出血を伴う重篤なウイルス感染症は数多くあるが, エボラ出血熱, マールブルグ病, ラッサ熱, クリミア・コンゴ出血熱の4感染症は, 患者からの二次感染によりしばしば大流行をおこす. 日本ではこれまでラッサ熱患者が1例報告されているのみであるが, 出血熱ウイルスの潜伏期の感染者が入国後発症する可能性があり, 検疫上重要な感染症である. 平成11年から施行された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」では, ウイルス性出血熱は最も危険な感染症として一類感染症に指定されている. また, エボラウイルスとマールブルグウイルスは, 輸入サルを介して国内に侵入する可能性もあるため, 平成12年から全輸入サルの検疫が開始され, 農林水産省動物検疫所がその業務にあたっている. ウイルス性出血熱の実験室診断は, 国立感染症研究所が担当することになっているが, 正確な診断にはウイルス分離・同定が必要である. しかし, 日本ではBSL4施設の使用が許可されないため, 組換え蛋白を利用した抗体, 抗原検出法を開発している.
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