日本血管外科学会雑誌
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15 巻 , 6 号
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巻頭言
特別寄稿
原著
  • 江口 大彦, 岡崎 仁, 三井 信介
    15 巻 (2006) 6 号 p. 535-540
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    下腿動脈バイパス術では自家静脈の使用を第一選択としているが, 自家静脈 (大小伏在静脈, 浅大腿静脈) 単独での完全血行再建が不可能な場合, われわれは人工血管を併用したバイパス術を行っている. 本研究では閉塞性動脈硬化症に対して行われた人工血管を併用した総大腿-下腿動脈バイパス術の遠隔成績を自家静脈単独使用群と比較検討し, その意義を考察した. 対象は1998年12月から2005年12月の間に施行した総大腿-下腿動脈バイパス術58例で, 人工血管使用 (PTFE-vein) 群28例と自家静脈単独 (AV) 群30例の, 患者背景, 術後成績, 遠隔開存率, 救肢率, 生存率を比較検討した. 患者背景では, PTFE-vein群は高齢 (76歳 vs 72歳) で高血圧の合併率 (71% vs 93%) が少なく, 再手術症例の頻度 (32% vs 7%) が高かった. その他の性別, 救肢手術の有無, ならびに高脂血症, 糖尿病, 虚血性心疾患, 脳血管障害, 腎障害, 悪性腫瘍の合併に差はなかった. 遠隔成績ではPTFE-vein群の1年一次開存率, 二次開存率, 救肢率は67%, 74%, 81%で, AV群は2年でそれぞれ83%, 90%, 100%で, 有意にPTFE-vein群が不良であったが, 両群の生存率に有意差はなかった. 以上の結果から, 総大腿動脈をinflowとする下腿動脈バイパス術において, 人工血管を併用した場合の遠隔成績は自家静脈単独の場合に比べて不良であった. しかし重症虚血肢の場合, 自家静脈単独でのバイパスが不可能でも, 長期開存で劣る人工血管を併用したバイパス術で救肢を目指すことで, 患者のquality of lifeを維持できる可能性があると考えられる.
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  • 佐藤 博子, 佐藤 成, 渡辺 徹雄, 後藤 均, 半田 和義, 赤松 大二朗, 清水 拓也, 中野 善之, 里見 進
    15 巻 (2006) 6 号 p. 541-550
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈瘤 (abdominal aortic aneurysm; AAA) 手術において内腸骨動脈 (internal iliac artery; IIA) 再建が困難な場合があり, 術後臀筋跛行や腸管虚血の発生が問題になる. 近赤外分光法 (near infrared spectroscopy; NIRS) を用いてAAA手術時にIIA灌流域の一つである臀筋ヘモグロビン (Hb) 濃度変化を測定し, 骨盤内側副血行について検討した. 対象はY-graftingを施行したAAA57例. 初回 (一側脚) 血流再開の末梢吻合部位により, 総腸骨動脈 (C) 群, 外腸骨動脈 (E) 群に分類した (C群48例, E群9例). NIRO300のプローブを両側臀部に装着し大動脈遮断前から手術終了まで, oxyHb, deoxyHb量, 組織酸素化指数 (TOI=oxyHb/totalHb) を連続測定した. 回復時間 (RT), 初回血流再開後2分のTOI変化率 (ΔTOI2) (%/秒), TOI復帰率 (5~40分) = (初回血流再開から5分毎のTOI値-遮断中TOI値) / (遮断前TOI値-遮断中TOI値), および手術終了時のTOI復帰率を算出した. 初回血流再開と同側のRTは判定困難例が存在し, ΔTOI2はC群0.12±0.08%/秒, E群0.014±0.03%/秒 (p=0.0004), TOI復帰率20分はC群1.02±0.18, E群0.75±0.26 (p=0.0005) であった. E群はC群に比べTOI復帰は遅延し, 手術終了時TOI復帰率も低値だったが, 0.90±0.14まで上昇し, 大腿深動脈 (deep femoral artery; DFA) から同側IIAへの側副血行は全例に検出された. 初回血流再開時の対側NIRS値の変化は症例によって大きく異なり, C群でも左右の側副血行が検出されない例が存在した. 対側ΔTOI2, TOI復帰率20分はいずれもC, E群に有意差はなかった. 術後虚血による合併症は臀筋跛行1例のみだった. 臀筋跛行例はIIAを閉鎖し, 閉鎖側の手術終了時TOI復帰率は最低値だった (0.48). IIA閉鎖時の臀筋への側副血行は, 同側のDFA, 対側のIIAおよび対側のDFAが由来であり, とくに同側DFAが優位であることが明らかになった. NIRSを用い臀筋Hb濃度を測定することは骨盤内側副血行の評価に有用である.
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  • 小澤 優道, 内田 直里, 柴村 英典, 岩子 寛
    15 巻 (2006) 6 号 p. 551-558
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    1997年12月から2005年8月までに経験した急性IIIb型大動脈解離123例中, 腹部臓器虚血にて緊急治療を要した11例 (8.9%) を対象とし, その成績をもとに治療方針について検討した. 11例は, 平均年齢62.3歳, 男性6例であり, Stanford A型 (逆行性解離) 2例, Stanford B型9例であった. 緊急治療は, 画像検査での腹部分枝血流障害の所見と急性腹症の理学所見があれば適応とする方針とした. 11例全例 (100%) で偽腔血流が盲端であり, 腹部臓器虚血診断時に腹部症状を呈したのは8例 (72.7%), 血液検査でアシドーシスを認めたのは3例 (27.3%) であった. 11例中4例 (36.4%) を失った. 腹部臓器虚血の発生機序別にみると, 真腔狭小化型 (7例) ではopen stent術を施行した5例は全例独歩退院したが, 経皮的大動脈内ステント挿入術および上腸間膜動脈バイパス術を施行した症例は失った. 分枝解離型 (2例) では, 1例に腹腔動脈ステント挿入術を, 1例に腸管切除+回結腸動脈バイパス術を施行し, 2例とも生存した. 混合型 (2例) では, ともにopen stent術を施行したが2例とも失った. 腹部臓器虚血を伴う急性IIIb型大動脈解離の予後を決定する重要な因子は, 「臓器虚血の迅速かつ的確な診断」と「適切な治療法の選択」であり, 前者には偽腔血流の盲端を把握することが, 後者には臓器虚血発生機序を理解することが重要と思われた.
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症例
  • 松山 重文, 濱田 正勝, 土井 一義, 川内 義人
    15 巻 (2006) 6 号 p. 559-563
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    腎動脈下腹部大動脈閉塞を呈したStanford B型大動脈解離の2症例を経験したので報告する. 症例1は69歳, 女性. 突然の背部痛が出現し救急車にて来院. CTにて偽腔開存型のB型大動脈解離を認め, 降圧療法にて保存的に加療していたが, 経過中に下肢の疼痛が出現した. CT上で腎動脈下腹部大動脈の閉塞を認め, 右腋窩動脈-両側大腿動脈バイパス術を施行し軽快退院となった. 症例2は82歳, 男性. 突然の腰背部痛, 両下肢のしびれが出現し救急車にて来院. CTにてB型大動脈解離, 腎動脈下腹部大動脈の閉塞を認めた. 緊急右腋窩動脈-両側大腿動脈バイパス術を施行したが, MNMS (myonephropathic metabolic syndrome) を発症し術後3日目に失った. Stanford B型大動脈解離による腎動脈下腹部大動脈閉塞に対し腋窩動脈-両側大腿動脈バイパス術は有用な治療法の一つであるが, 急性発症の例では可及的早期の血流回復, MNMSに対する留意が必要である.
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  • 岡崎 仁, 三井 信介
    15 巻 (2006) 6 号 p. 565-567
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    脾動脈瘤に対して腹腔鏡下に脾動脈瘤切除および脾摘を行った症例を経験した. 症例は66歳, 女性. 乳癌の術後経過観察中に無症候性の脾動脈瘤を認めた. 最大瘤径2cmの嚢状瘤で, 脾門部近傍に存在し, コイル塞栓術が困難であったため腹腔鏡下に手術を行った. 手術は気腹下に脾動脈を動脈瘤中枢側でクリッピング後に切離し, 膵尾部と脾の間の小血管を自動吻合器にて一括切離して, 脾および脾動脈瘤を一塊として摘出した.
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  • 秋山 紀雄, 古谷 彰, 野村 真治, 森景 則保, 吉村 耕一, 濱野 公一
    15 巻 (2006) 6 号 p. 569-572
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は73歳の男性. 歩行中に, 突然両足趾の疼痛が出現した. 近医で抗血小板剤を投与されたが, 症状は増悪し当科紹介となった. 初診時, 両足趾にチアノーゼと安静時疼痛を認めた. 抗血小板剤や血管拡張剤を静注や経口で投与したが, 効果はなかった. CTでは腎動脈下腹部大動脈はshaggy aortaを呈していた. Shaggy aortaが原因のblue toe syndromeと診断し, 人工血管置換術を施行した. 術後, 疼痛は軽快し, チアノーゼも徐々に消失していった. その後, 合併症はなく手術は有効であった.
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  • 本多 祐, 吉田 正人, 向原 伸彦, 尾崎 喜就, 志田 力, 福田 哲也
    15 巻 (2006) 6 号 p. 573-577
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    術前に種々のリスクを有した胸腹部大動脈瘤4症例に対し, 手術の低侵襲化を図る目的で腹腔分枝再建を併用したステントグラフト内挿術を施行した. 手術は, まず開腹して腹腔分枝再建を行い, その後一期的または二期的にステントグラフト内挿術を施行した. その結果, 一期的に施行した2例はともに手術時間が長時間となり, 1例を急性膵炎で失い, 他の1例は不全対麻痺を発症した. 二期的に施行した2例は, ともに経過良好で, 脊髄合併症も認めず退院した. 胸腹部大動脈瘤に対し, 腹腔分枝再建を併用したステントグラフト内挿術は, 従来の術式と比べて手術の低侵襲化が可能であるが, ハイリスク症例においては, それぞれの手術を二期的に施行するのが望ましい.
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  • 久世 真悟, 藤田 広峰
    15 巻 (2006) 6 号 p. 579-582
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は37歳, 女性. 乗用車を運転中に交通事故を起こし, 第2腰椎圧迫骨折と診断され当院整形外科に入院となった. 血管造影にて腎動脈下腹部大動脈での内膜の全周性の断裂と, 〓離した内膜の末梢側への翻転による狭窄を認め, 外傷性腹部大動脈損傷と診断した. 外傷性総胆管狭窄による胆管炎の軽快後, 腎動脈下腹部大動脈を人工血管にて置換した. 腰椎圧迫骨折は保存的治療にて軽快し, 術後第34病日に軽快退院した.
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