脳卒中
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総説
  • 古賀 政利, 井上 学, 園田 和隆, 田中 寛大, 塩澤 真之, 岡田 敬史, 池之内 初, 福田 哲也, 佐藤 徹, 猪原 匡史, 板橋 ...
    2020 年 42 巻 6 号 p. 495-501
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    [早期公開] 公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    要旨:脳梗塞の診断にはCTもしくはMRIによる画像評価が必須である.再開通療法の可能性があれば速やかに最低限必要な画像評価で再灌流療法の適応を決定することが重要である.2018年に改訂された米国のガイドラインでは,来院から20分以内に画像診断を行うことが推奨されたが,わが国のガイドラインには画像診断までの時間の推奨はない.わが国では普及率が高いMRIで急性期脳梗塞を評価している施設が多い.機械的血栓回収療法の適応判定には脳実質の評価に引き続き速やかな頭頸部血管評価が必要である.米国では発症6時間超の脳梗塞に対してCTもしくはMRIを使用した脳虚血コア体積や灌流異常の評価による機械的血栓回収療法の適応を推奨しているが,わが国では灌流画像評価や迅速解析に対応した自動画像解析ソフトウェアが普及していない.急性期脳梗塞に対する適切な再灌流療法を行うための,わが国の医療環境にあわせた画像診断指針が必要であろう.

原著
  • 岡田 敬史, 井上 学, 山上 宏, 田中 寛大, 塩澤 真之, 園田 和隆, 池之内 初, 福田 哲也, 佐藤 徹, 猪原 匡史, 工藤 ...
    2020 年 42 巻 6 号 p. 502-508
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    [早期公開] 公開日: 2020/04/13
    ジャーナル フリー

     要旨:【目的】全国の脳梗塞診療施設で行われている画像診断の現状をアンケート調査で明らかにする.【方法】日本脳卒中学会認定研修教育病院,日本神経学会認定施設,日本脳神経外科学会専門医所属病院を対象に,Web回答によるアンケート調査を行った.【結果】回答率は26%(556/2112)で,507施設が急性期脳卒中診療を行っていた.急性期脳卒中診療施設のうち,CT/MRI 両方を評価していたのが61%と最多であり,来院から画像診断開始までの時間は20分以内が61%であった.血管内治療(EVT)施行施設(322施設)のうち263施設(82%)が発症6時間超でもEVTを施行しており,そのうち発症6時間超のEVT適応判定に脳灌流画像を用いて評価しているのは12%であった.【結論】本邦ではCT,MRI 両方を組み合わせて画像診断を行っている施設が多く,脳灌流画像による診断は十分普及していなかった.

  • 太田 昭生, 山縣 然太朗
    2020 年 42 巻 6 号 p. 509-514
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    [早期公開] 公開日: 2020/04/13
    ジャーナル フリー

     要旨:【背景および目的】無料低額診療事業を利用して脳卒中治療を受けた患者を調査することで,貧困者の脳卒中の特徴を明らかにすることを目的とする.【方法】2010年10月~2018年3月に無料低額診療事業を活用して受診した113人のうち,脳卒中の治療で回復期リハビリテーション目的に入院した患者を無低群,当該患者の次に入院してきて無料低額診療事業を利用しなかった脳卒中患者を対照群とした.【結果】無低群は27人.無低群では収入の対生活保護率は64%,平均年齢は72.0歳,男性は18人,全入院期間は143.7日だった.対照群は,平均年齢78.9歳,男性14人,全入院期間は95.1日だった.【結論】貧困状況で生活している人たちは,非貧困者と比べ若年時に脳血管障害に罹患する危険性が高く,発症した際には入院期間が長期化する.

  • 室井 よしみ, 森島 安里, 鈴木 理恵, 井之川 真寿美, 齋藤 尚代, 野村 美穂, 永岡 美穂, 森川 美香, 庭田 愛那, 風間 友 ...
    2020 年 42 巻 6 号 p. 515-522
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    [早期公開] 公開日: 2020/04/13
    ジャーナル フリー

     要旨:【目的】入院初期に意識障害や嚥下障害などにより経口摂取困難な脳卒中患者に,当院独自の栄養量需給管理システム「NSTManager」の有用性を検討した.【方法】対象は急性期脳卒中症例で,入院3日目の段階でGCS 12点以下または食事摂取量が7割未満で,28日間連続観察可能な症例とした.同システムの導入前(対照群,30症例)と導入後(NSTManager 群,39症例)とで,入院後の栄養状態,エネルギー量充足率,絶食期間,消化管有害事象を比較検討した.【結果】NSTManager 群は,対照群と比較して,絶食期間の短縮(p=0.00022),消化管有害事象の減少(p=0.019),体重変化率の制御(p=0.032)が有意に得られた.また,入院21,28日目のエネルギー量充足率が有意に高かった(p=0.027,p=0.019).【結論】脳卒中患者に NSTManager を使用した栄養管理は有用である.

症例報告
  • 三宅 勇平, 清水 信行, 山本 哲哉
    2020 年 42 巻 6 号 p. 523-527
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    [早期公開] 公開日: 2019/12/25
    ジャーナル フリー

    要旨:42歳男性.誘因なく頭痛,めまい,嘔吐が出現した.頭部MRI検査では両側椎骨動脈(VA)から脳底動脈の描出不良を認め,両側小脳,脳幹に梗塞巣を認めた.左VA は大動脈弓部から起始していた.患者は抗血栓療法により増悪なく経過し,両側VAは経時的変化により再開通したことなどから,両側VA解離と診断した.両側VA解離は比較的稀であり,左VA大動脈起始に合併した例は渉猟した限り認めなかった.両側発生の原因として,一側の解離の対側進展や,一側の解離による血流低下が対側の血流増加をもたらし解離を誘発することが推測されている.さらに,大動脈弓から起始している左VAは解離の危険性が高いことが報告されている.このことから,特に左VA大動脈起始例では,右VA解離により左VA解離を起こす可能性もしくは潜在性に起こしている可能性が推測され,本例はそれを支持する症例と考えられた.

  • 篠藤 祐也, 高橋 牧郎
    2020 年 42 巻 6 号 p. 528-532
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    [早期公開] 公開日: 2019/12/25
    ジャーナル フリー

    要旨:甲状腺腫瘍が総頸動脈解離の原因となった既報はなく,脳卒中科のみならず耳鼻科領域においても臨床上重要と思われるため報告する.症例は76歳女性,72歳時に左甲状腺腫瘍を指摘されたが,吸引細胞診で悪性所見なく経過観察となった.76歳時,突然の意識障害と右片麻痺で搬送され,NIHSS スコアは22点だった.MRIで左総頸~内頸動脈に解離を認めたが急性期脳梗塞巣はなく,検査中に症状は寛解した.ヘパリンナトリウムで治療開始し翌日には無症状となったが,頭部前屈に伴い意識消失と右片麻痺が出現するTIAを2回生じた.入院第5病日よりTIAは消失し,MRIで動脈解離の改善を確認し,第29病日に退院した.後日腫瘍は摘出され,頸動脈への浸潤は認めなかったが,病理検査で濾胞癌と診断された.本例では左総頸動脈が長径約 5 cm の甲状腺腫瘍に圧排され,血管の過伸展や屈曲,血管分岐部の牽引力により外傷性動脈解離を発症したと考えられた.

  • 古賀 嵩久, 竹本 光一郎, 堀尾 欣伸, 阪元 政三郎, 井上 亨
    2020 年 42 巻 6 号 p. 533-537
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    [早期公開] 公開日: 2019/12/25
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は52歳女性.2013年に両上肢感覚異常を主訴に頭部MRIを施行し,もやもや病の診断となった.2017年,MRIにて左側脳室近傍の深部白質に動脈瘤および同部に微小な脳出血を認め入院となった.無症候性脳出血を呈した後脈絡叢動脈瘤であり,治療方針(直達手術,血管内治療,血行再建術)について説明した上で,保存的治療を希望された.その後,再出血はなく,2カ月後のMRIで動脈瘤血栓化を示唆する所見があり,発症5カ月の血管撮影で動脈瘤の閉塞を認めた.もやもや病関連の末梢動脈瘤の治療方針は確立されていない.再出血が多く,積極的治療が望ましいが,治療リスクも高く,未破裂や本例のような無症候性病変では治療方針決定に難渋すると思われる.もやもや病関連の後脈絡叢動脈瘤の治療方針について文献的考察を加え報告する.

  • 大垣 福太朗, 周藤 高, 戸村 九月, 松永 成生, 小林 夏樹, 石川 幸輔, 五林 優子
    2020 年 42 巻 6 号 p. 538-542
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    [早期公開] 公開日: 2020/01/27
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は29歳女性.突然の激しい頭痛を発症し,次第に左下肢のしびれを伴ったため,発症3日後に近医を受診され,当科紹介となった.頭部CTで右側頭頭頂葉に浮腫性変化を伴う出血性病変を認め,頭部MRIではT1強調画像において脳底静脈から直静脈洞にかけて連続する高信号を認めた.経口避妊薬の内服歴と臨床経過から静脈洞血栓症が疑われた.発症後より頭痛は改善傾向にあり,出血発症を考慮して経口避妊薬の中止と血圧管理のみで経過観察とした.入院7日後の脳血管撮影では,動脈相後期に umbrella sign と共に表在静脈への流出所見を認め,developmental venous anomaly(DVA)が脳出血に関与していたことが示唆された.血管撮影での静脈鬱滞所見が軽度であったため保存的治療を継続したところ,良好な転帰が得られた.DVAの自然経過は一般に良好とされるが,症候性例では血管奇形の合併や血栓症の併発など血行動態の変化を伴う場合があり,病態評価が治療方針の決定に有用である.

  • 五十嵐 晃平, 久下 淳史, 近藤 礼, 下川 友侑, 山木 哲, 齋藤 伸二郎, 園田 順彦
    2020 年 42 巻 6 号 p. 543-547
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    [早期公開] 公開日: 2020/01/27
    ジャーナル フリー

    要旨:74歳,女性.アルツハイマー型認知症と診断を受けており,施設に入所中であった.転倒後に頭痛の訴えがあり,頭部CTでくも膜下出血を認めた.問診にて病歴聴取と頭痛の性状等を尋ねるも,認知症の影響により情報収集が困難であった.3D-CT angiography を施行したところ,前交通動脈に囊状動脈瘤を認めた.外傷性くも膜下出血との鑑別目的に造影 MR vessel wall imaging を施行したところ,脳動脈瘤壁に強い増強効果を認めた.病歴聴取はままならなかったが,脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の可能性が高いと判断し,血管内治療を施行した.新たな合併症・神経脱落症状を呈することなく発症前の状態で独歩退院した.病歴聴取が困難であった高齢認知症患者のくも膜下出血の治療方針の決定に造影 MR vessel wall imaging が有用であった1例を経験したので報告する.

  • 三善 健矢, 久保 慶高, 南波 孝昌, 三﨑 俊斉, 柴内 一夫, 菊池 登志雄, 片桐 克則, 幸治 孝裕, 小笠原 邦昭
    2020 年 42 巻 6 号 p. 548-552
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    [早期公開] 公開日: 2020/01/27
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は神経線維腫症1型の25歳女性.左頸部腫脹と呼吸困難が3日間の経過で進行し,気道閉塞を来したため当院へ搬送された.CT上左頸部皮下軟部組織全体にわたる血腫を認め,正中偏位を来していた.血管撮影では左頸部内頸動脈の紡錘状の動脈瘤とともに左顔面動脈から血管外漏出を認めた.後者に対し,コイル塞栓を施行した.しかし,術11時間後から左頸部の腫脹がさらに増大し,CTA上左頸部内頸動脈の紡錘状動脈瘤が増大していたため,動脈瘤の末梢側および中枢側内頸動脈をコイル塞栓し,動脈瘤のトラッピングを行った.術後虚血合併症はなく経過したが,術1カ月半後に左頸部の皮下膿瘍,皮膚の自壊を認め,血腫除去および皮下郭清を施行した.その後の経過は良好であった.本症例は,頸部内頸動脈の血栓化動脈瘤が急速に増大して顔面動脈を物理的に損傷して皮下出血を来し,出血源である顔面動脈の処置後も動脈瘤が増大し続けたと思われた.

  • 古田 泰之, 藤谷 茂太, 大垣 福太朗, 小川 正太郎, 水田 亮佑, 藤本 蒼, 上田 雅之, 太田 貴裕
    2020 年 42 巻 6 号 p. 553-559
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    [早期公開] 公開日: 2020/01/27
    ジャーナル フリー

    要旨:両側主幹動脈塞栓症は全虚血性脳卒中の0.34%に生じたとの報告があり,治療例に関する報告は少数で予後も不良である.両側内頸動脈系塞栓症に対し機械的血栓回収療法が奏功した症例を報告する.心房細動未治療の69歳男性,意識障害,右共同偏視,左上下肢麻痺,失語で救急搬送となった.来院時,JCS 20,NIHSS 28点.ASPECTS-DWIは右が7点,左が10点であった.MRAでは後交通動脈分岐遠位の右内頸動脈,左中大脳動脈閉塞を認めた.rt-PA静注し両側一期的血栓回収術を施行.ASPECTSがより低値で症状が重い右側から治療した.右側mTICI 3,左側2aの再開通を得た.術翌日MRIで脳梗塞の進行を認めずNIHSSは1点に改善,mRS 0で自宅退院した.両側内頸動脈系塞栓症は保存的加療の予後が悪いが,症例によって治療順序(左右)の選択を適切に行い,迅速に血管内治療を遂行すれば良好な予後が見込める可能性がある.

  • 小椋 貴文, 紙谷 秀規, 宇野 哲史
    2020 年 42 巻 6 号 p. 560-564
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/25
    [早期公開] 公開日: 2020/02/25
    ジャーナル フリー

    要旨:肺癌手術後に術後心房細動(postoperative atrial fibrillation: POAF)を生じ,洞調律への回復を認めたが,その約1年後に心房細動が再発して脳塞栓症を呈した症例を経験した.症例は75歳女性.肺癌に対する左肺全摘術施行後の周術期にPOAFを呈したが,Ca拮抗薬とβ遮断薬の投与により洞調律を得た.約1年後に心房細動を再発して抗凝固療法が開始となったが,その翌日に構音障害,右不全片麻痺を呈し,左中大脳動脈M1部急性閉塞を認めた.rt-PA静注療法と機械的血栓回収療法にて再開通を得て,modified Rankin Scale 0 で退院した.胸部外科術直後のPOAFの管理については,レートコントロールや抗凝固療法などがなされるが,未だ心房細動の長期的な転帰の詳細は不明である.今回,教訓的な症例として報告する.

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