脳卒中
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40 巻 , 5 号
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総説
  • 佐藤 祥一郎, 園田 和隆, 吉村 壮平, 宮﨑 雄一, 松尾 龍, 三浦 克之, 今中 雄一, 磯部 光章, 斎藤 能彦, 興梠 貴英, ...
    2018 年 40 巻 5 号 p. 331-342
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    [早期公開] 公開日: 2017/12/12
    ジャーナル フリー

    脳卒中に対する合理的,経済的な疾病対策を行うためには,悉皆性と信頼性を合わせ持つ国家的な脳卒中登録事業が不可欠である.わが国の診療実態に即した脳卒中登録システムに必要な条件を明らかにするため,システマティックレビューを行った.2015 年12 月31 日までに発行された,脳卒中登録研究に関する医学文献を,MEDLINE および医学中央雑誌上で検索し,1533 編の文献から,51 の登録研究(国外38,国内13)を抽出した.レビューの結果から,日本における質の高い脳卒中登録事業に必要な条件として,医療ID 導入による既存大規模データベースとの連携と,それを可能にする法整備,行政による公的事業資金,学会や患者支援団体,企業の支援による安定的な資金確保,情報公開の重要性が挙げられた.

原著
  • 本田 省二, 徳永 誠, 渡邊 進, 田北 智裕, 大塚 忠弘, 米原 敏郎, 西 徹, 寺崎 修司, 三浦 正毅, 平田 好文, 山鹿 眞 ...
    2018 年 40 巻 5 号 p. 343-349
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    [早期公開] 公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    【目的】脳卒中の病型ごとに急性期から回復期までの実態を明らかにする.【対象と方法】対象は9 年間に熊本脳卒中地域連携パスに登録された脳卒中患者20,758 例である.急性期病院と回復期リハ病院の現状とその年次推移を調査した.【結果】データ入力率は,急性期病院で60.8~96.2%,回復期リハ病院で57.5~64.1%であった.年齢,急性期病院在院日数,回復期リハ病院の入院時Functional Independence Measure(FIM),退院時FIM,在院日数の中央値は,それぞれ76 歳,14 日,66 点,101 点,85 日であった.年次推移では,急性期と回復期の在院日数は短縮,データ入力率,回復期入院時FIM,回復期からの在宅復帰率は上昇していた.【結論】データ入力率が改善すれば地域連携パスは実態調査の有力な手段になる.

  • 梅木 駿太, 西田 昂平, 秋好 雄貴, 後藤 順司, 河野 義久, 原田 和宏
    2018 年 40 巻 5 号 p. 350-356
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    [早期公開] 公開日: 2017/10/11
    ジャーナル フリー

    【目的】急性期脳梗塞と脳出血におけるFunctional Independent Measure(以下,FIM)得点の変化について比較すること.【方法】2014 年12 月~2016 年3 月までに河野脳神経外科病院に入院し,リハビリテーションを行った脳梗塞258 名,脳出血94 名を対象とした.マッチング前後のサンプルそれぞれのFIM effectiveness,退院時FIM,FIM 利得(総得点,運動項目,認知項目)に比較検定を行った.またマッチング前のサンプルにてFIM effectiveness (運動項目,認知項目)を目的変数とした重回帰分析を行った.【結果】マッチング後の比較ではいずれの項目も有意差は明らかではなく,効果量は0.1 以下であった.重回帰分析では年齢,性別,損傷側,入院時FIM,入院日数が抽出され,病型は抽出されなかった.【結論】先行研究とは異なり,脳梗塞と脳出血におけるFIM 得点の変化の違いは,急性期では極めて小さいことが示唆された.

  • 後藤 幸大, 岡 英輝, 横矢 重臣, 橋本 洋一, 越後 整, 塩見 直人, 武澤 秀理, 田邑 愛子, 藤井 明弘, 日野 明彦
    2018 年 40 巻 5 号 p. 357-361
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    [早期公開] 公開日: 2017/11/09
    ジャーナル フリー

    頭痛・頸部痛など解離に伴う痛みで発症した椎骨動脈解離は比較的予後良好とされるが,その中にくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage: SAH)を来し予後不良となる例がある.いずれの例がSAH を来すのか予め把握するのは困難だが,痛みで発症した椎骨動脈解離を初診時に確実に診断することが重要である.当院初診時に診断に至らず,SAH を発症し再受診した4 例を検討し報告する.4 例は年齢層,頭痛や頸部痛が中等度以上かつ悪化すること,時間外に救急外来を受診していることが一致していた.再診後は速やかに血管内治療を行い,退院時mRS 0 が2 例,mRS 4 が2 例だった.日常診療において上記のような患者に遭遇した場合,椎骨動脈解離を念頭にbasi-parallel anatomical scanning を含めた頭部MRI/MRA,頭部造影CT を考慮すべきである.SAH を来し再受診した場合,速やかな治療で予後良好となる可能性がある.

症例報告
  • 田中 慎吾, 東馬 康郎, 吉川 陽文, 木多 眞也
    2018 年 40 巻 5 号 p. 362-366
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    [早期公開] 公開日: 2017/08/09
    ジャーナル フリー

    症例は73 歳,男性.右下顎癌に治療13 年後に発症した放射線誘発性右内頸動脈狭窄症に対し頸動脈ステント留置術(carotid artery stenting: CAS)を施行した.術後問題なく退院したが1 カ月後に左片麻痺,構音障害を発症し救急搬送となった.精査の結果,右多発性梗塞を認めその原因としてステント内再狭窄を認めた.抗血小板薬を2 剤から3 剤へ増加し,ステント内ステント留置術を施行した.頸動脈エコーおよび術中血管内エコーから狭窄の原因はステント内血栓形成と判断した.CAS 後のステント内血栓形成は主に急性期に認められる合併症であるが,本例のような放射線誘発性頸動脈狭窄では遅発性に発症する可能性があり,注意を要すると考えられた.

  • 頼田 章子, 貴田 浩志, 三浦 史郎, 森 慎一郎, 佐野 謙, 鎌田 崇嗣, 綾部 光芳, 安陪 等思, 谷脇 考恭
    2018 年 40 巻 5 号 p. 367-371
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    [早期公開] 公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    脳底動脈の窓形成(fenestration)を有し,同部に脳梗塞を発症した1 例を報告した.症例は高血圧症,糖尿病および脂質異常症で加療中の74 歳男性である.呂律の回りにくさ,歩行時のふらつきを自覚し,発症1 カ月後に当科入院した.MRI で右中小脳脚に亜急性期の梗塞像を認めた.脳底動脈近位側に窓形成があり,その右動脈幹および右前下小脳動脈がアテローム血栓性に閉塞していた.頭蓋内プラークイメージングが閉塞部の不安定プラークの評価に有用であり,診断の一助となった.同部におけるアテローム血栓性脳梗塞の発症には血行力学的な要因と脳卒中危険因子が相互的に関与する可能性が考えられ,今後さらなる症例の蓄積と検討が必要である.脳底動脈窓形成例においては将来的な脳梗塞発症の可能性も念頭において経過観察する必要がある.

  • 西牟田 洋介, 樋渡 貴昭, 川原 団, 森 正如, 石井 毅, 山田 正彦, 時村 洋, 友杉 哲三
    2018 年 40 巻 5 号 p. 372-376
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    [早期公開] 公開日: 2017/11/09
    ジャーナル フリー

    【目的】急性期脳塞栓症に対し,血栓回収術を行い再開通が得られた後,中大脳動脈の窓形成が判明した稀な症例を経験したので報告する.【症例】症例は65 歳男性.突然の左片麻痺を認め,MRI により右内頸動脈閉塞症と診断された.血栓溶解療法後に,脳血管撮影を行うとMRA 上閉塞していた内頸動脈は一部再開通しており中大脳動脈に血栓様陰影を認めた.引き続いて行った血栓回収術により再開通が得られたが,窓形成を伴った中大脳動脈を認めた.患者は術後に症状の改善がみられ発症11 日目に自宅退院となった.【結論】中大脳動脈の窓形成は非常に稀であるが,血栓回収術を行うときには念頭に置き治療を行う必要がある.

  • 榊 佑介, 石束 光司, 上床 武史, 森下 英理子, 杉森 宏
    2018 年 40 巻 5 号 p. 377-381
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    [早期公開] 公開日: 2017/11/30
    ジャーナル フリー

    症例は心筋梗塞の既往がある61 歳男性.突然の言語障害,右上肢麻痺を主訴に搬送された.来院時は右中枢性顔面神経麻痺を認めたが,頭部CT,MRI で明らかな異常所見を指摘できず, 神経症状が24 時間以内に消失したため一過性脳虚血発作(transient ischemic attack: TIA)と診断した.入院時より感染徴候があり,造影CT を施行したところ左室内心尖部,上腸間膜静脈内に血栓を示唆する造影欠損像を認めた.経胸壁心エコーでも心腔内血栓を認め,心尖部の壁運動は低下していた.TIA の原因は心腔内血栓による塞栓症と考え抗凝固療法を開始した.上腸間膜静脈血栓症は稀な疾患であることから血液凝固線溶系異常を精査したところ,プロテインC の抗原量が59%,活性が49 % と低下し, 遺伝子解析でプロテインC 遺伝子にエクソン6g. 3418C>A, Leu168Met (CTG→ATG)というこれまで確認されていない点変異を認め先天性プロテインC 欠損症と診断した.

  • 谷 裕基, 中嶋 秀人, 垣内 謙佑, 元木 三記子, 吉本 幸世, 太田 真, 奥村 嘉也, 北岡 治子, 木村 文治, 荒若 繁樹
    2018 年 40 巻 5 号 p. 382-387
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/25
    [早期公開] 公開日: 2017/12/28
    ジャーナル フリー

    経過中に脳梗塞とたこつぼ型心筋症を併発した3 症例を経験した.症例1 は85 歳女性.心原性脳塞栓症の発症翌日にたこつぼ型心筋症を発症し,ニコランジル投与により軽快.症例2 は67歳女性.精神的ストレスからたこつぼ型心筋症を発症し,2 日後に脳塞栓症を発症.たこつぼ型心筋症に伴う心室内血栓を原因と考えられ保存的治療で軽快.たこつぼ型心筋症も経過観察で軽快した.症例3 は68 歳男性.好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の経過中に脳梗塞とたこつぼ型心筋症をほぼ同時に発症し,ニコランジルとカルペリチド投与により軽快.症例1 と3 は自覚症状がなく,心電図とバイタルサインの変化により発見された.脳梗塞とたこつぼ型心筋症の因果関係は多様である.脳梗塞に心筋症を併発する場合,症状や所見が軽微なこともあるため,見逃される可能性がある.たこつぼ型心筋症の合併は転帰に影響し得るため,それを念頭に置いた脳梗塞診療が必要である.

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