ウイルス
Online ISSN : 1884-3433
Print ISSN : 0042-6857
ISSN-L : 0042-6857
28 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 浦沢 价子, 浦沢 正三, 秋葉 澄伯, 谷口 孝喜, 千葉 峻三, 小賀坂 良一
    1978 年 28 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1978/06/01
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    ヒトレオウイルス様因子 (HRLA) あるいはウシレオウイルス様因子 (NCDV) を抗原に用いて測定した下痢症患者ならびに非患者の年齢別血清抗体価の比較検討の結果, 次のような成績を得た.
    1. 患者血清ではHRLA-CF抗体とNCDV-CF, -PT (counter-immunoelectro-osmophoresis による沈降反応), -NT (中和) 抗体との間には高い相関関係が見られ, その強さはNCDV-PT=NCDV-NT>NCDV-CFの順であった. 学童患者血清ではNCDV-CF抗体価に比して-NT抗体価が高い傾向が見られた.
    2. NCDV-CF, -NT抗体価の年齢分布を検討した結果, 患者の多発する1歳前後よりCF, NTともに高い例が増加し, 中和抗体陽性者は年齢とともに増加し, 成人では96%に達するが, CF抗体は学童期を過ぎるとやや減少して成人で陽性率63%を示した.
    以上, 患者群でHRLA-CF抗体の上昇にほぼ平行してNCDV-NT, -CF抗体の上昇およびNCDV-PT抗体の出現が検出され, これらのうちNTおよびPT両反応の感度が高く乳幼児の初感染における本症の血清学的診断に適していると考えられた. いっぽう, 過去の感染の累積を知る意味での血清疫学的調査にはHRLAの代用としてNCDV-NT反応が, 現時点ではもっとも有用であることが判明した.
  • 杉山 一夫, 須藤 恒久, 天野 保二
    1978 年 28 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 1978/06/01
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    近年, マウス乳仔下痢症から分離されたウイルス (Diarrhea virus of infant mice: DVIM) をBALB/c-3T3培養細胞により増殖させ, その形態学的性状を検討し以下の結果を得たので報告する.
    1. DVIMは直径100nm, 厚さ10nmのエンベロープをもつRNA型の球形ウイルスでありHA能をもち, 粒子表面に長さ20nm, 幅10nmの突起を有するコロナ様ウイルスである.
    2. 粒子表面の突起は既知のコロナウイルスとは異なり, 形態的に長さ20nmの大突起と長さ5nmの小突起の2つの形を認める. 大突起は精製の過程や sonication により容易に脱落するが, 小突起は粒子表面に強固に保持される. 小突起は大突起の基部をなすものと思われ, HA能は小突起に担われている可能性が大きい.
    3. DVIMはBALB/c-3T3細胞に感染しシンシチウムを形成する. 増殖は細胞質内で行なわれ, 増殖周期は約6時間である.
    4. マウス赤血球はシンシチウムに吸着し, その表面微細構造の観察から, DVIMの細胞外への遊出はシンシチウム細胞膜表面からの出芽による.
    以上の結果からDVIMは従来のコロナウイルスに似ているが細部では際立った差異が認められる.
  • 杉山 一夫, 須藤 恒久, 天野 保二
    1978 年 28 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 1978/06/01
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    BALB/c-3T3細胞により増殖させたマウス乳仔下痢症ウイルス (Diarrhea virus of infant mice: DVIM) の赤血球凝集能 (HA) の特性をインフルエンザ-AおよびHVJとの対比のもとに検討して以下の結果を得た.
    1. DVIMはマウスおよびラットの赤血球を4℃において凝集し, 37℃で解離する.
    2. HAの至適pHは6.5付近である. HA能は37℃24時間後でもまったく失活しないが, 56℃20分, またはエーテル処理等で失活する.
    3. マウス赤血球のDVIM-レセプターはインフルエンザA-レセプターとは別個に存在し, RDE (コレラ菌558株培養濾液) およびインフルエンザAのノイラミニダーゼでは破壊されない.
  • ワクチン反応性との関連について
    千葉 靖男, 中尾 亨, Pearay L. Ogra
    1978 年 28 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1978/06/01
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    風疹ワクチン接種後, とくに成人に好発する関節炎と細胞性免疫の関係を知るため, ワクチン接種後の風疹特異的細胞性免疫の成立をin vitro Lymphocyte transformation test (LTF) で検討した.
    1. 小児群ではHPV 77/DE 5ワクチン接種後約1か月で特異的LTF活性が検出され, 2か月でその最高値に達する. しかし成人群ではその出現が遅れ, かつ, 最高値は3か月に認められる.
    2. 成人群におけるLTF活性は小児群の約1/3または1/4程度である.
    3. これら風疹特異抗原により誘導されるLTF活性の大部分は羊赤血球と rosette を形成するリンパ球分画にあり, Tリンパ球がその主体をなすと考えられる.
    4. 風疹HAI抗体は小児群において多少早く検出されるが, 2か月以後の平均抗体価にほとんど差はない.
    5. 小児群に関節症状を呈したものはなかったが, 成人群の約23%が関節症状を呈した.
  • 橋本 魁, 内田 信之, 小松 俊彦
    1978 年 28 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 1978/06/01
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    コクサッキーウイルスB群3型 (CB3) をddY/S系3週齢雌マウスの腹腔に接種したのち, 720日間にわたってすい臓をウイルス学的および病理学的に検索した結果を総括すると次のとおりである.
    1. すい臓と他臓器からのウイルス分離: ウイルス量104TCID50と107TCID50接種群ともに接種後7日ではすい臓からはウイルスを分離できなかったが, 心臓と褐色脂肪組織から分離できた. 14日以降はすい臓からもほかの臓器からも分離できなかった.
    2. 接種ウイルス量とすい臓病変の発生: ウイルス量104TCID50と107TCID50接種群との間にすい臓病変の発生頻度も強さの程度もほとんど差が認められなかった.
    3. すい臓の病理組織学的変化: ウイルス接種後7, 14, 30日に外分泌部の腺房細胞にきわめて著明な変性と壊死および炎症性細胞浸潤, 石灰化等を伴う急性炎症と, 内分泌部のランゲルハンス島 (ラ氏島) に軽度から中等度に近い結合組織性嚢の変性と消失, 細胞過形成, 変性壊死等が認められた. 接種60日以降は, 腺房細胞の変性と壊死, 細胞浸潤, 石灰化等の病変の発生頻度が低下する傾向がみられるいっぽう, 変性壊死化ののち消失した組織は脂肪細胞によって置換された. 腺房細胞の軽度あるいは中等度の変性壊死, 細胞浸潤, 石灰化等とラ島の変化は720日まで認められる例があった. また104TCID50接種群で120, 160, 300日に著明な単核細胞浸潤と腺房細胞の変性壊死等がそれぞれ少数例に認められた.
  • 伊沢 久夫, 永口 良雄, 長林 俊彦
    1978 年 28 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 1978/06/01
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスの減毒株を作出する目的で, 該ウイルス野外株を発育鶏卵, ニワトリ胎児線維芽細胞およびアヒル胎児線維芽細胞のそれぞれに25代まで累代継代し, ニワトリに対する病原性の変化を調べた. その結果, ウイルスの減毒は発育鶏卵継代においてのみ認められた. 発育鶏卵に対する病原性については, 上記3者における継代25代のウイルスの間に質的な差異を認めえなかったが, 胎児の死亡ならびに出血の出現率は発育鶏卵継代ウイルスでもっとも高かった.
    発育鶏卵におけるウイルス継代の進行にともない, 継代ウイルス接種鶏血清中のウイルスに対するゲル内沈降線数はしだいに減少し, 減毒ウイルス接種鶏では全例が1本の沈降線を形成した. これに対して, 培養細胞継代で減毒するに至らなかったウイルスを接種したニワトリの一部はなお2本以上の沈降線を示した.
  • 東原 稔, 鈴木 雄次郎, 斎藤 保二, 五十嵐 義晃, 吉岡 勇雄
    1978 年 28 巻 1 号 p. 46-48
    発行日: 1978/06/01
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
feedback
Top