脳卒中
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39 巻 , 5 号
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原著
  • 三橋 立, 北村 高之, 井関 征祐, 関口 和哉, 石元 玲央, 阪本 浩一朗, 児玉 琢磨, 町田 裕, 徳川 城治, 菱井 誠人
    2017 年 39 巻 5 号 p. 333-338
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    【目的】血栓溶解療法・回収療法が導入された院内脳卒中の実情について検討.【方法】対象は2013 年1 月から2016 年5 月まで,当院全診療科で入院加療を行った39,877 人から院内脳卒中を発症した連続24 症例.入院診療録から性別,年齢,入院原因疾患,担当診療科,脳卒中の臨床病型など検討.【結果】脳卒中臨床病型は脳梗塞が18 人と最多,そのほか脳出血4 人,くも膜下出血2人.脳梗塞の内訳は心原性脳塞栓症8 人,アテローム血栓性脳梗塞2 人,ラクナ梗塞2 人,医原性5人,その他の脳梗塞1 人.入院時modified Rankin Scale(mRS)中央値1.5 が,退院時mRS 中央値4 と低下.【結論】予定入院患者よりも緊急入院患者に院内脳卒中発症が多く,医原性脳梗塞が少なくなかったことが,この検討での特徴であった.周術期脳梗塞例に対しての血栓溶解療法は適応外のため,血栓回収療法の適応について積極的に検討する必要があると考えられた.

  • 長谷川 秀, 大田 和貴, 植田 裕, 上田 隆太, 三浦 正毅
    2017 年 39 巻 5 号 p. 339-343
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    抗凝固薬内服中の脳出血患者における抗凝固薬休薬後の再開時期やその後の経過について検討した.2013 年1 月から2 年間の非外傷性脳出血患者380 名が対象で,37 名が抗凝固薬(ワルファリン32 名,直接経口抗凝固薬:DOAC 5 名)を内服していた.抗凝固薬を再開したのは20 名で,再開後の薬剤はDOAC が11 名だった.再開の指標としたCHA2DS2-VASc スコアは3.5,再開日は休薬後4 日,HAS-BLED スコアは3,収縮期血圧は139 mmHg だった(いずれも中央値).2 名に脳卒中イベントがあり,1 名が抗凝固薬を中止後6 日に脳梗塞を,1 名がワルファリンを再開後18 カ月に脳出血を起こした.DOAC 再開患者では脳出血再発はなかった.抗凝固薬内服脳出血患者に対して,休薬後4 日を目処に再開しても再出血の危険性は少なく,それには再開時のリスク管理と再開薬としてDOAC を選択したことに関連する可能性が考えられた.

  • 舟越 勇介, 山田 哲久, 名取 良弘, 今本 尚之, 井上 大輔, 森 恩
    2017 年 39 巻 5 号 p. 344-350
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    小脳出血は予後不良の疾患であるが,症例によっては迅速な対応と適切な治療により,生命予後だけでなく機能予後も期待できる.当施設は人口43 万人の本地区唯一の三次救急施設であり,重症脳出血患者が集中する施設である.本研究では当施設の小脳出血の入院症例を検討し,本地区の小脳出血の治療状況を明らかにした.対象症例は2005 年1 月から2016 年6 月までの期間で,発症前のmodified Rankin Scale(mRS)が3 以上の症例を除外した,小脳出血の入院症例171 例とした.対象症例の平均年齢は72.2±10.6 歳と高齢であり,退院時mRS が3 以下の転帰良好群は54.4%であったが,2 以下に限定すると18.7%に留まった.第四脳室が閉塞している症例や脳幹周囲クモ膜下腔が消失している症例では,手術加療が有意に転帰を改善した.また,高齢者では入院中の合併症が多く,予後不良であることが示唆された.

症例報告
  • 赤嶺 壮一, 佐藤 晴彦, 近土 善行, 小泉 慎一郎
    2017 年 39 巻 5 号 p. 351-355
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    椎骨脳底動脈延長拡張症(vertebrobasilar dolichoectasia: VBD)に合併した水頭症の1 例を経験した.延長した脳底動脈が第3 脳室底を押し上げ,Monro 孔を閉塞したことが水頭症の原因と考えられた.意識障害を呈したため,両側脳室腹腔短絡術を施行した.術後のCT で脳室拡大は改善されたが,意識障害の改善は一時的であり,術後1 カ月で脳幹梗塞を発症し転帰不良であった.3 年8カ月に亘る経過観察期間のMRI 画像を検討したところ,観察開始から3 年後に起こった脳底動脈の急激な延長が,脳底動脈の血流低下による意識障害や,穿通枝のねじれによる脳幹梗塞を起こしたものと考えられた.脳底動脈の急激な延長は,VBD に伴う水頭症,意識障害,脳幹梗塞の発症を予測する重要な指標である.

  • 横矢 重臣, 岡 英輝, 菊池 麻美, 橋本 洋一, 日野 明彦
    2017 年 39 巻 5 号 p. 356-360
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    比較的まれとされている真の後交通動脈瘤(true posterior communicating artery aneurysm)の中でも後大脳動脈近くに発生する動脈瘤の報告は少ない.今回我々は,内頸動脈閉塞症に対して浅側頭動脈中大脳動脈吻合(STA-MCA bypass)術を施行した後,25 年を経過して真の後交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血(SAH)を発症した1 例を経験した.症例は65 歳,男性,意識障害で発症した.angiography, 3-dimensional computed tomography angiography(3D-CTA)では後大脳動脈近傍の右後交通動脈に動脈瘤を認めた.以前の浅側頭動脈中大脳動脈吻合を温存した同側の前頭側頭開頭による開頭クリッピング術を施行,動脈瘤の頸部クリッピング術が可能であったが結果的にはproximal ligationとなった.後大脳動脈近傍に発生した真の後交通動脈瘤は,内頸動脈近傍に発生した真の後交通動脈と比較しさらに術野が深く,術中のオリエンテーションが難しく,診断・手術に種々のピットフォールが存在する脳動脈瘤である.

  • 亀田 知明, 林 夢夏, 直井 為任, 安藤 綾子, 紺野 武彦, 宮脇 貴裕, 川上 忠孝
    2017 年 39 巻 5 号 p. 361-364
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    症例は49 歳女性.段階的に進行する頭痛,意識障害,軽度の右麻痺,痙攣発作を呈し,左前頭葉に皮質下出血を伴う上矢状静脈洞血栓症と診断された.血液検査でプロテインS 活性の低下と,甲状腺機能亢進症が認められた.抗甲状腺薬と,ヘパリンによる抗凝固療法が行われたが,第5病日に両側性の小脳梗塞,第8 病日に右小脳出血を認め,第12 病日にリバーロキサバン10 mg の1日2 回投与に切り替えられた.その後は症状の悪化や頭蓋内出血の出現はなく,入院1 カ月後の画像検査では上矢状静脈洞の再開通を認め,後遺症なく,自宅退院した.脳静脈血栓症は頭蓋内出血を伴いやすく,ワルファリンより頭蓋内出血が少ないXa 阻害薬は有力な治療の選択肢になると考えられた.

  • 舟越 勇介, 山田 哲久, 名取 良弘, 今本 尚之, 井上 大輔, 森 恩
    2017 年 39 巻 5 号 p. 365-369
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    脳動静脈奇形(arteriovenous malformation: AVM)に対する定位放射線治療は,安全かつ効果的な治療法として広く普及しているが,重篤な合併症の報告もあり注意が必要である.症例は63 歳の男性で,出血発症の松果体部AVM に対して8 年前にγナイフ治療を受けていた.ふらつきと反応の鈍さのため当院へ救急搬送となり,頭部CT で両側側脳室および第三脳室の拡大を認めた.中脳水道狭窄症による非交通性水頭症が疑われ神経内視鏡で観察したところ,中脳水道入口部に膜様形成を認めた.γ ナイフ治療による炎症が中脳水道周囲の組織に波及し,組織が瘢痕化する過程で中脳水道狭窄症を生じたと考えた.本症例では第三脳室底開窓術により水頭症は改善し,症状も消失し再発なく経過している.我々が検索したかぎりでは,AVM に対するγ ナイフ治療後,同様の機序で中脳水道狭窄症を生じた症例の報告はなく,極めて稀な経過を呈した症例であった.

  • 大城 真也, 湧田 尚樹, 重森 裕, 河井 伸一, 保田 宗紀
    2016 年 39 巻 5 号 p. 370-374
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    症例は16 歳男性.頭痛で発症した後頭葉の脳動静脈奇形(arteriovenous malformation: AVM)で,陽子線治療後も同名半盲を前兆とする片頭痛症状が持続した.予防薬開始後は頭痛が激減したが1 年後には再発し,急性期にトリプタンを併用した.しかし,トリプタン使用にもかかわらず頭痛は持続し,右後頭葉での局所血流増加を認めた.トリプタンによる脳血流への悪影響を考慮し薬剤を中止すると頭痛は速やかに消退した.非頭痛時にはnidus での血流低下は明白であり,頭痛発作と脳血流増加との関連性が示唆された.他方,片頭痛時のトリプタン使用においては,病的な血管構造を持つAVM 局所での血管収縮作用の誘導は困難と考えられ,正常脳からAVM 部への血流シフトを招く可能性が疑われた.AVM に伴う片頭痛時のトリプタン使用は,nidus 部への過還流をさらに助長させ,頭痛症状の悪化を招く可能性も示唆された.

  • 辻 将大, 秋山 恭彦, 杉本 圭司, 上村 岳士, 内村 昌裕, 藤原 勇太, 宮嵜 健史, 永井 秀政
    2017 年 39 巻 5 号 p. 375-380
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    症例は66 歳の女性.30 秒~1 分間程度持続する一過性の右上肢脱力発作を繰り返し発症した.脳血管撮影により頸部頸動脈解離の診断に至った.患者には,約1 カ月前に頸部への鈍的外傷歴があった.急性期の脳虚血巣はMRI では認められず,MRI および造影CT において解離病変部内に明らかな血栓が同定できないこと,非脳虚血発作時の脳血流検査で脳血流低下や脳血流予備能低下も認められないことから,当初,脳虚血発作の発症機序を特定できなかった.血管内視鏡による病変部観察の結果,解離した血管壁が可動性を有するフラップ形状を呈しており,偽腔内へ流入する血流により解離フラップが血管腔を閉塞するように上昇運動する状態が観察されたことから,解離血管壁が間歇的に血管腔を閉鎖することが本症例の病態生理と推測された.頸動脈ステント留置術により解離血管壁を固定した結果,脳虚血症状は消失した.

  • 富永 禎弼, 氏家 弘, 寺島 華江, 加藤 宏一, 中川 将徳, 比嘉 隆, 門山 茂, 山下 雄司, 吉玉 隆, 寺本 明, 川俣 貴一
    2017 年 39 巻 5 号 p. 381-385
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    症例は既往症のない56 歳,女性.意識障害および右片麻痺を認め,当院へ救急搬送後に左被殻出血と診断.血腫拡大傾向のため,症状改善目的で神経内視鏡下血腫除去術を施行した.術後は発語可能となったが,重度右片麻痺は継続し,弾性ストッキンングおよび間欠的空気圧迫装置を使用して血栓症予防をしながらリハビリを継続した.術後7~8 日目に血圧低下と酸素飽和度低下を認め,血漿D-dimer の急激な上昇を認めた.下肢静脈エコーで右膝窩静脈の深部静脈血栓症を認め,胸部造影CT で両側肺動脈に巨大血栓を確認し,重症肺塞栓症の診断に至った.また,経胸壁心エコーで三尖弁に付着する右房内血栓の存在を確認したため,開胸下で血栓除去術を緊急で施行し,救命に至った.肺塞栓症は脳卒中患者において注目すべき合併症であり,発症予防だけでなく,早期診断および迅速な治療開始が重要である.

  • 東馬 康郎, 田中 慎吾, 吉川 陽文, 木多 眞也
    2017 年 39 巻 5 号 p. 386-390
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    症例は37 歳女性で眼窩奥の痛み,結膜充血および血管雑音を主訴に来院.MRI 上右中頭蓋窩に静脈瘤と眼窩内に拡張した上眼静脈および海綿状血管奇形(cavernous malformation: CM)を認めた.脳血管撮影にて左外頸動脈より流入する中頭蓋窩硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula: DAVF)と診断された.血管内治療にてDAVF を経静脈的に塞栓した.術後の脳血管撮影およびMRI 上動静脈瘻は消失し,CM は縮小して症状は改善した.9 カ月後突然結膜充血と眼球突出が出現しMRI にてDAVF の再発と前回より拡張したCM を認めた.再度血管内治療がなされDAVF は消失し速やかなCM の縮小が得られた.中頭蓋窩DAVF と眼窩内CM の合併はごくまれであるがCM の形成・増大機序を考えるうえで興味深い1 例であると考えられた.

  • 佐藤 岳史, 浅井 麻未, 小室 太郎, 小林 映, 宮川 孝史, 木村 拓美, 麻生 俊彦, 美馬 達哉
    2017 年 39 巻 5 号 p. 391-395
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2017/01/19
    ジャーナル フリー

    50 歳男性で,急性大動脈解離の術後,多発性脳梗塞が判明した.急性期リハビリテーションを開始したが,発動性の低下が著明であった.薬物療法にも抵抗性で,第100 病日から経頭蓋直流刺激療法を開始した.刺激は,右前頭部陽極,左前頭部陰極で行い,1 日1 回2 mA,20 分の刺激を計11 回施行した.なお,刺激中には主に上肢を用いた作業療法を施行した.治療開始前は,やる気スコアは評価不可能で,標準意欲評価法(CAS)で59 点であった.介入開始後1 日目くらいから自発語が出現し,リハビリテーション(以下,リハ)の意欲も出現した.治療終了時点では,やる気スコア23 点,CAS 40 点と改善した.治療前後で安静時機能的MRI を撮像したが,default mode networkに関しては右半球で結合性の健常化を認めた.脳梗塞後の発動性低下には薬物療法,リハが一般的に施行されるが,経頭蓋直流刺激も試す価値のある補助療法である可能性が示唆された.

第41回日本脳卒中学会講演
シンポジウム
総説
  • 安原 隆雄, 亀田 雅博, 菱川 朋人, 伊達 勲
    2017 年 39 巻 5 号 p. 396-399
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    リハビリテーションは脳卒中患者が良好な機能回復から社会復帰に至るまで,不可欠な治療の一つであると言える.このミニレビューでは,我々の研究室における2 つのリハビリに関連した研究,すなわち,パーキンソン病モデルラットにおけるリハビリテーションの神経保護効果と後肢懸垂による廃用症候群モデルラットにおける神経新生について成果を報告し,脳卒中患者に対するリハビリテーションの意義について,再生医療の観点から将来展望を交えて述べる.

  • 池田 憲
    2017 年 39 巻 5 号 p. 400-404
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/25
    [早期公開] 公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー

    【目的】脳梗塞後てんかん患者でAED 単独療法による血清脂質値の変化を検討し,既報告を概説した.【方法】急性期脳梗塞患者でvalproate(VA),carbamazepine(CBZ),phenytoin(PHT), zonisamide(ZNS),levetiracetam(LEV),lamotrigine(LTG)を単剤で開始した133 名とした.血清脂質値はAED 服用前と3 カ月後で比較した.【結果】AED はLEV 29 名,LTG 12 名,VA 41 名,CBZ 23名,PHT 18 名,ZNS 10 名であった.3 カ月後のTC とLDL-C の平均増加率はCBZ 8.8%と9.1%,PHT 9.0%と9.3%で有意に増加していた(P<0.01).【結語】CYP 誘導性AED であるCBZ やPHT の服用者では脳梗塞再発予防のために非酵素誘導性AED への変更を考慮する必要がある.

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