脳卒中
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9 巻 , 3 号
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  • 早川 徹
    1987 年 9 巻 3 号 p. 177-192
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    局所脳虚血モデルとしての経眼窩的中大脳動脈閉塞法は, 大開頭による頭蓋骨の変形・減圧や脳の露出・圧迫などによる影響を避けて中大脳動脈起始部を閉塞することができる優れた局所脳虚血作成法として, 主としてネコ・サルなどの中動物の実験に現在広く適用されている.著者は1973年より約2年間本法の開発者の一人であるA.G.Waltz教授のもとで研究を行って以来, 主としてネコの本モデルを用いて局所脳虚血病態の実験的研究を重ねてきた。そこで過去10年間に内外の研究者によってネコの本モデルを用いて得られた知見を概括するとともに, これらの文献並びに自験に基ずき本モデルの有用性と問題点について考察し, 局所脳虚血実験モデルとしての本法の位置づけを試みた.
  • 黒岩 俊彦, 富田 修一, 清田 満, 桶田 理喜, 稲葉 穣
    1987 年 9 巻 3 号 p. 193-200
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳虚血のモデルとしては現在に至るまで数多くのモデルが用いられているが, 中でも経眼窩的中大脳動脈閉塞モデルは, その病態がヒトの脳梗塞に近いため広く用いられている.我々はその原法を改良して良好な成績を収めている.即ち, 実験2~7日前に中大脳動脈を経眼窩的に露出し, ナイロン糸をその周囲にかけ, その糸を眼窩内にレジンで固定したチューブを介して眼窩皮下に誘導しておく.実験の際はその糸を牽引することにより中大脳動脈を閉塞し, 糸を抜去することにより再疎通をはかる.我々の改良したモデルは脳内の単一血管の閉塞により脳梗塞が生じ, 必要に応じて再開通が可能である.また脳虚血発症時に麻酔剤を使用する必要がなく, 髄液の漏出等によるartifactの可能性が最小限である等の優れた点があり, 今後の脳虚血の研究に有用であると思われる.
  • 佐渡島 省三, 藤井 健一郎, 楠田 憲治, 八尾 博史, 藤島 正敏
    1987 年 9 巻 3 号 p. 201-206
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラットを用い, 脳血流自動調節能におよぼす交感神経の影響を検討した.基礎平均血圧は9週, 4, 6ヵ月でそれぞれ115±8,144±7,168±6mmHg, 自動調節能上限も149±6,182±7,210±11mmHgと加齢とともに上昇した.片側上頚部交感神経節切除により自動調節能上限がそれぞれ132±5,165±5,187±9mmHgと健側に比し15~20mmHg低くなるのがみられた.一方生後4週目に除神経をおこなった慢性群では, 9週齢では自動調節能上限に摘除側と健側とで差がないが, 4ヵ月では186±9から168±8mmHgに, 6ヵ月でも215±12から180±11mmHgへと除神経側で有意に低く, また動脈壁/内腔比 (freezesubstitution法) も4ヵ月で約20%, 6ヵ月で約12%除神経側で小さい所見が得られた.交感神経はそれのもつ二つの作用 (tonusとtrophic effect) により, 血圧上昇時の脳循環の制禦に関与することが示唆される.
  • 関本 博, 中野 利美
    1987 年 9 巻 3 号 p. 207-217
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    昭和38年, 48年, 58年の過去20年間の日本人脳卒中死亡率と気候とくに気温との関係について厚生省大臣官房調査統計部人口動態課, 通産大臣官房調査部資源エネルギー統計調査室よりそれぞれ資料の提供を受け, これらの統計学的数値と気象庁から発表された日本の各都道府県の気温をもとに比較検討した.
    過去20年間, 3度の調査のいづれの年度においても, 気温と脳血管疾患死との間には有意の相関がみとめられた.低温0℃~5℃付近にもっとも多発していた.また東京, 大阪, 沖縄県などでは脳血管疾患による死亡の季節変動はほとんどみとめられず, 死亡数もすくなかった.この傾向は北海道でも同様であった.現在でも寒冷時の脳血管疾患死は暖房デグリーデーと灯油の消費量比の大きい地域, すなわち室内暖房の配慮のすくない地域に多発していることを示唆する成績がえられた。
  • 丸尾 泰則, 田代 邦雄, 福嶋 隆三, 佐藤 松治, 加藤 功
    1987 年 9 巻 3 号 p. 218-225
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳幹部血管奇形は稀な疾患で, その臨床症状は様々である.まったく無症状のまま経過し, 剖検時に偶然に発見されるものから, 致死的な大出血をおこすものまである.私達は脳幹部血管奇形としては特異な臨床経過をもった3症例を経験したので報告する.症例1は左動眼神経麻痺と右片麻痺で発症し, Weber症候群を呈した.CTスキャンと脳血管写より静脈性血管腫と診断された.症例2および症例3は長期間にわたって, 種々の脳神経麻痺, 錐体路症状, 小脳症状が寛解増悪をくり返しながら進行し, 経過中多発性硬化症 (MS) との鑑別が困難であった.いずれも神経放射線学的検査により脳幹部血管奇形と診断された.長期生存しその臨床経過がMSに類似した脳幹部血管奇形の症例は, 私達の2例を含めて28例が報告されている.寛解増悪を示す脳幹症状を呈する症例の場合, 頻度は少ないとは言え, 脳血管奇形も疑って注意深い神経放射線学的検査を行なう必要がある.
  • 日野 明彦, 久保 哲, 武美 寛治, 池田 正一, 天神 博志
    1987 年 9 巻 3 号 p. 226-232
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳卒中超急性期における電解質・代謝の変動を調査し, とくに従来あまり注目されなかった血清Kの動態について検討した.発症6時間以内に, 他の医療機関を経ずに搬入されたくも膜下出血54例, 脳内出血43例を対象とした.搬入直後より, 血清電解質, 血糖値を測定し, 尿中電解質, 動脈血ガス分析, CTおよび血管撮影の所見, 神経学的重症度, 予後, 血中インスリソ, 血中及び尿中カテコラミン分画との関連について検討した.ほぼ半数例で, 3.4meq/l以下の低K血症, 高血糖がみられ, それらの程度は, 重症度および予後と有意に相関した.また低K血症はほとんどが一過性であった.低K血症群でも尿中K排泄量の増加はなく, 血中インスリン, 血液ガスもほぼ正常であったが, 血中及び尿中アドレナリン, ノルアドレナリンは高値をしめした.低K血症の要因としては, カテコラミンの増加を介するKの細胞内移行が考えられ, 脳卒中急性期のストレスの強さが伺われた.
  • 山下 一也, 小林 祥泰, 山口 修平, 木谷 光博, 恒松 徳五郎
    1987 年 9 巻 3 号 p. 233-238
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    長期にわたる喫煙の脳血流に及ぼす影響について, 地域健診対象男性67名を対象として検討した.対象を若年喫煙群15名, 同非喫煙群14名, 高年喫煙群16名, 同非喫煙群22名の4群に分けた.各群において, 133Xe吸入法で測定した脳血流量と呼吸機能, PeCO2, ヘマトクリット (Ht), 血清脂質, 血圧などを比較検討した.各群の脳血流量は, 若年者では, 喫煙群67.7±16.3ml/100g/min, 非喫煙群70.6±9.6ml/100g/minと両群間に差がなかったが, 高年者では, 喫煙群53.1±9.6ml/100g/min, 非喫煙群61.3±12.4ml/100g/minと, 喫煙群が有意に低値であった (p<0.02).各群の呼吸機能の比較では, V50, PeCO2が喫煙群が非喫煙群に比し, 若年群高年群とも有意に低下していた.しかし, Ht, アンチトロンビンIII (ATIII), 総コレステロール (T-CHO), HDLコレステロール (HDL-C) および血圧においては, 喫煙群と非喫煙群との間に差がみられなかった.また, 脳血流量とPeCO2は有意の正相関 (p<0.001) を示した.
    長期の喫煙は脳血流を減少させるということは, 諸家の報告と一致するが, 今回の我々の検討では, その原因として, 脳動脈硬化促進というよりは, 喫煙による潜在性のsmall airwayの障害から, PCO2低下が出現し, 脳血管収縮, 脳血流低下が生ずる可能性が考えられた.
  • 岡田 靖, 山口 武典, 峰松 一夫, 澤田 徹, 長木 淳一郎
    1987 年 9 巻 3 号 p. 239-245
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    一定の診断基準による脳塞栓連続186例 (塞栓群) および血栓性脳動脈閉塞症連続142例 (血栓群) を対象として, 急性期生命予後に関連する臨床的, 神経放射線学的所見について検討した.発症2ヵ月以内の死亡率は塞栓群17.8%, 血栓群5.6%と前者で高率であった.直接死はそれぞれ20例, 4例で, 全例10病日以内に死亡し, そのピークは4病日であった.直接死例の大部分は, 塞栓性内頚動脈閉塞および前大脳動脈, 中大脳動脈主幹部の2枝閉塞であり, CT上では半球面積の2/3以上におよぶ広範な低吸収域を呈していた.発症早期における中心線偏位の程度は, 生命予後の有用な指標となった.CT上の出血性梗塞の出現率は, 塞栓群が血栓群に比し高率であったが, 塞栓群直接死例での出現率は, 塞栓群非直接死例に比べ必ずしも高くなかった.脳梗塞急性期生命予後の推定には, 病型の鑑別 (塞栓, 血栓) は勿論, 血管閉塞部位, CT上の中心線偏位の程度が有用な指標となる.
  • 東海林 幹夫, 針谷 康夫, 岡本 幸市, 平井 俊策, 高玉 真光
    1987 年 9 巻 3 号 p. 246-253
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    475例の虚血性脳血管障害例に抗血小板薬を投与し再発に対する効果をretrospectiveに検討した.aspirin (ASA) を108例に, ticlopidine (TP) を199例に投与し, 非使用168例と比較した.30ヵ月の観察期間中に, ASA使用群で15例13.9%に, TP使用群では18例9%に, 非使用群では40例23.8%に再発を認めた。統計的解析では抗血小板薬使用群で明らかな累積再発率の低下がみられた (p<0.001).ASA使用群とTP使用群, ASAの投与量, 性別および併用薬剤による累積再発抑制率の有意差はみられなかった.抗血小板薬は皮質枝領域および穿通枝領域血栓の再発予防に有効であった.再発は同一血管支配領域に多く, 又, 血圧管理の不良なものに多かった.血圧を管理して通常の投与量の抗血小板薬を用いれば副作用は少なく安全に長期投与できると考えられた.
  • 金子 隆昭, 森竹 浩三, 米川 泰弘, 長沢 史朗, 半田 肇
    1987 年 9 巻 3 号 p. 254-259
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳動脈流破裂によるクモ膜下出血後の脳血管レン縮は患者の予後を左右する最も重要な因子とされているが, これまでその診断に有効な手段を欠いていた.transcranial Dopplerを用いて5例の破裂脳動脈瘤のneck clipPing後, 中大脳動脈の血流速度とパターンを経時的に観察し, 次の2例において脳血管レン縮によると思われる中大脳動脈の血流速度の増大ならびにソナグラム上 “stenotic flow pattern” の出現を認めた.症例1 : 76歳女性で発作後2週目頃より左片麻痺が出現右中大脳動脈の血流速度は軽度上昇し, “stenotic flow pattern” の出現を見た.症例2 : 51歳女性発作後6日目頃より不穏状態, 記銘力の低下が出現.右中大脳動脈の血流速度の増大, “stenotic flow pattern” の出現を確認した.transcranial Dopplerは脳血管レン縮の診断法として有用と思われた.
  • 国塩 勝三, 山本 良裕, 角南 典生, 山本 祐司, 浅利 正二
    1987 年 9 巻 3 号 p. 260-265
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Persistent primitive trigeminal artery (PTA) に多発性脳動脈瘤を合併した72歳女性例を報告するとともに, 特にPTAに合併した脳動脈瘤の発生機序を中心に, 文献上記載の明らかな28例, 40個の動脈瘤をAgnoliのtype別に分類し, さらにそれらを分析・検討し考察を加えた.その結果, これら40個の動脈瘤の発生部位として, PTA自身またはその分岐部に11個と最も多く, IC-PCに11個 (同側に9個) であった.さらに, 同側の内頚動脈系に16個で, VA-BA系は4個であった.以上よりPTAに合併した脳動脈瘤の成因に関し, 血管壁自体の先天的脆弱性に加え, PTAによって生じたWillis動脈輪の血行動態の異常に伴うhemodynamic stressの関与が強く示唆された.
  • 紀田 康雄
    1987 年 9 巻 3 号 p. 266-272
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    血栓性内頚動脈閉塞症慢性期61例を脳血管写所見より副血行のタイプにより二群に分類し, ヘマトクリット (Ht) が脳循環に及ぼす影響を副血行路別に検討した.脳血管写上主たる副血行がウイリス輪を介し順行性に流れていた34例を順行群 (A群) とし, 外頚動脈枝や皮質枝吻合を介し逆行性に供給されていた27例を逆行群 (R群) とした.脳血流量 (rCBF) はXe吸入法により測定した.A群におけるHtとrCBFの相関はr=-0.13で両者の間に有意な比例関係は見られなかった.一方R群ではHtとrCBFの相関はr=-0.40であり有意な負の相関を認めた (p<0.05).以上の結果は逆行性副血行血流が順行性副血行血流に比べてHtの影響を, より受け易いことを示唆している.逆行性副血行路の血流は抵抗血管を一回余分に通過しなければならず, そのため末梢の流速低下が順行性副血行の場合に比べて大である.逆行性副血行血流がHtの影響を受け易い事の背景には, この流速 (Shererate) の低下が関与していると思われる.また一般に逆行性副血行路は迂遠で距離的に順行性副血行路より長いが, この距離の差も両者の血行動態の違いに寄与している可能性があると考えられた.
  • 新名主 宏一, 松本 秀也, 大勝 洋祐, 丸山 征郎, 井形 昭弘
    1987 年 9 巻 3 号 p. 273-279
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    血友病Aに合併した脳出血に伴う凝血病態の推移を検討した.症例は51歳男性.脳内出血発症約13時間後より濃縮第VIII因子補充療法を開始した.最も鋭敏なthrombin産生・作用の指標であるfibrinopeptide A (FPA) は補充療法開始前には全く増加しておらず, また補充療法開始とともに血中VIII : Cレベルは充分に維持されたにも拘らず第2病日までは殆ど増加しなかった.これに相応して脳内血腫量も著しく増大し病状も進行した.第3病日になってようやく明らかなFPAの増加がみられた.
    脳出血発症後のthrombin活性の発現の遅延は血友病に伴う二次止血機転の発動の障害を反映し血腫の増大と強く関連したことが示唆され, 本症例のように緊急的止血を要する重篤な出血性発作を保存的に管理する場合, 第VIII因子補充療法のみでは即時的止血機転の発動は生じ難く, thrombinや活性化第X因子を含有する活性型第IX因子製剤との併用療法が有効である可能性が推定された.
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