脳卒中
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39 巻, 1 号
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原著
  • 佐瀬 泰玄, 小野寺 英孝, 内田 将司, 松森 隆史, 中村 歩希, 榊原 陽太郎, 田口 芳雄
    2017 年 39 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/25
    [早期公開] 公開日: 2016/04/22
    ジャーナル フリー
    【目的】くも膜下出血(SAH)において,初診時に,カテコラミン推移と相関するとされるstress index[SI;血糖(BS)値をカリウム(K)値で除した値]と重症度,転帰との関係を検討すること.【方法】過去4 年間のSAH 108 例を後方視的に検証した.重症度はWFNS 分類で評価し,軽症例をModerate 群,重症例をSevere 群に分けた.転帰は退院・転院時のGOS で評価し,良転帰例をGood群,転帰不良例をPoor 群とした.初診時生化学的因子はK,BS,SI を検討した.【結果】WFNS 分類はSevere 群で,GOS ではPoor 群で有意にBS,SI が高値であった(p<0.001).Moderate 群の中でもGOS がPoor 群となる症例があり,有意にSI が高値であった.【結論】SAH 重症例や転帰不良例はSIが有意に高値であった.軽症例でもSI 高値例は転帰不良となる可能性があり,注意が必要である.
  • 和田 晋一, 矢坂 正弘, 田畑 絵美, 中村 麻子, 桑城 貴弘, 鶴崎 雄一郎, 湧川 佳幸, 詠田 眞治, 津本 智幸, 岡田 靖
    2017 年 39 巻 1 号 p. 6-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/25
    [早期公開] 公開日: 2016/04/22
    ジャーナル フリー
    【目的】もやもや病患者のChampagne bottle neck sign(CBNS)と内頸動脈(ICA)血流の関連を調べる.【方法】もやもや病で脳血管造影,頸部血管超音波検査を受けた108 例を対象とし,病期とCBNS の関係やCBNS と後交通動脈(Pcom)の開存の有無,ICA pulsatility index(PI)やmean velocity (MV)との関係を解析した.【結果】3 期以降でCBNS 陽性率は上昇し,Pcom 開存はCBNS 陽性例で少なかった(67.0% vs. 86.7%,p<0.001).陽性側ではPI は高く(1.30±0.34 vs. 1.02±0.12,p=0.027), MV は低かった(33.8±3.6 vs. 45.6±3.2 cm/s,p<0.001).【結論】CBNS は病期進行に伴うPcom 脱落やICA 血管抵抗上昇に伴う血流速度低下と関連すると推察される.
  • 横関 恵美, 巨島 文子, 辻 有希子, 濱中 正嗣, 今井 啓輔, 今田 智美, 倉智 雅子
    2017 年 39 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/25
    [早期公開] 公開日: 2016/04/22
    ジャーナル フリー
    急性期脳梗塞症例450 名に,改訂水飲みテスト(modified water swallow test: MWST)と1%とろみつき水飲みテスト(thickened liquid swallow test: TLST)のMWST・TLST 併用法を施行し,その有用性と嚥下障害症例の臨床的特徴を検討した.MWST で嚥下障害ありとした104 名のうち82 名がTLST により直接嚥下訓練を開始した.退院時に424 名(94.2%)の経口摂取が自立し5 名に誤嚥性肺炎を認めた.嚥下障害症例は有意に高齢者に多く,失語,半側空間無視,認知症,顔面麻痺,構音障害,感覚障害,ADL 低下,肺炎を合併し,手術やrecombinant tissue-type plasminogen activator 施行例にみられた.退院時経口摂取の予後予測にはMWST・TLST 併用法,肺炎,両側病変が有意な因子であった.
  • 出口 一郎, 林 健, 福岡 卓也, 丸山 元, 安部 鉄也, 堀内 陽介, 佐野 博康, 長嶺 唯斗, 水野 諭児, 大平 雅之, 棚橋 ...
    2017 年 39 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/25
    [早期公開] 公開日: 2016/04/22
    ジャーナル フリー
    【目的】抗凝固療法中に発症した非弁膜症性心房細動(NVAF)に伴う心原性脳塞栓症(CE)について検討した.【方法】2007 年4 月から2015 年7 月までに入院したNVAF によるCE 760 例中,抗凝固療法がされていた186 例を検討.【結果】186 例中,ワルファリンが168 例,非ビタミンK 拮抗経口抗凝固薬が18 例であった.ワルファリン168 例中,130 例は,PT-INR が至適域以下であった.そのうちワルファリン用量調整中にCE を発症した患者は8 例で5 例は増減中,3 例は新規開始患者であった.新規3 例は,服用1 週間以内にCE を発症した.抗凝固薬休薬中にCE を発症した患者は12 例であり,6 例は患者の服薬アドヒアランス,2 例は医師の休薬指示が要因であった.他4 例は手術や入院に関連,2 例はヘパリン置換が行われていた.【結語】抗凝固薬の内服では,用量調整時のCE や患者の服薬アドヒアランスに注意が必要である.
症例報告
  • 西堀 正洋, 泉 孝嗣, 松原 功明, 宇田 憲司, 新帯 一憲, 田島 隼人, 伊藤 真史, 今井 資, 若林 俊彦
    2017 年 39 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/25
    [早期公開] 公開日: 2016/04/22
    ジャーナル フリー
    38 歳女性.頭痛発症のくも膜下出血で受診した.急性期に動脈瘤を認めず,第14 病日の血管撮影で右内頸動脈にわずかな隆起性変化を認め,血豆状内頸動脈瘤が疑われた.MRI CISS 画像とCTA のMPR 画像を比較したところ,拡張部の前後に偽腔が広がり,近位側は眼動脈分岐部の内頸動脈後壁に及んでいると推測された.バルーン閉塞試験にて内頸動脈の遮断耐性は認められたが,眼窩内の血管が全く描出されなかったため,眼動脈を含む内頸動脈病変に対するtrapping は視力障害のリスクが非常に高いと考えられた.治療戦略をステント支援下コイル塞栓術とし,眼動脈を温存した.術後,視力障害を含めた神経症状はなく,動脈瘤の再発もなく経過良好である.本症例では,MRI や血管撮影の詳細な読影を行うことで,治療方針の決定のみならず,合併症リスクも回避することができた.
  • 赤路 和則, 狩野 忠滋, 望月 洋一, 志藤 里香, 谷崎 義生, 神澤 孝夫, 片野 雄大, 木村 浩晃, 高橋 里史, 鈴木 健太郎, ...
    2017 年 39 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/25
    [早期公開] 公開日: 2016/04/22
    ジャーナル フリー
    【目的】我々は,破裂性内頸動脈血豆状瘤に対しEnterprise VRD を併用して瘤内塞栓術を行い,経過が良好な症例を経験したので報告する.【症例】70 歳,男性.くも膜下出血による意識障害のため,当院入院となった.WFNS Gr IV であった.頭部MRA,3D-CTA 上,左内頸動脈傍鞍部前壁に2~3 mm の血豆状瘤を認めた.入院翌日,瞳孔不同が生じたため,緊急で脳室drainage 後,Enterprise VRD 併用で瘤内塞栓術施行.術後血管撮影上,瘤の先端描出が消失し,body filling.2 カ月後,mRS 2 で退院.2 年6 カ月後の血管撮影にて,瘤は血栓化が徐々に進行し,neck remnant,再発は認めていない,左内頸動脈の描出は良好.2 年9 カ月間,再破裂はない.【結語】破裂性内頸動脈血豆状瘤に対して,stent 併用瘤内塞栓術も治療の選択肢になると考えられた.
  • 松山 友美, 佐竹 真理恵
    2017 年 39 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/25
    [早期公開] 公開日: 2016/04/22
    ジャーナル フリー
    症例は42 歳女性である.34 歳時脳卒中様発作で発症しmitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes (MELAS)と診断,以降再発なく経過した.2014 年11 月下旬,理解力低下あり,12 月初旬会話不能で入院.頭部MRI の拡散強調画像で左側頭部から後頭部にかけての病変は数日で左中心前回まで拡大,右上肢の肢節運動失行も出現,L-アルギニン(L-Arg)1.0 g/kg を14 日間連日静注投与,軽度改善を認め減量中に視野障害(皮質盲)で再発し右後頭部にも病変が出現した.再度L-Arg 1.0 g/kg を連日静注投与にて神経症状は徐々に改善,画像上新規病変もすべて消失した.L-Arg 連日静注投与がMELAS の脳卒中様発作の神経症状の改善および新規病変の消失に効果を認めたと考えられた.
短報
  • 小倉 礼, 中井 紀嘉, 今井 景子, 岩田 麻衣, 守吉 秀行, 鈴木 淳一郎, 西田 卓, 内藤 英夫, 安田 武司, 伊藤 泰広
    2017 年 39 巻 1 号 p. 38-41
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/25
    [早期公開] 公開日: 2016/04/22
    ジャーナル フリー
    非ビタミンK 拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の使用の可否や至適用量を選別し提示する電子カルテテンプレートを作成し,運用を開始した.患者の危険因子,既往歴などをチェックし,体重と血清クレアチニン値の2 つのデータを入力すればCHADS2 score,CHA2DS2-VASc score,HAS-BLED score の点数と,Cockcroft & Gault の式からクレアチニンクリアランスが計算され表示される.そして4 種8 剤型あるNOAC の中から,使用の可否や適切な用量の候補が選択され,一括して表示される.NOAC の適応外使用の回避と,用量選択の根拠が明白になり,確実にカルテに記録される点で有用と考えられる.
正誤表
ガイドライン
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