動物の循環器
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45 巻, 2 号
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総説
  • 船山 麻理菜, 砂原 央, 藤井 洋子, 上地 正実
    原稿種別: 総説
    2012 年 45 巻 2 号 p. 35-39
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/04
    ジャーナル フリー
    肺動脈狭窄症は犬で比較的多い先天性心疾患である。狭窄の程度により内科治療あるいは外科治療が適応される。狭窄部位を拡張させる治療法として,心臓カテーテルによるバルーン弁拡張術,人工心肺装置を用いた直視下肺動脈弁切開術および弁輪拡張術が挙げられる。若齢期の肺動脈狭窄症の外科治療は,狭窄の解除が最も優先されるが,成長を考慮した術式の選択などの発育段階におけるQOL向上に向けた治療方針も要求される。今後は病態を包括的にとらえた診断と発育に伴う変化を考慮した外科治療による総合的な治療法の確立が必要である。
  • 水野 壮司, 上地 正実
    原稿種別: 総説
    2012 年 45 巻 2 号 p. 41-44
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/04
    ジャーナル フリー
    猫の動脈血栓塞栓症 (Arterial thromboembolism; ATE) は心疾患猫で多く見られる合併症で,発症すれば命の危険がある重篤な状態である。現在,猫の動脈血栓塞栓症に対する主たる治療方法は保存療法である。血栓溶解療法や血栓除去療法等の積極的治療法は一般的には行われていない。バルーンカテーテルを用いた血栓除去療法は塞栓を解除できる方法であるが,専門の施設と機材を必要とし,動脈血栓塞栓症発症猫は肺水腫を併発していることも多いことから一般病院での実施は難しい。一方,tissue-Plasminogen activator (t-PA) 製剤による血栓溶解療法は静脈を確保すれば実施できるため,一般病院の夜間救急でも対応可能で,発症後直ちに行うことができる。しかしながら,それぞれの方法において再還流障害が問題となっており,必ずしも安全で確実な方法とは言い難い。本稿では動脈血栓塞栓症に対する診断と初期治療,t-PA製剤による治療法に関して文献的考察を行うとともに筆者らの経験も交えてご紹介する。
  • 水越 崇博, 上地 正実
    原稿種別: 総説
    2012 年 45 巻 2 号 p. 45-49
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/04
    ジャーナル フリー
    僧帽弁閉鎖不全症は老齢の小型犬に多く認められる心疾患である。現在,獣医学領域において僧帽弁閉鎖不全症に対する治療は内科療法が一般的である。しかし,内科療法では治療が困難な症例も多く経験している。近年,小型犬に対する心臓外科の知識と技術の発達に伴い,僧帽弁閉鎖不全症に対して体外循環下における僧帽弁形成術を実施するケースも多くなってきている。犬の僧帽弁形成術としては,弁輪縫縮と腱索再建を実施して行うことが一般的である。人医学領域においては1983年にA. Carpentierによって弁形成術の概念が形づけられて以来さまざまな手技が考案され,僧帽弁形成術は有用であるとされ現在でも主要な治療法となっている。その一つに1990年台前半にイタリアの心臓外科医 Ottavio Alfieri によって考案された Alfieri repair がある。Alfieri repair とは逆流を生じている部位で相対する前尖と後尖をedge-to-edgeで縫合するという方法である。この方法は,非常に簡便かつ低侵襲であり再現性のある術式として用いられている。本稿では,この Alfieri repair の術式について解説するとともに医学領域におけるこの術式の成績,注意点などについても解説したいと思う。
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