脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
38 巻 , 5 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
原著
  • 外山 祐一郎, 湧川 佳幸, 矢坂 正弘, 安森 弘太郎, 齊藤 正樹, 下濱 俊, 岡田 靖
    2016 年 38 巻 5 号 p. 307-312
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/23
    [早期公開] 公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    【目的】頭部MRA 上の中大脳動脈MCA の信号を評価しSPECT 検査との関連を調べた.【方法】前方循環虚血病変が疑われる243 症例を対象とし,頭部MRA 上の一側MCA 信号低下の有無を評価し,MCA 信号の描出不良群と良好群の安静時脳血流量と脳血管反応性CVR を比較した.【結果】両群間で安静時脳血流量に有意な差は認めなかったが,CVR は描出不良群で有意に低かった(p<0.01).安静時脳血流量が対側の80%未満,かつCVR が10%未満のPowers 分類stage II 相当の血行力学的脳虚血は243 症例中8 症例(3.3%)に認めたが,全例描出不良群であり,描出良好群に該当例は認められなかった.【結論】MRA にてMCA の描出が不良であれば,血行力学的脳虚血の可能性はあるが,良好であれば血行力学的脳虚血はないと推定される.
  • 高砂 浩史, 小野 元, 伊藤 英道, 大塩 恒太郎, 田中 雄一郎
    2016 年 38 巻 5 号 p. 313-318
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/23
    [早期公開] 公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    【目的】水頭症を伴う脳室内血腫に対する治療として脳室ドレナージ(EVD)が一般的であるが,神経内視鏡を用いた脳室内血腫除去術の有用性と安全性をEVD 単独治療との比較により検討する.【方法】2010 年から2014 年までの水頭症を伴う脳室内出血28 例中,EVD 単独治療の9 例と神経内視鏡下血腫除去とEVD を行った9 例を対象とした.年齢,GCS,脳室内血腫量,EVD 留置期間,離床でのリハビリテーションまでの期間,在院日数,シャント術の必要性,合併症,退院時予後について検討した.【結果】EVD 留置期間と離床でのリハビリテーション導入までの期間は神経内視鏡治療群で有意に短かった.内視鏡治療はより重症例に適用されていたが,退院時の転帰に有意差がなかった.【結論】内視鏡下脳室内血腫除去術はEVD 留置期間を短縮もしくは不要にし,本格的なリハビリの導入期間も早まる.そこで神経学的予後の改善が期待される.
症例報告
  • 小川 太郎
    2016 年 38 巻 5 号 p. 319-325
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/23
    [早期公開] 公開日: 2016/01/29
    ジャーナル フリー
    【目的】重症仮性球麻痺の嚥下機能と開口障害について記載した報告は少ない.4 例の症例報告から開口障害の有無と嚥下機能予後について考察し報告する.【対象】症例は63~83 歳,男性3人,女性1 人.脳卒中の病態はアテローム血栓性,ラクナ梗塞,被殻出血,心原性塞栓と多様だった.全例,発声不能で舌運動に重度の障害をみとめ,咽頭反射は陰性だった.4 例中3 例に重度の開口障害をみとめた.嚥下造影では口腔機能(送り込み)の障害と咽頭機能(咽頭収縮・喉頭挙上)に重度の障害をみとめたが,開口障害を伴わない症例は咽頭機能は比較的保たれていた.【結果】種々の摂食・嚥下リハ介入を行ったが,経口摂取可能になったのは開口障害のない1 例のみであった.経過中に肺炎を生じた症例はいなかった.【結論】脳卒中で開口障害をみとめる症例は比較的まれであるが,このような症例の嚥下機能予後は不良であると推測された.
  • 田代 亮介, 江面 正幸, 柴原 一陽, 倉前 卓実, 井上 敬, 川口 奉洋, 明城 光三, 上之原 広司, 冨永 悌二
    2016 年 38 巻 5 号 p. 326-330
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/23
    [早期公開] 公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    【背景】妊婦脳梗塞例に対し,血管内治療による急性期再開通療法施行例は報告されていない.【症例】33 歳女性,妊娠37 週,特記すべき既往歴なし.突然の意識障害,左上下肢麻痺で発症.レンズ核,島,放線冠に拡散強調像高信号域を認め,magnetic resonance angiography で右M1 閉塞を認めた.他院よりtPA 投与開始の後,血管内治療目的に当院へ搬送となる.血栓回収療法により,thrombolysis in cerebral infarction 2b の再開通が得られた.治療2 日後に帝王切開にて児を出産した.2カ月後にはmodified Rankin scale 0 に回復した.【結語】本症例はdrip,ship,retrieve,childbirth が成功した初めての症例報告である.
  • 藤井 悠里, 藤本 茂, 田川 直樹, 大﨑 正登, 金沢 信, 大屋 祐一郎
    2016 年 38 巻 5 号 p. 331-335
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/23
    [早期公開] 公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は高血圧症・脂質異常症の既往があり,ADL が自立した80 歳女性.意識障害を主訴に救急搬送された.入院時には右顔面麻痺,構音障害,軽度の右上肢脱力があり,正球性正色素性貧血と両側境界域や皮質に多発する急性期脳梗塞巣を認めた.神経症候は輸血により改善傾向を呈した.来院1 週間前より食欲不振と黒色便があり,上部消化管内視鏡検査にてA1 stage 潰瘍を認めた.すでに止血が完成していたため,抗血栓療法を開始した.頭蓋内および頭蓋外脳血管に有意狭窄はなかったが,虚血病巣や輸血により症状が改善したことから,脳梗塞の発症機序として急激な出血による循環血液量の減少と貧血による低酸素血症が示唆された.さらに悪性腫瘍などは認めなかったが,経食道心エコー検査で大動脈弓部に高度粥腫を認め,大動脈原性塞栓症の可能性も疑われた.二次予防にはクロピドグレルを選択し,再発や神経症候の増悪はなく,独歩で自宅退院となった.
  • 藤田 敏晃, 西野 鏡雄, 森 康輔, 山田 昌稔, 小山 隆, 谷脇 浩一, 種子田 護
    2016 年 38 巻 5 号 p. 336-339
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/23
    ジャーナル フリー
    症例は58 歳,男性.突然の意識障害のため救急搬送された.来院時には深昏睡状態で除脳硬直様肢位を認めた.頭部CT で右被殻に約36 ml,左被殻に約40 ml の脳内出血を認めた.意識障害が強く血腫も大きいため,両側同時に緊急神経内視鏡下血腫除去術を施行した.手術時間は1 時間44 分であった.従来の手術法である開頭血腫除去術では,両側同時に施行するために体位変換等が必要であり,長時間の手術が予想される.その点,神経内視鏡下血腫除去術は短時間で両側同時に手術を行えるため,有用かつ低侵襲な治療法であると考えられた.
第40回日本脳卒中学会講演
シンポジウム
総説
  • 角田 亘, 安保 雅博
    2016 年 38 巻 5 号 p. 340-345
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/23
    [早期公開] 公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    我々は,反復性経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation; rTMS)を,脳の可塑性を高めるための介入(neural plasticity enhancer)と位置づけ,低頻度rTMS と集中的作業療法の併用療法(NEURO プロトコール)を脳卒中後上肢麻痺に対して行ってきた.2015 年3 月の時点で,すでに1,700 人以上の患者が15 日間の併用療法を施行されているが,結果として,本併用療法は安全に導入され,これにより麻痺側上肢運動機能が改善することが確認されている.さらに我々は,治療成績を向上させるためにtheta burst stimulation,レボドパ,アトモキセチン,ボツリヌス毒素注射などもプロトコールに応用している.今後は,rTMS によるneural plasticity enhancement が脳卒中リハの中核になるものと期待される.
  • 仲 博満
    2016 年 38 巻 5 号 p. 346-352
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/23
    [早期公開] 公開日: 2016/01/29
    ジャーナル フリー
    Cerebral microbleeds (CMBs)は,主にhypertensive microangiopathy やamyloid angiopathy が原因となり,その存在部位によりdeep CMBs とlobar CMBs に分類されるが両者の混在もある.Deep CMBs はhypertensive microangiopathy,lobar CMBs はamyloid angiopathy を主に反映しているとされるが,これら2 つの病理の共存や相互の影響もあると推察されている.CMBs は脳卒中,とくに脳出血の危険因子として注目され,さらに脳出血発症リスクはアジア人で顕著であると報告されている.抗血栓薬,とくにワルファリン内服中に発症した脳出血とCMBs との関連が報告されているが,CMBs 保有例に対する抗血栓薬使用が将来の脳出血発症リスクを高めるか,現在のところ明らかではない.
  • 鴨打 正浩, 松尾 龍, 吾郷 哲朗, 北園 孝成
    2016 年 38 巻 5 号 p. 353-357
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/23
    [早期公開] 公開日: 2016/01/29
    ジャーナル フリー
    高齢化が進むわが国において,慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)を合併した脳梗塞患者は今後も増加することが見込まれる.登録研究(Fukuoka Stroke Registry)を用いた解析では,CKDを合併した脳梗塞患者では,高齢,貧血,凝固亢進,炎症などの特徴が見られ,臨床病型では心原性脳塞栓が多かった.また,CKD 合併患者では脳梗塞発症後の機能予後および生命予後は不良であった.CKD は種々の病態を介して脳梗塞後の予後に関連していると考えられる.我々が過去に行った検討では,CKD 患者における蛋白尿は脳梗塞後の予後予測因子の可能性が示唆されており,その機序について考察する.
  • 藥師寺 祐介, 溝口 恵, 井手 俊宏, 原 英夫
    2016 年 38 巻 5 号 p. 358-362
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/23
    [早期公開] 公開日: 2016/01/29
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】維持透析患者の神経症候,画像異常の存在はかねてより知られていた.近年,殊に2000 年以降,脳卒中を含む心血管系イベントの予防的観点から,慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)の概念が注目され,おのずとCKD と脳の機能的・画像的の異常に関する知見が蓄積されてきた.CKD に関連する無症候性脳血管障害としては,脳小血管病(cerebral small vessel disease: SVD)を基盤として生じてくるラクナ病変,白質病変,微小脳出血,脳萎縮が挙げられる.一方,脳の機能的異常として生じうる代表的症候群としては認知機能障害,うつ病が挙げられる.本稿では「CKD と脳小血管病」と「CKD と認知機能障害」に焦点を絞ったレビューを通じて,各々の関連についての最新のコンセンサスを紹介する.
  • 蜂須賀 明子, 松嶋 康之, 和田 太, 佐伯 覚
    2016 年 38 巻 5 号 p. 363-368
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/23
    [早期公開] 公開日: 2016/01/29
    ジャーナル フリー
    脳卒中後の上下肢痙縮に対するボツリヌス療法は,「脳卒中治療ガイドライン2009」以降,グレードA で推奨されている.上肢痙縮に関しては,上腕,前腕および手指屈筋群へのボツリヌス毒素の注射は,痙縮の軽減,関節可動域の増加および日常生活上の介助量軽減に有効とされる.下肢痙縮に関しては,下腿筋群へのボツリヌス毒素の注射は,痙縮の軽減に有効とされる.しかし,ボツリヌス療法による機能改善についてエビデンスは不十分である.当院では,ボツリヌス療法と短期入院リハビリ強化を行い,機能改善を目指す治療に取り組んでいる.治療に際して目標設定を行い,目標に応じたボツリヌス投与と,投与筋の持続伸張,課題指向型訓練,ロボット支援訓練,自主訓練指導などのリハビリテーションを行う.脳卒中後の上下肢痙縮に対するボツリヌス療法は,リハビリテーションと併用することで,痙縮のみならず,機能改善をもたらす可能性がある.
feedback
Top