雑種成犬15頭を用いて実験的に右脚ブロックを作出し,詳細な心電図波形とそのときの血行動態ついて吟味した。pentobarbital Sodium(30mg/kg)の麻酔下で開胸し,右脚左脚ともにそれぞれの本幹を破壊した。破壊前に一度閉胸して術前の記録をとった後破壊し,再び閉胸した状態で術後の記録を行った。
右脚ブロック,左脚ブロックともに心電図波形ではそれぞれヒトにおける脚ブロックと同様な典型的なパターンを示した。
右脚ブロック作出前後の血行動態には著変はないが,左脚ブロック作出後には左心室内圧および末稍血圧の低下と末稍血流速度の減少がみられ,右心室内圧は逆に上昇する。したがって左脚ブロックではこれが慢性的に経過した場合には,体循環系はもとより肺循環系にも循環障害を招来しうる可能性が考えられた。また右心室内圧曲線の波形の変化から,右心室内圧の形成には中隔が重要な働きをしていることが推測された。
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