性があると考えられた.
症例報告
  • 池田 典生, 西崎 隆文, 阿美古 将, 坂倉 孝紀, 中野 茂樹
    2012 年 34 巻 3 号 p. 161-165
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル フリー
    シロスタゾールが奏効した症候性頭蓋内動脈狭窄症の3例を経験した.症例1:62歳,男性.TIA発症の左中大脳動脈狭窄症で,脳血流検査は正常範囲内でシロスタゾール投与を開始し,発症3カ月後の3D-CTAで狭窄の改善を認めた.症例2:67歳,女性.TIA発症の脳底動脈狭窄症でシロスタゾール投与を開始し,発症3週間後の脳血管撮影および発症4週間後の3D-CTAで狭窄の劇的改善を認めた.症例3:69歳,男性.脳底動脈狭窄による左橋・小脳梗塞にて発症し経皮的脳血管形成術を行った.術前よりシロスタゾールを投与し,術後6カ月後の3D-CTAで再狭窄なく,術後12カ月後の脳血管撮影で残存狭窄部の改善を認めた.シロスタゾールは血小板凝集抑制作用だけでなく,血管内皮機能改善作用,血管拡張作用,血管平滑筋細胞増殖抑制作用などを有し症候性頭蓋内動脈狭窄の改善効果があり,経皮的脳血管形成術後の再狭窄予防や残存狭窄の改善に有効であると思われる.
  • 中西 克彦, 山本 綾, 千田 賢作, 榊 孝之
    2012 年 34 巻 3 号 p. 166-171
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル フリー
    ステント留置術(CAS)後にアテローム血栓性脳梗塞を発症し,塞栓源として頸部内頸動脈に不安定プラークを伴った再狭窄粥状硬化病変を認めた症例に対し,頸動脈血栓内膜剥離術(CEA)を行い,良好な結果を得た1症例を経験したので報告する.症例は,75歳,女性.1年3カ月前に,他院にて右頸動脈狭窄症に対してCASを施行された.入浴後に突然,見当識障害,左片麻痺を認め,当院救急搬送となった.発症30分で来院し,当初,強い左上肢および顔面麻痺を認めたが,徐々に神経症状の改善あり,軽度の不全麻痺を残すのみであった.頭部MRI拡散強調画像にて右境界領域脳梗塞を認め,脳血管撮影にてポケット状の潰瘍を伴う頸動脈の再狭窄を認めた.ステントを含めCEAを行い,良好な結果を得ることができた.頸動脈の壁の状態,特に高齢者は石灰化を含めた硬化病巣と軟らかい粥状病変の混在する症例が多く,治療の選択において病巣の詳細な評価の必要性を再認識した症例であった.
  • 菅野 彩, 野村 達史, 今泉 俊雄, 小松 克也, 稲村 茂, 仲西 正憲
    2012 年 34 巻 3 号 p. 172-176
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル フリー
    Prader-Willi症候群(PWS)は,筋緊張低下,性腺発育不全,精神発達遅滞,肥満を主徴候とする先天性疾患である.今回,若年性脳梗塞を合併したPWSの症例を経験した.26歳男性,小学生時より糖尿病,20歳頃より高血圧の加療がなされていた.左上下肢の痺れ感・軽度片麻痺を呈し,MRIでは右被殻後部および放線冠部に梗塞巣を認め,大脳の萎縮がみられた.MRAでは両側頸部内頸動脈の著明な延長および蛇行がみられ,右中大脳動脈(M1)で軽度狭窄がみられた.PWSにおける脳血管障害の報告は少ないが,いずれも糖尿病の合併,年齢に比し強い動脈硬化の進行が指摘されている.本例の脳梗塞は,糖尿病合併,動脈硬化,早期老化と思われる所見を呈することから,PWSを背景とした若年性脳血管障害であると考えられた.
  • 久保田 真由美, 生天目 浩昭, 東 幸郎, 萩原 万里子
    2012 年 34 巻 3 号 p. 177-181
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル フリー
    腹直筋鞘血腫(RSH)は急性腹症様の症状で発症する稀な病態である.抗凝固療法中の患者に発生しやすく,診断と治療の遅れが致命的となりうる.今回,左内頸動脈閉塞による全失語症を後遺した74歳女性患者が1カ月後に本病態による出血性ショックを来したため報告する.理学所見と腹部骨盤CTに基づいて確定診断を行い,輸血と全身管理により発症3日後には循環動態が安定した.本例の如く神経学的異常により自覚症状を訴えられない脳卒中患者の診療においては,RSHは特に銘記すべき病態と考えられる.
  • 池永 透, 多根 一之, 小川 竜介, 住岡 真也, 吉原 渡, 西村 進一, 土居 温, 三木 義仁
    2012 年 34 巻 3 号 p. 182-186
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は感冒薬を常習している44歳の男性で,喫煙直後に突然激しい頭痛と左上下肢の筋力低下を来し来院された.頭部CTでは右前頭葉皮質下に脳内出血を認め,MRIでは出血性梗塞と考えられた.脳血管撮影では右前,中大脳動脈に多数の血管狭窄所見が認められた.保存的治療を行ったが,症状が進行したため開頭血腫除去術を行い,術後,速やかに症状は改善した.術後の脳血管撮影では血管の狭窄所見は改善しており,病理所見と臨床経過から,reversible cerebral vasoconstriction syndrome(RCVS)に伴う出血性梗塞と診断された.突然の雷鳴様頭痛を来した患者で,くも膜下出血が否定された場合は,RCVSの病態も念頭に置き,精査加療を進めていく必要があると考えられた.
  • 豊田 啓介, 福田 修志, 石坂 俊輔, 竹下 朝規, 林 健太郎, 陶山 一彦, 永田 泉
    2012 年 34 巻 3 号 p. 187-192
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は29歳女性.突然の頭痛と意識障害で発症し近医に救急搬送,CTで脳室内出血を認め当院へ紹介入院となった.CTAおよび脳血管造影でもやもや病と診断し,出血源は右前脈絡叢動脈の分枝末梢に発生した動脈瘤と判断,脳室内出血に対しては保存的治療を行った.発症1カ月後に浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術+encephalomyosynangiosis (EMS)による右血行再建術を施行し,経過良好にて退院.術3カ月後の脳血管造影では良好なバイパス血流が認められ,動脈瘤は消失していた.もやもや病の成人例では約半数が頭蓋内出血を来し,その約70%は脳室内出血を合併するとされるが,側副血行路として拡張した脈絡叢動脈末梢部の瘤が出血源となる場合もありうる.もやもや病に合併した破裂脈絡叢動脈瘤の治療方針は確立されていないが,過去の報告と同様に出血亜急性期の血行再建術は適切な選択肢となると考えられる.
短報
  • 下畑 光輝, 成瀬 聡, 渡部 裕美子, 田中 一
    2012 年 34 巻 3 号 p. 193-196
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル フリー
    大脳皮質の体性感覚野に限局した小梗塞によりcheiro-oral syndrome (COS)を呈した1例を報告する.症例は46歳女性.右中心前回の小梗塞による左口角周囲の顔面麻痺の既往あり.今回は左鼻翼部外縁から口角,左手指のしびれで発症した.頭部MRIで右中心溝底部から中心後回皮質に小梗塞を認め,SEP右正中神経刺激でN20は正常であることから,Brodmann 3a (中心溝底部)を主病巣とする皮質性COSと診断した.抗血小板剤により症状は軽快した.前回および今回の梗塞巣の分布から,中大脳動脈皮質枝の中心溝動脈に限局したアテローマが存在し,血栓症またはA to A塞栓症を生じたものと推察した.最近の多数例の検討では,COSは延髄から体性感覚野に至る感覚伝道路を障害する様々な病因により生じ,症状増悪例も報告されており,症例ごとに慎重に原因検索を行い,病態に応じた治療を行う必要がある.
  • 森 憲司, 長野 俊彦, 岩砂 三平, 坂井 昇
    2012 年 34 巻 3 号 p. 197-200
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/29
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】非弁膜症性心房細動(NVAF)における血栓症発症リスクの評価にはCHADS2スコアが有用である.【方法】当院回復期リハビリテーション病棟の40名の脳塞栓症例について脳塞栓発症前と発症後のCHADS2スコアを診療録から後方視的に調査した.【結果】発症前のスコアは0点が5名(12.5%),1点が7名(17.5%),2点が8名(20.0%),3点が12名(25.0%),4点が4名(10.0%),5点が3名(7.5%),6点が1名(2.5%)でスコアの平均値は2.4であった.発症後のスコアは2点が5名(12.5%),3点が8名(20.0%),4点が11名(27.5%),5点が14名(35.0%),6点が2名(5.0%)でスコアの平均値は4.0であった.【結論】回復期リハビリテーション病棟における抗凝固療法にも十分な配慮が必要である.
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