脳卒中
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39 巻 , 4 号
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原著
  • 清水 裕章, 山田 茂樹, 松村 泰光, 木下 高之介, 宮前 伸啓, 安田 冬彦
    2017 年 39 巻 4 号 p. 249-253
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/25
    [早期公開] 公開日: 2016/09/15
    ジャーナル フリー

    心肺停止状態や異状死の死因を特定する手段として,死亡時画像診断(autopsy imaging: Ai)が増えている.Ai に占める脳卒中関連死の頻度に関する報告は少なく,自験例を提示する.2012~2014 年に,547 例のAi が施行された.うち246 例は,検死により異状死と判断され,警察からの依頼でAi が施行された.同期間中に,337 例が心肺停止で救急搬送され,死亡確認の後,301 例(89%)にAi が施行された.計547 例中,内因性死因による死亡は98 例(18%),外因性死因による死亡は112 例(20%)で,残り337 例(62%)は死因確定に至らなかった.そのうち,脳卒中関連死は29 例(5%)であり,くも膜下出血が15 例,脳出血が13 例(脳幹出血:4 例,視床被殻出血:3 例,皮質下出血:3 例,被殻出血:1 例,小脳出血:1 例,脳室内出血:1 例)で,脳梗塞による死亡は1 例であった.

  • 中島 正之, 初田 直樹, 松尾 宏俊, 丁 剛, 谷本 匡浩, 立川 弘孝
    2017 年 39 巻 4 号 p. 254-260
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/25
    [早期公開] 公開日: 2016/09/15
    ジャーナル フリー

    【はじめに】末梢性めまいと中枢性めまいの鑑別の重要性は古くより強調されているが,必ずしも容易ではない.当院で経験した50 例の小脳梗塞の臨床像を分析し検討を行った.【方法】2009年2 月から2015 年4 月に当院脳神経外科および神経内科にて入院治療を行った連続50 例の小脳梗塞の患者を後方視的に検討を行った.【結果】男性33 人,女性17 人.年齢は44 歳から95 歳であった(70.6±13.4 歳).救急受診が全体の90%であった.救急での初診時,小脳梗塞の診断に至らず,末梢性めまいと診断されたのは11 人(22%)であった.初診時に小脳梗塞の診断に至らなかった症例の多くが発症早期に受診しており,画像検査においては有意にCT 検査のみを施行されていた.【結語】中枢性めまいと末梢性めまいの鑑別は必ずしも容易ではない.早期に撮影したCT やMRI では偽陰性となるものが含まれることに注意を要し,めまい診断においては四肢の失調に加えて,座位維持が可能かなど体幹失調の有無を含めた注意深い神経学的診察と,必要に応じたMRI 検査が重要である.

  • 中島 一夫, 仲 元司, 西山 修, 高濱 充貴, 西森 栄太, 樋口 陽
    2017 年 39 巻 4 号 p. 261-267
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/25
    [早期公開] 公開日: 2016/10/14
    ジャーナル フリー

    【目的および方法】ワルファリン投与中の70 歳以上の非弁膜症性心房細動患者512 例(年齢75.5±5.7 歳,女性198 例)を対象に,PT-INR(プロトロンビン時間 国際標準比)1.6~2.6 に対するtime in therapeutic range(TTR)が虚血性/出血性イベント発症に及ぼす影響を後ろ向きに検討した.【結果】全36,101 カ月間の観察期間中に60 例の虚血性イベントおよび30 例の出血性イベントが発症した.Cox 比例ハザードモデルを用いた多変量解析にて,TTR≥55.6%は独立した虚血性イベント発症抑制因子(ハザード比,0.54;95%信頼区間,0.30–0.96;p=0.037)となったが,TTR と出血性イベント発症に有意な関連性を認めなかった.【結論】高齢非弁膜症性心房細動患者においてワルファリン治療の質の向上は虚血性イベント発症を有意に抑制した.

症例報告
  • 長峰 広平, 小川 有香, 佐藤 宏匡, 樋口 佳代子, 橋本 隆男
    2017 年 39 巻 4 号 p. 268-272
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/25
    [早期公開] 公開日: 2016/07/14
    ジャーナル フリー
    症例は76 歳,女性.尿路感染による発熱に続き,頭痛の先行なく意識障害と右上下肢麻痺が出現した.MRI 拡散強調画像(DWI)で左側頭後頭葉皮質が高信号を示し,MR angiography(MRA)で左中大脳動脈とその分枝に多発性の狭窄を認めた.脳波は左頭部広範に振幅低下を認めた.アルガトロバンの点滴投与を開始した翌日,CT angiography で血管狭窄は改善した.その後,ステロイドパルス投与を開始し,症状は徐々に改善した.以前から口渇があり,抗SS-A 抗体陽性に加えて口唇腺生検でT リンパ球優位のリンパ球と形質細胞の浸潤を認め原発性シェーグレン症候群と診断した.本例は原発性シェーグレン症候群に合併したreversible cerebral vasoconstriction syndrome である.典型的な雷鳴頭痛がなくアルガトロバンが血管攣縮に有効であった点で示唆に富む症例である.
  • 塚田 剛史, 増岡 徹, 濱田 秀雄, 伊東 正太郎
    2017 年 39 巻 4 号 p. 273-276
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/25
    [早期公開] 公開日: 2016/07/14
    ジャーナル フリー
    症例は43 歳男性.頭痛,けいれん発作を認め救急搬送された.神経学的所見では,混迷と左片麻痺を認めた.頭部CT で,右頭頂葉の低吸収域と上矢状静脈洞後方部の高吸収を認めた.CT静脈撮影で,上矢状静脈洞の閉塞を認め,脳静脈洞閉塞症と診断した.Basedow 病の既往があり,甲状腺機能の精査と血栓性素因の検索を行った.甲状腺刺激ホルモン受容体抗体は9.6 IU/l で,甲状腺刺激性抗体は400%と陽性を示した.血栓性素因では,vW因子活性高値(>200%)と凝固活性第8因子176.5%が高値を示した.Basedow 病による凝固亢進状態から脳静脈洞閉塞症を発症したと考えた.脳静脈洞閉塞症の原因疾患として甲状腺機能亢進症も鑑別し,甲状腺機能亢進症と診断される際には,vW因子活性と凝固活性第8 因子の検査結果の推移に注目することが,脳静脈洞閉塞症の治療方針および予後予測に役立つと考える.
  • 上床 希久, 藥師寺 祐介, 井手 俊宏, 田畑 絵美, 吉川 正章, 原 英夫
    2017 年 39 巻 4 号 p. 277-281
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/25
    [早期公開] 公開日: 2016/07/14
    ジャーナル フリー
    症例は83 歳,男性.一過性脳虚血発作を契機に両側内頸動脈狭窄症を指摘されており,非弁膜症性心房細動に対しワルファリン内服中であった.構音障害,左顔面麻痺,左上肢の脱力を主訴に来院し,拡散強調画像で右中大脳動脈に散在性の多発脳梗塞を認めた.入院後の頸動脈超音波検査で右内頸動脈に付着する可動性構造物が確認された.脳梗塞再発予防としてダビガトランとアスピリン内服による外来通院加療を継続し,可動性構造物は経時的に縮小・消失したため,同構造物は血栓であったと判断した.頸動脈可動性血栓を有する脳梗塞症例は再発率が高いが,有効な再発予防法や血栓除去手段についてはよくわかっていない.頸動脈可動性血栓の縮小・消失に対するダビガトランを含む非ビタミンK 阻害経口抗凝固薬の投与は,類似の症例における治療選択肢の一つとなり得る.
  • 阿部 圭市, 鰐渕 博, 石川 達也, 川俣 貴一
    2017 年 39 巻 4 号 p. 282-286
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/25
    [早期公開] 公開日: 2016/09/15
    ジャーナル フリー

    一般に破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血で脳血管攣縮は,血腫量に依存し血腫が多い程,脳血管攣縮の頻度は高い.したがって警告出血での脳血管攣縮の発生は稀であるとされる.一方ラットのvasospasm model の血腫の大槽内注入によるdouble hemorrhage model では高率に脳血管攣縮をひき起こす.今回2 回の頭痛後,脳血管攣縮により左前脈絡叢動脈領域の脳梗塞を発症し診断された破裂動脈瘤を経験したので報告する.患者は37 歳男性,構音障害,右片麻痺の脳梗塞にて紹介入院.頭部MRI/A にて左M1 の狭窄と穿通枝梗塞を認め,血管撮影で左IC-PC 動脈瘤を認めた.頭部CT でSAH は認めず,頭部MRI にて迂回槽にわずかな血腫を認めた.慢性期に開頭クリッピング術施行.くも膜は黄色で肥厚し,IC-PC に破裂動脈瘤を認めた.本例は警告出血でも繰り返す場合は脳血管攣縮の発生を示唆する貴重な症例と考えられた.

  • 金城 雄太, 三橋 豊, 早崎 浩司, 大畑 建治
    2017 年 39 巻 4 号 p. 287-291
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/25
    [早期公開] 公開日: 2016/09/15
    ジャーナル フリー

    糖原病1a 型に破裂脳動脈瘤を合併した稀な1 例を報告する.症例は34 歳女性,20 歳時に糖原病1a 型と診断された.意識障害と左片麻痺にてくも膜下出血を発症した.右中大脳動脈分岐部に3 mm の囊状動脈瘤を認め,発症当日に脳動脈瘤クリッピング術を行った.手術時に強い脳腫脹を認め外減圧を併用した.周術期は血糖や代謝性アシドーシスの補正に留意し全身管理を行った.意識障害,左片麻痺が遷延したが徐々に改善し発症3 カ月後には杖歩行が可能となった.糖原病2型と脳動脈瘤を含む脳血管異常の合併は報告されているが,糖原病1a 型と脳動脈瘤の合併の報告は渉猟したかぎり認められなかった.脳動脈瘤の成因に関して糖原病1a 型に起因する脂質異常や高尿酸血症による動脈硬化性変化,炎症性機序の関与が考えられた.強い脳浮腫は糖原病1a 型に伴う乳酸アシドーシスが関与した可能性も推察され,周術期の血糖保持,アシドーシス補正が重要と考えられた.

  • 鈴村 彰太, 大沢 愛子, 植田 郁恵, 森 志乃, 近藤 和泉, 前島 伸一郎
    2017 年 39 巻 4 号 p. 292-298
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/25
    [早期公開] 公開日: 2016/09/15
    ジャーナル フリー

    失行は日常生活活動(activities of daily living: ADL)に大きな影響を及ぼすが,症候が複雑で行為の誤り方に個別性・多様性が存在するためリハビリテーション手法の確立は困難で,その障害や治療に関する詳細な検討もほとんどない.我々は左頭頂側頭葉のアテローム血栓性脳梗塞で,ごく軽度の右片麻痺と感覚障害に加え,観念失行・観念運動失行・肢節運動失行を呈した82 歳女性を経験した.特に食事動作に関し,右手では困難な動作をまず左手で実施し,その後道具を右手に持ち替える方法を取り入れ,誤りなし学習を徹底したところ,動作の自立を果たした.本症例の改善機序として,左上肢の使用により右上肢の体性感覚が補われたことで,誤りの認知や道具使用に関する意味概念への到達が可能となり,正しい運動プログラムの惹起が促進されて,右手の運動学習につながったものと推察された.

  • 渡邊 陽祐, 武智 昭彦, 梶原 佳則, 瀬山 剛
    2017 年 39 巻 4 号 p. 299-303
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/25
    [早期公開] 公開日: 2016/10/14
    ジャーナル フリー

    症例は74 歳女性である.無症候性右頸部内頸動脈狭窄(80%)に対し,頸動脈ステント留置術(carotid artery stenting, CAS)を行い,無症状退院した.術後17 日目に急激な後頭部痛と共に一過性の左上下肢脱力を来し,当院救急受診した.頭部MRI にて右大脳半球の分水嶺領域に散在する梗塞巣を認めた.脳血管撮影を施行すると右頸部内頸動脈にステント内血栓はなく,ステント内の血流も良好であったが,右前大脳動脈および中大脳動脈の末梢に分節状の狭窄が多発していた.発症直後は鑑別に可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome, RCVS)を挙げることができず,抗血小板薬追加などにて加療を行った.術後23 日目以降は症状の出現を認めず,術後42 日目の脳血管撮影にて血管狭窄は消失,無症状で独歩退院した.RCVS は稀ながら進行すると重篤な合併症を来しうる病態である.CAS 後に神経学的所見を呈した場合,RCVS も鑑別すべき原因疾患として,十分認識する必要がある.

  • 永石 友公子, 藥師寺 祐介, 下田 良, 増田 正憲, 原 英夫
    2017 年 39 巻 4 号 p. 304-308
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/25
    [早期公開] 公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    症例は84 歳の男性.一過性脳虚血発作後に非弁膜症性心房細動を指摘され,ワルファリン内服を開始,後にダビガトランへ変更した.ダビガトラン内服開始6 カ月後より心窩部痛,嗄声,嚥下困難感が出現し,内視鏡検査で食道粘膜障害を,生検病理所見でびらんを認めた.ダビガトランからアピキサバンへ変更直後に症状と内視鏡所見が改善し,ダビガトラン関連食道炎と診断した.ダビガトラン関連食道炎が疑われる患者に対して,アピキサバンへ変更は,全身塞栓症のリスクを増やすことなく消化器症状を改善する有効な選択肢となりうる.

  • 佐藤 慎祐, 新見 康成, 茂木 陽介, 島 彰吾, 井上 龍也, 桑本 健太郎, 岡田 芳和
    2017 年 39 巻 4 号 p. 309-313
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー

    【症例】38 歳,女性.脳室内出血発症,Spetzler Martin grade 4 のparasplenial 脳動静脈奇形と診断された.血管内塞栓術後にガンマナイフ治療を施行後,1 年7 カ月で2 回目の脳室内出血を来した.その3 カ月後の脳血管撮影で,nidus 内動脈瘤が明らかに描出され,造影MRI でnidus 内動脈瘤壁の造影を認めた.2 回目の出血から5 カ月後にさらに3 回目の脳室内出血を発症し,最終的に開頭摘出術を施行した.【結語】動脈瘤合併脳動静脈奇形の出血率は,動脈瘤非合併例よりも高率である.脳室内に突出するnidus 内動脈瘤を合併するparasplenial 脳動静脈奇形では血管内治療と放射線治療後にnidus の縮小効果を認めるも,脳室内へ再出血するリスクが高い.造影MRI は脳室内に突出する動脈瘤を評価することができ,頻繁な画像検査による厳重な経過観察が必要である.

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