日本血管外科学会雑誌
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17 巻 , 1 号
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巻頭言
原著
  • 辻 義彦, 北野 育郎, 辻 依子, 寺師 浩人, 司尾 和紀
    17 巻 (2008) 1 号 p. 1-6
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    【目的】重症虚血肢に対する血行再建術前後の皮膚灌流圧測定の意義を評価する.【対象と方法】最近 3 年間に創傷治療センターを受診した399例中205例(51.4%)が下肢閉塞性動脈疾患による虚血性潰瘍と評価された.このうち血管外科手術が選択された44例(男性34例,女性10例,平均71.4歳)を対象とした.全例に鼠径靭帯下の血管外科手術(総大腿動脈血栓内膜摘除術 1 例,大腿—膝上膝窩動脈バイパス術12例,大腿—膝下膝窩動脈バイパス術12例,脛腓骨動脈へのバイパス手術19例)が施行され,さらに併存する腸骨動脈病変に対し 5 例に,バイパス手術が 9 例に血管内治療が追加された.手術前後に皮膚灌流圧(skin perfusion pressure; SPP)を用いて局所血流を評価した.【結果】膝上,膝下膝窩動脈へのバイパス開存率はそれぞれ100%,91.7%であった.脛腓骨動脈へのバイパスでは 6 例の初期閉塞と 2 例の早期閉塞を認め,一次開存率57.9%,二次開存率68.4%であった.SPP値は術前21.1 ± 10.8mmHgから術後60.4 ± 26.1mmHgに上昇し(p < 0.01),早期死亡と転院を除く41例中35例(85.4%)で下肢救済できた.44例中 1 例が術後早期に心筋梗塞で死亡,12例が退院後死亡し,1 年生存率75.0%,3 年生存率53.0%であった.【結論】重症虚血肢に対するバイパス手術成績はほぼ満足できたが,その生命予後は不良で,動脈硬化性疾患に対する全身管理が肝要と思われた.またSPPは術前後の局所血流をよく反映し,40mmHg以上あれば良好な創傷治癒機転の働くことが確認された.
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  • 川崎 富夫
    17 巻 (2008) 1 号 p. 7-12
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    【はじめに】学会は会員にさまざまなメッセージを発信する.だが重要なのは,会員が何を受け取りどのように了解したのかである.会員が了解したメッセージは,総会活動の中に痕跡として残されている.このメッセージをどのようにとらえて利用できるのかを検討した.【方法】1999年から2006年まで心臓血管外科専門医制度を構成する 3 学会を対象に,静脈血栓塞栓症に関わる主要セッションのテーマ(セッション・テーマ)解析を行った.さらに,この結果を公的鑑定に使用可能かどうかを検討した.事件は1999年当時の肺塞栓症の予防として深部静脈血栓症の予防を行う注意義務があったかどうかが問われた控訴審であった.【結果】日本胸部外科学会では関連テーマがなく,日本心臓血管外科学会では2005年に治療が一度取り上げられていた.一方,日本血管外科学会では診断と治療が2001年以降 5 セッションで取り上げられ,深部静脈血栓症予防による肺塞栓症の予防は2006年に初めて取り上げられた.最高度の医療水準を示す学会セッションでも,深部静脈血栓症の予防による肺塞栓症の予防が取り上げられたのは2006年が初めてであったことから,それ以前の肺塞栓症の予防とは深部静脈血栓症の早期診断と早期治療であったことを明らかにできた.鑑定において1999年当時の医療水準をこのような方法で示すことができ控訴棄却となった.【結論】セッション・テーマの解析により,学会の専門性と「当時の医療水準」の「上限」を示すことができた.
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  • 出口 順夫, 永吉 実紀子, 小野塚 温子, 橋本 拓弥, 浦部 豪, 高山 利夫, 西蔭 誠二, 木村 秀生, 重松 邦広, 宮田 哲郎
    17 巻 (2008) 1 号 p. 13-17
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    【背景】静脈血栓塞栓症(VTE)は悪性腫瘍患者に多く,肺塞栓症(PE)の塞栓源となって突然死の原因となる.悪性腫瘍患者の治療中とくに化学・放射線療法の際のPEに対する適切な予防法の確立は重要である.【対象と目的】2003年 1 月より2007年 3 月までに当院に入院したVTE 120例のうち,悪性腫瘍に対する化学・放射線療法を要する症例を対象とし,基礎疾患の治療上,抗凝固療法に加えてIVCフィルターが肺塞栓症予防に有効か否か検討した.【結果】悪性腫瘍を有する症例は52例で,そのうち,長期的に化学放射線療法を行う患者は39例であった.悪性腫瘍の進行度は,Stage I:7 例,II:4 例,III:11例,IV:17例で,進行癌であることが多かった.39例のうち30例は抗凝固療法のみ(非フィルター群)で対応し,残りの 9 例は抗凝固療法に加え永久型IVCフィルター(フィルター群)を留置した.平均16.9カ月の観察期間中,症候性PEを発症したものがフィルター群に 1 例あったが,非フィルター群にはなかった.また,抗凝固による出血性合併症をおこしたものはなかった.遠隔期血栓の状況が確認できた症例が27例(フィルター群 7 例,非フィルター群20例)あったが,血栓が増加する症例は予後不良の傾向があり,いったん血栓が消失しても,癌の再発とともに血栓形成がみられたものが 3 例あった.一方,経過中17例が死亡したが,肺塞栓症による死亡はなく全例癌死であった.【結論】IVCフィルターは悪性腫瘍患者の化学放射線療法中のPEを予防しているとはいえなかった.むしろ血栓は悪性腫瘍の病状に関係すると考えられた.
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症例
  • 朝見 淳規, 秋好 沢林
    17 巻 (2008) 1 号 p. 19-23
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    Y型人工血管置換術後に再発性の細菌性末梢塞栓をきたしたgraft–enteric erosionの 1 例を経験した.症例は71歳男性,AIODにてY型人工血管バイパス(on lay)術施行,4 年後に発熱,足部の紫斑,下腿筋間の膿瘍をきたした.最終手術前の 2 回の入院時は画像上,グラフト周囲膿瘍など典型的なグラフト感染像を認めず,血液培養もすべて陰性,抗生剤投与で解熱,炎症反応も陰性化したため経過観察とした.3 回目の発症時はグラフト一部の閉塞,グラフト周囲の液体貯留を認め,グラフト感染と診断し手術を施行.Y型人工血管の分岐直上の部分で 2 × 2.5cmにわたりグラフトの腸管内露出を認めた.全グラフトを除去,両側腋窩—大腿動脈バイパス術を施行し救命,救肢できた.Graft-enteric erosionは診断が困難な場合も多いが,本症を念頭に置きCTによるグラフト—腸管の関係の詳細な検討が重要である.
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  • 竹本 圭宏, 善甫 宣哉, 宮本 俊吾, 金田 好和, 須藤 隆一郎, 倉田 悟
    17 巻 (2008) 1 号 p. 25-28
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    今回われわれは異なる治療を行った 2 例の肝動脈瘤を経験したため,文献的考察を加えて報告する.1 例は総肝動脈から固有肝動脈に達する紡錘形肝動脈瘤を認め,瘤切除および大伏在静脈置換術を施行した.もう 1 例は右肝動脈に嚢状に生じた肝動脈瘤に対して経カテーテル的コイル塞栓術を行った.2 例とも,術後経過は良好で瘤内の血流が消失し,軽快退院した.肝動脈瘤は腹部内臓動脈瘤内では脾動脈瘤に次いで多いといわれているが比較的稀な疾患である.破裂した場合の死亡率は高く,積極的な治療が必要である.
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  • 初音 俊樹, 井元 清隆, 鈴木 伸一, 内田 敬二
    17 巻 (2008) 1 号 p. 29-32
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.63歳時に最大径55mmのStanford B型解離性大動脈瘤に対して,経カテーテル的ステントグラフト内挿術を施行した.術後遠隔期に,胸部下行大動脈の解離腔の血栓化は得られたが,大動脈径の拡大を認めた.6 年後に最大径60mmの胸部下行大動脈瘤に対して人工血管置換術を行った.ステントグラフト留置部中枢側に,大動脈内膜損傷およびulcer like projectionの形成を認め,再手術を施行した.摘出したステントグラフトは,骨格が変形し,連結支柱が離断していた.ステント骨格の一部は,大動脈壁に穿通していた.近位下行大動脈彎曲部に不一致な形状の柔軟性に乏しいステントグラフトを留置したことが原因と考えられた.留置部の大動脈形態に合わせたステントグラフトのサイズ,形状を考慮することが,重要であると考えた.
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  • 山口 聖一, 谷嶋 紀行, 丸山 拓人, 中谷 充
    17 巻 (2008) 1 号 p. 33-36
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.2 カ月前に最大径69mmの腹部大動脈瘤と最大径40mmの両側総腸骨動脈瘤に対し,Y型人工血管置換術を受けた.1 カ月ほど前から発熱と全身倦怠感が認められたが,解熱鎮痛剤を内服しつつ外来通院していた.しかし,腹部膨満,左下腹部痛も出現したため精査・加療目的で入院となった.入院後16日目のCTで,人工血管周囲に貯留した液体の中にガス像が出現したため,人工血管感染が強く疑われ,右腋窩—両大腿動脈バイパス,感染人工血管除去,腹部大動脈縫合閉鎖手術を行い,人工血管除去後のスペースにドレーンを留置した.手術後に行った同ドレーンからの造影検査でS状結腸への瘻孔が確認され,CT所見および臨床経過から二次性aortoenteric fistula(AEF)が人工血管感染の原因と考えられた.その後の術後経過は順調であり,AEFによる人工血管感染に対し,感染人工血管除去,extraanatomic bypassは有用な方法と考えられた.
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  • 畝 大, 吉鷹 秀範, 石田 敦久, 杭ノ瀬 昌彦, 平岡 有努, 津島 義正
    17 巻 (2008) 1 号 p. 37-39
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    左総腸骨動脈瘤切除+大腿—大腿動脈交叉型バイパス術後の腹部大動脈瘤に対してコンバーターを用いてbifurcatedグラフトをuniiliacステントグラフトとした比較的稀な内挿術の経験をした.症例は78歳男性であり他院にて直腸がんに対する低位前方切除術および左総腸骨動脈瘤切除+大腿—大腿動脈交叉型バイパス術後,外来通院中に腹部大動脈瘤が 5cmに徐々に増大を認めたため腹部大動脈瘤に対する治療として右大腿部よりコンバーターを含むZenithデバイスを用いてuniiliac stent graftingを施行した.術後経過は良好であり術後 9 日目に問題なく退院となった.片側総腸骨動脈瘤切除例に対してもZenithデバイスを用いた積極的なステントグラフトの使用が可能であることを報告する.
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  • 小沼 武司, 戸島 雅宏, 西谷 泰
    17 巻 (2008) 1 号 p. 41-44
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は腹部拍動性腫瘤を主訴とする75歳の女性で30年前に胃切除術の既往を有する.腹部CT検査で上腸間膜動脈本幹に直径40 × 47mmの動脈瘤を認め,回腸,結腸枝は動脈瘤から分枝していた.腹部血管造影検査で上腸間膜動脈分枝に対する腹腔動脈および下腸間膜動脈からの側副血行が不良のため,動脈瘤切除術および大伏在静脈によるグラフト置換術を施行した.動脈瘤の病理組織学的検査では嚢胞状中膜壊死を認めた.本症例は胃切除術の既往があり,術前に腹腔動脈,上腸間膜動脈,下腸間膜動脈の選択的血管造影を行い,動脈瘤と腸管への血流,各動脈間の側副血行の評価を行った.待機的手術である本症例において術式の選択に血管造影検査は有用であった.本症に対する静脈グラフトを用いた再建術の報告は少なく,文献的考察を加えて報告する.
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  • 武内 謙輔, 舟橋 玲
    17 巻 (2008) 1 号 p. 45-48
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    片側の破裂で発見された両側性大腿深動脈瘤の症例を経験したので報告する.症例は76歳男性,左大腿部痛および腫脹が出現し当科受診,CTにて両側大腿深動脈瘤を認め(左側 6cm,右側 3cm),左側の瘤は破裂していた.5 カ月前に施行したCTにて両側大腿深動脈瘤(いずれも瘤径 3cm)を認めた.左側の瘤に対して緊急手術を施行,瘤遠位側の動脈の露出が困難で,瘤を内腔より連続縫合にて閉鎖した.術後左下肢の浮腫が出現,ハドマーにて軽快した.初回手術より20日目に右側瘤に対して待機的手術を施行,6mm ePTFEを用いて血行再建を行った.術後経過は順調で下肢の浮腫を認めることなく,2 回目の手術後13日目に退院となった.
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