日本血管外科学会雑誌
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15 巻 , 1 号
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巻頭言
特別寄稿
原著
  • 渡辺 徹雄, 佐藤 成, 橋爪 英二, 後藤 均, 半田 和義, 赤松 大二朗, 佐藤 博子, 清水 拓也, 中野 善之, 里見 進
    15 巻 (2006) 1 号 p. 3-9
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    われわれは最大短径が5cm以上の腹部大動脈瘤 (AAA) に対しては積極的に手術を行い, 5cm未満の症例は経過観察し, 5cm以上に増大した時点で手術を行う方針としている. この妥当性を検証するため, 全受診例の遠隔予後を調査検討した. 8年間に受診した最大短径4cm以上の非破裂AAA全症例を対象とし, 各症例の瘤径, 治療方針, 非手術例では遠隔期手術, 破裂発生, 転帰を調査し, 早期に手術施行した早期手術群, 手術非施行の経過観察群 (5cm未満 : 4cm観察群, 5cm以上 : 5cm観察群) に分け検討した. 全AAA 261例中1例が追跡不能で検討症例は260例, 追跡率99.6%であった (早期手術群125例, 経過観察群135例). 経過観察群中52例に遠隔期に待機手術が施行された (全例5cm以上). 経過観察群の14例で破裂が発生したが, 5cm未満での破裂はなかった. 5cm観察群の破裂の累積発生率は4cm観察群に比べ有意に高かった. 経過観察群の初診後累積生存率は早期手術群に比べ有意に予後が悪かった (5年生存率 : 早期手術群77.8%, 経過観察群58.3%) が, 4cm観察群は早期手術群や日本人の推定予後曲線と同様であった. 待機手術例の在院死亡率は0.6%で, 術後累積生存率は早期手術群と経過観察の後手術を行った群とに差はなかった (早期手術群76.8%, 経過観察群75.1%). また4cm観察群と5cm観察群とでも術後予後に相違はなかった (4cm観察群74.8%, 5cm観察群78.6%). 今回の検討の結果から, 5cm未満の腹部大動脈瘤は注意深い経過観察を行い, 瘤が5cm以上に増大した時点で待機手術を施行するのが妥当と考える.
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症例
  • 相良 大輔, 三岡 博, 海野 直樹, 犬塚 和徳, 石丸 啓
    15 巻 (2006) 1 号 p. 11-14
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    多発外傷を合併した急性外傷性大動脈解離をmultidetector-row computed tomography (MDCT) で迅速に診断し, TPEG (transluminally placed endovascular grafting, ステントグラフト内挿術) と開胸止血術を施行し良好な経過を得た. 症例は70歳, 男性. 森林伐採作業中に転落し, APACHE III score 47の状態で当院に搬送された. MDCTで胸部下行大動脈から腹腔動脈起始部直前に至る急性外傷性大動脈解離, 両側血胸, 胸椎骨折, および外傷性くも膜下出血と診断. 第5胸椎 (Th5) からTh12の胸部下行大動脈をステントグラフトで被覆し, 胸椎々体骨折による右側血胸に対しては開胸止血術を行った. 術後経過は良好で対麻痺などの合併症は発生せず, 第44病日に退院した. 外傷性大血管損傷では多発外傷を有することが多く, MDCTは診断とTPEGの術前計画に有効であると思われた. 抗凝固薬の使用量が少なく, 合併する外傷の出血を助長しないという点から, TPEGは開胸下の人工血管置換術よりも低侵襲であり, 外傷性胸部大動脈損傷の急性期治療の一つとなりうると考えられた.
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  • 森岡 浩一, 田中 國義, 李 偉, 田邉 佐和香, 山田 就久, 井隼 彰夫
    15 巻 (2006) 1 号 p. 15-19
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    Myonephropathic metabolic syndrome (MNMS) は, 救肢・救命が非常に困難な病態である. われわれは, 左房粘液腫によるsaddle embolismに対し, 緊急手術で救肢・救命できた症例を経験した. 手術は, 体外循環開始後, 心停止下にsuperior transseptal approachにて左房に到達し, 左房粘液腫を茎付着部の心房中隔壁とともに摘出した. 再灌流後のショックを予防する目的で体外循環を継続し, 腹部大動脈を切開し, 分岐部に騎乗するように腹部大動脈を閉塞させていた粘液腫を摘出した. 発症10時間後に両下肢の血流は再開された. 術後MNMSを発症したが, 持続血液濾過透析 (continuous hemodiafiltration; CHDF) を行い, 急性腎不全から離脱し, 退院した. 左房粘液腫によるsaddle embolismの治療として体外循環下の経腹的な塞栓子の摘出は, 血流再開時の急性循環不全を予防し, 粘液腫の残存による再発を予防する上で有用と思われた. また, MNMSに対して, 術中のdilution ultra filtration methodと術後早期のCHDFが効果的であった.
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  • 満永 義乃, 中島 隆之, 鎌田 武, 川副 浩平
    15 巻 (2006) 1 号 p. 21-24
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は14歳男性. 突然の腰背部痛で発症し, 症候性腹部大動脈瘤の診断で当センターを紹介され, 緊急的に人工血管置換術を施行した. 7歳で脳動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行され, 13歳から高血圧を指摘されていた. 腎動脈にも動脈瘤を認め, 特徴的な皮膚, 関節症状からEhlers-Danlos症候群 (EDS) IV型と診断した. 術後28カ月経過した現在も健在で, CT上も再発所見を認めていない. 本症候群では, 組織の脆弱性を考慮した手術と, 動脈瘤の再発に対する注意深い経過観察が必要と思われる.
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  • 相澤 啓, 大木 伸一, 坂野 康人, 三澤 吉雄
    15 巻 (2006) 1 号 p. 25-27
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は81歳の男性. 突然の腰痛, 下肢冷感を主訴に近医より紹介された. 当初は腹部大動脈瘤の破裂疑いであったが, 症状, 腹部CT所見より急性閉塞型の腹部大動脈瘤と診断した. 発症後8時間ではあったが全身状態は安定していたため人工血管置換および血栓摘除術を行った. 血行再建後, 腸管に再灌流障害に起因すると思われる腸管壊死が発生したため, 左半結腸切除, 人工肛門造設を併施した. 術後は再灌流障害に起因する多臓器不全を発症し術後第2病日に死亡した. 急性血栓閉塞型腹部大動脈瘤は稀であり, 救命のためには迅速な外科的血行再建, また, 術後再灌流障害に対する対策が必要と考えられた.
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  • 山城 聡, 國吉 幸男, 宮城 和史, 上江洲 徹, 新垣 勝也, 古謝 景春
    15 巻 (2006) 1 号 p. 29-33
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は, 胸腹部大動脈瘤の4分枝再建を含む全大動脈置換術後10年の既往を有する44歳, Marfan症候群の男性. 1週間持続する下痢および腹痛, 発熱にて救急来院. 大量の下血を認めたため, 腸管虚血を疑い緊急開腹術を施行した. 上行結腸から横行結腸にかけて, 一部穿孔を含む暗赤色の腸管壊死所見を認め, 血栓閉塞による虚血性壊死性腸炎と診断し, 壊死腸管部分の切除および脾臓摘出を行った. さらに大伏在静脈を用い, 右総腸骨動脈から上腸間膜動脈, 総肝動脈へ2本のバイパス術を施行した. 術後造影検査にて, 腹腔動脈, 上腸間膜動脈ともバイパスグラフトからのみ造影されており, 腹部大動脈人工血管分枝再建の吻合部は閉塞していた. 患者は術後2年経過した現在, 元気に社会復帰している.
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  • 有木 弘, 水野 俊一, 恒川 智宏, 土井 智章
    15 巻 (2006) 1 号 p. 35-38
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は, 13歳男性で, 健診にて胸部X線で縦隔の異常陰影を指摘され精査目的で当院を紹介された. MRアンギオにて峡部での大動脈の異常な屈曲と蛇行, およびこれに続く嚢状の大動脈瘤が認められた. 上下肢の間で血圧の較差はほとんどなく, rib notchingなどの側副血行路の発達を示す所見もなく, 以上より偽性大動脈縮窄症に合併した胸部下行大動脈瘤と診断した. 低体温, 循環停止を併用した体外循環下に, 大動脈瘤を切除し人工血管に置換した. 切除した大動脈瘤壁は中膜の著しい変性をきたし破裂の危険性が高い状態にあった. 大動脈瘤を合併した偽性大動脈縮窄症の手術例はめずらしく, 本邦では最年少での手術例であったので報告した.
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  • 藤井 弘史, 中尾 佳永, 徳田 貴則, 岡田 隆之, 北澤 康秀
    15 巻 (2006) 1 号 p. 39-42
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性. 下血を主訴に近医に救急搬送された. 内腸骨動脈瘤直腸瘻を疑われ当センターに紹介, 緊急手術を施行した. 動脈瘤は手拳大まで拡大. 剥離による損傷が懸念された直腸との癒着部以外の瘤壁は全て切除した. Bacteroides fragilis, Provotella melaninogenica, Peptostreptococcus sppの3種類の嫌気性菌が瘤壁の培養で検出された. 延べ27日間の抗生物質の点滴投与を行い, 退院後も経口での抗生物質投与を継続, 術後20カ月で経口投与を中止したが, 術後25カ月現在, 感染徴候なく経過している. なお, 術後一度も下血は認めていない.
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  • 三岡 博, 海野 直樹, 石丸 啓, 犬塚 和徳
    15 巻 (2006) 1 号 p. 43-46
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    真性腹部大動脈瘤 (abdominal aortic aneurysm; AAA) の経過観察中に, 下肢虚血で発症した急性動脈解離を合併したきわめて稀な症例を経験した. 症例は急激な腰痛と下肢痛のため救急車で搬送された66歳の男性で, 45mmのAAAで経過観察中であった. 造影CTでDeBakey IIIb型の急性大動脈解離を認め, 解離の末梢は右総腸骨動脈 (right common iliac artery; RCIA) にまで及び, 解離腔発生により腹部大動脈径は55mmに達していた. 上腸間膜動脈 (superior mesenteric artery; SMA) は起始部の約3cmが解離しており, その左側腔, 腹腔動脈および左腎動脈は偽腔還流となっていた. 真腔より還流されるRCIAは偽腔により圧排・閉塞され, re-entryを生じていなかった. 偽腔の開窓術を含めたY字型人工血管置換術を行ったが, 術後にSMAの解離が末梢に進行し, 壊死腸管を切除せざるをえなかった. 術後2カ月で退院可能となったが, 短腸症候群のため, 在宅高カロリー輸液を余儀なくさせられている. きわめて稀な転帰をとった症例ではあるが, この経験は, AAAの患者に発症した急激な腰痛の際には, 急性大動脈解離も鑑別疾患としてあげるべきであることや, その際に発生しうる臓器虚血の対応についても十分に留意するべきであることを示唆するものと考えられた.
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  • 松崎 賢司, 椎谷 紀彦, 山下 知剛, 国原 孝, 村下 十志文, 安田 慶秀
    15 巻 (2006) 1 号 p. 47-49
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    感染性腹部動脈瘤術後, 遠隔期に腋窩-大腿動脈バイパスの閉塞をきたした症例を経験した. 本例に対し, 下行大動脈をinflowとする非解剖学的バイパス術を行い, 良好な結果を得たので報告する. 症例は58歳, 男性. サルモネラによる感染性腹部大動脈瘤に対し左腋窩-両大腿動脈バイパス, 瘤切除, 大網充填術を施行した. 術後7カ月目にバイパスグラフト閉塞, 下肢虚血にて緊急入院となった. 手術は第7肋間開胸, 後腹膜経路でアプローチし, 癒着が予想される腎動脈下の大動脈断端部は露出せず下行大動脈を露出し, 部分遮断下にYグラフト中枢を端側で吻合した. 左脚は左外腸骨動脈に端側で, 右脚は右大腿人工血管に端端で吻合した. 術後経過は良好. 再血行再建術後9カ月の時点で, 下肢虚血症状なく経過観察中. 本法は感染瘤術後の腋窩-大腿動脈バイパスグラフト閉塞の再手術法として, 比較的若年で, 術前合併症の少ない症例には有効と考える.
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