血漿β-thromboglobulin (β-TG) 値は, 生体内の血小板機能をよく反映するとされている.脳梗塞発症3日以内の症例を対象に, 血管に人為的損傷の加わっていない状態で採血した血漿β-TG値を, 脳梗塞の病型別に検討し, 高値の順に, (1) 血栓性主幹・皮質枝病変群 (Th-c群) : 207ng/m
l, (2) 動脈由来脳塞栓群 (E-a群) : 135ng/m
l, (3) 穿通枝血栓群 (Th-p群) : 92ng/m
l, (4) 心臓由来脳塞栓群 (E-c群) : 51ng/m
l, (5) 灌流圧低下による脳梗塞群 (H群) : 27ng/m
lの結果を得た.Th-c群のβ-TG値は, βa群を除く他の病型に比し有意に高値をとり, この病型の発症に血小板機能の亢進が最も大きく関与していることが示唆された.また, 主幹動脈閉塞を示す症例で, 血栓性か心臓由来塞栓性かを鑑別するのに発症初期のβ-TG値の検討が有用であると思われる.E-c群とH群で低値をとったことより, この二つの病型の発症初期には血小板機能は亢進しておらず, 発症機序への血小板の関与は少ないと考えられた.
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