本研究では, 肢体不自由養護学校の進路指導における生徒理解の実態を踏まえ, 生徒の職業選択に対する進路指導担当者の意識を明らかにすることを目的とした。全国の肢体不自由養護学校高等部を対象とし, 質問紙法を用いて調査した。その結果, 養護学校における生徒理解では知的能力や職業適性に関する評価法の使用頻度が高く, 職業興味に関する評価法の使用頻度は低かった。肢体不自由養護学校高等部では既製の評価法を用いて生徒の能力・適性面を把握しようとしていると考えられた。また, 因子分析によって, 生徒の職業選択に対する進路指導担当者の意識は, (1) 就職先の概観, (2) 心理的負担, (3) 待遇, (4) 役割, (5) ステイタス, (6) 興味, の順に強く影響されていることがわかった。進路指導担当者は, 生徒の職業選択の幅が狭いという状況の中で, まず, 生徒が職場に通って現実に適応することを重視しており, 興味を十分に反映できない現状が示唆された。
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