脳卒中
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最新号
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原著
  • 永尾 征弥, 長山 剛太, 長崎 弘和, 壷井 祥史, 神林 智作
    2019 年 41 巻 4 号 p. 279-286
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    [早期公開] 公開日: 2019/06/12
    ジャーナル フリー

    要旨:【目的】内頸動脈解離は本邦では比較的稀な疾患である.当科における経験から臨床的検討を行った.【方法】2011年 1月~2017年 12月の期間の 16症例 18病変を対象に,診療録情報をもとに患者背景,治療方法と周術期合併症,臨床経過,転帰について検討した.【結果】年齢は 20~72歳(平均 48.5歳),男性 15症例,女性 1症例で,頭蓋外 15病変,頭蓋内 3病変であった.発症様式は脳梗塞が 9病変,頭痛・頸部痛が 7病変,無症候性病変が 2病変であった.治療方法は内科的治療のみ行ったものが 9病変で,血管内治療を 9病変で施行した.内科的治療は血圧管理と抗血栓療法を行い,血管内治療は全病変で解離部にステントを留置した.転帰は mRS0–2が 13例で 3–6が 3例であった.【結論】本シリーズで,急性閉塞例や症状悪化例などに対して血管内治療を行った 9例においては,比較的良好な転帰が得られた.

症例報告
  • 植木 泰仁, 阿部 瑛二, 工藤 健太郎, 徳川 城治, 三橋 立, 菱井 誠人
    2019 年 41 巻 4 号 p. 287-292
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    [早期公開] 公開日: 2019/06/12
    ジャーナル フリー

    要旨:潰瘍性大腸炎と抗リン脂質抗体症候群を基礎疾患に有する41 歳男性.繰り返す深部静脈血栓症の既往があり,直接経口抗凝固薬を内服中であったが,下血により中止としていた.中止直後に肺塞栓症が疑われたため,入院にてヘパリン静脈投与を開始.入院6 日目に突然の頭痛,左片麻痺が出現.頭部MRI で右頭頂葉脳梗塞,さらに上矢状静脈洞および横静脈洞に血栓が認められ,脳静脈洞血栓症と診断.翌日に両側大脳半球に広範な脳内出血と脳ヘルニアの所見を認め,緊急に両側開頭減圧術を施行したが奏功せず,第9 病日に死亡退院.潰瘍性大腸炎,抗リン脂質抗体症候群はともに血栓症のリスクとなりうるが,両疾患を有した血栓症の報告は少なく,文献的考察を加えて報告する.

  • 近藤 雄一郎, 福田 仁, 福井 直樹, 上羽 佑亮, 川西 裕, 樋口 眞也, 帆足 裕, 上羽 哲也
    2019 年 41 巻 4 号 p. 293-298
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    [早期公開] 公開日: 2019/04/03
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は66 歳男性で,左網膜中心動脈閉塞症を発症し左総頸動脈可動性プラークを認めた.プラーク圧着目的でCAS を行った.1 度目のCAS 後,一旦プラークは消失したが,1 カ月後に再発を認め可動性も有していた.再発プラークに対して2 度目はstent-in-stenting を行った.翌日の頸動脈エコーでプラークはステント内に残存するも,不動化されていたため経過観察を行うと,3 カ月後に消失した.総頸動脈可動性プラークに対してCAS を行うと,ステントによる圧着およびステント下への収納以外の機序でもプラークの消退に寄与する可能性がある.

  • 林 悟, 細田 幸司, 野中 大伸, 西本 陽央, 樋口 眞也, 三木 俊史, 根岸 正敏
    2019 年 41 巻 4 号 p. 299-303
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    [早期公開] 公開日: 2019/04/03
    ジャーナル フリー

    要旨:82 歳男性.心房細動あり.慢性腎臓病にてエドキサバンは15 mg に減量されていた.構音障害と右半身麻痺が出現し救急搬送された.NIHSS 5 点.頭部CT では早期虚血性変化の出現はなく,rt-PA 静注療法の禁忌項目はなかった.発症から3 時間20 分,エドキサバン最終服用から7 時間後にrt-PA を投与した.しかし,rt-PA 投与終了直後に右半身麻痺は重度となりNIHSS 12 点に低下した.頭部CT にて左被殻出血が出現しており,保存的治療を継続しmRS 4 で転院した.発症9 カ月前に撮影されていたMRA では,左中大脳動脈は慢性閉塞の所見であった.また,T2*強調画像にて左被殻に小さく淡い低信号域があり,陳旧性出血性梗塞か陳旧性無症候性脳出血が疑われる所見であった.高齢,慢性腎臓病,エドキサバン最終服用からの時間が短いこと,陳旧性出血病変の存在が,rt-PA 投与後に脳出血を合併した要因と推測された.

  • 壽美田 一貴, 唐鎌 淳, 三木 一徳, 石川 茉莉子, 高谷 英克, 飯田 正彦, 前原 健寿, 根本 繁
    2019 年 41 巻 4 号 p. 304-310
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    [早期公開] 公開日: 2019/06/12
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は61 歳男性.2016 年6 月にくも膜下出血を発症し右内頸動脈後交通動脈瘤に対してネッククリッピングを行い,同年9 月に左内頸動脈未破裂脳動脈瘤に対してネッククリッピングを行った.2017 年6 月に構音障害が出現し右側放線冠の脳梗塞と右総頸動脈から内頸動脈にかけての閉塞を診断された.保存的加療を行ったが繰り返し左上下肢の脱力と構音障害が出現したため,右総頸動脈から内頸動脈にかけて経皮的頸動脈ステント留置術を施行した.術後増悪した神経学的異常所見はなく,繰り返し出現していた一過性脳虚血発作も消失し,mRS1 にて転院となった.総頸動脈から内頸動脈にかけての完全閉塞に対する治療として確立したものはないが,本症例のように内科的治療に抵抗性があり,総頸動脈からの閉塞で両側の前頭側頭開頭術後ということもありEC-ICバイパスが困難な症例に対して,ステント留置術は有効な手段になり得ると考えられた.

  • 吉田 優也, 村松 直樹, 新多 寿
    2019 年 41 巻 4 号 p. 311-315
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    [早期公開] 公開日: 2019/06/12
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は68 歳,男性.突然の意識障害(JCS 200)で発症し,頭部CT にて左被殻,尾状核を中心とした脳内出血と,両側側脳室,第III,IV 脳室への穿破を認めた.脳血管3D-CTA にて血管異常はみられなかった.保存的に加療を開始し,第2 病日のフォローアップの頭部CT にて脳室内へ穿破した血腫の多くがくも膜下腔へ移行・拡散していた.意識レベルはJCS 3 まで改善した.しかしながら第13 病日より再度意識レベル低下(JCS 30)し新たに左片麻痺が出現した.頭部MRI にて右頭頂葉の新鮮梗塞巣を認め,脳表の脳溝に広範にくも膜下出血が残存していた.また,MRA にて両側ACA,MCA,PCA の広範な脳血管攣縮を認めた.その後脳血管攣縮に対し輸液管理,薬物療法を施行し徐々に改善が得られた.発症時にくも膜下腔の出血を伴わない脳内出血であっても,脳血管攣縮を来す可能性を考慮するべきである.

  • 下岡 直, 川井 正統, 千田 賢作, 馬場 貴仁, 西田 武生, 貴島 晴彦
    2019 年 41 巻 4 号 p. 316-320
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    [早期公開] 公開日: 2019/06/12
    ジャーナル フリー

    要旨:木村氏病は軟部好酸球性肉芽腫で,全身の軟部組織,特に頭頸部に好発する好酸球浸潤を伴う炎症性肉芽腫である.比較的稀な良性疾患であるが,再発率が非常に高い難治性疾患で,原因の特定や病態の解明はなされておらず,また治療法も確立されていない.木村氏病で長期間ステロイド投与中に頭蓋内血栓化動脈瘤による脳幹部梗塞を発症した稀な症例を経験したので報告する.症例は58 歳男性,構音障害を主症状とし当院に紹介.MRI/A で脳幹部梗塞と脳底動脈左椎骨動脈血栓化紡錘状動脈瘤を認め入院となった.脳血管撮影,胸腹部造影CT でさらに頭蓋外右椎骨動脈の紡錘状動脈瘤と右総腸骨動脈の血栓化動脈瘤が認められた.これまでに木村氏病での脳を含めた血管病変合併例の報告は少数であり,その病態は解明されていない.本症例は木村氏病においてステロイド長期投与されて良好に経過している場合も血管病変を合併する可能性を示唆しているものである.

短報
  • 足立 洋, 岩井 優依, 太田 雅彦, 米田 行宏, 影山 恭史
    2019 年 41 巻 4 号 p. 321-323
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/25
    [早期公開] 公開日: 2019/06/12
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は68 歳女性.左視野に青色や赤色,灰色などの光が突然目の前に出現しては数秒後に消えたり,対象物の一部の色が違って見えるといった要素性幻視と考えられる視覚症状が繰り返し生じた.自覚的な視野障害はなかったが,視野検査では左下視野に位置と大きさが左右の眼で若干異なる暗点を認めた.脳MRI では右側の外側膝状体に限局した脳梗塞を認めた.色に感受性をもつ細胞層が存在する外側膝状体は,対側視野の視覚情報を両側網膜から入力して統合し,同側の後頭葉の視覚中枢へ伝達する中継点として機能している.本例の視覚徴候は,左右眼からの色の視覚情報処理過程に障害が生じたことが示唆された.

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