脳卒中
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7 巻 , 2 号
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  • 内藤 宏紀
    1985 年 7 巻 2 号 p. 93-104
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    水素clearance法を用いて大脳皮質, 視床および中脳のrCBFを測定した.対照群, phenoxybenzamine, atropineおよび6-hydroxydopamine投与群のPaCO2-rCBF曲線と, ΔCereborospinal fluid pressure/ΔPaCO2の値から以下のような結果を得た. (1) 視床および中脳循環のPaCO2-rCBF曲線は下に凸の曲線を描き, CO2の脳血管拡張作用に強い抑制を示すが, 上記薬物のいずれかを単独で投与するとこの抑制は消失した. (2) 皮質循環のPaCO2-rCBF曲線はほぼ直線的で, 上記抑制を示さず上記薬物のどの単独投与によっても殆ど影響を受けなかった. (3) PaCO2が65mmHg以下ではΔCSF-P/ΔPaCO2が脳全体の血管床にCO2による体積増加率を表現すると考えた. (4) 対照群に比べてΔCSF-P/ΔPaCO2はPOB投与群が明らかに小さく, atropine投与群のそれは大きかったが, 6-OHDA投与群では有意の差が見られなかった.以上の結果から, 脳深部の局所循環では神経性因子がCO2の反応性にさからって脳血管の緊張性を保つように働いているが, 大脳皮質の局所循環ではその様な神経性因子によるcontrolが少ないものと考察された.
  • 上野 一義, 蝶野 吉美, 小柳 泉, 布村 充, 野村 三起夫
    1985 年 7 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    近年脳出血に対して開頭による血腫除去にかわって, 穿頭術による血腫の吸引が行なわれるようになり, 手術成績も良いとされている.血腫の穿刺, 吸引は定位脳手術によって行なわれる事が多いが, 特に被穀出血の場合は定位脳手術によらなくとも, CTを利用した簡単な位置ぎめにより穿頭術を行い, 用手的に血腫を吸引することが出来る.用手的に行う事により高価な装置を必要とせず, 手術手技は簡単となり手術侵襲は更に少なくなり高齢者にも容易に適応することが出来るようになる.手術時期は, やはり再生血の危険性が少なく血腫が流動化して吸引しやすくなっている亜急性期に行うのが良いと思われる.
    我々はこれまでに10例の被殼出血に対し発症7日以後に用手的に血腫の吸引を行い8例に症状の改善をみた.なお急性期の開頭術と亜急性期の吸引療法を組み合わせた我々の被殼出血の治療方針についても言及する.
  • 吉峰 俊樹, 早川 徹, 山田 和雄, 生塩 之敬, 森本 一良
    1985 年 7 巻 2 号 p. 114-122
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    虚血急性期, 血流非再開時のhindbrainにおけるneuronのselectiv evulnerabilityを検討するため, 同部に中等度の虚血をもたらすMongolian gerbilの脳底動脈閉塞モデル (山田, 早川ら) を用い, 10分から6時間の虚血後, 脳を摘出し, 抗tubulin血清を用いた酵素抗体法にて観察した.その結果, tubulinの免疫組織化学的反応性の変化の出現は, 第一にはvestibular nucleusや小脳Purkinje cellにおいて早期にみられるように部位により相違がみられた.第二には, vestibular nucleus内においても一部の大型のneuronがとくに早期より変化を示すように, 同一部位においてもneuronにより相違がみられた.第三には, Purkinje cellにおいてもdendriteがより早期におかされたように, 一つの細胞内においても部位により反応態度に相違がみられた.これは従来のselective vulnerabilityの概念とは若干異なったものではあるが, 虚血による神経細胞障害過程の一つを示す可能性があり, 注目すべき所見と考える.椎骨脳底動脈領域の虚血の病態については未解明の点が多いが, 本研究はその理解へのひとつのてがかりをもたらすものと考える.
  • 後藤 昇, 金子 満雄, 田中 敬生, 酒匂 裕子
    1985 年 7 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳室出血を伴なう破裂脳動脈瘤の急性期死亡例を中心に33剖検脳の検討を行ない, 脳室出血と脳動脈瘤破裂との間の関連を調べた.脳室への穿破のない, 第4脳室外側口と正中口からの逆流によるものが13例にみられ, 他の20例には脳室穿破を認めた.全脳室の鋳型状の血腫例のほとんどは脳室への穿破例であった.クモ膜下腔と脳室のそれぞれ出血量の間には関連がなく, テント切痕ヘルニヤの所見は全般的に軽度であった.脳の重量は平均値で5~10%程度の増加を示し, 鋳型状血腫形成例の脳全体の体積は平均993.2cm3であり, 他のテント上病変例など41例と比較しても顕著な増加ではない.そのうち鋳型血腫量は平均で78.3cm3, 全脳体積に対して平均7.9%を占め, 正常脳室体積比率の2倍弱であり, クモ膜下出血に加えて脳の圧迫の要因のひとつと考えられた.
  • 土井 英史, 駒井 則彦, 宮本 悦男, 中井 易二, 兵谷 源八
    1985 年 7 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    1978年以来、著者らは高血圧性脳出血に対してCT定位脳手術法を用い血腫を吸引溶解排除している.今回, 橋出血6例と小脳出血7例について報告する.
    年齢は44~75歳, 平均56歳で男性7例, 女性6例である.手術時期は発作後6時間~36日であるが血腫除去率との間に相関はなかった.血腫除去率は橋出血で平均73.3%, 小脳出血で88.4%であった.手術効果は橋出血では意識障害, 呼吸機能, 四肢麻痺などの改善が認められ, 小脳出血では全例ADL1~2に回復した.また, 手術手技に起因した症状の悪化や死亡例は認めなかった.手術適応は橋出血ではunilateral typeが適応となり, massive typeは救命し得てもuseful lifeは得られない.小脳出血では小脳症状, 頭蓋内圧充進症状など神経症状を有するgrade 4aまでの症例すべてに手術適応があり, 術後すみやかにこれらの症状が回復し, 良好な機能予後が期待される.
  • 鈴木 晋介, 桜井 芳明, 小川 彰, 嘉山 孝正
    1985 年 7 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    1978年4月により1983年6月までの5年3ヵ月間に当科に収容されたくも膜下出血 (SAH) 症例611例のうち, 2回以上のfour ressel cerebral argiography及びその他の検索にても原因不明と診断された症例は26例 (4.3%) であり, これまでの諸家の報告に比し, 極めて低率であった.
    これらの26例に対し発症5ヵ月より67ヵ月後, 平均36ヵ月後の時点で追跡予後調査を行ったが, 少なくとも全例が生存しており, その中1例が詳細不明, 他の1例が癌末期の為寝たきりであった以外は再発なく, 社会復帰しており予後良好であった.CTにて明らかなSAHを証明された11例中, 寝たきりの1例を除く10例に追跡脳血管写を施行, その中1例に動脈瘤が発見され根治術施行, 事無きを得た.原因が厳格に検索され原因不明と診断されたものは良後良好と言えるが, CTにて明らかなSAHが証明される様な原因不明例での長期にわたる脳血管写によるfollow-upは必要であると思われた.
  • 桑名 信匡, 持松 泰彦, 藤野 英世, 斉藤 昭人, 間下 信昭
    1985 年 7 巻 2 号 p. 142-149
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Percutaneous transluminal angioPlasty (PTA) はSeldinger法によって動脈内に挿入した血管カテーテルを用い, 閉塞性病変の再開通ないし拡張を得る方法である.1964年, DotterとJudkinsにより初めて報告された本法は, 以来種々の末梢動脈に応用されて来たが, 1974年のGrützigのdilating balloon catheterの考案により著しい発展をとげた.頚動脈に対する応用は, 未だ日も浅く数も少いが, 近年注目を集めている.
    著者らは, 冠動脈硬化症, 糖尿病, 高脂血症を合併し, 一過性黒内障で発症した両側の頚部頚動脈狭窄症の46歳男子症例にPTAを施行し, 良好な成績を得た.著者らの経験を紹介, その手技, 適応, 血管拡張の機序, 合併症などについて考察を加えて報告した.
  • 三塚 繁, 貫井 英明, 佐々木 秀夫, 豊田 収, 堀越 悟
    1985 年 7 巻 2 号 p. 150-157
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    クモ膜下出血 (SAH) 後に生ずる脳血管攣縮における虚血症状の出現には血液凝固線溶動態の変化が重要な役割を果たしていると考えられるため, 雑種成犬38頭を用いて自家動脈血大槽内注入法により実験的クモ膜下出血犬を作製しSAH作製前及び作製後8日間に1-3日の間隔で採血し, RBC, Hb, Ht, 赤血球変形能, PT, APTT, 活性化全血凝固時間, フィブリノーゲン, 血小板凝集能を測定検討した.また椎骨動脈撮影によりSAH後4日目をピークとする脳血管攣縮の出現を確認した.その結果フィブリノーゲンはSAH後1-4日目で有意の上昇を示し, 血小板凝集能は測定期間中上昇を続けたが, 他の血管内因子は特徴的な変化を示さず, SAH後には血液凝固能充進の準備状態が誘発されていることが明かとなった.また本実験によりこれら血管内因子の雑種成犬における標準値が得られ, 今後の同様な実験に有用と考えられた.
  • 重森 稔, 弓削 龍雄, 川崎 建作, 渡辺 光夫, 倉本 進賢
    1985 年 7 巻 2 号 p. 158-166
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    高血圧性基底核部出血の27症例において, 聴性脳幹反応 (ABR), 体知覚性誘発電位 (SEP), 視覚誘発電位 (VEP) を組み合わせたmultimodality evoked potentials (MEPs) による経時的観察を行い, 本症急性期の病態や予後判定における有用性を検討した.いずれもMEPsのうちSEPに最も高度の異常がみられたが, 転帰良好例ではABRの異常はなく, 転帰不良例ではSEPのほかVEP, ABRにも種々の程度の異常がみられた.また, 前者ではMEPsの異常が発症7日以内に改善を示すのに対し, 後者では改善が遷延ないし不変である傾向がみられた.重症例では20mmHg以上の頭蓋内圧上昇がみられ, その際, ABRの悪化が認められた.今回の検討結果, 軽症例では内包後脚の障害や2次的脳機能障害も軽度であるのに対し, 重症例では内包障害のみならず脳幹部を含め, 半球性の脳機能障害を伴うと考えられた.また, 本症の機能的および生命予後を正確に判定するためには, 発症後7-14日間の経時的なMEPsの観察が必要と考えられた.
  • 川畑 信也, 山口 武典, 宮下 孟士, 里見 真美子
    1985 年 7 巻 2 号 p. 167-173
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    中脳に限局した出血にて発症し, 脳血管撮影により脳幹部動静脈奇形の存在が明らかになった症例を経験した.
    症例は46歳, 男性.突然の後頭部重圧感にて発症し, 神経学的に傾眠傾向, 左滑車神経麻痺, 右Horner徴候, 左上下肢不全麻痺, 左側表在感覚低下を認めた.CTで中脳右側tectumからtegmentumにかけての限局した高吸収域を認め, 橋や視床への波及はなかった.椎骨動脈撮影の動脈相早期に右側上小脳動脈のquadrigeminal segment外側に, nidusと思われる異常血管陰影および導出静脈を認めた.明らかな流入動脈は確認できなかったが, 本例の限局性中脳出血は, 脳幹部動静脈奇形破裂によるものと考えられた.
    中脳に限局した脳出血例は, 原因の如何にかかわらず非常に稀とされており, 原因としては脳幹部動静脈奇形破裂によるものが最も多い.中脳出血の頻度, 特徴などについて文献的考察を加え報告した.
  • 内山 真一郎, 小林 逸郎, 丸山 勝一
    1985 年 7 巻 2 号 p. 174-179
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    FBTはフィルター通過時の血小板shear活性化による凝集塊形成に基づく血流低下を原理とする新しいin vitro出血時間測定法であるが, この系を用い脳動脈血栓の成立機序に関与する血小板shear活性化のchemical mediatorにつき検討した.FBTは血小板膜糖蛋白IIb・IIIaに対する特異抗体HP1-1D, 血漿ADPを除去し作用を阻害するCP・CPK・ATPにより延長し, thromboxane合成酵素阻害剤 (TXI) UK-37,248・UK-38,485により変化せず, CP・CPK・ATPとTXIの併用により相乗効果を認めた.血漿Hbと遊離111Indium測定によりFBT中赤血球と血小板の破壊が生じることが解り, 血小板lysisはHP1-1Dにより抑制され, TXIにより抑制されなかった.以上の結果より, 血小板shear活性化にはTXA2は二次的で, ADPが最も重要であり, ADPは血小板放出反応の他に赤血球や血小板の破壊による胞体からの供給も考慮すべきである.
  • 熊本 一朗, 野元 正弘, 大勝 洋祐, 井形 昭弘
    1985 年 7 巻 2 号 p. 180-185
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    当院の最近3年間の入院患者のうち脳血栓517例・脳出血143例計660例全例を対象とし, 臨床症状・CTscanにて再発例を検討したところ100例の再発例が認められ, 脳血栓を繰り返したもの73例, 脳血栓の次に脳出血を起こしたもの6例, 脳出血の次に脳血栓を起こしたもの4例, 脳出血を繰り返したもの17例であった.再発部位は脳血栓では同側・反対側大脳半球にほぼ同数であったが, 脳出血では反対側大脳半球への再出血が大多数を占めていた.再発の回数は脳血栓では73例中56例 (77%) が1回のみであり, 脳出血では全例1回のみであった.また脳血栓では73例中23例 (37%) が, 脳出血では17例中7例 (42%) が1年未満に再発を起こしていた.脳出血の再発であった23例中7例 (30%) が発症後1ヵ月以内に死亡または植物状態となり予後不良であった.
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