日本血管外科学会雑誌
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15 巻 , 7 号
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巻頭言
特別寄稿
  • 進藤 俊哉, 本田 義博, 滝澤 恒基, 本橋 慎也, 榊原 賢士, 加賀 重亜喜, 井上 秀範, 鈴木 章司, 松本 雅彦
    15 巻 (2006) 7 号 p. 591-595
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    【背景】現行の心臓血管外科専門医制度は心臓外科にその重心がある. 最近の血管疾患の特徴は, 高齢者患者の増加と糖尿病合併の増加である. したがって, より複雑化・重症化する血管疾患患者に対する質の高い治療を行うためには血管外科専門医制度の確立が必須と考えられる. 当科の経験から現在の血管疾患の推移を検討し, 専門医制度発足に向けての提言を行う. 【方法】当科に入院した血管疾患患者を1996年から2000年 (前期) と2001年から2005年 (後期) の各5年間に分け, 入院数, 患者背景, 手術件数, 治療内容について検討した. 【結果】前期と後期を比べると, 特徴的なのは入院患者延べ数の増加, 糖尿病合併患者, 透析合併患者の増加, 胸部大動脈疾患患者の増加, 慢性動脈閉塞症患者の増加, 医原性損傷の増加, 手術患者数の増加, 血管内治療患者の増加, 再生医療の出現, であった. 【結論】以上の点を踏まえて以下の提言を行う. 血管外科専門医制度は, 人工心肺を用いた胸部大動脈手術を含め, 末梢動脈疾患や, 再手術, 糖尿病や透析合併症例など, いわゆるハイリスク患者に対する治療経験を含める. また血管内治療, 再生医療などの新しい治療法に対する理解と経験が必須である. したがって, 血管外科専門医教育には, 人工心肺を用いた胸部大動脈から膝下の脛骨動脈バイパスまでの広範囲を含めるようにする. また, 現行の心臓血管外科専門医との関係は今後の検討課題とする.
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原著
  • 中村 浩志, 井上 芳徳, 栗原 伸久, 地引 政利, 菅野 範英, 岩井 武尚
    15 巻 (2006) 7 号 p. 597-602
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    膝窩動脈瘤は末梢動脈瘤の約8割を占め, 両側性や他の動脈瘤を併存することが多い. そのほとんどが変性による真性動脈瘤であり, 症候性が半数以上を占めるが, 大きさなどによる手術適応が確立されていないのが現状である. 今回当科にて手術を施行した膝窩動脈瘤症例18例20肢を対象として検討した. 年齢は12~78歳 (平均52歳, 30歳以下の若年者 : 3例) で男女比は14 : 4, 側性は左右同数であった. 他の動脈瘤を同時に併存した症例は2例で, 腹部大動脈瘤が1例, 腹部大動脈瘤と同側大腿動脈瘤が1例であった. 両側性は2例であり, 瘤径は1.6~5.5cm (平均4.3cm) であった. 無症候性は両側性の症例のみで, 反対側の症状で受診した際に造影computed tomography (CT) にて診断した. その他の症例は有症候性であった. 診断には触診とエコー検査もしくは造影CTが有用であった. 術式は原則として瘤切除, グラフト置換術 (対側の大伏在静脈を使用) としたが, 遠位側吻合部が膝上であれば人工血管を用いた. 外径1.6cmで閉塞をきたした症例もあり, 壊死の進行から大切断に至った症例もみられた. 径の小さい動脈瘤でも急性閉塞をきたす症例があり, また遠隔期の手術成績も良好であることから発見段階での手術が望ましいと言える.
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  • 今村 敦, 大久保 遊平, 田中 宏典, 尾崎 岳, 奥野 雅史, 斉藤 隆道, 山田 斉, 高田 秀穂, 上山 泰男
    15 巻 (2006) 7 号 p. 603-610
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    閉塞性動脈硬化症 (peripheral arterial disease; PAD) にたいする血管内治療 (endovascular therapy; EVT) はメタリックステントの出現により治療適応の拡大がなされ, 近年では単純な腸骨動脈狭窄病変にたいして外科的バイパス手術に代わる治療として治療戦略上で重要な位置を占めるようになった. しかし, 慢性閉塞 (chronic total occlusion; CTO) 病変にたいする治療は統一した見解が得られていないのが現状である. 今回, われわれは腸骨動脈CTOでTASC-C, D病変に相当する症例に積極的なEVTを行い良好な成績が得られたので報告する. 1997年7月~2006年4月の間に腸骨動脈PAD 171症例, 218病変にたいしてEVTを行い, CTOで腹部大動脈, 総大腿動脈に病変を認めない60症例, 61病変を対象とした. 症例の内訳は男性51人, 女性9人, 平均年齢は70歳であった. 閉塞長の平均は8.6cm, 治療の初期成功率は80%で49病変に加療を行った. 合併症は急性血栓閉塞, 脳梗塞, 遠位塞栓症を各1例認めた. 再狭窄・閉塞は9例に認められた. 最終的に2例にたいしてEVTの継続は困難と判断しバイパス術を施行した. 一次開存率は1年89%, 3年74%, 5年59%, 二次は1年100%, 3年92%, 5年92%であった. 腸骨動脈CTOにたいするEVTは, 初期成功率, 一次開存率はバイパス手術と比較して劣るも二次開存率は良好で, 低侵襲で早期の社会復帰が可能などの優位性を考えれば, この領域での治療選択肢の一つとなり得ると考えられた.
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症例
  • 伊達 康一郎, 井元 清隆, 鈴木 伸一, 内田 敬二, 郷田 素彦, 初音 俊樹
    15 巻 (2006) 7 号 p. 611-614
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    炎症性腹部大動脈瘤に大動脈-下大静脈瘻を合併した1例を経験した. 症例は79歳, 男性. 腰痛, 腹痛, 食欲低下で発症し, 4日後に胸部不快感も出現した. 前医を受診し, 心電図異常, 腎不全, 腹部拍動性腫瘤を指摘され, 当院へ搬送された. 腹部大動脈瘤破裂による大動脈-下大静脈瘻と診断し, 手術を施行したところ, 術中所見から炎症性腹部大動脈瘤と診断した. 回収血返血回路を用いることで循環動態を保ちつつ良好な視野のもと瘻孔を確実に閉鎖でき, 術後速やかに症状は改善し軽快退院した. 炎症性腹部大動脈瘤に大動脈-下大静脈瘻を合併した症例は稀であり, 若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 関根 裕司, 松田 捷彦
    15 巻 (2006) 7 号 p. 615-618
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    【背景】近年腹部大動脈瘤に消化管悪性腫瘍が合併する症例が増加傾向にあるが, 治療方針の選択に難渋する場合も少なくない. 【症例】58歳の男性. 直腸癌に対して骨盤内臓器全摘出術を施行した際, 人工肛門・回腸導管が造設された. その時点よりすでに腹部大動脈瘤が指摘されるも経過観察されるのみであった. 術後2年を経て瘤径の拡大に伴い腹部大動脈瘤に対し手術方針となった. 左側に人工肛門・右側に回腸導管が位置していたが, 左側後腹膜到達法を選択し直管型人工血管置換術を施行し得た. 【結果】術後経過良好でストーマに関するトラブルなく, 創部感染・人工血管感染ともに認めなかった. 【結論】腹部大動脈瘤・消化管悪性腫瘍合併例に対する手術ストラテジーは個々の症例に応じて慎重な選択が必要であり, 今後はステントグラフトも含めさらに選択枝が広がっていくものと思われる.
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  • 盛島 裕次, 稲福 斉, 永野 貴昭, 新垣 勝也, 宮城 和史, 國吉 幸男
    15 巻 (2006) 7 号 p. 619-623
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は71歳, 男性. 直腸癌に対する低位前方切除術の既往を有しており, 腹部CT検査で腹部大動脈瘤を指摘されていたが, 瘤径が最大53mmと増大傾向のため手術目的で入院となった. 瘤は腎動脈上より瘤状変化を呈し, 腹部大動脈造影では, 下腸間膜動脈は描出されず, また左内腸骨動脈は閉塞していた. 陳旧性心筋梗塞を伴う冠動脈3枝病変を合併しており, まず冠動脈バイパス術 (2枝) を行い, 続いて43日後, 腹部大動脈瘤に対し, 両側腎動脈再建を伴うYグラフト置換術を施行した. 術後1日目腸管虚血を発症したため左半結腸切除, 人工肛門造設術を行った. 術後127日目に軽快退院した. 結腸手術の既往は, 腹部大動脈瘤手術の際, 術後腸管虚血発症の危険因子と考えられ, かかる症例においては, 発症予防のための術前検査と周術期の注意深い管理が肝要であると考えられる.
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  • 森嶌 淳友, 笹橋 望, 植山 浩二
    15 巻 (2006) 7 号 p. 625-628
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    Blebを伴った非破裂性膝窩動脈瘤の1例を経験した. 症例は75歳, 男性. 右下肢の冷感, 安静時疼痛にて当院受診となった. 右下肢急性動脈血栓閉塞の疑いにて緊急血管造影検査施行, 右膝窩動脈瘤を認め, 膝下3分岐以下は血栓閉塞していた. 手術は腹臥位にて後方より瘤に到達した. 瘤の形態は嚢状 (25mm×40mm) で, 一部に乳頭状の突出部分bleb (8mm×8mm) を認めた. 瘤を切除し, 末梢側の血栓除去を施行後, 端々吻合により再建した. 病理組織では真性瘤であったが, blebの部分は中膜のみで形成されていた. 術後血管エコーにより腓骨動脈瘤 (直径14mm) の存在が明らかになった. 術後13日目, 下肢疼痛が増強, 緊急カテーテル検査にて腓骨動脈瘤の破裂と診断しcovered stentを留置した. また, この時の造影により後脛骨動脈瘤も同時に発見されたが, その後, 瘤の拡大傾向は認めず術後37日目軽快退院された. 本症例では瘤内血栓による下肢閉塞を契機に発見されたblebを伴う膝窩動脈瘤を認めた. Blebを伴う動脈瘤の場合, 破裂の危険性が高く, 早急に外科的切除を施行するべきである.
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  • 許 吉起, 内田 直里, 柴村 英典, 小澤 優道, 末田 泰二郎
    15 巻 (2006) 7 号 p. 629-632
    公開日: 2007/06/08
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈瘤術後に生じた吻合部感染性仮性動脈瘤に対し人工血管全抜去せず腹直筋充填を施行した. 症例は82歳男性, 腹部大動脈瘤術後4年目に人工血管末梢吻合部の仮性動脈瘤発症. 全身状態不良のため吻合部形成およびドレナージ術施行. 術中所見は左内腸骨動脈吻合部破綻でmethicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA) が検出された. 1年後後腹膜膿瘍として再燃. やはりハイリスクのため人工血管抜去せず, 膿瘍腔に腹直筋充填施行. 術後1年現在膿瘍の再燃を認めていない.
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