ウイルス
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74 巻, 2 号
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特集1:H5亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスの最新動向
  • 日尾野 隆大, 磯田 典和, 迫田 義博
    2024 年74 巻2 号 p. 107-116
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/01
    ジャーナル フリー
     1996年に中国広東省で出現したH5亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスは, 家禽へのワクチン接種による不顕性感染の常態化や, またそもそも不顕性感染が起きやすいアヒルへの感受性が上がってきたことによって, 現在では様々な種の野鳥の間で群として持続的な感染が確認されている. ウイルスは鳥の渡りとともに広範囲に拡散し, 今やH5亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスの脅威は世界規模のものとなっている. さらに2020年以降は野生哺乳動物における感染も目立つようになってきた.野鳥における群としての持続的な感染は不可逆的な状況と考えられ, 状況をこれ以上悪化させないためにも, 環境中のウイルス量の低減は喫緊の課題である. 本稿では野鳥と野生哺乳動物におけるインフルエンザウイルス感染症の歴史と現状を振り返りつつ, 本ウイルスによる被害を食い止めるために今後求められる研究, 対策について議論したい.
  • 前村 忠, 河岡 義裕
    2024 年74 巻2 号 p. 117-130
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/01
    ジャーナル フリー
     クレード2.3.4.4bのH5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスは,2020年から2021年にかけてヨーロッパに出現後,渡り鳥によって世界各地に急速に拡大し,家禽,野鳥,および野生動物においてアウトブレイクを引き起こしてきた.感染動物との濃厚接触が原因と考えられるヒトの感染例も散発的に報告されている.2024年初頭から米国テキサス州の農場の乳牛において,摂食不良,乳質の変化および乳生産量の低下などの臨床症状が認められ,同年3月にH5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスが原因であることが報告された.2024年12月現在,米国の15州の乳牛で本ウイルスの感染例が報告されている.牛への感染が確認された農場周辺の猫,さらに感染した牛や,牛から伝播した感染鶏との接触を介してと考えられるヒトへの感染例も報告されており,ヒトでのH5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染拡大が懸念されている.最近の研究結果から,牛またはヒトから分離されたH5N1高病原鳥インフルエンザウイルスは,マウスおよびフェレットに強い病原性を有しており,フェレット間で飛沫を介して伝播することが明らかとなった.これまでにない規模でH5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスの哺乳動物での感染拡大が続いており,ヒト‐ヒト間で効率よく飛沫伝播を起こすウイルスが偶発的に発生する可能性があるため,世界規模での感染状況のモニタリングが重要である.
特集2:ウイルス研究の基盤強化と安全管理
  • 黒﨑 陽平, 花木 賢一, 福士 秀悦, 下島 昌幸, 河合 康洋, 南保 明日香, 篠原 克明, 七戸 新太郎
    2024 年74 巻2 号 p. 131-140
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/01
    ジャーナル フリー
     わが国でも高病原性ウイルスの検査体制,研究開発の基盤としてBSL-4施設が整備された.特に,陽圧防護服を要するスーツ型実験室の運用はわが国にとって初めての経験であり,独自の安全管理技術を構築する必要がある.2021年度より日本医療研究開発機構(AMED)新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業において,わが国のバイオリスク管理技術の向上を目指し,研究課題「病原体取り扱い施設における実践的なバイオリスク管理に関する研究」を実施した.本稿では,研究課題の内容と得られた成果について紹介する.
  • 鈴木 信弘, 岩谷 靖雅, 松野 啓太, 西村 秀一, 渡辺 登喜子, 山田 雅夫
    2024 年74 巻2 号 p. 141-148
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/01
    ジャーナル フリー
     ウイルス命名作業部会(VNWG)は,重要ウイルスの和名を公式に確立するための組織として2022年に日本ウイルス学会(JSV)の下に設立された.VNWGでは,先ずどのウイルスが当該コミュニティにとって重要であるかを,専門家,関連学会の助言を仰ぎながら決定した.VNWGとして最終決定したウイルス和名リストは,JSVホームページ <http://jsv.umin.jp/news/news241125.html >に掲示されている.そのリストは,日本で発生した(している)植物ウイルス/ウイロイド,日本にゆかりのある藻類/菌類ウイルス,ヒト/動物ウイルスを含む.原則として,一つのウイルス(系統)英名に対し一つの和名を割り当て,国際ウイルス分類委員会(ICTV)が定期的に発行するVirus Metadata Resources(VMR_MSL39_v1)ファイルに新たなカラムを設けて記載した.本稿では,VNWGの役割と深く関係するICTVによるウイルス分類の最近の大きな3つの変化(1. ウイルス種名への二名法の導入,2. 域,界等上位分類群の設定,3. 生物学的性状不明なウイルス系統のコーディング領域配列のみに基づく種への帰属の承認)を解説するとともに,VNWG設立の背景,VNWGが議論してきた内容,直面した課題も紹介した.我々の取り組み,努力がウイルス学の文法ともいうべきウイルス命名/分類の理解に役立つことを願う.
  • 木下 貴明, 松野 啓太, 小林 剛, 加藤 哲久, 川口 寧, 安田 二朗
    2024 年74 巻2 号 p. 149-152
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/01
    ジャーナル フリー
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