閉塞性動脈硬化症に対する自家静脈グラフトによるバイパスについて, 最近10年間の215例245肢 (R群) と, それ以前の10年間に施行した212例256肢 (P群) とを比較した. P群に比べR群では, 糖尿病合併, 慢性血液透析, 重症虚血肢, 足関節位動脈へのバイパスの割合が有意に増加していた. 術後グラフト不全は両群とも, 大半は2年以内に発生し, グラフト不良と限局性内膜肥厚が主な原因であったが, 2年以降は, 再手術の主たる原因は宿主動脈の病変進行であった. 術後5年および10年累積開存率は, P群が一次60.6%, 49.4%, 二次90.3%, 85.6%, R群が一次67.8%, 62.5%, 二次94.8%, 92.6%で, 併存疾患, 虚血重症度, 術式など臨床的背景が変化している状況においても, グラフト開存成績は良好であった.
抄録全体を表示