職業リハビリテーション
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9 巻
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  • シミュレーション訓練を通じての就労訓練
    平 雅夫
    1996 年 9 巻 p. 1-8
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    高等部2年に在籍する自閉症児に対し, 一般就労を目指した進路指導を行った。進路指導は事業所と学校との連携を前提とし, 校内でのシミュレーション訓練と現場実習とを併用した。その結果, 対象児のドーナツ製造の作業遂行に変化が見られ, 100%の正反応率となった。これはシミュレーション訓練と現場実習が有効に相乗作用したものと考えられ, シミュレーション訓練により現場実習の成果を, より効果的・能率的にしたといえる。また本研究では, シミュレーション訓練を単に自閉症児の行動変化 (新しいスキルの習得) のみを目的としただけではなく, 同時に職場・訓練環境の修正にも活用した。この対象児の行動変化によってシミュレーション訓練の有効性が明らかとなり, 現在まで分断されていた感のあった事業所と学校との連携に対し, 一つのを与えることができたと考えられる。
  • 中度知的障害者の社会的スキル訓練の事例を通して
    泉 忠彦, 高山 茂幸, 佐々木 和義
    1996 年 9 巻 p. 9-14
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    神奈川県総合リハビリテーションセンター職業前指導科では知的障害者に対し, 職業準備に関する学習の一つとして, 基本的な労働習慣や態度の習得を目的とした社会的スキル訓練を実施している。この訓練は社会的スキルを学習する時間を設け, 作業訓練場面は学習した社会的スキルを応用する場面に設定し, 応用する際には職員が適宜強化や促しを与えるなど実践的な訓練に組み立てている。
    本研究では, 中度知的障害者に対する社会的スキル訓練を実施した事例を通し, この訓練の方法に焦点を絞り検討を行った。この結果, (1) この訓練の実施に当たっては実践的な訓練が必要であること, (2) 判断を必要とする社会的スキルの課題の取り扱いは最小限に止めること, (3) この訓練は知的障害者の弁別能力に配慮しながら進めることの3点を再確認し, 中度知的障害者へのこの訓練の適用が示唆された。
  • 課題分析を用いた事例
    小川 浩, 佐々木 和義
    1996 年 9 巻 p. 15-21
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    記憶障害をはじめとする重度の高次脳機能障害をもつ脳外傷者を対象に, 課題分析を用いて17工程のレゴ・ブロックの組み立て作業を行った。完成見本だけを手がかりにした練習では7日間で完成品を1個も作れなかったが, 課題分析を用いて, 常に同じ手順, 同じ言葉での指示を繰り返し, すべての項目について職員が先に指示を出す手続きを5日間, 対象者が先ず単独で組み立てて間違えが生じた時のみ修正する手続きを17日間行ったところ, 正反応率は90%以上を維持できるようになった。しかし, 特定の数工程については誤った手順が繰り返し出現して修正することができなかった。手順を問題にしなければ, ほとんどの試行で単独で完成品を作れるようになり, おおむね作業自立は達成された。事例を通して, 特に記憶障害をもつ人を対象にした場合の課題分析の有用性, 実践上の反省点, 留意点などについて考察した。
  • 「保護就労」の試みから
    尾崎 幸恵, 伊藤 真人, 中川 正俊, 星野 勝
    1996 年 9 巻 p. 22-29
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    精神障害者の職業リハビリテーションは, 就労率・定着率の低さにも表わされるように困難性を抱えている。筆者らは20年来, 「保護就労」(川崎市リハビリテーション医療センター独自の就労援助形態) を行っており, 現在, 40名の人が就労継続している。その中で2年以上就労継続している人から4例を抽出し, 症例研究を行い, さらに就労定着要因を分析し, 精神障害者の職業リハビリテーションについて考察した。その結果, 就労定着後も経済・生活面等, 多岐にわたる本人への継続的援助, 企業が本人の病状や障害の程度に応じて仕事を提供してくれること, 本人の評価と職場環境評価とのマッチング (企業と本人の適切な組み合わせ), 援助者の不測の事態への対応等により, 訓練によっては得られないものを補うことにより, ようやく就労定着が可能になっていることが明らかとなった。働いて賃金を得ることによる治療的効果も大きく, 社会人としての自覚からくる訓練効果もあることが推察された。
  • 精神薄弱者授産施設の行う「JOB訓練」を中心とした9事例から
    渡辺 明広
    1996 年 9 巻 p. 30-37
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    地域障害者職業センターが実際の事業所で行う「職域開発援助事業」は成果を上げているが, 同様の趣旨で, 精神薄弱授産施設が行った「JOB訓練」の9事例から, 重度知的障害者や職業的重度者の一般就職を進める上での問題点の改善, すなわち能力開発を支援との関連で検討した。全般的にいって, 訓練前の施設内の作業活動に対しては意識や意欲が乏しいという問題点があったが, 多くの者に改善が見られる。さらに作業態度や作業技術に改善が見られる者もいるが, こだわりや不安感があり, 依存性が強い2名は精神的安定を欠き, ほとんど改善は見られなかった。この結果から, クライエント自身が就職希望や意思を持つことが就職に移行する第一要件であること, 本人の状況と職場環境とのマッチングが自信と精神的安定をもたらし, 作業態度や作業技術の改善をもたらすこと, 精神障害を合併する者には段階的, 長期的対応が必要なことを考察した。また, 授産施設が「JOB訓練」を行う意義について言及した。
  • 松田 信夫
    1996 年 9 巻 p. 38-45
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    精神薄弱者 (注1) の職場定着, 転職, 離職の要因を分析したところ, 以下のような結果が得られた。(1) 精神薄弱者の職場定着は, 事業所の側の要因・生活拠点の側の要因・本人の側の要因の3本の柱が有機的に支え合っており, 知的障害が重度になると事業所の側の要因・生活拠点の側の要因の2本の柱が相対的に重要になることが示唆された。また, 本人にとって頼ることのできる上司, 同僚 (友人), 事業主の存在は職場定着の実現にとって不可欠の条件であることが示唆された。(2) 転職, 離職に影響する要因については, 障害者本人の対人関係面での対応の未熟さと, 間接的に家庭からの支えの弱さが見い出され, 知的障害が軽度になると, 自己の能力への過信から生ずる影響が示唆された。(3) 職場の作業内容が本人の適性に合わない等のやむを得ぬ事由で転職したケースについては, 本人の適性とニーズに応じた支援体制のもとで, 今後の定着への可能性は大であろうと予測された。
  • 長沼 敦昌
    1996 年 9 巻 p. 46-51
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    本研究では, 肢体不自由養護学校の進路指導における生徒理解の実態を踏まえ, 生徒の職業選択に対する進路指導担当者の意識を明らかにすることを目的とした。全国の肢体不自由養護学校高等部を対象とし, 質問紙法を用いて調査した。その結果, 養護学校における生徒理解では知的能力や職業適性に関する評価法の使用頻度が高く, 職業興味に関する評価法の使用頻度は低かった。肢体不自由養護学校高等部では既製の評価法を用いて生徒の能力・適性面を把握しようとしていると考えられた。また, 因子分析によって, 生徒の職業選択に対する進路指導担当者の意識は, (1) 就職先の概観, (2) 心理的負担, (3) 待遇, (4) 役割, (5) ステイタス, (6) 興味, の順に強く影響されていることがわかった。進路指導担当者は, 生徒の職業選択の幅が狭いという状況の中で, まず, 生徒が職場に通って現実に適応することを重視しており, 興味を十分に反映できない現状が示唆された。
  • 私塾「復帰塾」の試み
    新 雅子
    1996 年 9 巻 p. 52-59
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    精神障害者の就労問題が極めて困難な課題であることは長年の援助実践の中で痛感してきたが, それは, 最も根源的な就労条件と筆者が対応した精神障害者の心理特徴とが全く相反することを考えれば頷ける。それ故, 彼らがどういう就労形態であれ, 長期間それを継続することを何とか実現すれば, 自ずから葛藤への適切な対処の仕方を手に入れることになり, 精神障害者らしい心理特徴を徐々に消していくことを, 対応してきた22事例を7タイプに分けて示した。そして, 長期就労を目指し, 対象者の状態に合わせて手順を踏みながら, 「矛盾や葛藤を受けとめ, 合理的に処理する」態度と技術を体験的に身につけさせ, それを適切に活用できるようにするために, 長期間寄り添う関係を維持しながら援助するという営み全体が, 精神障害を克服させる営みの一つとなり得るのではないかと問題提起している。
  • 伊藤 雅夫, 富田 めぐみ, 橋本 雅行, 渡辺 豊典
    1996 年 9 巻 p. 60-67
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    西成地区には, 約1000人の障害者が住んでいるが, 60歳までの障害者の約5割が未就労であり, この地区での障害者の就労問題には取り組む必要がある。中・高年齢層の未就労障害者が多いこと, 非識字の障害者が多い実態から, 我々は障害者の職域としてビル清掃に取り組んだ。しかし, ビル清掃は誰にでもできる簡単な仕事だからという従来の取り組み方ではなく, (1) 商品として提供できる質の仕事を, (2) 層としての障害者の職域として開拓するために, (3) 綿密な作業工程分析を行い, その障害者に合わす形で仕事を再構成し, 一つひとつの課題を乗り越えるための指導を行い, (4) 必要な場合, 作業用具の工夫も行い, (5) それらの取り組みを通して, 障害者自身が専門的な職種として清掃に誇りを持って取り組めるように訓練を行ってきた。本稿は, 地域障害者会館と企業の共同の研究と実践の報告である。
  • 八重田 淳
    1996 年 9 巻 p. 68-75
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    本論文は職業リハビリテーションの専門性を再考するために, 職業リハビリテーションの科学性と理論, 職業リハビリテーションの範囲と専門職の役割について論じ, アメリカにおけるリハビリテーションカウンセラーの役割研究及び教育に関する今後の課題について取り上げ, 我が国における職業カウンセラーの役割研究の必要性について検討したものである。
  • 田口 泰宏, 泉 忠彦, 殿村 暁
    1996 年 9 巻 p. 76-81
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
  • 秋庭 正己, 島津 淳
    1996 年 9 巻 p. 82-86
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
  • 神奈川県におけるOBスポーツクラブの取り組み
    赤司 伸吾
    1996 年 9 巻 p. 87-91
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
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