新規フレボウイルスによる感染症,重症熱性血小板減少症候群[severe fever with thrombocytopenia syndrome(SFTS)]が中国で発見され学術論文に発表されてから約7年が, SFTSが日本でも流行していることが発見されてから約6年が経過した.現在,SFTSが流行している地域は東アジア(中国,韓国,そして,日本)である.SFTSはマダニが媒介する感染症であり,原因ウイルス(SFTSウイルス,SFTSV)は自然界においてはシカなどの哺乳動物とマダニ(フタトゲチマダニ等)との間で維持されている.SFTSVを有するマダニに咬まれた人の一部でSFTSVに感染が成立し,SFTSを発症する.SFTSVは動物とマダニのサイクルの中で存在し続けることから,私たちはSFTSVに感染するリスクから逃れることはできない.症状(致命率を含む),病態,感染経路,病原体の特徴を鑑みると,SFTSはクリミア・コンゴ出血熱[Crimean-Congo hemorrhagic fever,(CCHF)]に類似し,その意味ではSFTSはCCHFがウイルス性出血熱に含まれるのと同様にウイルス性出血熱に分類されるべき疾患である.中国,韓国,日本の研究者をはじめ,多くの研究者によりSFTSの疫学,臨床的特徴,発症病理,検査,抗ウイルス薬(特にファビピラビル)による治療および抗ウイルス薬やワクチンによる予防法の開発,ウイルス学,SFTSVと自然免疫に関する研究成績が発表されている.日本ではファビピラビルのSFTSに対する治療効果を調べる臨床研究が開始された.SFTSやSFTSVに関する研究が進むことで治療や予防が可能になることが期待される.
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