脳卒中
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37 巻 , 5 号
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原著
症例報告
  • 山本 大介, 内山 剛, 高嶋 浩嗣, 杉山 崇史, 佐藤 慶史郎, 横田 卓也, 榎 日出夫, 清水 貴子, 大橋 寿彦
    2015 年 37 巻 5 号 p. 322-326
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/25
    [早期公開] 公開日: 2015/09/04
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は13 歳の女児.中学校の体力テストで1 km 走り切った後の休憩中に意識障害を発症し,当院救急外来へ搬送された.発症後40 分で病着し,意識障害と失語,右片麻痺を認めた.頭部MRI 拡散強調画像で左基底核と左中大脳動脈の皮質を含んだ領域に淡い高信号域を認め,MRA では左中大脳動脈水平部起始部の途絶像を認めた.失語症状を中心とした高度の神経脱落徴候を認めたことから,家族にリスクを説明し同意を得た上で血栓溶解療法を発症後3 時間弱で施行した.入院後脳梗塞の原因検索を行い,頭部造影CT angiography では明らかではなかったが,脳血管造影検査では左内頸動脈から中大脳動脈にかけての動脈解離の所見を認め,動脈解離に伴う脳梗塞と診断した.小児例でかつ,頭蓋内動脈解離による脳梗塞に対して,症候性の有害事象は無く血栓溶解療法を施行し得た症例であり報告する.
  • 竪月 順也, 日暮 雅一, 櫛 裕史, 下吹越 航, 浅田 裕幸, 坂田 勝巳
    2015 年 37 巻 5 号 p. 327-331
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/25
    [早期公開] 公開日: 2015/09/04
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は64 歳,男性.左眼瞼下垂が出現し,近医受診し頭部CT でくも膜下出血と診断され当院紹介となった.瞳孔の軽度拡大を含む,左動眼神経麻痺を認めた.術前精査では左深部シルビウス裂~橋前槽にかけた限局性のくも膜下出血と左内頸動脈-前脈絡叢動脈分岐部に2 mm の動脈瘤を認めた.破裂瘤を疑い,開頭クリッピング術を行った.術中所見では,上記の動脈瘤に明らかな出血点を認めず,また,動脈瘤が動眼神経を圧迫している所見はなかった.その他の動眼神経麻痺を来す動脈瘤も認めなかったが,動眼神経は左後大脳動脈に圧排されていた.動眼神経麻痺で発症したくも膜下出血において,稀ではあるが動脈瘤以外の原因も考慮し,術前に検討をすべきである.
  • 野中 大伸, 藤本 康倫, 帆足 裕, 濱田 史泰, 竹村 光広, 川西 裕, 福田 真紀, 中居 永一, 政平 訓貴, 福井 直樹, 上羽 ...
    2015 年 37 巻 5 号 p. 332-336
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/25
    [早期公開] 公開日: 2015/09/04
    ジャーナル フリー
    要旨:感染性心内膜炎から外側後脈絡叢動脈領域の脳塞栓症を来し,感染性脳動脈瘤を形成した稀な症例を経験したので報告する.症例は44 歳,女性.倦怠感を自覚し近医受診,血液検査にて炎症反応高値であった.その後他院を受診し,軽度左不全麻痺を指摘.MRI にて,右側の海馬,側頭葉内側,視床,外側膝状体,尾状核体部にかけて病変を認め,当科紹介となった.心エコー検査で僧帽弁に疣贅を認めたため感染性心内膜炎と診断.3DCTA および,脳血管撮影では右後大脳動脈(P2)に動脈瘤の形成を認め,その遠位の閉塞が疑われた.以上より,感染性心内膜炎から脳塞栓症を来し,さらに感染性脳動脈瘤が形成されたと推察した.また虚血性病変は右外側後脈絡叢動脈の灌流域と診断した.外側後脈絡叢動脈に限局した脳梗塞は稀であり,またその鑑別診断には注意を要すると考えられた.
  • 横沢 路子, 成田 徳雄
    2015 年 37 巻 5 号 p. 337-341
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/25
    ジャーナル フリー
    要旨:66 歳男性.突然の失語症状,右不全片麻痺を来して当院を救急受診した.頭部MRI 拡散強調画像で左中大脳動脈領域に散在性高信号域を認め,脳梗塞と診断しrt-PA 投与を行った.入院後の心臓エコー検査で,Valsalva 洞部に異常エコー所見を認め,さらに胸部造影CT 検査で大動脈直上部に造影欠損部を認めた.血管内血栓の場合,動脈塞栓症を引き起こす危険性があることからカテーテル検査は施行しなかった.この病変が塞栓形成原因と考え抗凝固療法を開始した.抗凝固療法開始3 カ月後のフォローアップ心臓エコー検査で異常エコー所見は消失していたことからValsalva 洞内血栓であったと考えられた.Valsalva 洞内の血栓形成によって生じた急性冠動脈症候群に脳梗塞を併発した報告はなされているが,脳梗塞を単独発症した症例は渉猟した限りでは今回が初めての報告である.ここに文献的考察を加えて報告する.
第39回日本脳卒中学会講演
シンポジウム
総説
  • 小野寺 英孝, 佐瀬 泰玄, 田中 雄一郎
    2015 年 37 巻 5 号 p. 342-346
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/25
    [早期公開] 公開日: 2015/09/04
    ジャーナル フリー
    要旨:エダラボンによる脳血管内皮細胞への保護作用についてプロテオミクスを用い検討した.ヒト脳微小血管内皮細胞をエダラボン処理し,4 時間経過ののち二次元電気泳動展開した.コントロールに比し,発現量に有意差を認めた蛋白質スポットについて質量分析法により蛋白質を同定した.エダラボン添加により有意に1.3 倍以上増加もしくは –1.3 倍以下に減少した蛋白質スポットの同定を行い,17 個の蛋白質が同定された.同定された蛋白質は,細胞骨格に関連する蛋白質,糖代謝に関連する蛋白質,抗酸化作用に関与する蛋白質,翻訳に関連する蛋白質であった.さらにそれぞれの結果に対し,機能解析として検討を行い,バリアー効果の増強,エネルギー供給の変化を確認した.エダラボンによる発現量が変化した蛋白質が,ヒト脳微小血管内皮細胞に作用し保護作用に関与している可能性が示された.
  • 平野 照之
    2015 年 37 巻 5 号 p. 347-351
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/25
    [早期公開] 公開日: 2015/09/04
    ジャーナル フリー
    要旨:rt-PA 静注療法の時間枠が4.5 時間に延長されAlberta Stroke Program Early CT Score(ASPECTS)の重要性が高まっている.早期虚血性変化(early ischemic change; EIC)は虚血深度と時間によって規定されるtissue clock(stroke clock)であり,ASPECTS 低値はrt-PA 後の出血リスクとなる.頭部単純CT の判定は皮質吸収値低下が鍵であり,isolated cortical swelling は救済可能性を残す.MRI拡散強調画像(DWI)はEIC 検出力に優れるが,reversed discrepancy に注意が必要である.頭蓋内出血回避にはASPECTS 10 領域に深部白質(DWI-W)を加えた11 領域(ASPECTS+W)評価が有用である.
  • 秦 淳, 清原 裕
    2015 年 37 巻 5 号 p. 352-357
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/25
    [早期公開] 公開日: 2015/09/04
    ジャーナル フリー
    要旨:近年,体液中の物質濃度の変動から生体内の変化を捉える生物学的指標(バイオマーカー)が開発され,臨床・研究に応用されている.そこで,福岡県久山町における心血管病のコホート研究の成績をもとに,各種バイオマーカーと脳卒中発症との関連を検討した.その結果,(1)慢性炎症の指標である高感度C 反応性蛋白(hsCRP)の血中濃度は男性の脳梗塞の発症リスクとの間に有意な正の関連があり,この関連は他の危険因子と独立していた.(2)インスリン抵抗性が高くなるとともに脳卒中の発症リスクは有意に上昇したが,この関連にはメタボリックシンドロームが介在していた.(3)心不全のマーカーである血中NTproBNP レベルの上昇とともに脳梗塞,脳出血の発症リスクは有意に増加し,この関連は他の危険因子と独立していた.これらのバイオマーカーは,それぞれ脳卒中の発症予測に有用な新しい危険因子と考えられる.
  • 冨本 秀和
    2015 年 37 巻 5 号 p. 358-361
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/25
    [早期公開] 公開日: 2015/09/04
    ジャーナル フリー
    要旨:血管性認知障害(vascular cognitive impairment; VCI)は「脳血管障害に関連して生じる認知機能障害」を意味する用語である.元来,発症早期の治療介入を意図してHachinski らが提唱した経緯があり,一般的にはVCI-no dementia,血管性認知症,脳卒中後認知症,混合型認知症を包含し,早期から進行期,またはその周辺病態までを含む.VCI が提唱されるに至った背景には,血管性認知症の初期診断の難しさがある.脳血管病変が認知機能障害の原因となるかどうかは,脳血管病変の大きさ,部位,病巣の性質によって異なっており,その判断は容易ではない.このためNINDS-AIRENの診断基準では脳卒中発作から認知機能低下発症まで3 カ月以内の縛りをつけている.しかし,白質病変やラクナ梗塞を主体とするビンスワンガー病で,約半数が脳卒中のエピソードを呈さない事実に照らしても,時間的関連のみに依存して因果関係を規定することは不適切である.また,アルツハイマー病でも中年期の血管性危険因子が発症リスクとなることが判明している.このため現状では,脳血管病変と認知症の因果関係に拘泥せず,治療優先の立場からVCI として扱うことは臨床的に意義がある.近年,アミロイドβやタウを描出する分子イメージングが急速に発達しており,混合型認知症やVCI の病態の解明が明らかになることが将来的に期待される.
  • 内山 真一郎
    2015 年 37 巻 5 号 p. 362-366
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/25
    [早期公開] 公開日: 2015/09/04
    ジャーナル フリー
    要旨:発症後早期の一過性脳虚血発作(TIA)は急性虚血性脳卒中(AIS)を続発する危険性が高い.TIA とAIS は同一スペクトラム上にある急性脳虚血病態であり,発症後早期のTIA はAIS とともに急性脳血管症候群(ACVS)の概念に包括し,救急疾患として対処すべきである.ACVS の概念は急性冠症候群(ACS)の概念に相当するが,ACVS はACS と病態を共有するアテローム血栓症のみならず,心原性塞栓症や小血管病もあり,その病態はより複雑である.また,ACVS にはACS のような実用的バイオマーカーがまだ存在しない.循環器の分野ではACS のハートアタックキャンペーンにより死亡率が大幅に減少したという成功例があり,脳神経の分野でもACVS の概念によるTIA の啓発は死亡または身体障害の最大の原因である脳卒中を予防する水際作戦として大きな効果が期待される.
  • 山岸 良匡, 北村 明彦, 木山 昌彦, 岡田 武夫, 山海 知子, 今野 弘規, 崔 仁哲, 梅澤 光政, 磯 博康
    2015 年 37 巻 5 号 p. 367-373
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/25
    [早期公開] 公開日: 2015/09/04
    ジャーナル フリー
    要旨:CIRCS(Circulatory Risk in Communities Study)は,秋田,茨城,大阪,高知の5 地域住民約1万2 千人を追跡するコホート研究である.そのうち秋田,大阪については1963 年に追跡を開始しており,わが国の現存する大規模コホート研究のなかでは最古のグループに属する研究と位置づけられる.ベースライン調査は共通の方法で毎年行っており,その都度新しい調査項目を盛り込んで,脳卒中と虚血性心疾患の発症を追跡している.本稿ではCIRCS の特徴と,研究から得られた脳卒中の新しい生活習慣因子や生活習慣関連バイオマーカーについて,特に脂質に関連する要因を中心に概説する.
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