症例は66歳,女性.40歳頃より拍動性ならびに非拍動性の頭痛を認め,60,61,65歳に脳梗塞の既往がある.今回は突然のめまい,嘔気・嘔吐で受診,神経学的には軽度の左上下肢の失調と体幹失調を認め,頭部MRIで左小脳半球に梗塞巣を認め,経食道心エコーで卵円孔開存を認めた.奇異性脳塞栓症と診断し,エダラボン,ワルファリンなどの加療により,めまい,失調は改善したが頭痛は改善せず退院となる.その後Amplatzer
TMによる卵円孔閉鎖術を施行したところ,それ以後頭痛が完全に消失し脳塞栓症の再発はない.海外では卵円孔閉鎖術が片頭痛の改善に有効とする報告があるが,日本ではAmplatzer
TMが卵円孔開存には保険適応がなく,症例報告がない.本症例では閉鎖術が頭痛も改善させた可能性が考えられ,慢性的な頭痛を伴う脳梗塞患者では,卵円孔開存の有無を確認し,閉鎖術を考慮してもよいのではないかと考えられる.
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