トラウマティック・ストレス
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特集:トラウマと司法面接
  • 大岡 由佳
    原稿種別: その他
    2025 年23 巻1 号 p. 13
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2026/01/13
    ジャーナル オープンアクセス HTML
  • 仲 真紀子
    原稿種別: 研究論文
    2025 年23 巻1 号 p. 15-23
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2026/01/13
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    司法面接とは,被害にあったとされる子どもなどからできるだけ負担なく,正確な情報を聴取することを目指す面接法である.日本では2015年より児童相談所,警察,検察が連携して行うようになり,2023年の刑事訴訟法の改正で,その録音録画記録媒体が裁判の証拠として用いられることも可能になった.本稿では,日本でも広く用いられているNICHDプロトコルについて,近年の動向,とくに話さない子どもへの配慮から策定されたリバイズド(修正)版を紹介する.①ラポール形成を重視し,内的情報も話してもらう,②サポートの充実,③ラポールが形成できない場合は本題に入る前に面接を終え,次の面接を計画する,という工夫や効果測定に関わる研究をレビュウした.ラポールとサポートのもとでオープン質問を主体とする面接を行った場合,開示率が上がり情報が得られやすい.こういった改善が潜在化しやすい被害の発見につながれば意義は大きい.

  • 毎原 敏郎
    原稿種別: 研究論文
    2025 年23 巻1 号 p. 24-34
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2026/01/13
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    司法面接とは,虐待などの被害を受けた疑いのある子どもから被害事実に関する情報を聴取する手法である.適切な司法面接を行うためには子どもに接する多くの機関との連携の下に,初期から暗示や誘導を避けて心理的負担を最小限にするような関わりが重要となる.医療機関も司法面接に関する知識を持ち,面接や診察が不適切にならないように留意しなければならない.日本では主に検察が面接者となっているが,被害を受けた子どもの人数,求められる専門性と中立性,面接実施の負担の大きさなどを考慮すると,今後は面接者のさらなる養成,継続的なトレーニングやピア・レビュー,スーパービジョンなどのシステムを構築する必要がある.また,虐待を受けた子どものアドボカシーを守るために,欧米のシステムを参考にしながら日本での体制整備に取り組む時期が来ており,その中では子どもや面接者のトラウマケアも大切な役割を果たすことになる.

  • 飛田 桂
    原稿種別: 研究論文
    2025 年23 巻1 号 p. 35-43
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2026/01/13
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    認定NPO 法人子ども支援センターつなっぐの面接者として,かつ,子どもの被害者代理人弁護士としての活動からみえた,日本における司法面接の実践と課題について,日本での実践を2 類型に分類し,司法面接の本来の目的を確認しながら説明する.第1 類型は,子どもが被害に遭ったと疑われる際に,トリアージの機能として行われる司法面接で,第2 類型は,司法面接的手法を用いた聴取としての司法面接である.しかしながら,日本で実施される司法面接は,ほとんどが第2 類型のものである.日本でも,刑事手続に限らず,子どもの安全を守るための司法面接を実施していく必要がある.米国では何が起きたのかを調査/捜査するために,司法面接や系統的全身診察を実施し,警察や児童相談所が関与する必要性などについて,まさにトリアージしている.子どもの被害については,面接数を減らし,システムによるトラウマを減らすためにも,専門機関が所管するか否かを判断する前の段階である,「超」初期から,警察や児童相談所が関与して,司法面接者や系統的全身診察の医師がかかわり,情報や証拠を集めると同時にトリアージを実施する必要がある.

  • 齋藤 梓
    原稿種別: 研究論文
    2025 年23 巻1 号 p. 44-51
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2026/01/13
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    性虐待・性暴力被害を受けた子どもが刑事手続において被害を語る場面として,司法面接的手法を用いた聴取,および裁判における証人尋問がある.子どもたちが心理的ケアを受けることが重要である一方,日本では,裁判で子どもの供述の信用性が争われる可能性があるために,司法面接を優先しケアを遅らせる場合や,証人尋問が控えているためにケアの提供に慎重になる場合がある.しかしそれは,子どもに精神的傷つきを負ったままでいさせることになり,子どもの回復を考えると問題がある.本稿では,イギリスにおける公判前セラピーのガイドライン等,および筆者の心理支援経験を踏まえ,司法面接的手法を用いた聴取および証人尋問の前後に,子どもの記憶を誘導,改変することなく,どのような心理的ケアを行うことが可能かについて私見を述べる.

  • 奥野 雄一郎
    原稿種別: 研究論文
    2025 年23 巻1 号 p. 52-59
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2026/01/13
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    本稿ではまず,検察(司法)における児童等の特性を踏まえた司法面接(代表者聴取)および多機関連携の浸透と技能向上,そのための取組について概観する.次に司法面接「実施後」の裁判段階で関わる裁判官・弁護士も含む法曹全体における理解促進のための取組と,司法面接「実施前」の初期汚染防止に向けた教育機関向けの取組を紹介する.あわせて,日本の検察制度および法制度を踏まえた司法面接への検察官の関与について論じ,新規法制として「個人特定事項秘匿制度」(令和6年2月15日施行)の内容と実践状況について紹介する.

原著
  • 小川 恵美子
    原稿種別: 総説
    2025 年23 巻1 号 p. 61-74
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2026/01/13
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    トラウマインフォームドケア(TIC)の実証研究において,心理測定的に評価する頑健な尺度の不足と対象が医療従事者に偏っている点が指摘されている.本研究は,対象を日本の福祉系対人援助職者とし,Attitudes Related to Trauma-Informed Care Scale(ARTIC)-35および短縮版であるARTIC-10の信頼性・妥当性を検証し,使用上の課題を明らかにすることを目的とした.構造的妥当性の検討の結果,5因子モデルのARTIC-35 は,CFI の値を除き適合度の基準を満たしていた(χ²=1823.63, df=550, p<.001, CFI=.80, RMSEA=.06, SRMR=.07).本研究では,探索的因子分析により4因子モデルのARTIC-19が抽出された.モデル適合度は,本研究の対象者については5 因子モデルよりも4 因子モデルの方が適していることを示した(χ²=391.75, df=146, p<.000, CFI=.92, RMSEA=.05, SRMR=.05).1因子構造のARTIC-10の適合度は基準値を満たさなかった(χ²=285.51, df=35, p<.000, CFI=.77, RMSEA=.10, SRMR=.07).信頼性係数はARTIC-35,ARTIC-19,およびARTIC-10いずれも許容範囲であった.関連が予想されるKAP-TIP,共感満足,共感疲労,バーンアウト,セルフケア手段の有無,離職意向との相関分析を行ったところ,全般的な傾向として収束的妥当性が支持される可能性を示唆する結果が得られた.先行研究において指摘されていた因子構造の不安定さと項目表現の問題は本研究においても確認された.今後の課題として,専門領域や実践分野の異なる対象者における信頼性と妥当性の検討,複数の専門家を交えた項目表現の質的分析,改良点の検討などがある.

総説
  • 大江 美佐里, 石田 哲也, 小俵 京子
    原稿種別: 総説
    2025 年23 巻1 号 p. 75-81
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2026/01/13
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    本稿では令和6 年6 月の診療報酬改定に伴い新たに導入された「心的外傷を有し,かつ心的外傷に起因する症状を有する患者に対して算定される心理支援加算」について解説した.トラウマ診療に熱心に取り組んでいる医療機関にとって,今回の加算の導入はプラスの側面が大きいと考えられた.トラウマ焦点化治療以外の治療法についてこれまで以上に普及が進み,支援の裾野が広がることを期待している.

  • 櫻井 鼓
    原稿種別: 総説
    2025 年23 巻1 号 p. 82-88
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2026/01/13
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    2016 年に閣議決定された第3 次犯罪被害者等基本計画から,きょうだいが被害に遭ったことにより心身に悪影響を受けるおそれがある子どもへの支援の必要性が示されてきた.しかし,子どもが亡くなった場合に支援対象として着目されやすいのは親である.きょうだい児への支援の必要性が専門家に認識されるには,研究の積み重ねが必要であるだろう.そこで本稿では,きょうだい喪失の経験についての知見を概観した後,犯罪被害によってきょうだいを亡くした子どもに関する国内外の研究の動向について文献レビューを行った.国内外ともに,研究数は豊富ではなかった.国外研究では,古くは戦時下での報告が見られ,最近では特定の事件についての研究の積み重ねが見られた.国内研究では,2000年代に事例報告が見られ,その後の進展が見られるものの,そのほとんどが特定の研究者の成果によるものであった.今後の研究の発展が求められる.

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