脳卒中
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8 巻 , 5 号
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  • 渡辺 博
    1986 年 8 巻 5 号 p. 349-354
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    虚血性脳血管障害のヘモレオロジー的病態解明と治療の目的で, 脳梗塞症例における赤血球凝集を観察した.in vivoでは, ヒト眼球結膜微小血管血流を生体顕微鏡を用いて観察し, 脳梗塞では著明な血流遅延とsludgingが存在することが認められた.in vitroの赤血球凝集は光透過法により測定したが, 脳梗塞では対照との間に有意の赤血球凝集充進を示した.
    この赤血球凝集充進を改善する目的で, trapidilの効果を観察した.脳梗塞9例でのtrapidil100mg静注により, 15分後には有意の赤血球凝集改善を認めた.またtrapidil 300mg/日の長期経口投与でも, 4週, 8週後に赤血球凝集の有意の改善を認めた.赤血球凝集の亢進は血液粘度の上昇をもたらし, 脳微小循環障害の原因となることが推測されることから, この病態の改善は脳梗塞治療上, 重要である.
  • 藤井 健一郎, 佐渡島 省三, 西村 有史, 八尾 博史, 藤島 正敏
    1986 年 8 巻 5 号 p. 355-362
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    昭和46年より59年まで九州大学第2内科に入院した膠原病179例中15例 (8.4%) に脳血管障害がみられ, 今回検討を行なった全身性エリテマトーデス (SLE) では54例中9例 (16.7%) と発症が高率であった.SLEの脳血管障害発症時の平均年齢は36歳, 男女比は2 : 7, 7例が脳梗塞であった.主症状は片麻痺が多かったが, 20日以上に渡り神経症状が徐々に進行した例や, 頭痛や意識障害で発症し, 後に片麻痺や視力障害をきたした例もあった.梗塞部位は頭頂葉や側頭葉皮質が多く, 脳血栓症に多くみられるものとは異なる傾向であった.検査所見として, 髄液の糖値が, 検査した8例中4例では40mg/dl未満の低値であった.また, 精神神経症状を示さないSLEと比較し, 脳血管障害群では腎症を示す頻度が高く, 殊に尿蛋白が3.5g/日以上と高値でしかも低蛋白血症を示すものが9例中6例にみられ, 脳血管障害の発症との関係が示唆された.
  • 藤井 健一郎, 佐渡島 省三, 井林 雪郎, 吉田 富士雄, 藤島 正敏
    1986 年 8 巻 5 号 p. 363-369
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット (SHR) を用い, 血糖値の脳血流自動調節能に及ぼす影響を検討した.正常血糖 (血糖133mg/dl), インスリン低血糖 (40mg/dl), 急性高血糖 (465mg/dl), ストレプトゾトシン糖尿病 (337mg/dl) ラットを作製し, 大脳皮質, 視床, 小脳皮質の血流を水素クリアランス法で測定した.
    大脳皮質血流量は正常血糖, 低血糖, 高血糖, 糖尿病で各々49±4 (SEM) ml/100g/min, 97±17, 50±4, 62±9と低血糖群で有意に高く, 小脳や視床でも同様の傾向を示した.脱血により血圧を下げた時の脳血流の変化は, 高血糖や糖尿病群では正常血糖群とほとんど差はみられなかったが, 低血糖群では脳血流はより大きく減少し自動調節は消失した.各血糖群内の血管反応性に部位差は認められなかった.
    以上より中等度の低血糖でも血圧下降時の自動調節能が障害されることが示され, その原因の一つとして, 低血糖による脳血管拡張が考えられた.
  • 楠田 憲治, 佐渡島 省三, 藤井 健一郎, 井林 雪郎, 藤島 正敏
    1986 年 8 巻 5 号 p. 370-378
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット16匹を用い, 両側総頚動脈閉塞により脳虚血を作製し, 大脳皮質および視床での脳血流と脳波との関係を検討した.虚血30分の大脳皮質血流量は平均42ml/100g/minから5mlへ, 視床血流量は43mlから22mlに減少した.皮質血流量は13匹で13ml/100g/min以下に減少したが, そのうち12匹で脳波の消失がみられた.一方, 視床脳波は虚血中5匹で消失したが, そのうち4匹では視床血流量は20ml/100g/min以上に保たれていた.虚血中に皮質あるいは視床で脳波が消失したものでは, 非消失例に比べ, 血行再開直後の血流増加はより顕著であったが, 脳波の改善はむしろ不十分であった.組織学的検索では大脳皮質および海馬では間質および神経細胞に軽度の虚血性変化がみられたが, 視床には明らかな変化は認められなかった.全脳虚血では大脳皮質と視床では脳波異常の出現する血流閾値に差があることが示唆される.
  • 小林 祥泰, 北村 昭, 古橋 紀久, 神田 直, 田崎 義昭
    1986 年 8 巻 5 号 p. 379-382
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Stable xenonはradiopaqueなdiffusible tracerのためCTによる三次元的脳血流測定法に臨床応用されている.しかし, Xe自身の脳血流に対する影響については未だ議論が多い.そこで, 我々は5匹の無麻酔猫を用いて80%Xe+20%O2吸入の脳血流に対する影響を水素クリアランス法で検討した.交叉熱電対による観察ではXe吸入約3分後より脳血流は減少しはじめ約10分後にその低下は最大となった.局所脳血流は前頭部皮質下で48.7±17.4ml/100g/minから36.6±25.6 (-20.2±7.5%), 延髄背側部で36.3±2.6ml/100g/minから27.6±20.7 (-24.2±10.4%) といずれも軽度から中等度の有意な減少を示したがテント上下で差は認められなかつた.PaO2は増加傾向を示したが, 平均血圧PaCO2, PHに変化は見られなかつた.また, 後頭部よりモニターした脳波は, 脳血流低下とほぼ一致して徐波化を示したが, 律動性はよく保たれていた.
  • 岩本 俊彦, 勝沼 英宇, 山口 克彦, 荒木 五郎, 柚木 和太
    1986 年 8 巻 5 号 p. 383-392
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2010/01/21
    ジャーナル フリー
    脳血管撮影で認められる側副血行とCT所見との相関を知る目的で, 内頚動脈閉塞を認めた47例を対象として4-vessel studyおよびCTを施行し, 出現した各側副血行の程度をCT所見と対比, 検討した.各側副血行の出現は脳血管撮影の時期により変化したが, その出現頻度は眼動脈を介するもの (Oph) 30%, Willis動脈輪を介するもの (CW) 53%, 脳軟膜吻合を介するもの (LM) 30%で, 組み合わせではOph (-) +CW (〓) +LM (-~+) が全体の46%を占めていた.7型に分類したCT所見との対比から, 閉塞上閉塞や二次性血栓の増生によるCWよりのcross fillingのblockおよび内頚動脈閉塞の速度が各側副血行を規定し, CT所見を左右することが示唆された.これらから, 脳血管撮影所見とCT所見とが直ちに相関するとは言い難いが, 病態を考慮すると極めて相関すると思われた.
  • 内山 真一郎, 長山 隆, 佐藤 玲子, 小林 逸郎, 丸山 勝一
    1986 年 8 巻 5 号 p. 393-400
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳塞栓症を生じて入院した特発性心筋症 (ICM) 8症例について臨床的検討を加えた.ICMの病型の内訳は拡張型3例, 肥大型4例, 肥大型閉塞性1例で, 肥大型の多いことが従来の報告と異なっていた.肥大型も心房細動や心不全を合併する病期になると拡張型と同様に塞栓症を併発しやすくなると考えられた.ICMによる脳塞栓症の特徴は右内頚動脈系に多く, 頻回に再発をくり返し, 意識障害はないか軽度なことであった.凝血学的には血小板放出因子 (β-TG, PF4) の増加と血液粘度の上昇が高率に認められ, 心腔内の血流異常や血栓形成との関連が示唆された.ICMによる脳塞栓症の再発予防に抗血小板剤療法は有効とは云い難く, 抗凝固療法が試みられるべぎである.
  • 立花 久大, 成田 光洋, 武田 正中, 西岡 安弘, 杉田 實
    1986 年 8 巻 5 号 p. 401-406
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    多発梗塞性痴呆 (MID) の体性感覚誘発電位 (SEP) を測定し, MIDの電気生理学的特徴を明らかにする.対象はMID14例 (71.9±6.7歳) で比較のため痴呆を有さない慢性期脳梗塞患者 (CI) 12例 (70.7±9.5歳) および正常者14例 (68.9±7.4歳) も検討した.MID群は正常群に比しN20, P25, N33が有意に遅延しており, またCI群に比してもN33, P40が有意に遅延していた.頂点間潜時差ではMID群は正常群に比しN13-N20, N13-P25, N20-N33が有意に延長しており, CI群に対してもN13-N33が有意に延長していた.N20-N33, N20-P40についても有意ではないが明らかに延長していた.またMID群, CI群ともに正常群に比しN13-N20の左右差が有意に大であった.以上MID群のSEPは皮質下のみでなく, 大脳皮質が発生源とされるN33, P40にも異常が認められた.このような結果はSEP測定が脳卒中患者の痴呆を評価する際や, 皮質性痴呆とされるアルッハイマー型老年痴呆との臨床的鑑別に有用な指標となりうることを示唆している.
  • 北川 一夫, 田中 健一, 宮井 元伸, 額田 忠篤, 博田 節夫
    1986 年 8 巻 5 号 p. 407-411
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    昭和58年から60年にかけて当科に入院した脳卒中患者79例を対象とし, 年齢, 各種の神経機能障害, 麻痺側とリハビリテーション施行6ヵ月後におけるADL自立の可否とを対比検討した.70歳以上の高齢者群は70歳未満の群に比しADLで非自立に終わる割合が多かった.神経機能障害の各項目の中では, 失認, 失行, 失語の高次脳機能障害と知能障害が最もADL自立を阻害する因子として重要と考えられ, これらを有する群と有さない群の間にはADL自立の割合において有意な差を認めた.特に70歳以上の高齢者群での高次脳機能障害や知能障害を有する群は, ほぼ全例が自立に終わり, とりわけ高齢者では脳卒中後の高次脳機能障害や知能障害の合併がADL自立に大きな影響を及ぼすものと考えられた.
  • 近藤 進, 村松 慎一, 山口 晴保, 森松 光紀, 平井 俊策
    1986 年 8 巻 5 号 p. 412-416
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    橋出血から1年後, oculo-palato-skeletalmyoclonusを呈し, MRIによって初めて橋被蓋の病巣を明らかにし得た1例を報告する.
    症例は61歳, 男性.意識消失と右片麻痺の発作があり, X線CTにて橋背部の小出血と診断されたが, 数ヵ月後には右片麻痺はほぼ消失した, この発作から1年後, 右上下肢の不随意運動が出現し徐々に増悪, 歩行不能となり入院した.初診時, 両眼・軟口蓋・右上肢に同期性の約2Hzのミオクローヌス (oculo-palato-skeletal myoclonus) を認めた.この他, 右顔面知覚低下, 右半身の錐体路徴候・知覚低下・協調運動障害, 体幹運動失調をも伴なっていた.X線CTでは病巣は描出されなかったが, MRIにて橋被蓋に低信号域を認めた.この病巣は左に優位で, 中心被蓋路を含むと推測された.本例は, 従来剖検によらねぽ同定し得なかった口蓋ミオクローヌスの責任病巣を, MRIにより生前に明瞭に描出し得た貴重な症例である.
  • 五味 愼太郎
    1986 年 8 巻 5 号 p. 417-424
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    Mongolian gerbil 30分間一側総頚動脈閉塞 (CCAO) の脳虚血モデルを用い, 頭頂部皮質において血行再開後早期の局所脳グルコース代謝 (LCGU) と脳血流量 (CBF) の経時的変化を比較検討した.LCGUは14C-2-deoxyglucoseを血行再開30分後に静注し, Sokoloffの式により算出した.CBFは水素クリアランス法を用い, CCAO前, CCAO後20分, 血行再開後50分に測定した.血行再開後早期のCBF・LCGUの障害の程度は虚血時のCBFの低下の程度と有意な相関関係を示したが, その時点ではCBFとLCGUとの間には一定の関係はなかった.血行再開後早期の非閉塞側CBFは, CCAO前と比べ平均18%低下し, 閉塞側CBFの低下の程度と有意な相関関係を示した.しかし, LCGUとCBFは一定の関係を示さなかった.以上より, 次のことが示唆された. (1) 血行再開後早期の脳循環代謝障害は虚血時のCBFの低下の程度により規定される. (2) 非閉塞側にみられるCBFの低下は必ずしも脳グルコース代謝障害を伴わずに出現する.
  • 斉藤 斉, 篠原 幸人
    1986 年 8 巻 5 号 p. 425-432
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    血液レオロジー的諸因子, 特に赤血球凝集能 (RBC-A) に焦点をあて, これらの因子が脳梗塞患者脳血流に及ぼす影響を検討した.対象は一側性テント上脳梗塞急性期23例, 非急性期20例である.脳血流 (ISI) は133Xe静注法, RBC-AはRBC-aggregometerで測定した.解析に用いた因子はRBC-A, フィブリノーゲン (Fib), Ht, 年齢, 平均動脈血圧, 発症後日数, 動脈CO2分圧, 空腹時血糖 (FBS), 血小板数, 総コレステロール, トリグリセライド, CT上の梗塞巣の体積 (LDA) である.急性期のISIと各パラメーターの単相関ではLDAのみISIと有意の負の相関を示し, 非急性期では両側ともISIとRBC-A, FibおよびFBSが有意の相関を示した.重回帰分析でも上記の因子が各々ISIに大きく寄与していた.RBC-Aを含めた血液レオロジー因子は急性期脳血流値にはあまり影響しないが, 非急性期脳梗塞患者脳血流値には大きく関与していると考えた.
  • 樋口 敏宏, 成瀬 昭二, 堀川 義治, 田中 忠蔵, 平川 公義
    1986 年 8 巻 5 号 p. 433-439
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    Mongolian gerbilの総頚動脈結紮により作製した虚血脳の脳エネルギー代謝の変化を, in vivo 31P-NMR測定法を用いて観察し, この実験モデルの特徴について検討を加えた.両側総頚動脈結紮を行った11尾では全例で虚血変化をみとめたが, 一側総頚動脈結紮を行った33尾の内では9尾にのみ虚血変化をみとめたにすぎず, 18尾では全く変化をみとめなかった.虚血変化をみとめたものでも, 高エネルギーリン化合物 (ATP, phosphocreatine) の低下, inorganic phosphateの増加と組織の酸性化が急激に出現したものから, 数時間を要したものまで種々あり, またこの変化が一過性に出現した後に自然に回復したものもあり, 従来報告されている以上に個体による多様性があることが明らかになった.in vivo 31P-NMR法は虚血病巣発生の有無や程度を無侵襲で評価する事が可能であり, 同一個体の変化を経時的に, かつ半定量的に解析する上で極めて有用である.
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