脳卒中
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7 巻 , 3 号
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  • 平田 温, 田川 皓一
    1985 年 7 巻 3 号 p. 189-194
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    内頚動脈の閉塞あるいは狭窄が拍動性耳鳴の原因となることは比較的知られていない.著者らは拍動性耳鳴を訴える2症例を経験し, 1例で同側の内頚動脈の狭窄を, 他の1例で対側の内頚動脈の閉塞を確認した
    症例1は56歳の女性で右の拍動性耳鳴を訴え, 右の頚部および眼窩に血管雑音を聴取した.血管造影で右内頚動脈の壁不整と狭窄を認めた.右の耳管狭窄が検出され通気で耳鳴は減少した.
    症例2は50歳の男性で左の拍動性耳鳴と左片麻痺を主訴とし, 右内頚動脈起始部および右中大脳動脈の閉塞と, 左内頚動脈よりの側副血行が認められた.左頚部に血管雑音を聴取し運動負荷で血管雑音と耳鳴は増強し安静で減少した.
    これらはそれぞれ血管内腔の不整および血流増加により血管雑音・耳鳴を生じたと考えられる.拍動性耳鳴の発現機序およびその修飾因子について考察を加え, 報告した.
  • 佐藤 能啓, 溝口 克弘, 宇都宮 英綱, 林 隆士, 正島 和人
    1985 年 7 巻 3 号 p. 195-199
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    痙攣で発症し, 脳動静脈奇形を合併したneurofibromatosisの50歳, 男性例を報告した.理学的にneurofibroma, café-au-lait spotが皮膚に多発していたが, 神経学的異常所見はみられなかった.脳血管撮影で左側頭葉に異常血管影がみられ, 組織学的所見もあわせて脳動静脈奇形と診断された.neurofibromatosisと脳動静脈奇形の合併はこれまでわずか1例の報告をみるのみである.両者の因果関係について発生学的背景を中心に考察した.
  • 敷波 晃, 山田 弘, 坂井 昇, 安藤 隆, 香川 泰生
    1985 年 7 巻 3 号 p. 200-209
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Thromboxane A2 (TXA2) 合成阻害剤であるOKY-046の投与が, 破裂脳動脈瘤根治術に続発する脳血管攣縮 (VS) と脳虚血とに予防効果があるか否かを検討した。対象はSAH発症3日以内の早期手術例で術前Hunt & Hess grade I~IIIの24例 (OKY群) に術直後よりOKY-046を持続投与 (5μg/kg/min, 10日間) し, 機能予後, 血管写上の攣縮度, 術前後のCT上のくも膜下血腫 (clot score), r-CBF, 内頚静脈血漿中のthromboxane B2, 6-keto-PGF, HETEレベルを対照15例 (対照群) と比較検討した.OKY群と対照群とは血管写上VSの発生に差が認められなかったが, OKY群にはasymptomatic VSの多い傾向がみられた.また術後残存clot scoreの如何にかかわらず, 大血腫残存例のsymptomatic VSの発来を本剤は予防できなかった。VSによる脳梗塞例のr-CBF (2 compartmental analysis) でOKY群は対照群より低値を示す傾向にあり, 虚血に対し或る程度の抵抗性を与えることが示唆された.SAH後2週の内頚静脈血漿中TXB2レベルは梗塞群と非梗塞群, OKY群と対照群双方に差は認められず正常レベルにあった.6-keto-PGFについても同様であった.内頚静脈血漿中のHETEは12-HETEのみ検討した.しかし梗塞群と非梗塞群の12-HETEレベルに差は認められなかった.
    OKY-046は血管写上のVSを抑制できず, asymptomatic VSが多い傾向であったことはTXA2がVSの主たる因子とは言い難く, VSの発現には他の因子が多大に関与する可能性と, 一方では脳虚血発現に対して或る程度の抵抗力を与えることが示唆された.
  • 安藤 隆, 坂井 昇, 山田 弘, 高田 光昭, 船越 孝
    1985 年 7 巻 3 号 p. 210-218
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    過去4年間に取り扱った外傷脳動脈瘤破裂を除く皮質下出血は68例で, うち特発性28例, 高血圧性17例であった.特発性を病理組織学的にsmall angiomatous malformationが証明されたcryptic AVM群 (13例) と真の特発性, すなわち原因不明群 (15例) に分け, 高血圧群と比較検討した.1) 発症年齢はcryptic AVM群では平均40歳であったが各年齢層に及び, 必ずしも若年者とは限らなかった.又, crypticAVM群には女性が多かった.2) 初発症状は高血圧性が片麻痺, 言語障害で発症したのに対し, cryptic AVMは頭痛, 悪心で発症し進行が緩徐であった。3) 血腫部位は高血圧群, cryptic AVM群は頭頂葉, 原因不明群は後頭葉に多かった.4) 脳血管撮影ではcryptic AVM群の5例にearly venous filling, extravasationなどを認めた.5) cryptic AVMの発見には術中の検索が大切で, 高血圧性と思われても探索を怠ってはならない.6) 予後は高血圧群, cryptic AVM群, 原因不明群とも良好例が多かったが70歳以上の高齢者は合併症の為, 不良であった.
  • 新妻 博, 吉本 高志, 鈴木 二郎
    1985 年 7 巻 3 号 p. 219-223
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    70歳以上の脳動脈瘤症例35例に根治手術を施行し, 退院時excellent or goodのもの62.9%, fair or poorのもの31.4%, dead 5.7%であった.また6ヵ月から10年の追跡調査では, 追跡時あるいは他因死までの間excellent or goodだったもの68.6%, fair or poor5.7%, dead25.7% (入院死2例も含む) であり, 3分の2以上の症例が有意の生活を送っていた反面, fair or poorで退院した症例の多くが遠隔死していた.
    予後不良例は, Hunt & Kosnikのgrade IV, Iaで手術したもの, grade IIIで超急性期手術を行ったもの, 手術により母動脈閉塞をきたしたもの, 術後vasospasmを生じたもの, 症状の有無を問わず術前から脳・脳血管に高度の変化が認められたものであり, 以上をもとに70歳以上の高齢者の脳動脈瘤の手術適応につき著者らの考えを述べた.
  • 倉田 彰, 田辺 貴丸, 大和田 隆, 矢田 賢三, 管 信一
    1985 年 7 巻 3 号 p. 224-231
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    後下小脳動脈peripheral branch動脈瘤は非常にまれであり, 破裂例の報告は4例のみであり, CT所見も加えた詳細な報告は未だない.我々は, 4例の後下小脳動脈peripheral branch動脈瘤破裂例を経験し, 全例, CT上第4脳室内を主とした出血を認めるも, 脳底クモ膜下槽への出血は明らかでなかった.これは, CT上の特徴的所見であり, 診断上, この特徴的所見を認めた場合, まれであるが, 後下小脳動脈peripheral branch動脈瘤破裂を鑑別に挙げ, 両側の推骨動脈写を施行すべきである.また, 後下小脳動脈peripheral branch動脈瘤のほとんどが, 5mm以下の小動脈瘤であることより, 斜位撮影, 拡大撮影も加えて徹底的に行なうべきである.
  • 北岡 憲一, 中川 翼, 阿部 弘, 佐藤 正治, 宮坂 和男
    1985 年 7 巻 3 号 p. 232-239
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    破裂前交通動脈瘤の直達手術後精神症状を呈した26例の急性期並びに慢性期のCT所見を分析し次の結論を得た. (1) クモ膜下出血急性期にCT上, クモ膜下腔のhigh densityが広範でかつ対称性に認められた症例では, 慢性期に精神症状の重篤例が多かった.特に急性期にCT上, クモ膜下腔のみでなく脳内並びに脳室内にhigh densityを認めた症例では, 慢性期に精神症状の重篤例が多く認められた. (2) 慢性期にCTでlow density areaが比較的大きい例で, かつ前頭葉に, low density areaの認められた症例の精神症状は重篤であった.
  • 八尾 博史, 佐渡島 省三, 塩川 宰, 藤井 健一郎, 藤島 正敏
    1985 年 7 巻 3 号 p. 240-247
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    1971年から1983年までに当科入院中に発症した脳卒中症例は23例であった.脳血栓症と診断されたのは13例で, これらのうち発症前の血圧変動を観察できた12例につき脳血栓症の発症要因を検討した.なお高血圧の診断基準として血圧値・眼底所見・心電図所見などからなるmean scoring pointsを用いた.
    高血圧者6例中4例で発症前に降圧療法により平均血圧で33~69mmHg (220/120mmHgから140/80mmHgへ) の血圧下降を認めた.そのうちの2例では-33mmHg/1ヵ月, -66mmHg/2ヵ月と比較的緩徐な降圧であった.正常血圧者では, 心不全により血圧が低下した1例を除けば, 発症前の血圧変動は±10mmHg以内であった.
    高血圧者においては脳血栓症の発症要因の1つとして血圧下降という血行動態上の問題が重要であり, 過剰な降圧療法に対する注意が必要であると考えられた.
  • 高良 英一, 六川 二郎, 宮城 航一, 中田 宗朝, 金城 則雄
    1985 年 7 巻 3 号 p. 248-253
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳動脈瘤の発生および破裂について, 亜熱帯地域である沖縄県 (月間平均気温16.0~28.1℃, 湿度70~86%) において調査分析した.
    症例は, いずれも手術および脳血管写にて脳動脈瘤が確認された412例であり, 県下脳外科施設からのアンケート調査により集計した.沖縄県における脳動脈瘤の年間発生頻度は, 4.8~6.2人/10万人である.月間平均温度や湿度の変化と脳動脈瘤破裂は関連がない.脳動脈瘤の好発年齢 (40~60歳代, 79%), 発生部位 (内頚動脈系37%, 前交通動脈24%, 中大脳動脈系19%, 椎骨脳底動脈系3%, 多発性12%) およびくも膜下出血発症時の状況などは従来の報告と同様である。男女比は1 : 1.8と女性優位である.
    結論として, 亜熱帯環境下にある沖縄県においても脳動脈瘤は決して稀な疾患でなく, 気候的影響はその発生および破裂に大きな影響を与えているとはいえない.
  • 椎野 顕彦, 斉藤 晃, 中洲 敏, 半田 譲二
    1985 年 7 巻 3 号 p. 254-257
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳底動脈分岐部動脈瘤のクリッピング後に内側縦束症候群を呈した1例を報告した.症例は高血圧症の既往を有する48歳, 女性で, day 9, grade IIで入院, day 14にネッククリッピングを行なった.術後から輻輳障害を伴う左内側縦束症候群を呈したが, 他に神経学的異常はみとめられず, 輻輳障害, ついで内転障害の順に回復した.
    本例でみられたMLF症候群は, 術中操作一おそらくは穿通動脈の閉塞一による中脳レベルでの内側縦束の障害によると推定される.その原因が特異であり, 症状が単独でCoganの前部障害型に一致することがその臨床経過とともに興味深いと考え, 発生機序に関して若干の考察を加えた.
  • 屋宮 央哉, 山口 武典, 宮下 孟士, 小塚 隆弘
    1985 年 7 巻 3 号 p. 258-262
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Wallenberg症候群の臨床診断は, 専らその特徴的な神経症状・徴候によってなされ, X線CTをはじめとする補助診断法によって病巣を描出することは不可能であった.われわれは磁気共鳴画像診断法 (MRI) により, 病巣部位を明瞭に描出し得たWallenberg症候群の最初の症例を経験したので報告する.
    症例は44歳, 男.めまい, 右顔面痛, 嚥下困難, 吃逆で発症した.第22病日, 来院時に右Horner徴候, 右軟口蓋反射低下, 右小脳失調, 右顔面と左上下肢の解離性感覚障害が認められ, Wallenberg症候群と診断された.脳血管撮影では右椎骨動脈閉塞がみられ, 右後下小脳動脈は造影されなかった.X線CTでは脳幹部に異常を指摘し得なかったが, MRI (超伝導磁石, 静磁場強度0.35Tesla) にて右延髄外側に明瞭なlow intensity areaが描出された (spin echo法, TR0.8 sec, TE 35 msec).この部の病巣は神経学的所見, 血管撮影所見とも矛盾せず本症例の責任病巣と考えられた.
  • 佐藤 雄一, 田川 皓一, 平田 温, 長田 乾
    1985 年 7 巻 3 号 p. 263-268
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    一側視床前内側部の梗塞により, 急性発症のhypersomniaと記銘力障害を呈した2例を経験した.
    症例1 : 62歳, 女性, 右利き.hypersomniaと記銘力障害を認めた.CTscanにて, 非優位側視床の前内側部にX線低吸収域を認めた.症例2 : 68歳, 男性, 右利き.hypersomniaと知的能力の低下や記銘力障害などの精神機能の低下を認め, また, Horner症候群と右上肢の軽度の脱力および異常知覚を認めた.CTscanにて, 優位側視床の前内側部にX線低吸収域を認めた.2症例とも, hypersomniaは約2週間の経過で消失した.
    hypersomniaと記銘力障害の発現に関する視床前内側部の意義について検討し, 文献的考察を加えた.
  • 森 皎祐, 渡辺 雄幸, 松田 行正, 古見 耕一
    1985 年 7 巻 3 号 p. 269-274
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳血管障害例の脂質代謝の変動をアポ蛋白面から検討する目的で, TIA, RINDを含む虚血性脳血管障害81例のアポA-I, A-IIを測定し, HDL・コレステロール (以下HDL・C) その他の動きと対比検討した.アポA-Iは脳梗塞急性期にHDL・Cとよく相関して有意な低下を示すが, その後HDL・Cに先立って, 3ヵ月以内に著明に改善した.
    すなわち, 何らかの原因によるアポA-Iの減少が脳梗塞発症の直接要因であり, また発症後の回復過程にもHDL・Cより深く関与していることが示唆された.アポA-IIも脳梗塞急性期に軽度の低下を示したが, その差は有意ではなく, HDL・Cとの相関もみられなかった.一方, TIAやRINDではアポA群の変動はみられず, これら小発作の発症には, 脂質代謝以外の要因がより大きな役割を演ずるものと思われた。以上, アポA-I蛋白は脳梗塞の発症予測因子として, また経過判定指標として有用と考える.
  • 棚田 修二, 米倉 義晴, 鳥塚 莞爾, 滝 和郎, 福山 秀直
    1985 年 7 巻 3 号 p. 275-282
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳梗塞22例, 小脳梗塞3例, モヤモヤ病4例, 脳出血1例, クモ膜下出血3例, 動静脈奇形4例, の計37例に延べ43回, N-isopropyl-p- (123I) iodoamphetamine (IMP) によるシングル・フォトン・エミッションCT (SPECT) を行ない, X線CT所見と比較検討した.IMPによるSPECTで限局性異常を呈したのは37/43 (86%) 検査で, 28/37 (76%) 検査がX線CTで示される病変よりも血流低下が広範であることを示していた.IMPによるSPECT無所見6例のうち, 4例はX線CT上, 限局性小病変であった.crossed cerebellar diaschisisは15/39 (38%) 検査に認められ, IMPによるSPECT上, 1側大脳半球の広範な血流低下を示す例であり, X線CT上, 大脳半球皮質部の異常の有無とは関連が認められなかった.IMPによるSPECTは小病変の検出には限界があるものの, 病変部周囲を含めた局所脳血流の変化の評価に有効であった.
  • 岩田 芳郎, 早川 道彦, 内藤 通孝, 遠藤 英俊, 葛谷 文男
    1985 年 7 巻 3 号 p. 283-287
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    著者らは種々の原因で剥離された血管内皮細胞が流血中に存在すると考え, Hladovecらの方法に準じて流血中内皮細胞と思われる細胞を観察し, 更にこの細胞にRuthenium red陽性物質, 第VIII因子, α-macroglobulinが存在する事よりこの細胞が血管内皮細胞である可能性が高いと考えるに到った.一方内皮細胞は直径が他の流血中細胞より極めて大きいためその流血中での増加が脳塞栓の原因となる可能性があると考え, 家兎大動脈よりcollagenase処理により得た遊離内皮細胞を家兎総頚動脈より注入したが, 予想に反して脳塞栓を起こし得なかった.一方, 実際に流血中に存在する剥離された内皮細胞は殆んどが変性変形した細胞である為, 超音波で破壊した状態の遊離内皮細胞の注入も試みたが, これにても脳塞栓は起こし得なかった。流血中内皮細胞はその直径が他の流血中細胞より極めて大きいにもかかわらず, それが流血中で増加しても脳塞栓の原因にはなり得ないと結論された.
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