脳卒中
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40 巻 , 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
総説
  • 大供 孝
    2018 年 40 巻 6 号 p. 409-413
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/25
    [早期公開] 公開日: 2018/01/17
    ジャーナル フリー

    任意後見契約は,本人に十分な判断能力があるうちに,自らが選んだ代理人(任意後見人)に,生活,療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約を結んでおく,委任契約である.任意後見契約締結には診断書は必須でないため,判断能力が確認されないまま契約締結がなされることがある.任意後見契約締結に必要な判断能力については議論があり,公表された判例では意思能力の判断基準は示されていない.裁判所における意思能力判定は,診断書等の医学的評価のみならず,契約内容,生活状況,公証人の判断,一般社会通念,公序良俗,等を証拠として,裁判官が,総合的に判断するものと考えられる.よって,医学的見地から判断される任意後見契約締結に必要な判断能力と,裁判所の判断には差が生じうると考えられた.臨床医が,任意後見契約に必要な判断能力と制度の問題点を認識することは,制度の健全な運用や紛争の回避においても有意義である.

原著
  • 阪東 美加, 平山 知沙, 池田 由比乃, 木野 美月, 冨田 悠, 磯 実幸, 林 美希, 田附 容子, 杉山 慎太郎, 佐藤 岳史, 小 ...
    2018 年 40 巻 6 号 p. 414-420
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/25
    [早期公開] 公開日: 2017/12/28
    ジャーナル フリー

    【背景および目的】地域病院にStroke Care Unit(SCU)を設置した前後における,脳卒中診療の臨床指標の変化を検討した.【方法】SCU 導入前(2011 年度),SCU 導入後(2013~2015 年度)の当院脳神経センターに入院した脳卒中症例を対象とし,年齢,性別,病型,入院時NIHSS,アルテプラーゼ静注療法施行数,急性期病棟入院日数,院内死亡率,自宅退院率,退院時mRS を後方視的に診療録から抽出した.各年度の比較を検定した.p<0.05 を統計学的有意とした.【結果】SCU 導入後に,年齢,性別,脳卒中病型,入院時NIHSS は変化なく,tPA 静注療法の施行数は増加し,急性期病棟入院期間は短縮し,自宅退院の割合は増加傾向を示した.院内死亡率は減少した.退院時のmRS 0–2 の割合はSCU 導入後に増加した.【結論】地域病院にSCU 併設することで脳卒中診療の質が向上する可能性がある.

  • 赤塚 和寛, 服部 直樹, 伊藤 瑞規, 冨田 稔, 小野 玉美, 森 悠
    2018 年 40 巻 6 号 p. 421-426
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/25
    [早期公開] 公開日: 2018/01/17
    ジャーナル フリー

    【目的】Trousseau 症候群40 例の臨床的特徴を検討することを目的とした.【方法】2009 年4月~2016 年3 月の間,当院に入院した2273 例の脳梗塞(一過性脳虚血発作は除く)患者のうちTrousseau症候群40 例を対象に悪性腫瘍の種類,組織型,病期などについて検討した.悪性腫瘍に関連する血液凝固能異常を誘因として複数の動脈灌流領域に急性期脳梗塞所見を呈する多発脳梗塞をTrousseau 症候群と定義した.【結果】Trousseau 症候群は脳梗塞全体の約1.8%を占め,脳梗塞先行群はTrousseau 症候群の27.5%を占めた.悪性腫瘍の種類,組織型,病期では,肺癌(11 例),腺癌(23 例),IV 期(31 例)が各々最も多かった.【結論】Trousseau 症候群の27.5%は脳梗塞先行群であり,血液凝固能亢進を伴った多発脳梗塞では,悪性腫瘍を念頭に精査をすすめることが重要である.

症例報告
  • 吉田 陽一, 樋口 佳則, 野村 亮太, 池上 史郎, 辛 寿全, 原 彩佳, 瀬戸口 大毅, 小林 英一, 野本 和宏, 岩立 康男
    2018 年 40 巻 6 号 p. 427-431
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/25
    [早期公開] 公開日: 2018/01/17
    ジャーナル フリー

    症例は75 歳男性.既往歴として,5 年前に足趾の悪性黒色腫摘出を受けているが,再発転移なく経過していた.ふらつきと歩行障害が出現したため近医を受診し,小脳失調を指摘され当院に紹介された.MRI ではT2 強調画像で出血を伴う高信号域を認めた.拡散強調画像では急性期の虚血を疑う所見はなく,同部位は造影MRI で不均一に造影された.悪性黒色腫の脳転移も鑑別に挙げ,まずステロイド治療を開始した.1 週間の経過で症状が改善しMRI 上の病変の縮小を認めた.脳血管造影検査を実施した結果,椎骨動脈後硬膜枝を流入動脈とし,下小脳虫部静脈へ皮質静脈逆流を呈する,小脳テント部硬膜動静脈瘻と診断された.病変は約3 カ月の経過観察中に自然閉塞した.びまん性の造影効果を呈する小脳半球の浮腫や小出血病変では,硬膜動静脈瘻を鑑別疾患に挙げ診療に当たる必要がある.

第42回日本脳卒中学会講演
シンポジウム
総説
  • 古賀 政利, 井口 保之, 尾原 知行, 田原 良雄, 井上 陽介, 福田 哲也, 梶本 勝文, 坂本 悠記, 徳田 直輝, 松原 崇一朗, ...
    2018 年 40 巻 6 号 p. 432-437
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/25
    [早期公開] 公開日: 2017/12/28
    ジャーナル フリー

    Stanford A 型急性大動脈解離は緊急手術を要する疾患である.脳梗塞を合併すると意識障害や失語症などのために胸痛・背部痛の訴えがない場合が多く「不適切なrt-PA 静注療法による致死的経過」と「適切な外科的治療の遅れ」が問題となる.脳卒中疑い対応時に救急隊と初療医は常に大動脈解離の疑いをもつ必要がある.初療医は胸痛・背部痛の訴えがない場合でも血圧左右差やXp 上の上縦隔拡大から大動脈解離を疑う場合にはすぐに造影CT 検査で評価する.意識障害や失語症などにより胸痛・背部痛を確認できない場合や,緊急時に神経症候変動がある場合など大動脈解離を否定できない場合には必ず総頸動脈の評価を行う.頭頸部動脈を含めた頭部画像評価が望ましい.可能な施設はD-dimer を測定する.これらの結果から大動脈解離を疑う場合にもすぐに造影CT 検査を行う.大動脈解離が判明したらすぐに専門診療科に相談して治療方針を決定する.

  • 水谷 徹
    2018 年 40 巻 6 号 p. 438-444
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/25
    [早期公開] 公開日: 2018/02/27
    ジャーナル フリー

    SAH 発症の椎骨解離性動脈瘤(vertebral artery dissecting aneurysm: VADA)は,可及的早期に 治療を行うことがコンセンサスである.解離部を含む母動脈閉塞が原則である.低侵襲で,血管撮 影室で診断に続き治療できるメリットは大きく,方向は血管内治療にシフトしている.しかし,減 圧開頭やbypass を要するposterior inferior cerebellar artery(PICA) involved type には開頭術が必要で,穿 通枝温存も開頭術に分がある.開頭術減少の原因の一つは,体位が複雑で術野も深く,低位脳神経 に触れる可能性が高い側臥位による方法が,盲目的に踏襲されてきたことと考える.一方で,腹臥 位は体位が単純で術野が広く浅いためVA clip と同時にoccipital artery(OA)-PICA bypass がスムース に可能.減圧開頭が容易.というメリットがあり,広く一般化しやすい.VADA の治療は,発展し ていく血管内治療と開頭手術の技術を再考,伝承し,よりバランスのとれた治療をめざしていくこ とがこれからの方向性である.

  • 横田 千晶, 峰松 一夫
    2018 年 40 巻 6 号 p. 445-450
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/25
    [早期公開] 公開日: 2018/02/27
    ジャーナル フリー

    脳卒中発症後の治療開始時間の短縮化には,脳卒中発症後の病院受診までの遅れを最小限 にしなければならない.市民の脳卒中知識向上による脳卒中発症時の迅速な救急要請と救急隊の正 確な判断による脳卒中患者搬送は極めて重要である.小中学生を対象とした脳卒中啓発は,若年か らの生活習慣是正,家族に対する脳卒中知識の間接的啓発,脳卒中発症時のbystander として適切な 対処による病院受診までの時間短縮が期待される.我々は,脳卒中啓発教材を開発し,複数の特定 地域の小中学生を対象として,異なる啓発モデルを実践した.その結果,教材は医療関係者への啓 発教材にも使えること,啓発教材を用いた救急隊,学校教師の授業により,児童,生徒とその保護 者,さらには教える側(救急隊)への脳卒中啓発が可能であることを示した.今後,継続的な学校教 育への脳卒中啓発介入により,将来的に脳卒中発症~病院搬入時間の短縮に繋がる可能性がある.

  • 星野 晴彦
    2018 年 40 巻 6 号 p. 451-455
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/25
    [早期公開] 公開日: 2018/02/27
    ジャーナル フリー

    動脈解離は我が国の脳卒中の0.7%を占め,その71.9%は虚血性発症であり,特に若年性脳 卒中の原因として重要な疾患である.我が国の動脈解離は後方循環,しかも頭蓋内椎骨動脈が多 く,破裂によるくも膜下出血の危険性を伴うことから,内科的治療選択が難しい問題がある.経静 脈血栓溶解療法については,動脈解離でも問題がなかったという報告が多いが,ほとんどは頭蓋外 動脈解離であり,頭蓋内動脈解離については慎重に症例を選択する必要がある.頭蓋外動脈解離を 対象とした無作為比較試験であるCervical Artery Dissection in Stroke Study(CADISS)では抗血小板療法 と抗凝固療法では転帰に差が認められなかったが,イベント数が少なく,動脈解離における抗血栓 療法についての臨床試験の難しさが明らかとなった.わが国で多い頭蓋内動脈解離については,出 血のリスクを考慮して,繰り返す画像診断で瘤形成がないことを確認しながら抗血栓療法の適応の 有無を慎重に検討する必要がある.

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