脳卒中
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36 巻 , 2 号
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症例報告
  • 芳賀 智顕, 村元 恵美子
    2014 年 36 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:患者は78 歳男性.脳室炎・細菌性髄膜炎のため入院となったが,座位にてチアノーゼを認めた.臥位ではSPO2 90%以上を維持できるものの,座位になると呼吸苦は認めないがSPO2 60%まで低下した.精査の結果,過延長・拡張した上行大動脈によって心臓が圧排され卵円孔が開口していた.そして,座位において上行大動脈による圧排が増強すると卵円孔が開大,右-左シャントが増加してSPO2 は低下した.このため,卵円孔開存によるplatypnea orthodeoxia syndrome(POS)と診断した.そして,脳室炎・細菌性髄膜炎の感染経路として卵円孔開存が疑われた.また,73 歳時に発症した後大脳動脈塞栓症は,卵円孔開存の関与する奇異性脳塞栓症の可能性が疑われた.今回,脳室炎・細菌性髄膜炎が診断の契機となった卵円孔開存の関連するPOS を経験したので報告する.
  • 安藤 喜仁, 菱田 良平, 橋本 律夫, 中野 今治
    2014 年 36 巻 2 号 p. 76-81
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は67 歳右利き男性.右前脈絡叢動脈閉塞により外側膝状体近傍に限局した脳梗塞が生じ,左同名半盲,左半側空間無視と構成障害,漢字に強い失書を呈した.失語はみられなかった.過去に外側膝状体を中心とした病巣で半側空間無視が出現した報告は少なく,さらに構成障害と失書も合併したものは1 例のみであった.また,いずれの既報告例においても外側膝状体病変に加えて視床や後頭葉などを含む広範な部位に病変が認められており,本例の損傷領域はより限局していた.SPECT 画像で右後頭葉から頭頂葉の一部にかけて広範囲に血流低下が認められたことより,本例の半側空間無視と構成障害は主に右頭頂葉の機能障害に由来し,失書は主として構成障害に基づくものと考えられた.本例の症候は右前脈絡叢動脈領域の梗塞によるものとして非常に興味深いと思われた.
短報
  • 渡部 洋一, 市川 剛, 鈴木 恭一
    2014 年 36 巻 2 号 p. 82-84
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は75 歳,女性.心原性脳塞栓症の既往があり,8 カ月前からリバーロキサバンを服用していた.右半身麻痺と運動性失語症をきたし,当院に搬送された.MRI 拡散強調画像で左前頭葉皮質に高信号を認めた.リバーロキサバン最終服薬から約18 時間が経過しているため血中濃度は減少し抗凝固作用は減弱していると考え,出血性合併症が発生する可能性は低いと判断し,発症から3 時間40 分後にrt-PA 静注療法を行った.翌日運動麻痺は改善し,軽度の失語症を残し退院した.ワルファリン療法中に脳梗塞が発生した場合,rt-PA 療法を行うためにはPT-INR が1.7 以下であることが定められているが,新規経口抗凝固薬服用中のrt-PA 投与の可否については明確な基準はない.リバーロキサバンを内服中に脳梗塞が発生した場合rt-PA 血栓溶解療法を行うかどうかは,最終服薬からの時間を参考にして慎重に決定すべきと考えられる.
第38 回日本脳卒中学会講演
シンポジウム
総説
  • 北園 孝成, 吾郷 哲朗, 鴨打 正浩
    2014 年 36 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:福岡脳卒中データベース(Fukuoka Stroke Registry; FSR)は,発症7 日以内の脳卒中患者の臨床情報,血漿,ゲノムを収集するとともに退院後の予後調査を行う疾患コホート研究である.本研究では急性期脳卒中患者の発症登録による病態分析と要因解明を行うとともに治療成果の評価につながる研究を行い,本邦における脳卒中医療の基盤となるエビデンスを構築することを目的としている.これまでに,脳梗塞急性期の病態解明や再発を含めた予後の解析を行い,その成果を報告してきた.また,FSR のサブスタディーとして脳梗塞のバイオマーカー探索研究を行い,脳梗塞の病態解明に有用なバイオマーカーを発見している.これらのバイオマーカーの機能を動物実験や培養細胞を用いて解析することで,脳梗塞の病態解明につながる知見も得ており,臨床研究と基礎研究を融合することで,脳卒中に関する新たなエビデンスを構築したい.
  • 高木 誠, 東京都脳卒中地域連携協議会, Tokyo Metropolitan Stroke Association Council
    2014 年 36 巻 2 号 p. 90-95
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:東京都は2008 年4 月に「東京都脳卒中医療連携協議会」を立ち上げ,救急搬送体制構築についての協議を開始した.その結果,2009 年3 月より救急隊が脳卒中を疑った例は,都認定の「東京都脳卒中急性期医療機関」に搬送される体制が導入された.導入1 年後に都内の1 週間の全救急搬送例の調査が行われ,救急隊の脳卒中判断の感度と特異度,救急隊の医療機関への搬送状況などには大きな問題はないことが検証された.発症から病院着までの時間の中では,発症から覚知(119 番通報)までの時間が長いことが明らかとなり,都民に対する脳卒中の啓発活動の必要性が指摘された.2 年後に再度同様の調査を行ったところ,前回に比べ発症から覚知までの時間は有意に短縮され,この期間の啓発活動の成果が示された.しかし,発症から病着(病院着)までの時間の有意な短縮はみられず,今後は覚知から病着までの時間のさらなる短縮に取り組む必要性が示唆された.
  • 菱川 朋人, 伊達 勲
    2014 年 36 巻 2 号 p. 96-98
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:小児の脳卒中には小児にのみ見られる疾患と小児成人両者に見られる疾患が存在する.成人と比較して遥かに頻度は少ないが,成人とは異なる病態を有し,その原因が多岐にわたることが小児の脳卒中の最大の特徴である.米国のデータによれば虚血性脳卒中が57%,出血性脳卒中が43%を占める.小児の脳卒中の原因の中でも特に重要と思われる新生児の出血性脳卒中,急性小児片麻痺,もやもや病,動脈解離,脳動静脈奇形に焦点を当て解説を行う.最後に小児の脳卒中の課題についても言及する.
  • 橋本 洋一郎, 伊藤 康幸, 寺崎 修司, 米原 敏郎, 德永 誠, 渡辺 進
    2014 年 36 巻 2 号 p. 99-104
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:少ないスタッフで急性期脳卒中患者を断らずに受け入れるために,院内のシステム構築とともに地域の医療資源を有効活用するためにかかりつけ医との前方連携,リハビリテーション専門病院との後方連携,専門病院同士の水平連携の強化により,脳卒中診療ネットワーク(地域完結型の脳卒中診療態勢)の構築を行った.ネットワーク構築で多くの問題の解決ができた.回復期と維持期の連携,脳卒中地域連携パスの開発と運用ネットワークの構築,さらに在宅ドクターネットの設立などが行われ,ネットワーク構築がより一層進んだ.専門病院同士の水平連携は熊本市公的病院等地域連携協議会(地域連携室の会)を立ち上げ,いろいろな取り組みを開始している.地域連携パスでは電子化することで多くのデータを解析できるようになっている.現在,地域包括ケアシステム構築,advance directive の作成・運用,自己管理を行う脳卒中ノートの開発を行っている.
  • 立花 久大
    2014 年 36 巻 2 号 p. 105-112
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:糖尿病は脳梗塞の独立した危険因子であり,脳梗塞発症が2~3 倍高くなる.糖尿病はアテローム血栓性脳梗塞,ラクナ梗塞のみではなく心原性脳塞栓症に対しても危険因子として関与している.糖尿病患者では脳幹部,椎骨脳底動脈系の脳梗塞が多く,穿通枝領域に多発する中小脳梗塞が多い.脳出血についても糖尿病患者では発症が増加する可能性がある.脳卒中の一次予防についてはメトホルミン,リナグリプチンの脳卒中発症抑制効果が示唆されている.また,二次予防としてはインスリン抵抗性改善薬ピオグリタゾンによる治療が脳梗塞発症予防に有効であると報告されている.しかし脳卒中予防には血糖のコントロールのみでは不十分で,血圧,脂質代謝などを含めた複合的な治療が必要と考えられる.さらに脳梗塞再発予防には血管危険因子の管理とともに抗血栓療法が必要と考えられる.
  • 上田 雅之
    2014 年 36 巻 2 号 p. 113-119
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:ラット一過性局所脳虚血モデルにおけるEPA-E の脳保護効果を検討した.EPA-E(100 mg/kg/日)またはvehicle を7 日間投与した後の90 分間の脳虚血では,EPA-E 群において再灌流直前のADC低下領域の減少および再灌流24・72 時間後の梗塞体積縮小・神経徴候改善効果を認めた.また再灌流24 時間後の大脳皮質梗塞周囲のp-adducin・vWF 陽性血管密度,8-OHdG・4-HNE 陽性細胞数,TUNEL 陽性細胞数の減少をEPA-E 投与群で認めた.EPA-E の虚血前投与期間および7 日投与後の薬剤中断期間の検討では,5 日以上の虚血前投与および投与中断後3 日までの脳保護効果を確認した.EPA-E の脳保護効果には継続投与が重要であり,その脳保護効果の機序として血管内皮障害軽減,Rho- キナーゼ活性化抑制,組織酸化ストレスの減少が示唆された.
  • 勝又 俊弥
    2014 年 36 巻 2 号 p. 120-124
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:慢性腎臓病(CKD)を規定するglomerular filtration rate( GFR)の低下や蛋白尿は独立した脳卒中発症のリスクになることが多くのコホート研究で報告されている.CKD を合併した急性期脳梗塞患者の特徴について,推算GFR と尿アルブミン/ クレアチニン比(ACR)でCKD を評価すると,自験例の検討でCKD の合併は62.8%で認めた.また,CKD 合併群は正常群に比べ頸動脈病変や大脳白質病変が高度であり,特にACR ≥30 mg/gCre の群では入院時,退院時の神経学的障害が重度であった.CKDと脳卒中を関連づける機序として高血圧など生活習慣病や一酸化窒素産生異常,交感神経活性などによる内皮機能障害や,緊張度の高い細動脈があるという構造上の類似点などが考えられた.CKD 合併脳卒中患者の治療は,動脈硬化やCKD 特有の危険因子のコントロールと,腎機能に注意した薬物治療が必要である.
  • 瀧澤 俊也
    2014 年 36 巻 2 号 p. 125-128
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:神経再生治療として,骨髄幹細胞やiPS 細胞などの先駆的研究が行われているが,技術的・倫理的なハードルが有り臨床応用には時間を要する.一方,低用量G-CSF 静注は既存薬の適応拡大であり,安全性や倫理的側面で現実性の高い再生治療と位置づけられる.我々は本邦で初めて中大脳動脈領域の脳梗塞患者18 例に対し,発症第1 日ないし第7 病日に低用量G-CSF を5 日間静注する第1相臨床研究を行った.その結果,G-CSF 150 ないし300 µg/body/ 日投与では白血球数は40000/µl 以下に推移し,脾腫などの副作用は出現しなかった.また第7 病日投与群と比べて第1 病日投与群で,90日後の神経徴候(Barthel Index)の改善を認めた.この研究を基盤として国内5 大学との共同研究で100例規模のプラセボ対照第II 相試験を実施中であり,この臨床研究結果が脳梗塞治療の新たな選択肢に発展することを期待する.
  • 峰松 一夫
    2014 年 36 巻 2 号 p. 129-130
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:脳梗塞急性期治療において,抗血栓療法は主要な位置を占めている.抗血栓薬は血栓溶解薬,抗血小板薬,抗凝固薬に大別され,製剤の種類も多い.しかしながら,急性期治療においてエビデンスレベルが高いのは血栓溶解薬alteplase と抗血小板薬aspirin のみである.抗凝固薬に至っては,海外ではむしろ否定的な意見が多い.最近,alteplase の治療可能時間の延長,脳梗塞急性期の抗血小板薬多剤併用療法の有効性,新規抗凝固薬の開発とその急性期効果の検討など,急性期抗血栓療法に関するパラダイムシフトがおきつつある.
  • 田口 明彦
    2014 年 36 巻 2 号 p. 131-133
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:脳梗塞後には内因性神経幹細胞が梗塞周辺部に誘導されるが,我々はその生着・機能には血管再生が必要不可欠であり,造血幹細胞や骨髄単核球投与で血管再生・神経機能回復が促進することを報告してきた.これらの知見に基づき,脳梗塞患者に対する自己骨髄単核球細胞移植の臨床試験を実施中である.
事例報告
  • 阿部 康二
    2014 年 36 巻 2 号 p. 134-137
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:脳保護療法は脳梗塞急性期に脳細胞死を軽減するだけでなく,脳梗塞急性期に脳細胞血管構造単位(neurovascular unit)を一体として保護する結果,脳保護療法はtPA 治療や血管内治療と併用することで出血合併症を軽減することができる.また脳保護療法によって,tPA 治療における血栓溶解率を改善する効果が期待されている.さらに脳保護薬エダラボンは日本国内だけでなく,中国やインドでも使用され,欧州でも臨床効果が再現された.
  • 藤本 俊一郎
    2014 年 36 巻 2 号 p. 138-143
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:脳卒中地域連携におけるシームレスな医療・介護連携の必要性と,連携に伴う診療・介護報酬の算定について述べた.香川県では円滑な脳卒中地域連携のためのツールとして「脳卒中あんしん連携ノート」,「私の診療記録」,「お薬手帳」,「医療・介護地域連携クリティカルパス」を使用している.香川県における地域医療連携のICT への取り組みは「地域医療連携ネットワーク整備事業」,「かがわ遠隔医療ネットワーク(K-MIX)」,「医療・介護地域連携クリティカルパス整備事業」であり,その現状とともに,地域医療連携のIT 化の課題について報告した.
短報
  • 北川 一夫
    2014 年 36 巻 2 号 p. 144-146
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:脳卒中の危険因子としての脂質異常症の関与は脳卒中の病型により異なり,高LDL コレステロール血症は脳梗塞,低LDL コレステロール血症は脳出血の発症リスクを高めることが疫学的な検討から明らかにされている.一方,スタチンによる脂質低下療法は,過去の臨床試験のメタ解析で,脳卒中とくに脳梗塞発症・再発予防効果が示され,その効果はLDL コレステロール低下程度と関連することが示唆されている.またスタチン投与により,LDL コレステロールを低下させても脳出血リスクを高めることはないことが,メタ解析から示されている.またスタチンは脂質低下作用以外に高感度CRP 濃度低下作用をはじめとする抗炎症作用を有し,血管炎症抑制を介して血栓症予防効果が想定されている.脳梗塞再発予防において,抗血栓療法,降圧療法とならんでスタチンによる脂質低下療法が有効な内科的治療手段と考えられる.
  • 桂 研一郎, 須田 智, 戸田 諭補, 金丸 拓也, 太田 成男, 片山 泰朗
    2014 年 36 巻 2 号 p. 147-149
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/25
    ジャーナル フリー
    要旨:近年,急性期血栓溶解療法,機械的血栓除去術などにより急性期再灌流療法の進歩は著しい.しかしながらその恩恵を受けられるのは限られた患者であり,依然としてより効果のある脳保護療法の登場がまたれている.我々が今回紹介するのは新しい観点からの脳保護療法の試みである.第一は治療効果が高い脳保護的な蛋白質に,蛋白細胞導入ドメインを融合させることにより,静脈内への1 回投与で神経細胞にまで到達させ脳保護的に働かせる方法である.次に全く新しい方法として,低濃度の水素ガスを吸入させると,脳梗塞体積が減少する結果を報告してきた.水素ガスには軽微なフリーラジカルスカベンジ作用があり,最も毒性の強いhydroxyl radical を選択的に消去することがわかってきている.さらに,すでに臨床で使用されている薬物を脳梗塞急性期治療に応用する方法として,抗てんかん薬であるバルプロ酸の急性期脳保護効果についても紹介する.
ガイドライン
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