脳卒中
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37 巻 , 3 号
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原著
  • 國枝 洋太, 三木 啓嗣, 松本 徹, 小島 昌人, 足立 智英, 星野 晴彦
    2015 年 37 巻 3 号 p. 149-151
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/25
    ジャーナル フリー
    要旨:【目的】急性期脳梗塞患者において段階的ベッドアップを含む当院での離床が,収縮期血圧変化と離床中の有害事象出現にどのような影響を及ぼすか検討した.【方法】当院の離床コースで安静度の拡大を図った急性期脳梗塞患者132 名を対象とした.離床コースに含まれる30 度および45度ベッドアップ,端座位・立位・歩行,車椅子乗車時の収縮期血圧変化と離床中に中止基準を満たし継続困難となった症例を診療録より後方視的に調査した.【結果】離床時の収縮期血圧変化で有意な低下を示したのは,端座位・立位・歩行における端座位直後および立位時,車椅子乗車時における5 分後,15 分後であった.離床の中止は2 例(1.5%)で認め,うち神経症候増悪例は1 例(0.8%)のみだった.【結論】急性期脳梗塞患者において下肢を下垂する肢位では,血流動態に変化を起こす可能性があり,自覚症状や他覚所見に十分注意して離床を進めることが重要である.
症例報告
  • 横山 邦生, 山田 誠, 田中 秀一, 伊藤 裕, 川西 昌浩
    2015 年 37 巻 3 号 p. 152-154
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/25
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は63 歳男性で,右高血圧性被殻出血を発症し入院となった.保存的治療にて左半身麻痺は改善したが,入院加療中に施行した3DCTA および脳血管撮影で左内頸動脈は頸動脈分岐部より欠損し左頸動脈管は無形成であった.両側の前大脳動脈は右前大脳動脈起始部より分枝しており,右A1-A2 junction に未破裂動脈瘤を伴った.慢性期にコイル塞栓術を施行し,経過に問題なく独歩退院となった.内頸動脈欠損症は極めて稀な血管破格である.脳動脈への血流分配に異常を伴うため,脳動脈瘤が発生しやすくその破裂率は通常の脳動脈瘤より高いといわれ積極的治療を必要とする.
  • 杉村 勇輔, 関根 真悠, 山田 哲, 此枝 史恵, 星野 晴彦, 高木 誠
    2015 年 37 巻 3 号 p. 155-160
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/25
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は64 歳の男性,意識障害にて搬送され,救急外来にて左後大脳動脈領域に急性期脳梗塞を認め,左心室壁運動障害を合併していた.入院し抗凝固療法を速やかに施行した.しかし第7病日に左心室内血栓を形成,抗凝固療法を強化したが,第19 病日に左中大脳動脈領域に広範な脳梗塞を再発した.フォローアップの経胸壁心エコーでは壁運動は改善し血栓は消失していた.入院時に急性期脳梗塞およびたこつぼ型心筋症疑いを併発し,抗凝固療法中に心室内血栓を形成し脳塞栓を再発した症例はこれまでに報告がない.急性期脳梗塞にたこつぼ型心筋症の合併が疑われた場合に脳塞栓症発症のリスクがあること,その的確な予防的治療法の確立が必要と考えられた.
  • 石川 智彦, 近藤 礼, 山木 哲, 毛利 渉, 齋藤 伸二郎, 長畑 守雄, 嘉山 孝正
    2015 年 37 巻 3 号 p. 161-166
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/25
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は37 歳女性.テニス中に首を捻った際から頭痛が出現し,その後頭痛の増強,立位保持困難,構音障害を訴え救急搬送された.精査にて頸部左内頸動脈解離による脳梗塞を認め,抗凝固療法を行い経過良好であったが,第14 病日のMRI にて新たに頸部左椎骨動脈解離を認めた.無症候であったため抗凝固療法を継続し,第26 病日に退院し外来通院とした.発症5 カ月後には両血管とも正常に復していたが,発症6 カ月目に頭痛,めまいで救急搬送され,新たに頸部右内頸動脈解離を認めた.本邦では頸部動脈解離の再発例に関する報告が少なく,特に本症例のように約半年間で異なる頸部血管に3 回にわたり解離が出現した報告はない.本症例では3 カ所の解離部位がいずれも類似した高位であることから,発症時期は異なるものの1 回のminor neck injury が誘因となった可能性が考えられた.
  • 鈴木 雄太, 加藤 正高, 武井 淳, 森 良介, 海渡 信義, 村山 雄一
    2015 年 37 巻 3 号 p. 167-171
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/25
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は頭痛と嘔気で発症した17 歳男性.頭部CT で上矢状静脈洞と右横静脈洞と右内頸静脈の血栓化を認め,MR venography とCT venography(CTV)で同部位の描出が不良であり,cerebral venous sinus thrombosis (CVST)と診断した.脳血管撮影で既知の静脈洞の欠損像があり,両頭頂部の造影剤の停滞や循環遅延や静脈の異常拡張や蛇行を認めた.MRI のsusceptibility-weighted imaging(SWI)で皮質・髄質静脈の信号亢進を認めた.経過中にCTV で再開通を認めるとともに,SWI で静脈の信号亢進の改善を認めた.経時的なSWI の施行で,静脈うっ滞の程度や範囲の把握や,治療による再灌流に伴ううっ滞の改善を評価することができた.今後,これらの結果がCVT の早期の診断と治療法を検討する際の一助になる可能性があると考えられた.
  • 中山 博文, 古屋 優, 大塚 快信, 田中 雄一郎
    2015 年 37 巻 3 号 p. 172-176
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/25
    ジャーナル フリー
    要旨:【症例】77 歳女性.突然の片麻痺症状にて発症し,虚血性脳血管障害と診断しかつtPA 治療適応と判断し治療を開始した.治療後2 時間で良好な症状改善が見られたものの8 時間後に後頸部痛が出現し四肢麻痺症状が出現し,MRI で頸椎急性硬膜外血腫を診断した.脊髄障害が急速に進行しており緊急で椎弓切除血腫除去術を施行した.術後運動機能障害は早期に回復したが感覚異常や排尿障害が遷延し,リハビリテーション療養を継続した.【考察】血栓溶解療法の主な問題点のひとつに出血性合併症があるが,治療標的臓器だけではなく他の臓器の出血合併症も問題となることがある.tPA 治療に併発する頸椎硬膜外血腫は決して稀ではなく,治療に際しては脳卒中様の症状を呈する頸椎硬膜外血腫の症例にも留意しなければならない.症例を提示しtPA 治療の頸椎硬膜外血腫の合併症に関する問題点を中心に考察する.
  • 原 賢寿, 西巻 啓一, 木村 洋元, 大内 東香, 柴野 健, 榎本 克彦, 石黒 英明
    2015 年 37 巻 3 号 p. 177-181
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/25
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は49 歳男性.5 年前に特発性拡張型心筋症と右頸動脈分岐部周囲の腫瘤を指摘された.2 年前に右内頸動脈領域の脳梗塞を来し当科入院.MRA にて両側総頸動脈から内頸動脈,外頸動脈起始部にかけて著明な血管拡張をみとめた.慢性期に抗血小板剤にて管理されたが,2 年後に右内頸動脈領域の脳梗塞を再発した.脳血管撮影では拡張した両側総頸動脈内に著明な血流停滞をみとめ,右総頸動脈内に形成された栓子により動脈原性塞栓を起こしたものと考えられた.生検の結果,右頸部腫瘤はコレステリン結晶を含む線維性結合織とフィブリン血栓であった.一般に部分血栓化動脈瘤は脳底動脈に多いが,本例は動脈硬化を基盤として両側頸動脈のdolichoectasia が巨大動脈瘤に伸展した稀な例と考えられた.その機序として慢性動脈解離が示唆された.
第39回日本脳卒中学会講演
シンポジウム
総説
  • 猪原 匡史
    2015 年 37 巻 3 号 p. 182-187
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/25
    ジャーナル フリー
    要旨:心血管病に基づく血行力学的変化は認知機能に影響を及ぼすが,最終的に血管性認知障害(VCI)に至る病態機序については不明な点が多い.我々は,ラットの総頸動脈閉塞モデルや緩徐閉塞モデル,マウスの総頸動脈狭窄モデル,さらにはヒヒの3 動脈結紮モデルなどを用いてVCI の病態を明らかにするための研究を行ってきた.唯一無二のモデルは存在せず,どのモデル動物にも一長一短があるが,マウスの総頸動脈狭窄モデルは低灌流,白質病変,血液脳関門の破綻,認知機能障害といったVCI に見られる特徴をすべて有し,最良モデルと評価されている.また,ラットの総頸動脈緩徐閉塞モデルは緩徐な血流低下を再現するこれまでの動物モデルにはない利点を有している.さらにヒトへの外挿に最も近い霊長類のモデル動物は将来の医薬品開発に利することが期待されている.VCI の病態解明や治療法開発は,アルツハイマー病をも含めた認知症制圧への近道となろう.
  • 下畑 享良, 金澤 雅人, 高橋 哲哉, 西澤 正豊
    2015 年 37 巻 3 号 p. 188-193
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/25
    ジャーナル フリー
    要旨:血栓溶解療法後の脳出血合併症の機序として,血管リモデリングに伴う血管の不安定化が関与する可能性について検討した.ラット塞栓性中大脳動脈閉塞モデルを用いて,代表的な血管リモデリング因子である血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor; VEGF)およびアンギオポイエチン1(Angiopoietin-1; Ang1)の,脳虚血後の変化について検討を行ったところ,虚血周辺部における① VEGF-VEGF 受容体シグナル活性化,② Ang1 陽性血管の減少が,脳虚血後24 時間という早期から確認された.治療介入として,①抗VEGF 中和抗体,VEGF 受容体阻害薬,および②組み換えAng1 の投与を行ったところ,脳出血は軽減した.以上より,血栓溶解療法後の脳出血合併症を抑制する治療として,血管リモデリング因子を標的とした治療介入が有効である可能性が示唆された.
  • 木村 和美
    2015 年 37 巻 3 号 p. 194-196
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/25
    ジャーナル フリー
    要旨:一過性脳虚血発作(TIA)は,TIA 発作直後の脳梗塞発症の強力な予知因子である.ゆえに,TIA 発作の直後から治療を開始しないといけない.一般市民はTIA の知識が不十分であり,市民啓発が重要である.TIA 発作を診たときは,すみやかにアスピリンの投与を行い,その後,発症機序を推定し,その発症機序に合った治療を開始する.非心原性TIA には,抗血小板薬が投与されるが,TIA 直後は2 剤併用投与がよいかもしれない.しかし,TIA 発作3 ~ 4 週以降は,2 剤投与が脳梗塞の発症を予防できるとのエビデンスはない.心原性TIA では抗凝固薬が投与される.最近,新規経口抗凝固薬が登場した.心原性TIA 発作直後より抗凝固薬の投与が望まれるが,新規経口抗凝固薬が,投与直後から抗凝固作用の効果が現れるので,新規経口抗凝固薬が,今後,主流になるかもしれない.高血圧,糖尿病,脂質異常症,喫煙,肥満などのリスクコントロールは必須である.
  • 上原 敏志, 峰松 一夫, PROMISE-TIA Registry研究メンバー
    2015 年 37 巻 3 号 p. 197-201
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/25
    ジャーナル フリー
    要旨:現在,海外では,欧州を中心とした10 カ国以上の脳卒中専門施設が参加して一過性脳虚血発作(TIA)および軽症虚血性脳卒中患者を対象とした大規模な国際共同研究(TIA registry. org)が進行中である.わが国では,全国57 施設によるTIA 患者のみを対象とした前向き登録研究を実施中である.対象は,発症後7 日以内に受診したTIA 患者である.2013 年5 月末時点で1075 例が登録された.今回は,登録後にTIA 以外の診断に至った36 例を除く1039 例のうち,90 日目の追跡調査が終了した941 例について中間解析を行った.その結果,TIA 後90 日以内の脳梗塞発症は58 例(6.2%)であった.脳梗塞病型については,ラクナ梗塞が最も多く,次いで頭蓋内動脈病変に起因するアテローム血栓性脳梗塞が多かった.多変量解析の結果,片麻痺を伴う言語障害と来院時血圧高値が脳梗塞発症の独立した予測因子であった.
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