脳卒中
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36 巻 , 1 号
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原著
  • 曽我 洋二, 伊地智 昭浩
    2014 年 36 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    要旨:【目的】一般住民における脳卒中発症時の早期受診行動の意識の現状を調べるとともに,早期受診行動に結びつく知識などについて検討を行った.【方法】神戸市政アドバイザー1,059 名に,脳卒中に関する知識と早期受診の意識に関するアンケート用紙を送付し,現状を調べるとともに早期受診行動と関連する因子および知識について分析を加えた.【結果】62%の返送を得,年齢は60 歳代が22.5%と最も多かった.回答結果より「早期受診行動有り」に分類される者は68%を占めていた.脳卒中の危険因子や発症時の急性症状の知識において,その知識量が増えるにつれ,早期受診行動有りに分類される者の割合は増加した.38.6%の者が治療法の1 つであるtPA を知っていると回答し,時間の概念があるtPA の知識の有無は早期受診行動の有無と関連した.【結論】量的そして質的な観点に着目しながら,早期受診行動に結びつく知識を評価し,啓発していく必要がある.
  • 大平 雅之, 桑原 博道, 小原 克之
    2014 年 36 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    要旨:近年,脳卒中に関連する診療ガイドラインが公開され,医療現場において利用されている.「脳卒中治療診療ガイドライン」が判決文中引用されている裁判例のうち判決文全文が入手可能で脳卒中の診療が争点となった裁判例について検討した.対象は7 事例(8 裁判例)あり,判決の理由中ガイドラインが過失判断において引用された場合,おおむねガイドライン通りの認定がなされていた.特にガイドライン中,エビデンスレベルが引用されている判決が目立った.民事訴訟はその制度的特性から必ずしも客観的な医学的妥当性は担保されていないものの,民事訴訟での医学的妥当性を必要最低限担保するためにガイドラインが寄与しうる余地がある.
  • 本田 省二, 甲斐 豊, 平野 照之, 宇宿 功市郎, 渡邉 聖樹, 安東 由喜雄, 倉津 純一
    2014 年 36 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    要旨:【背景と目的】熊本県の阿蘇医療圏では急性期血行再建療法が実施できず,阿蘇市外へ二次搬送しているが,搬送に1 時間を要し,2010 年に搬送した11 名中rt-PA 実施は1 名のみであった.一次搬送された病院でrt-PA 投与を行うべく,脳卒中基幹病院と一次救急モデル病院間でスマートフォンを用いた遠隔医療態勢の構築を図った.【方法】モデル病院担当医はスマートフォンアプリ“RDICOM”を使用し,患者のNIHSS スコア,頭部CT 画像をサーバーに送信する.基幹病院専門医はRDICOM情報に基づきrt-PA の適応を判断,投与を指示する.その後,点滴静注しながら基幹病院へ搬送する.【結果】2012 年6 月~2013 年5 月に15 名が搬送され,rt-PA の適応があった5 名に来院から概ね1時間で合併症なく実施できた.【結論】本システムによる遠隔支援で,今までrt-PA 治療が不可能であった地域での実施可能性が示された.
  • 白井 和歌子, 徳光 直樹, 和田 始, 齊藤 仁十, 相澤 希, 佐古 和廣
    2014 年 36 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    要旨:2002 年7 月1 日~2011 年6 月30 日に北海道・道北地域で発症した症候性脳血管障害の病型・危険因子・転帰・再発率を解析した道北脳卒中共同研究(NOHSS)の調査結果を報告する.全登録症例は2345 例で平均年齢は72.2±12.1 歳,男性1327 例(56.6%),女性1018 例(43.4%)であった.脳梗塞1549 例(66.1%),脳出血551 例(23.5%),くも膜下出血233 例(9.9%)であった.脳梗塞病型別ではラクナ梗塞590 例(38.1%),アテローム血栓性梗塞484 例(31.2%),心原性脳塞栓症412 例(26.6%)であった.病型に関わらず調査期間中に脳卒中を再発した症例は197 例で,脳梗塞の年間再発率は3.8%であった.9 年間のデータを3 年ごとに分け検討した結果,脳出血の減少と脳梗塞の増加を認め,特に心原性脳塞栓症が増加していた.また一次予防としての抗凝固療法も増加傾向であった.
症例報告
  • 櫻井 岳郎, 脇田 賢治, 西田 浩
    2014 年 36 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は62 歳女性.めまい,嘔気が急に出現し,頭部MRI の拡散強調画像,FLAIR 画像にて両側島皮質を主体に高信号域を認めた.血液検査ではD-dimer 高値を示し,髄液検査では明らかな異常は認めなかった.頭部・頸部MRA では狭窄病変はなく,脳血流シンチで同部の血流は低下していた.造影頭部MRI では,病変の一部に造影効果を認めた.経食道心臓超音波検査では卵円孔開存,右左シャントがあり,下肢静脈エコーでは両側ヒラメ静脈外側枝内に血栓を認めた.以上の検査所見から,下肢静脈血栓症による奇異性脳塞栓症と考えた.入院後,抗凝固療法を行い,症状,頭部MRI の拡散強調画像における高信号病変は消退した.頭部MRI でほぼ同時に両側の島皮質を主体として高信号域を呈する場合,稀ではあるが脳梗塞も鑑別疾患として考える必要がある.
  • 竹下 朝規, 長嶺 知明, 仲里 巌, 山城 勝美, 林 健太郎, 松尾 孝之, 永田 泉
    2014 年 36 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は39 歳男性,左側頭葉の脳動静脈奇形に対する開頭摘出術および放射線治療の既往があった.右上肢の軽微な痺れを主訴に当院を受診,精査にて左側頭葉の囊胞性病変を指摘された.血管造影では残存ナイダスは認めず,放射線治療後の遅発性囊胞形成と診断した.経過観察中の1 年後に言語障害が出現し,囊胞拡大と圧迫所見を認めたため顕微鏡下囊胞壁開窓および囊胞-腹腔シャント術を行った.術後症状改善と囊胞の縮小がみられたが,1 年後に再び症状増悪と囊胞増大がみられたため再手術を行った.再手術から4 年を経過しているが,症状は改善し,囊胞の増大もなく順調に経過している.脳動静脈奇形に対する放射線治療から14 年後に症候性となった多房性囊胞の1 例を経験した.今回我々は囊胞開窓に囊胞-腹腔シャント術を組み合わせることで良好な結果を得ることができた.その特徴や治療法について文献的考察を加え報告した.
  • 野村 誠, 藤倉 幹生, 東田 和博, 桶田 善彦, 尾野 精一
    2014 年 36 巻 1 号 p. 38-41
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    要旨:内包後脚の梗塞では多くの症例で片麻痺を合併するためにpure dysarthria を呈する症例はきわめて少ない.今回内包後脚に限局した脳梗塞により構音障害のみを呈した3 症例を経験した.症例1は67 歳男性,症例2 は68 歳男性,症例3 は80 歳女性である.いずれも主訴は呂律障害で,神経学的には構音障害のみが認められた.頭部MRI 上症例1 は右内包後脚に,症例2 および3 は左内包後脚にそれぞれ限局した急性期梗塞がみられた.現在,皮質延髄路の内包における走行については膝部を通るものとするものと,後脚内で皮質脊髄路の前方を通るものとする説が議論されている.本3 症例の検討より皮質延髄路が膝部のみならず後脚内も走行しその障害によりpure dysarthria を呈したと考えられ,後者の見解に合致すると思われた.
  • 二宮 怜子, 瀬野 利太, 麓 憲行, 尾上 信二, 市川 晴久, 福本 真也, 田中 英夫, 河野 兼久, 奥田 真也, 松本 雄志, 鴨 ...
    2014 年 36 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は78 歳男性.突然の左上下肢の不随意運動,構音障害が発症した.頭部MRI では異常なく,ハロペリドールを処方されたが,症状が改善しないため,第4 病日に当科に入院した.入院時は,構音障害,左上下肢にchorea,ballism 様の不随意運動,軽度の左不全片麻痺を認めた.頭部MRI拡散強調画像では右基底核,島皮質に高信号域を認め,頸部MRA や頸動脈エコーでは右内頸動脈起始部に高度狭窄を認めた.脳血流SPECT,perfusion CT では右中大脳動脈皮質領域の血流低下に加えて右基底核部での灌流異常を後者で明示され,不随意運動は右内頸動脈狭窄に伴うlimb shaking(LS)と診断した.第15 病日に頸動脈血栓内膜剝離術を施行し,術後,血流障害と症状の改善を認めた.内頸動脈狭窄に伴うLS の原因に,頭蓋内皮質-基底核間の血流較差以外に,基底核部自体の灌流異常が関与していることが考えられた.
  • 小山 淳一, 花岡 吉亀, 佐藤 篤, 神應 裕, 宮下 裕介
    2014 年 36 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は71 歳,女性,右片麻痺,構音障害を呈し搬送された.左前腕に透析用バスキュラーアクセスが作成されている.起床時の眼前暗黒感を伴うめまい症状を訴え,MRA と血管撮影で脳底動脈無描出,左鎖骨下動脈狭窄症,左椎骨動脈逆流現象および狭窄症を認めたため鎖骨下動脈盗血症候群と診断した.左鎖骨下動脈と椎骨動脈にステント治療を行った.左椎骨動脈の順行性血流は得られなかったが,症状は一時的に改善した.症状の再増悪あり,血管超音波検査で左椎骨動脈逆流現象の再増悪とバスキュラーアクセスの過剰血流を認めたために,流出静脈を縫縮・縫合した(バンディング術).椎骨動脈は順行性に回復し,MRA でも脳底動脈が描出されるようになった.鎖骨下動脈狭窄症とバスキュラーアクセスが同側にある場合は,単に鎖骨下動脈の血行再建を行うのではなく,鎖骨下動脈盗血現象へのバスキュラーアクセスの影響を考慮し,適切な治療法を選択すべきである.
短報
  • 中村 歩希, 小菅 康史, 水庭 宜隆, 和久井 大輔, 田口 芳雄
    2014 年 36 巻 1 号 p. 51-53
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/25
    ジャーナル フリー
    要旨:発症数日前に動悸を自覚し,他院で甲状腺ホルモン値の高値を指摘されていた26 歳女性.左不全片麻痺によりMRI が行われ,右放線冠付近の脳梗塞巣とともに,MRA にて右頸部内頸動脈に著明な狭窄像がみられ,原因病変と考えられた.同時に頻脈や発汗異常がみられBasedow 病と診断し,補液・抗血小板薬と抗甲状腺薬の内服を開始した.その後,甲状腺機能は正常となり,経過観察目的の頭頸部MRA で右頸部内頸動脈狭窄の改善がみられた.Basedow 病が頭蓋内血管に影響したとする報告は散見されるが,本症例のように頸部内頸動脈にも狭窄病変を形成し,一過性脳虚血発作や脳梗塞の発症になり得ることを,脳卒中を扱う臨床医が知っておくことは重要である.
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