日本血管外科学会雑誌
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16 巻 , 3 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
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巻頭言
原著
  • 古屋 隆俊, 西蔭 誠二, 宮原 拓也, 北野 健太郎
    16 巻 (2007) 3 号 p. 555-561
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
    われわれは過去14年間に94例の破裂性腹部大動脈瘤(RAAA)を経験した.救急外来の死亡10例を除く84手術例に対して,迅速診断法(急激な腹痛・腰背部痛 + 意識消失やショックの既往 + エコーで動脈瘤 = RAAAと診断)により速やかに手術を行ってきたが,とくに来院時診断の有無(未診断群と既診断群)と持続出血型(造影剤血管外漏出群:7 例,血腫拡大群:13例,入院破裂群:7 例)とに焦点を当てて成績を検討した.Fitzgerald分類(F-2群などと表記)の内訳はF-1群:F-2群:F-3群:F-4群 = 8 例:9 例:57例:10例,ショック例は13%:56%:86%:90%,死亡率は 0%:0%:32%:40%であった.F-2群~F-4群の76例に関して,来院時未診断群36例(47%)と既診断群40例(53%)とでは来院-執刀時間が既診断群で有意に短い(114分:60分)以外は周術期データに差はないが,死亡率は未診断群が有意に不良であった(44%:15%,p = 0.005).持続出血型の検討で,入院-大動脈遮断時間は造影剤血管外漏出群:血腫拡大群:入院破裂群 = 331分:356分:61分,手術データに有意差はないが,入院死亡率は71%:23%:43%,造影剤血管外漏出群は安定型に比べ有意に不良(p = 0.007)で,入院破裂群も死亡率が高かった.RAAAにおいては大出血の時期,程度や速度が予後に関係するがこれらは予測不能であり,あらゆる努力をしても救命不可能な患者がいることも事実である.それでも迅速な診断と手術室移送が可能な施設の態勢を整えることと,速やかな大動脈遮断と確実な血行再建技術への不断の努力は,RAAAの手術成績向上に必要な条件である.
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症例
  • 猪狩 公宏, 井上 芳徳, 中村 浩志, 広川 雅之, 菅野 範英, 岩井 武尚
    16 巻 (2007) 3 号 p. 563-566
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
    線維筋性異形成(fibromuscular dysplasia; FMD)は腎動脈や頸動脈に好発する原因不明の動脈疾患で,内腔狭窄や動脈瘤を生じる.症例は55歳,男性.15歳より20本 / 日の喫煙歴を有し,手指,足趾の潰瘍,冷感を自覚した.経動脈的血管撮影にて両側後脛骨動脈・橈骨動脈の途絶像を認めたことからBuerger病と診断し,左胸部交感神経焼灼術,右腰部交感神経切除術を施行し,また右後脛骨動脈を生検した.病理では器質化した血栓や血栓性静脈炎の所見は得られず,中膜,外膜の肥厚を認めたことからFMDと診断した.塩野谷の診断基準でBuerger病と診断したが,病理所見にて末梢血管発生のFMDと診断した.本症例は病理学的にも確認された,まれな末梢血管発生のFMDである.術前にBuerger病と診断したことから考え,以前Buerger病と診断していたものの中にもFMDが混在している可能性がある.
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  • 出口 聡美, 河内 秀幸, 岩崎 靖, 西山 勝彦
    16 巻 (2007) 3 号 p. 567-570
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
    症例は右総腸骨動脈瘤を伴わない右総腸骨動脈-左総腸骨静脈瘻,腹部大動脈瘤であると診断された57歳男性.左総腸骨静脈は最大径 5cmに嚢状拡張していたため,動静脈瘻の瘻孔閉鎖および腹部大動脈瘤切除,人工血管置換術を施行した.術中所見で瘻孔は右総腸骨動脈壁粥状硬化の潰瘍形成部に 3 カ所存在しており,瘻孔からの出血コントロールに難渋したため,術中自己血回収装置を使用しながら瘻孔部分を含んだ右総腸骨動脈全体を縫合閉鎖し,その後血行再建を行った.動脈瘤を伴わない腸骨動静脈瘻は椎間板ヘルニア手術後などの合併症としては報告があるが,本症例のように手術の既往もなく動脈瘤も認めない腸骨動静脈瘻はまれである.術式は血流遮断した上での瘻孔のみの単純縫合閉鎖が望ましいが,動脈壁の石灰化が高度な場合は,動脈全体を縫合閉鎖してから血行再建する必要があると考えられた.
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  • 前田 孝一, 康 雅博, 川崎 富夫, 松江 一, 澤 芳樹
    16 巻 (2007) 3 号 p. 571-574
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
    比較的稀な限局的動脈狭窄性疾患のひとつである膝窩動脈外膜嚢腫の 1 例を経験した.症例は63歳女性で右下肢の間歇性跛行にて発症した.右側ABIは0.93と軽度低下を認めた.下肢造影CTにて右膝窩動脈に高度狭窄と血管内腔に突出する嚢胞状病変の所見を認めた.下肢MRI長軸像では右膝窩動脈周囲に縦長の嚢胞様腫瘤を認め,膝窩動脈を狭窄させていた.同腫瘤はT1強調像で低信号,T2強調像で高信号に描出されていた.短軸像では,花弁状に嚢胞状病変が膝窩動脈を取り囲んでいた.以上より外膜嚢腫と診断した.術前に血管エコーで嚢腫直上にマーキングを施した後,小切開にて外膜切開術を行った.膝窩部の可動域制限を心配することなく良好な経過を得た.本疾患の病態の理解が進み画像診断が向上したことにより,今後さらに低侵襲手術の対象となると考えられる.
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  • 小島 淳夫
    16 巻 (2007) 3 号 p. 575-578
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
    バージャー病による重症下肢虚血の状態で入院し,経過中に主幹動脈の広範な再疎通を認め症状改善が得られた,きわめて稀な症例を経験したので報告する.症例は42歳,男性.右足部のしびれおよび疼痛のために緊急入院となり,精査の結果バージャー病による右膝窩動脈以下の閉塞と診断された.右足部は皮膚小潰瘍を認める重症虚血状態にあり,ただちに抗凝固療法,lipo PGE1投与などの保存的治療を開始し,入院後12日目に腰部交感神経節切除を行った.入院後17日目に血行再建の可能性を検討すべく血管撮影を行ったところ,閉塞していた膝窩動脈に再疎通を認め,腓骨動脈を介して足部が灌流される様子が確認され,肢切断を行うことなく軽快し退院となった.
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  • 渡辺 正明, 若松 大樹, 猪狩 次雄
    16 巻 (2007) 3 号 p. 579-582
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.高血圧の精査目的に入院し,CTおよびMRI検査からchronic contained ruptureを呈した腹部大動脈瘤と診断された.本症例は無症状のため破裂時期が不明瞭だが,手術時右腎動脈分枝遠位側で下大静脈との間に 1 カ所,腹部大動脈から分枝後の左総腸骨動脈後側に 1 カ所,計 2 カ所でほぼ円形の破裂孔を確認した.調べ得た限りchronic contained rupture症例で 2 カ所の破裂孔を有し,かつ腎動脈下右側に破裂した報告例はない.破裂孔以外にも動脈瘤内面に淡い潰瘍を呈する部分があり,penetrating atherosclerotic ulcerの穿通による仮性動脈瘤の可能性も否定できなかった.
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  • 大仲 玄明, 中山 正吾, 野中 道仁, 稲嶋 麻衣子
    16 巻 (2007) 3 号 p. 583-587
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.高血圧の既往があった.突然の胸痛,胸部圧迫感で発症し,造影CT検査にて急性A型大動脈解離と診断された.カテコラミン点滴下に当院へ救急搬送された.血圧低下および II,III,aVF誘導でST上昇をきたし,完全房室ブロックを併発して,ショック状態であった.症状経過から右冠動脈病変を合併した急性A型大動脈解離と診断し,緊急手術の準備とともに,ショック状態ならびに進行する心筋障害に対して,まず冠血行再建を行う方針とした.冠動脈造影検査では#1~2 に99%狭窄を認め,ステントを留置した.これにより胸部症状は改善,血圧上昇を得た.続いて上行弓部大動脈全置換術と大伏在静脈にて冠動脈バイパス術 1 枝を行った.術後右脳梗塞を認めたが,48日目に独歩退院された.冠動脈病変を合併した急性A型大動脈解離症例では,進行する冠虚血に対してまず経皮的冠血行再建を行い,冠血流を確保することも一救命手段であることを報告する.
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  • 斎藤 雄平, 添田 健, 湯浅 貞稔, 瀬戸崎 修司, 梶 彰吾, 長見 晴彦
    16 巻 (2007) 3 号 p. 589-592
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.農作業中に左手の冷感,痛み,しびれを自覚.翌日に近医を受診し,当科に紹介となる.左橈骨動脈,尺骨動脈の拍動は欠如し,左手の著明なチアノーゼを認めた.発症より18時間程度経過していると推定されたが,虚血症状が強いため,緊急血栓除去術を施行した.術直後より,橈骨,尺骨動脈ともに拍動は触知可能となったが,左手の著明な腫脹が出現し,阻血症状が再出現したため,直ちに形成外科にて手背の筋膜切開術を施行した.筋肉は著明に腫脹し,虚血様の色調を呈していたが,十分な減圧が得られたと思われた.合併症をきたすことなく,術後25日目に退院した.上肢の血栓除去後に,手に筋膜切開を要するような症例に遭遇することは稀と思われるが,本症例のようにcompartment症候群をきたすこともあり,注意深い観察と筋膜切開も念頭に置いた的確かつ迅速な術後の対応が必要と思われた.
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  • 流郷 昌裕, 河内 寛治, 今川 弘, 塩崎 隆博, 杉下 博基, 高野 信二
    16 巻 (2007) 3 号 p. 593-596
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
    症例は72歳男性.腎結石の精査のため施行された腹部CTにて腹部大動脈に径52mmの紡錘状動脈瘤を指摘され,手術目的にて当院に紹介された.当院にてCTを再検したところ,腹部大動脈瘤に加え,右大腿深動脈に径25mmの紡錘状動脈瘤を指摘された.平成18年 5 月中旬に,腹部大動脈瘤および右大腿深動脈瘤に対する人工血管置換術を同時施行した.術後経過良好にて術後12日目に独歩退院した.大腿深動脈瘤は解剖学的関係より瘤径がかなり大きくなってから発見されるか,破裂により発見される例がほとんどであり,本症例のように無症状の段階でCTにて偶然発見される症例は珍しく,文献的考察を加え報告した.
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  • 札 琢磨, 岡本 健, 尾上 雅彦, 佐賀 俊彦
    16 巻 (2007) 3 号 p. 597-600
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
    右総腸骨静脈へ穿破し,動静脈瘻を形成した腹部大動脈・総腸骨動脈瘤を経験したので報告する.症例は87歳,男性.近医で著明な両下肢の浮腫,呼吸不全,腹部大動脈瘤・総腸骨動脈瘤を認めたため,当科へ紹介となった.触診上,右側腹部にthrillを触れ,CTで腹部大動脈遠位部から総腸骨動脈の動脈瘤を認めた.術中,瘤後壁に右総腸骨静脈との瘻孔を認めた.用手的に出血をコントロールしながら瘤内腔よりフェルト片付き4-0モノフィラメント糸で瘻孔を閉鎖した.腹部大動脈以下はY字人工血管(UBE WOVEN WYK,18 × 9mm)にて置換した.術後,症状は著明に改善し,リハビリテーション目的に転院した.
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