脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
34 巻 , 4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
原著
  • 中瀬 泰然, 亀田 知明, 鈴木 明文, 長田 乾
    2012 年 34 巻 4 号 p. 215-220
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
    脳血管障害の発症,予後を検討する上で重要な因子となる血圧日内変動の変化を,高血圧性脳出血急性期および亜急性期の24時間血圧(24hABPM)計測により解析した.対象は発症24時間以内の急性期脳出血症例(32例:平均年齢62.0歳).入院時および3週間後の24hABPMにて血圧日内変動をdipper型(D型)とnon-dipper型(ND型)に分類した.結果,入院時血圧は血腫サイズあるいは病変部位との関連を認めなかったが,急性期血圧コントロール不良群では良好群に比べて有意に大きな血腫であった.また,ND型はD型に比べ24hABPMの1回目,2回目とも有意に大きな血腫だった.結論として,脳出血サイズが急性期の血圧コントロールに影響し,さらに亜急性期にかけてのND型に関連していることが示唆された.
  • 齋藤 司, 相澤 仁志, 片山 隆行, 浅野目 明日香, 遠藤 寿子, 澤田 潤, 長谷部 直幸
    2012 年 34 巻 4 号 p. 221-227
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】内包・放線冠領域急性期梗塞で構音障害を呈する際の左右の多寡は従来さほど強調されていない.本研究では構音における同部位の左右の優位性の有無を検討することを目的とした.【方法】旭川医科大学ストロークチームが2006年から5年間に診療した全脳卒中患者を対象とし後ろ向き調査を行った.【結果】対象886例のうち,単発の内包・放線冠領域梗塞患者は96例.その中で急性期に構音障害を呈した43例中,左側梗塞は30例(69.8%),右側梗塞は13例(30.2%)であった.また構音障害を呈さなかった53例中,左側梗塞は24例(45.3%),右側梗塞は29例(54.7%)であった.χ2検定では左側梗塞で有意に多く構音障害を呈した(p=0.016,オッズ比2.79,95%CI 1.20-6.50).【結論】内包・放線冠領域急性期梗塞で構音障害を呈する場合,左側に梗塞巣を有する症例が有意に多かった.
  • 鈴木 雅規, 小南 修史, 白銀 一貴, 纐纈 健太, 岩本 直高, 大村 朋子, 三品 雅洋, 水成 隆之, 小林 士郎, 寺本 明
    2012 年 34 巻 4 号 p. 228-234
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
    【目的】Merci Retriever適応基準を満たすwake-up ischemic stroke (WUIS)例について,急性期血栓回収術応用の可能性について検討した.【方法】2009年1月より2010年12月に入院した心原性脳塞栓症158例を対象としてWUISの発症比率,頭蓋内主要血管閉塞症例のDWI-ASPECTSを評価した.【結果】28症例(17.7%)がWUISであった.DWI-ASPECTSは発症2時間以内搬送群,2-8時間搬送群,WUIS群の3群間で有意差はなかった.WUIS群には血行再建術の適応となり得るDWI-ASPECTS高スコアで,当施設の使用適応基準を満たす例が5例存在した.実際にMerci Retrieverを使用したWUIS 2例の予後は良好であった.【結論】WUIS患者においても適切な患者選択をすれば脳血管内治療の有効性が期待できることが示唆された.
  • 佐久嶋 研, 中村 文明, 林野 泰明, 小崎 真規子, 上羽 哲也, 喜多田 祐子, 岩室 康司, 塩路 圭介, 福原 俊一
    2012 年 34 巻 4 号 p. 235-242
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
    【目的】脳梗塞の診療の質をQuality Indicator(QI)という指標にて評価し,数値化することを通して分析を行った.【方法】QIは米国のものを参考に13項目とし,急性期病院2施設にて脳梗塞で入院した患者を抽出し診療録レビューを行った.QIを満たした患者の割合を遵守率とした.【結果】脳梗塞患者225名が抽出された.遵守率は飲酒習慣の記録(96.4%),喫煙習慣の記録(98.2%)が高く,禁食期間後の嚥下機能評価は64.0%,退院時二次予防処方は78.1%であった.禁食期間あり患者群の二次予防処方の遵守率(67.5%)は,ない群(86.0%)と比べ有意に低かった.【結論】脳梗塞における診療の質がQIにより数値化された形で評価でき,標準化への改善点が明らかとなった.
症例報告
  • 遠藤 英樹, 浅野目 卓, 山口 陽平, 前田 理名, 渡邉 健太郎, 杉尾 啓徳, 本庄 華織, 上山 憲司, 中川原 譲二, 中村 博彦
    2012 年 34 巻 4 号 p. 243-248
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
    症例は67歳男性.発症35分で救急搬送され,JCS 3,左共同偏視,全失語,右上下肢完全麻痺を認めた.心電図で心房細動を認めた.MRIでは左前大脳動脈(ACA)領域および左中大脳動脈(MCA)と左後大脳動脈の境界域に脳梗塞を認めた.MRAおよびCTAで左ACA閉塞を認めた.左MCAに閉塞性病変は認められなかった.CT perfusionでは左ACA領域のみならず左MCA領域でもMTTが延長していた.t-PA静注療法を計画したが,PT-INR 1.88が禁忌項目に該当したため,ヘパリン,ワーファリンで加療した.入院翌日には症状は軽快し,MRAで左ACAの再開通を認めた.発症早期にみられるdiffusion-perfusion mismatchは脳主幹動脈の閉塞を必ずしも意味しないことを示唆しており,常に脳血管画像所見を加味して,どのような脳虚血病態であるかを総合的に判定する必要がある.
  • 呉屋 よしの, 崎間 洋邦, 伊佐 勝憲, 仲地 耕, 城間 加奈子, 石原 聡, 渡嘉敷 崇, 大城 克彦, 仲地 佐和子, 大屋 祐輔
    2012 年 34 巻 4 号 p. 249-254
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
    抗血栓療法下で,脳血栓症を発症し,主幹動脈病変の経時変化観察に頸動脈超音波が有用であった本態性血小板増多症(essential thrombocythemia; ET)の85歳,女性を報告する.既往に気管支喘息があり,洞不全症候群でペースメーカーの植え込み術を受けた.また冠動脈バイパス術後および発作性心房細動のため,抗血小板および抗凝固療法を数年来受けていた.意識障害,構音障害,右不全片麻痺を呈する橋左正中部脳梗塞を発症した.頸動脈超音波で椎骨動脈血流速度は遠位部高度狭窄または閉塞所見で,さらに右内頸動脈は低輝度が混在した充満性血栓で閉塞していた.本例は血小板増多(129万/μl)を認め,ETと診断された.骨髄抑制薬の追加内服開始後,椎骨動脈血流速度は改善した.以上から本例の脳梗塞はETによる脳主幹動脈血栓症が原因と考えた.経時的な超音波検査がETによる脳血栓症の病態把握に有用と考えられた.
  • 福島 隆男, 石川 紗織, 牧野 邦比古, 相場 豊隆, 渡邉 徹, 平石 哲也, 藤原 秀元, 桑原 武夫
    2012 年 34 巻 4 号 p. 255-259
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
    症例は73歳女性.右眼裂の狭小化にて発症.翌日歩行困難,めまい,嘔吐を伴い,3日目に当院救急外来を受診.右Horner徴候,右上下肢に測定障害,顔面を含む左半身の痛覚減弱,右上肢に軽度運動麻痺を認めた.来院数時間後,呼吸状態が不安定となり人工呼吸器管理となった.頭部MRI拡散強調画像において右延髄に梗塞巣を認めた.呼吸障害は遷延し1カ月半以上,人工呼吸器管理を行った.呼吸器離脱後も低酸素・高炭酸ガス血症を認め,酸素投与を要した.一般に,中枢性呼吸障害は両側性延髄障害で生じるといわれているが,本例は片側延髄梗塞であった.過去の文献例では遷延性呼吸障害を呈する片側延髄梗塞は嚥下障害を伴い疑核を含む病変が多く,片側でも疑核を含む病巣では遷延性呼吸障害が出現する可能性があり注意を要する.
  • 若林 和樹, 鹿児島 海衛, 松本 正弘, 宮城 修
    2012 年 34 巻 4 号 p. 260-265
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,女性.41歳時に右頭頂葉皮質下出血の治療の際に施行した脳血管撮影で偶然に未破裂左中大脳動脈瘤が発見された.その際の椎骨動脈撮影では動脈瘤は認めなかった.未破裂左中大脳動脈瘤に対しクリッピング術を施行した.7年後のMRAにて右脳底上小脳動脈瘤が新生した.さらに3年後のMRAで増大がみられたため,コイル塞栓術を施行した.新生動脈瘤の報告はくも膜下出血後や他疾患の治療後に新生動脈瘤自体が破裂した例が多い.本例は未破裂脳動脈瘤の治療後に脳動脈瘤の新生,増大を画像上確認し治療を行った.若年,女性,喫煙,高血圧の既往のある例などでは,未破裂脳動脈瘤治療後も画像診断による経過観察が必要と思われた.
短報
  • 小原 太郎, 佐藤 光, 小山 新弥, 壷井 祥文, 福田 修, 遠藤 俊郎
    2012 年 34 巻 4 号 p. 266-268
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
    一地方病院において,主幹動脈閉塞の脳梗塞に対するrt-PAの有効性を検討した.【対象・方法】2006年6月~2009年12月に,発症3時間以内にrt-PAを静脈投与した主幹動脈閉塞例の患者背景,転帰を検討した.主幹動脈閉塞を疑う症候は,片麻痺・失語・意識障害・視野障害であった.23例は,MRAにて,閉塞血管が特定された.11例は,閉塞血管が特定されなかった.【結果】発症平均年齢は,77.6歳.慎重投与例は29例(85.3%)であった.3カ月後mRS 0-1は20.6%,mRS 2-3は11.7%,mRS 4-5は44.1%,mRS 6は23.5%であった.【結語】本報告では,NINDS試験,J-ACT試験に比較し3カ月後の転帰は不良であった.ラクナ梗塞を含まず,より高齢で重症例の多いことが要因と推測された.同様のリスクの多い症例に対するrt-PAの転帰は不良であることが示唆された.
  • 木田 耕太, 野崎 博之
    2012 年 34 巻 4 号 p. 269-272
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル フリー
    症例は49歳の男性.遠隔転移を伴う上行結腸癌に対し回盲部切除術を受けた.術後に意識障害,全失語,右片麻痺を発症し搬送された.左中大脳動脈水平部の脳塞栓症と診断した.原疾患の長期予後は期待できなかったが,アルテプラーゼ(t-PA)使用の禁忌事項はなく,quality of life(QOL),特に全失語の改善を目的としてt-PA静注療法を行った.右片麻痺,失語について一定の改善を得たが,梗塞巣とは一致しない一部症候性の頭蓋内出血を新たに生じた.その後,下肢深部静脈血栓症が生じ,抗凝固療法を要したが,来院時全失語であった言語機能はt-PA投与後全経過を通じて改善を維持した.Trousseau症候群の約半数には既に遠隔転移を伴う進行癌があり,脳梗塞の治療は生命予後を改善しない.しかし本例の経過から,t-PA静注療法は特にそのQOL改善に有効な可能性がある.一方,治療により予期せぬ頭蓋内出血を生じることがあり,その適応には十分な検討が必要である.
feedback
Top