脳卒中
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原著
  • 喜多 大輔, 東 壮太郎, 川北 慎一郎, 折笠 秀樹
    2019 年 41 巻 5 号 p. 355-361
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    [早期公開] 公開日: 2019/08/08
    ジャーナル フリー

    要旨:【背景】石川県能登地区(人口21.1 万人)での脳卒中パスの登録病型と再登録パターンについて検討した.【結果】2008–2014 年の6 年間に4,179 件(男2,216,女性1,963,平均75.4 歳)の登録があった.病型別では,脳梗塞2,945,脳出血854,くも膜下出血283,その他・不明97 件であった.人口10 万人あたりの年間パス登録率は,男性369.5 人,女性293.7 人と国内の脳卒中発症率に近似していた.197 人で複数回登録があり,再登録率は1.39%/人・年(95% CI:1.20–1.58)であった.初回–2 回目の登録では,脳梗塞─脳梗塞は91%であったが,脳出血─脳出血は31%で,一致度は低かった.【結論】脳卒中発症を網羅するものではないが,パス登録結果の解析により地域での診療体制に有用な情報が得られる.また脳卒中の多くが,初回病型にかかわらず脳梗塞で再登録されることが示唆された.

  • 伊佐早 健司, 篠原 健介, 桒田 千尋, 鹿島 悟, 鏑木 圭, 櫻井 謙三, 秋山 久尚, 長谷川 泰弘
    2019 年 41 巻 5 号 p. 362-367
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

    要旨:tPA 静注療法を遠隔診療で行う上で,支援側の専門医(Hub 担当医)が遠隔地患者のNIH Stroke Scale(NIHSS)を正確に評価できる必要があり,被支援側医療者の補助(Spoke 補助者)が不可欠である.Spoke 補助者へのビデオ教材を作製し,その教育効果を検討した.Spoke に模擬患者を置き,Spoke 補助のもと,Hub 担当医がテレビ会議システムを介してNIHSS 評価を2 回行った.初回評価後に,Spoke 補助者へビデオ教材教育を行うビデオ教材(+)群と,行わないビデオ教材(−)群に分け,2 回のNIHSS 評価時間を比較した.(+)群8 名,(−)群7 名で,NIHSS 評価総時間は(+)群で88.5 秒短縮し,NIHSS 評価時間に及ぼすビデオ教材教育の交互作用も有意であった(p=0.042,ANOVA).Spoke 補助者へのビデオ教材教育は,NIHSS 評価時間を短縮する効果がある.

  • 伊佐早 健司, 鷹尾 直誠, 土橋 瑶子, 秋山 久尚, 長谷川 泰弘
    2019 年 41 巻 5 号 p. 368-374
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

    要旨:脳卒中の転帰評価を遠隔診療で行うことの妥当性を評価するため,脳卒中患者のNIH Stroke Scale(NIHSS),modified Rankin Scale(mRS),Barthel Index(BI)を遠隔・対面診療で評価し,各スケールの一致度をカッパ係数(κ),スコアの信頼度をCronbach’s alpha 係数で評価した.ベッドサイドにはiPad を設置し,インターネットを介し双方向性高精細テレビ会議システムとの通信を確立した.評価は,2 名の医師が遠隔診療医と対面診療医に分かれ,評価対象患者16 例に対するスコアによって行った.対面・遠隔診療のスコア一致度はすべてのスケールでκ0.7 以上,スコアの信頼度は係数0.7 以上であった.spoke 補助者を置いて行うNIHSS,BI,mRS の遠隔評価は,対面診療と同等の信頼性が得られ,脳卒中患者の長期転帰評価に利用可能である.

症例報告
  • 横山 貴裕, 杉本 哲朗, 藤田 晴吾, 濵砂 亮一, 竹島 秀雄
    2019 年 41 巻 5 号 p. 375-379
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    [早期公開] 公開日: 2019/08/08
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は57 歳男性.後頸部痛で発症した前交通動脈瘤破裂によるクモ膜下出血に対して,コイル塞栓術を行った.術中合併症なく終了し,術後は会話も可能で,神経所見は見られなかった.脳血管攣縮期に音や言語に対する反応が低下し,大きな声で話しかけ,耳元で手を叩くが無反応であった.モニターや点滴のアラーム音などにも反応が見られなかったが,筆談による意思疎通は可能であった.臨床症状から皮質聾と診断.MRI,聴性脳幹反応(ABR)では特記所見なく,SPECT にて両側聴覚野を含む血流低下を認めた.脳血管攣縮に対する保存的治療を行ったところ,症状は改善し,日常会話が可能となった.ABR,MRI では異常所見を認めず,SPECT にて聴覚野を含む脳血流も改善した.クモ膜下出血の脳血管攣縮期に発症し,両側側頭葉の血流改善とともに回復した聴力障害の血流変化を,SPECT により捉えることができた皮質聾の症例であった.

  • 江藤 太, 青木 志郎, 祢津 智久, 荒木 睦子, 下村 怜, 木下 直人, 志賀 裕二, 細見 直永, 丸山 博文
    2019 年 41 巻 5 号 p. 380-384
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    [早期公開] 公開日: 2019/08/08
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は初産の37 歳女性.妊娠の経過は良好であったが分娩時に頭痛・左上下肢麻痺の出現を認めたため転院搬送された.頭部CT で右基底核領域の脳出血を認め,降圧加療を行い全身麻酔下で緊急帝王切開術を施行した.第14 病日の頭部MRI で頭蓋内血管に多発狭窄が見られreversible cerebral vasoconstriction syndrome(RCVS)と診断した.Transcranial color flow imaging(TC-CFI)では狭窄部に一致した流速の上昇を認めた.神経症状は徐々に改善し,MRI とTC-CFI で狭窄部の改善度を経時的に評価しえた.MRI と同様に,TC-CFI はRCVS の血管病変の継時的な評価が可能である.

  • 木村 誠吾, 黒岩 輝壮, 玉置 亮, 小川 大二, 萬野 理, 谷口 博克
    2019 年 41 巻 5 号 p. 385-389
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    [早期公開] 公開日: 2019/08/08
    ジャーナル フリー

    要旨:【目的】脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血に脳内出血を合併した症例はしばしば経験されるが,脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血とそれに連続しない脳出血を同時に発症することはまれである.我々は右中大脳動脈分岐部脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血と,それに連続しない右被殼出血を同時に発症した1 例を経験したので報告する.【症例】78 歳女性.突然右後頭部痛を訴え倒れ込んだため救急搬送された.搬入時,JCS3,右共同偏視,構音障害,左上下肢不全麻痺を認めた.頭部CT で,右被殻出血およびくも膜下出血を認めた.頭部CTA で,両側中大脳動脈分岐部に脳動脈瘤を認めたが,右中大脳動脈分岐部動脈瘤と右被殻出血に連続性を認めなかった.入院翌日コイル塞栓術を施行し,第9 病日に内視鏡下血腫除去術を施行した.【結論】脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血とそれに連続しない脳出血が同時に発症することはまれであり,今後の症例報告が期待される.

  • 鈴木 隼, 吉野 正紀, 原 貴行
    2019 年 41 巻 5 号 p. 390-393
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    [早期公開] 公開日: 2019/08/08
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は38 歳男性.右手の痺れ,立ちくらみを主訴に近医受診し,CT で左中心前溝にくも膜下出血を認めたため当院を紹介受診した.頭部MRI-T2*強調画像では,上矢状静脈洞の一部とそこに流入する皮質静脈に低信号領域を認め,静脈洞血栓症が疑われた.脳血管撮影を施行したところ,同皮質静脈は欠損しており,上矢状静脈洞も一部描出が不良であったことより,入院当日に脳静脈洞血栓症によるくも膜下出血と診断可能であった.脳血管撮影後のCT では出血の拡大を認めたものの,早期に抗凝固療法を開始することでその後は出血の増悪なく経過した.精査の結果プロテインS 活性の低下を認めたため,プロテインS 欠乏症による静脈洞血栓症が疑われ,抗凝固療法を継続した.本症例のような円蓋部に限局した非典型的なくも膜下出血の原因疾患としては,静脈洞血栓症を念頭におく必要があり,その診断にはMRI-T2*強調画像が有用であると思われた.

  • 木村 啓佑, 栗本 太志, 阿部 節, 田島 隼人, 中村 茂和, 渡邉 和彦
    2019 年 41 巻 5 号 p. 394-398
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    [早期公開] 公開日: 2019/08/08
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は34 歳女性,妊娠38 週0 日.自宅にて突然の頭痛・嘔吐あり当院救急搬送された.当院到着直後に意識レベル低下しJapan Coma Scale(JCS):200 となった.直ちに頭部CT 検査施行し,右小脳に血腫を伴うくも膜下出血と右posterior inferior cerebellar artery(PICA)に動脈瘤を認めた.母体状態不安定であったため脳外科手術を先行することも考慮されたが,妊娠に伴い腹臥位困難と思われ,胎児娩出可能な状態であったことから,先に帝王切開術を施行し,直後に動脈瘤クリッピング術,開頭血腫除去術を施行した.胎児は問題なく退院した.母体もmRS:3 にてリハビリテーション病院へ転院した.妊娠期のくも膜下出血は死亡率が高く適切な治療選択が必要である.母体重篤な場合でも先に帝王切開術を施行し,母子ともに良好な結果を得ることができた.

  • 村橋 威夫, 上山 憲司, 荻野 達也, 福井 崇人, 杉尾 啓徳, 進藤 孝一郎, 村木 岳史, 石塚 智明, 大里 俊明, 中村 博彦
    2019 年 41 巻 5 号 p. 399-403
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    [早期公開] 公開日: 2019/08/08
    ジャーナル フリー

    要旨:【はじめに】頸動脈のcalcified plaque はsoft plaque に比べ塞栓源とはなりにくいとされる.今回頸動脈石灰化病変由来のcalcified cerebral emboli (CCE)と診断しcarotid endarterectomy (CEA)を行った症例を経験した.【症例】69 歳男性.Transient ischemic attacks (TIA)にて入院し,内科的治療を行ったが,約4 カ月で5 回脳梗塞の再発を繰り返した.頭部単純CT にて石灰化plaque が飛散している所見,3D-CT angiography における右頸動脈の厚い石灰化病変の存在より,頸動脈病変が脳梗塞の原因と判断.脳梗塞再発予防目的でCEA 施行.【結果】頸動脈内腔に石灰化病変が限局的に突出していた.術後再発なく経過.【結論・考察】今回頭部単純CT にてcalcified emboli を検出できCCE の診断をし得た.内科的治療に抵抗し脳梗塞再発を繰り返すCCE の場合は,CEA も考慮されるものと思われた.文献的考察を加え報告する.

  • 壽美田 一貴, 山田 健嗣, 唐鎌 淳, 清水 一秀, 菅原 貴志, 三木 一徳, 金 瑛仙, 平沢 光明, 前原 健寿, 根本 繁
    2019 年 41 巻 5 号 p. 404-410
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    [早期公開] 公開日: 2019/08/08
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は76 歳女性.くも膜下出血を発症し左内頸動脈後交通動脈瘤,前交通動脈瘤,右内頸動脈後交通動脈瘤,右内頸動脈前脈絡叢動脈瘤(2 か所)の計5 か所の頭蓋内動脈瘤が認められた.CT における血腫の部位や動脈瘤のサイズ,形状などから,左内頸動脈後交通動脈瘤もしくは前交通動脈瘤の破裂の可能性が高いと判断し,ネッククリッピングを行った.術中所見において両方の動脈瘤とも破裂の痕跡はなく,翌日,右内頸動脈後交通動脈瘤,右内頸動脈前脈絡叢動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行した.その後再破裂はなく,リハビリテーション病院を経てmRS0 にて自宅へ退院となった.本症例のように,高齢者への両側の開頭術がためらわれるような症例において,ネッククリッピングとコイル塞栓術を上手く使いわけることは有用と考えられる.Computational fluid dynamics(CFD)解析の結果も踏まえて,出血源の同定,治療方針について報告する.

シンポジウム 総説
  • 佐伯 覚, 蜂須賀 明子, 伊藤 英明, 加藤 徳明, 越智 光宏, 松嶋 康之
    2019 年 41 巻 5 号 p. 411-416
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    [早期公開] 公開日: 2019/08/08
    ジャーナル フリー

    要旨:若年脳卒中患者の社会参加,特に復職は重要なリハビリテーションの目標であり,ノーマライゼイションの理念を具現化するものである.国際生活機能分類の普及に伴い,社会参加の重要性が再認識されている.また,政府が主導している「働き方改革」に関連した「治療と就労の両立支援」施策の一つとして,脳卒中の就労支援が進められている.しかし,脳卒中患者の高齢化・重度化,非正規雇用労働などの労働態様の変化は脳卒中患者の復職に多大な影響を与えており,若年脳卒中患者の復職率は過去20 年間,40%に留まっている.脳卒中患者の復職は医療だけでなく福祉分野とも関連し,職業リハビリテーションとの連携,さらには,復職予定先の企業等との調整など様々なレベルでの対応が必要であり,医療福祉連携を超える高次の連携が必要となる.

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