脳卒中
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4 巻 , 2 号
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  • 木曽 昭彦, 黒川 義澄, 河崎 正, 福田 市蔵, 茂在 敏司
    1982 年 4 巻 2 号 p. 75-84
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳血管障害急性期におけるPVP-cAMP, cGMP濃度を測定し, 一部については発症当日より1週間以上に亘り経日的に測定し, 次の結論を得た.
    脳梗塞生存例11例の発症当日のPVP-cAMP, cGMP濃度は各々23.4±6.9, 12.0±7.6pmol/ml, cAMP/cGMP比は2.6±1.7であり, cAMPは正常域上限に位したが, cGMPは健常対照群に比し有意の高値を示し, cAMP/cGMP比は有意の低値となった.これに対し, 脳梗塞死亡例2例, 脳出血8例の発症当日のPVP-cAMP, cGMP濃度はともに高値を示したが, 特に, cAMP濃度の上昇が著明なため, cAMP/cGMP比は正常範囲ないし高値を示した.脳梗塞生存例11例のPVP-cAMP濃度は発症後1週間は,ほぼ,正常域内を変動したが, PVP-cGMP濃度は高値を持続した.しかし,機能回復の良好例ではその後比較的早期にPVP-cGMP濃度も正常域に復した.発症後72時間以内の脳梗塞22例の入院時のPVP-cGMP濃度とFrithzの評価点数との間に有意の負の相関が認められ, PVP-cGMP濃度が脳梗塞急性期における予後判定の参考となる可能性が示唆された.
  • 曽我部 紘一郎, 行天 徹矢, 増田 勉, 本藤 秀樹, 松本 圭蔵
    1982 年 4 巻 2 号 p. 85-93
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    従来より高血圧性脳内出血で血腫の脳室内穿破をみる例は一般的に予後不良であると考えられがちであった.しかし, なかにはこの考えと矛盾する非常に良好な経過をとる脳室穿破例のあることも経験される.そこで我々は脳室内穿破例でその予後を左右する因子につき, 主としてCT所見を中心として, 自験例をもとに検討した.対象はCTの精度の向上した最近3年間 (昭和53年1月~55年12月) に経験したテント上出血219例中脳室内に血腫の穿破をみた104例 (47%) である.これらについて検討したところでは, 血腫が脳室内穿破をし, 第III, 第IV脳室内に及ぶものでも, それが直接的に予後不良となる原因とはならないようであった.むしろCT上予後不良を示唆する因子は, 1) 血腫径が3×3cm以上の場合, 2) 急性脳室拡大, 迂廻槽の消失, 血腫の視床下部進展などが重複してみられた場合, 3) 第III, 第IV脳室内に鋳型血腫がみられた場合, と考えられた.もし, これらの所見がみられない場合は, たとえ脳室内に血腫の一部の流入をみてもそれが予後を直接左右する因子とはならないわけで, したがって, 脳室内の血腫をみることのみでは血腫除去を目的とした脳室ドレナージの適応とはならないと思われた.むしろ脳圧亢進なく, その他一般的臨床症状もよければ, 脳室内に血腫があっても経時的CTにより厳重な観察を行いつつ手術侵襲を避けるべきであろうとの結論をみた.
    高血圧性脳出血による脳室内穿破例の予後について検討を加え以下の結論を得た.
  • 横井 和麻呂, 片田 和広, 四宮 陽一, 佐野 公俊, 神野 哲夫
    1982 年 4 巻 2 号 p. 94-99
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    高血圧性脳出血外側型に脳室内鋳型状血腫を伴った症例は予後が悪いといわれてきた.本報告では脳室内鋳型状血腫が脳室周辺の神経細胞に及ぼす影響を形態的経時的に観察した.検索は主血腫と対側の尾状核神経細胞とし, 脳室内鋳型状血腫の2次的影響を追求した.
    (1) 神経細胞は発症後経時的に変性の過程を示した.
    (2) 変化は一般に言われている虚血性変性であった.
    (3) 一般的に神経細胞はnuclear eccentory又はcentral chromatolysisの状態からは可逆性を示すといわれているが著者らの結果では上記状態は発症3日目にピークを示した.
    (4) もし脳室内鋳型状血腫の影響を3日以内までにくいとめることが可能であれば脳室周辺の神経細胞の脱落をくいとめる可能性を強く示唆した.
  • 金子 満雄
    1982 年 4 巻 2 号 p. 100-105
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    静岡県下の17基幹病院における昭和53年度及び昭和54年度の脳卒中入院患者につき, アンケート調査を行い, 男女別頻度, 年齢別頻度, 疾患別内訳, 手術件数, 入院死亡等につき, 詳細な分析を行った.また, 同時に地域保健所の協力を得て, 脳卒中死亡統計との対比を行い, 次の結果を得た.
    1) 脳卒中入院患者群のうち, 40~69歳のものが全体の約65%を占めていた。
    2) 県全体での年間脳卒中死亡総数は4,994人 (昭和52年) で年齢分布からは70歳以上の人が68.9%を占めていた.
    3) 入院群での疾患別頻度は脳梗塞41%, 脳出血30.9%, 脳動脈瘤18.6%の割合であった.
    4) 入院群の入院死亡率は全脳出血で36%, 脳動脈瘤で27%, 脳梗塞では11%であった.
    5) 脳卒中の全発症数は死亡数の約4~5倍と推定された.
  • 長木 淳一郎, 山口 武典, 峰松 一夫, 平田 温, 澤田 徹
    1982 年 4 巻 2 号 p. 106-112
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    塞栓源となる基礎疾患の存在, 症状の突発完成, 他臓器塞栓症, 脳血管撮影所見を診断基準として, 274例の急性期脳梗塞から48例の脳塞栓を選択した.塞栓源となった基礎疾患は, 心臓弁膜症20例, 不整脈17例, その他および不明11例であった.心臓弁膜症群と不整脈群の間で臨床像を比較すると, 意識障害を指標とした重症度に差はなかったが, 寝たきりとなるものは不整脈群に多く, 死亡するものは弁膜症群に多かった.脳血管撮影では動脈閉塞部位, 再開通の頻度は両群の間に差はなかったが, 栓子所見の頻度は弁膜症群が不整脈群より高かった.全身臓器の塞栓症の頻度は, 入院時の脳塞栓発作を含めると弁膜症群の方が不整脈群より約2倍高く, 脳塞栓発作後の再発性塞栓は, 弁膜症群20例に16回起こったのに対し, 不整脈群は17例に2回であり, 心臓弁膜症を基礎疾患にする脳塞栓は高率に再発性塞栓を起こし, これが弁膜症群に死亡が多いことの大きな原因となっていた.
  • 成冨 博章, 澤田 徹, 金子 尚二, 山口 武典
    1982 年 4 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    内頚動脈閉塞例 (n=40) における閉塞半球局所脳血流量 (rCBF) を133Xe吸入法により測定し, 副血行路の違いによる脳循環動態の差異について検討した.脳血管写上主として細動脈吻合により血流が供給される例 (逆行型, n=13) の血圧は, Willis輪を介し順行性血流供給のある例 (順行型, n=27) に比して高い傾向があった.rCBFは副血行の如何とは無関係にCT上低吸収域が大である例ほど低値を示した.平均血圧とrCBFから算出した脳血管抵抗は逆行型副血行例で有意に大であった.血圧が10mmHg以上下降した時期にrCBFを再測定しえた11例中順行型副血行の5例ではrCBF減少は明らかではなかったが, 逆行型副血行6例中3例では著明なrCBFの減少がみられた.逆行型副血行では抵抗血管の吻合を介して血流が供給されるため, 有効血流量をうるにはより高い潅流圧が必要と考えられる.
  • 黒田 清司, 遠藤 英雄, 金谷 春之
    1982 年 4 巻 2 号 p. 119-126
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    高血圧性脳出血のうち被殻部出血において, Xe 133内頚動脈内注入法を用いて脳循環を測定し, 主としてその半球平均血流量 (MCBF) と運動機能を中心として種々の検討を行なった.
    MCBFは発作後1年以内においては, どの時期においても約30ml/100g/min.前後の低値を示した.個々の症例におけるMCBFの経時的変化をみると, 大半は長期にわたり低値を示し, 血腫量による差を認めなかった.しかし, 小血腫例の中には短期間にMCBFの回復を示すものもみられた.発作後3ヵ月以内の症例においては, 血腫量が大きい程MCBFが低値を示す傾向がみられた.
    運動機能障害とMCBFの関係は, 上下肢共に麻痺の程度が強いもの程MCBFが低値を示す傾向がみられた.CT上の内包後脚圧迫型と破壊型の間にはMCBFの回復において差がみられるが, そのことと運動機能の改善との間には一定の関連性はみられなかった.
  • 小松本 悟, 後藤 文男, 荒木 信夫, 五味 慎太郎
    1982 年 4 巻 2 号 p. 127-134
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    脳血管障害患者について血中カテコールアミンの動態を発作直後より経時的に検討した.対象は脳梗塞と脳出血それぞれ19例である. (1) 脳梗塞と脳室穿破のない脳出血群における血中カテコールアミンは, 発作直後には正常値を示すが, その後上昇開始し3日目頃にピークに達し, 以後一旦低下傾向を示してから再び上昇に転じ発作11~13病日附近に第2ピークを有する2峰性の曲線経過を示した. (2) 脳室穿破例では, 血中ノルエピネフリン値は発作1時間以内に既に500~1,000 pg/mlの高値を示し, 以後減少傾向を認めた. (3) 体位変換による血中カテコールアミンの上昇は急性期に観察されず, 発作後12~13日にその上昇反応のピークが認められた.以上の結果より, 急性期脳血管障害においては, ノルアドレナリン作動性神経終末部より, ノルエピネフリン放出が起って, 一時涸渇状態となり, 以後次第に回復して第2ピークに達し, その前後に体位変換によりカテコールアミンの過剰放出が起きるものと考えられる.
  • 斎藤 博, 野村 宏, 小暮 久也
    1982 年 4 巻 2 号 p. 135-141
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    幼少時よりDuchenne型筋ジストロフィー (DMP) として療養中, 突発性意識障害, 右片麻痺, 運動性失語をきたし, 脳塞栓と診断された13歳男子例を経験した.
    DMPにおける脳梗塞併発例の報告は見当らないが, 本例のさらに際立った特徴は, DMPで高頻度にみられる心肥大, 心筋異常に加え, 心エコー上僧帽弁逸脱症の所見が認められていた点と, 頻回の自慰行為抑制の目的で発症1ヵ月前より合成エストロゲン剤の投与を受けていたことである.両者は共に脳梗塞の危険因子として注目されているが, 具体例の報告は未だ少いため, 本例を報告し, その脳梗塞発現機序における心病変, 特にMVP, およびエストロゲン剤の役割りについて考察を加えた.
  • 日野 英忠, 斉藤 豊和, 神田 直, 田崎 義昭
    1982 年 4 巻 2 号 p. 142-145
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス (SLE) では極めて多彩な中枢神経症状を呈することがよく知られているが, 小脳症状を呈することは稀である.著者らは小脳症状を主症状とし, CT上, 小脳半球に梗塞と思われる広汎なX線低吸収域を認めたSLEの1例を経験したので報告する.症例は32歳, 女性.回転性めまい, 頭痛, 嘔吐で発症し, 左上肢の不自由さを自覚した.入院時神経学的所見として左注視方向眼振, 左末梢性顔面神経麻痺, 左難聴, 左上下肢の運動失調を認めた.またRaynaud現象, 関節炎, 爪下出血があり, 検査所見では尿蛋白陽性, 赤沈亢進, 抗DNA抗体陽性, LE細胞現象陽性であった.CTスキャンでは左小脳半球に低吸収域を認め, 経過中造影剤増強効果がみられた.脳血管写上, 左上小脳動脈起始部に狭窄を認めた.以上の結果からSLEに伴う脳梗塞と診断した.梗塞の原因としてSLEに基づく血管炎が考えられた。本邦ではSLEに伴う小脳梗塞の報告はなく稀と考えられる.
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