脳卒中
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5 巻 , 4 号
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  • 阿部 憲男, 冨永 詩郎, 沓沢 尚之
    1983 年 5 巻 4 号 p. 281-285
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳幹部の病変が末梢交感神経機能にどのような影響を与えるかを知る目的で, 脳幹部血管障害急性例8例について血漿ドーパミン-β-水酸化酵素 (DBH) 活性の変動を経日的に観察した.
    発症48時間以内の血漿DBH活性27.5±12.0 (平均±S.D.) units/litterは正常対照群20.8±11.8と比較すると高値を示した.一方, 発症28日後の血漿DBH活性16.5±8.0は正常対照群より低値を示し, 早期死亡例1例を除いて全例において発症48時間以内の活性より低かった.血漿DBH活性の経日変動のパターンは, 経日的に漸減する傾向を示し, 重症度にかかわらずほぼ同一だった.
    以上の成績は重症度と血漿DBH活性の変動との間に相関を認めた大脳半球の血管病変での成績と異なり, 脳幹部では, 病変の位置および大きさにかかわらず, 末梢交感神経機能は発症初期に亢進し経日的に低下していくものと考えられる.
  • 峰松 一夫, 山口 武典, 栗山 良紘, 長谷川 泰弘, 長木 淳一郎
    1983 年 5 巻 4 号 p. 286-294
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    発症より数時間以内に入院した塞栓性内頚動脈, 中大脳動脈主幹部, および複数脳動脈閉塞例9例を対象として, barbiturate大量投与療法を行ない, これと同一の臨床的診断基準を満足する脳塞栓57例を対照群として, ヒト急性期重症型脳梗塞にたいするbarbiturate療法の効果を検討した.
    CT上の梗塞巣の広がりは, 全体でみても, 閉塞血管別にみても治療群でより小さく, 極期の圧迫所見も軽い傾向にあった.この傾向は特に内頚動脈閉塞例において著しかった.発症2週間以内の急性期死亡は治療群で11%であり, 対照群の30%に比べ低かった.さらに治療開始時間とCT上の梗塞巣の広がり, あるいは極期の圧迫所見との間には有意の正の相関が認められ, この関係は転帰にも反映されていた.
    脳梗塞発症後できるだけ早期にbarbiturate療法を開始した場合, 梗塞巣の縮小と転帰の好転とを期待しうることが示唆された.
  • 中山 賢司, 宮坂 佳男, 高木 宏
    1983 年 5 巻 4 号 p. 295-301
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    頭蓋内圧 (ICP) 亢進時に, hyperventilatlonがICPを下降させることはよく知られ, 減圧療法として臨床的に施行されている.しかし, このhyperventilationは動脈血炭酸ガス分圧 (PaCO, ) を低下させるため, 脳血流量を減少させるという欠点をもっている.そこで, 硬膜外バルーン加圧によるICP亢進モデルを作製し, 脳浮腫が出現しない急性期において, 白質組織の局所脳血流量 (rCBF) とICP, およびPaCO2の相互関係を動的に検索し, どの程度のhyperventilationが, 脳循環動態の面からみて妥当であるかを検討した.
    その結果, PaCO230mmHgレベルのhyperventilationは, ほぼ最大までのICP下降効果を有し, rCBFの減少も高度ではなく, 減圧療法として妥当なものであった.しかし, PaCO220mmHgレベルの過度なhyperventilationでは, より多くのICP下降効果は期待できないだけでなく, rCBF減少もcritical levelにまで減少し, 脳虚血状態をひきおこす可能性があり, 減圧療法として不適当であった.
  • 石川 良樹
    1983 年 5 巻 4 号 p. 302-310
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    mongolian gerbil 189匹を用いて, 実験的脳梗塞急性期におけるモルヒネ拮抗物質であるnaloxoneの効果を検討した. (1) naloxone 1mg/kg腹腔内投与により, 約5分後より虚血症状の改善を認めた.効果は約15分間で消失したが, 再投与も同様に有効であった.しかし意識障害の高度な重症例では無効であった. (2) 脳血流量はsham operation群ではnaloxone投与で有意に減少したが, 有症状群の病側半球では, naloxone投与により有意に増加した. (3) 脳水分含有量と脳組織電解質 (Na/K比) は, 有症状群病側半球では両者共にnaloxone投与により有意に減少した.また有症状群対側半球でも, 水分含有量は不変であったが, Na/K比は有意に改善した. (4) 血圧, 動脈血ガスはnaloxone投与で有意の変化は示さなかった.naloxoneは虚血症状, 脳浮腫および脳代謝の改善に有効で, β-endorphinに拮抗することにより, 脳梗塞急性期の治療に有用であることが示唆された.また対側半球の代謝低下に, opiate systemが関与している可能性を指摘した.
  • 柴田 尚武, 井上 優, 堤 健二, 森 和夫, 金子 満雄
    1983 年 5 巻 4 号 p. 311-322
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    重症脳梗塞で死亡した4症例につき, CT所見と剖検における病理学的所見を検索し, さらに大脳半球大梗塞モデル犬で得た病理学的所見とを対比して検討を加えた. (1) 剖検例と実験例で類似の病理学的所見を得た.すなわち中大脳動脈領域に広範囲な梗塞巣があり, その中に塊状出血巣と点状出血巣の2つの病巣の局在をみとめた. (2) 塊状出血巣はperforating arterial terminal zoneである大脳基底核の細動脈からの出血であり, 点状出血巣はcorticalarterial terminal zoneである皮髄境界の細静脈からの出血であった. (3) CT所見では, 大脳半球のほぼ全体に及ぶ低吸収域を示し, contrast enhancement陰性であった.出血が少量のため脳浮腫にmaskingされて, 高吸収域として検出することができなかったと考えられる.したがって重症脳梗塞では, 梗塞巣の中に塊状出血巣と点状出血巣の異なる病巣の局在を区別して考える必要がある.
  • 新美 次男, 澤田 徹, 栗山 良紘, 福島 雅司, 金子 尚二
    1983 年 5 巻 4 号 p. 323-329
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    nifedipineの脳循環代謝・脳圧に対する影響を, 急性期脳出血10例, 慢性期脳梗塞5例についてAr吸入法により検討した.その結果, 1) nifedipine 10mg経口投与により脳出血及び脳梗塞群とも血圧は有意に低下したが, CBF, CMRO2には変化を認めなかった.また投薬前のCBFautoregulationの障害の有無と本剤によるCBFの変化の間に有意な関係は見られなかった.2) 末梢血管抵抗 (PVR) を測定した5例では, 本剤によりPVRの有意な減少を認めたが, CVRには変化が見られなかった.3) 脳室ドレナージ中の脳出血例で本剤による脳圧上昇が認められた.4) glycerolとの併用によりCBFの増加が認められた.以上のことよりnifedipineは脳血管拡張作用を有するが, 薬剤に対する臓器血管感受性の差や脳圧上昇によりCBFは変化しないと考えられる.本剤は脳血管障害の血圧管理にも有効であるが脳圧上昇及び他の脳血管拡張剤と同様の注意が必要である.
  • 一條 真琴
    1983 年 5 巻 4 号 p. 330-337
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳血管に分布する自律神経系の役割を直接的に明らかにする目的で, 脳軟膜動脈壁より活動電位を導出し, それが頚部交感神経系の切断により影響を受けるか否かを検討した.対象および方法 : 成猫20匹を用い, 上頚部交感神経節前線維切断群 (13匹) と上頚部交感神経節切除群 (7匹) について, 脳灌流圧変化に対する脳軟膜動脈活動電位の変化を, 電気生理学的手法により計測した.結果 : (1) 上頚部交感神経節前線維切断実験では, 急性・慢性をとわず, また, 片側・両側切断に関係なく, 切断後も脳灌流圧下降時活動電位増加, 脳灌流圧上昇時減少という正常反応が保たれていた. (2) 上頚部交感神経節切除実験でも急性片側切除群では同様の正常反応が認められた. (3) 上頚部交感神経節切除後3週間経過した慢性実験では, 切除側で正常反応が抑制された.結論 : 脳軟膜動脈活動電位は上頚部交感神経節の影響を受ける.
  • 小林 祥泰, 山口 修平, 勝部 知子, 木谷 光博, 岡田 和悟
    1983 年 5 巻 4 号 p. 338-346
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    正常高齢者の脳循環, 知的精神機能に対する社会的環境因子の影響を明らかにするために133Xe吸入法を用いて以下の検討を行なった.対象は社会的活動性の比較的低い老人ホーム居住者33名 (I群) および社会的活動性の高い地域在住志願老人49名 (II群) である.両群間に高血圧等の医学的背景因子の差は認められなかった.結果: 1) 局所脳血流量 (rCBF) はII群に比しI群で低値を示しとくに前頭, 側頭部で明らかであった.また動作性知能もI群で低下していたが言語性知能については有意差を認めなかった.2) rCBFおよび知能スコアに対する加齢の影響はI群でより早期から認められた.3) 男性ではI群で左右半球のrCBFの減少, 両知能の低下を認めたが, 女性では左半球rCBFと言語性知能は比較的よく保たれていた.以上の結果は社会的環境因子が大脳の老化に大きな影響を与えることを示しており, さらにそれには男女差が存在することが明らかとなった.
  • 柳沢 徹, 中林 治夫, 唐木 正敏, 村田 守昭, 渡辺 礼次郎
    1983 年 5 巻 4 号 p. 347-350
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    非破裂動脈瘤内壁在血栓がembolic sourceとして脳梗塞をおこしたと推定される稀な症例を報告する.症例は38歳の家婦.高血圧, 糖尿病, 心疾患, 血管炎, 血液凝固能の異常等の合併がなく, また喫煙, 経口避妊薬の内服, 高脂血症等の背景因子もない.strokeをもって発症し, 左上1/4同名性半盲, 左視床症候群を呈した.CT-scan上右視床および右後頭葉に低吸収域を認めた.Seldinger法による脳血管写では左椎骨動脈に幅7mm, 長さ15mmの紡錘状動脈瘤と右椎骨動脈の形成不全をしめした.
    本症例の脳梗塞は発生頻度のきわめて少ない椎骨動脈の非破裂動脈瘤の壁在血栓が, embolic sourceとして視床, 後頭葉に栓塞を来たしたことが強く推定された.紡錘状動脈瘤の発生には右椎骨動脈の形成不全による脳底部の血流異常が関与しているものと思われる.虚血性脳血管障害と非破裂動脈瘤との因果関係につき, 若干の文献的考察を試みた.
  • 北村 純一, 小林 祥泰, 山口 修平, 恒松 徳五郎
    1983 年 5 巻 4 号 p. 351-355
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    一側下肢に限局した不随運動のみを呈しCTスキャンにて対側視床にきわめて限局した出血性病変を確認した2症例を報告した.症例1) 74歳女性.一過性の右不全片麻痺, 意識障害の後, 約1ヵ月目より右下肢に限局したchoreo-athetosis出現.入院時右下肢の軽度筋トーヌス亢進以外, 他の神経学的所見は正常.CTで左視床VL核を中心とする病変を認めた.choreaは約2ヵ月で消失した.症例2) 77歳, 男性.左下肢の不随運動で初発 (発症時はballism様, 次第にchorea様となる).入院時, 左下肢に限局したchoreo-athetosis様不随意運動を認める以外正常.CTで右視床Vim核を中心とする小出血を認めた.choreaは約1カ月で消失した.
  • 久永 欣哉, 沖田 直, 望月 廣, 齋藤 博
    1983 年 5 巻 4 号 p. 356-363
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳静脈性血管腫は剖検時にみられる頻度に比し, その臨床例の報告は極めて少ない.我々は放射線学的に本症と診断された2症例を経験した.
    症例1 : 45歳女性.思春期に左前額部の血管腫と思われる腫瘤を摘除している.今回は軽度の小脳症状で発症し, 頭部CTでは小脳の低吸収域と造影剤使用後の曲線状高吸収域を呈し, 椎骨動脈写では拡張した静脈とそれに流入する多数のmedullary veinからなる典型的な静脈性血管腫の所見を呈した.症状は高浸透圧利尿剤投与で速やかに軽快し, 病態として静脈性小出血を疑った.
    症例2 : 39歳男性.右頭頂部痛と嘔吐で発症し, 頭部CT, 脳血管造影で前頭葉に症例1と同様の静脈性血管腫の所見を呈した.症状は保存的療法で軽快した.
    上記2症例を報告し, 本疾患の臨床症状, 放射線学的特徴などを中心に考察を加えた.
  • 峰松 一夫, 杉本 啓子, 曽根 憲昭, 宮下 孟士, 山口 武典
    1983 年 5 巻 4 号 p. 364-370
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    左視床出血に伴ない超皮質性感覚失語を呈した62歳男性および66歳男性の2例を報告した.
    2症例とも発症当初は発語はほとんどなく, 後には, 小声で発話量に乏しく, 聴覚的言語理解は高度に障害されていたが, 復唱のみは良く保たれていた.慢性期に実施したSLTAにより, 2症例における言語症状は, 超皮質性感覚失語に相当すると判定された.
    CTにより, 2症例とも脳室穿破を伴なう左視床出血と診断された.133Xe吸入法による局所脳血流量測定では, それぞれ左頭頂-側頭-後頭葉領域 (症例1) および左大脳半球全体 (症例2) の血流低下がみられた.また, 脳波等電位分布図において, 特に左大脳半球での徐波成分の著しい増加が明らかであった.
    左視床出血における超皮質性感覚失語発現の意義およびその機序に関して若干の考察を行なった.
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