日本血管外科学会雑誌
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17 巻 , 3 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
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巻頭言
原著
  • 杉本 貴樹, 北出 貴嗣, 野村 佳克
    17 巻 (2008) 3 号 p. 433-437
    公開日: 2008/05/14
    ジャーナル フリー
    下大静脈フィルター(IVCF)の肺血栓塞栓症(PTE)に対する予防効果とフィルターの合併症について検討した.過去 4 年間に静脈血栓塞栓症に対しIVCF留置を行った27例を対象とした.適応は,1;PTEを発症し再発により致死的となり得る例,2;深部静脈血栓症(DVT)の血栓浮遊例,3;DVTの原因病変に対する手術例,4;抗凝固・線溶療法不能な浮遊DVT例,とした.治療は,適応 1 の12例には,組織プラスミノゲンアクチベータ(t-PA)によりPTEの改善を得た後,残存するDVTに対しIVCFを留置した.適応 2 の 6 例は,IVCF下に線溶療法,血栓摘除術を行った.適応 3 の 5 例は,IVCF下に原疾患(腹部腫瘍 3 例,多発骨折 2 例)の手術を行った.適応 4 の 4 例は,脳出血,悪性腫瘍例に対するIVCF留置であった.留置後の評価は胸・腹部X線,心・静脈エコー,CTにて定期的に行った.【結果】適応 1 の 2 例,適応 3 の 1 例で一時留置型IVCFに多量の血栓が認められた.フィルター転位のない 1 例では血栓溶解療法にて血栓が消失したが,転位のあった 2 例では血栓溶解がなく,手術的にIVCF摘出を行った.全体として平均追跡期間22カ月で,この 3 例を含めPTEの発症,再発を認めず,永久留置型IVCFではフィルターに起因する合併症を認めなかった.【結論】IVCFはPTE予防のため有用であった.一方,一時留置型はその柔軟性のため転位によりフィルター内血栓形成の原因となることもあり,注意深い観察を要する.
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  • 藤井 弘史, 中尾 佳永, 徳田 貴則, 岡田 隆之, 北澤 康秀
    17 巻 (2008) 3 号 p. 439-445
    公開日: 2008/05/14
    ジャーナル フリー
    【背景】高齢化に伴い緊急状態の大動脈疾患のために救急治療を要した90歳以上の高齢者の報告が散見されるようになった.しかし,これらは 1 例報告が主で,しかも成功例の報告であり,その実態は不明である.【対象と方法】最近の55カ月間に関西医科大学の救命センターに心肺停止とならずに搬送された90歳以上の緊急状態の大動脈疾患の患者について治療成績と問題点を検討した.Stanford A型急性大動脈解離が 2 例,Stanford B型急性大動脈解離が 2 例,胸腹部大動脈瘤破裂が 1 例,腹腔内破裂の腹部大動脈瘤が 1 例,後腹膜腔内破裂の腹部大動脈瘤が 1 例,切迫破裂の腹部大動脈瘤が 1 例であった.【結果】腹部大動脈瘤 3 例のうち 2 例は以前から動脈瘤を指摘されていた.2 例とも認知症を理由に手術を拒否していたが,緊急状態に陥ってから手術を希望した.認知症のなかった 1 例は順調に回復した.認知症の 2 例は術後の食事が再開できていたが,誤嚥を契機に 1 例は誤嚥性肺炎で死亡し,もう 1 例は窒息による心肺停止後の蘇生後脳症となった.胸部大動脈疾患 5 例のうち緊急手術を要する状態であったのは 3 例.A型急性大動脈解離 2 例のうちの 1 例は手術により自宅退院することができたが,もう 1 例は手術準備中に心タンポナーデのため死亡した.また,胸腹部大動脈瘤破裂例では重度の大動脈弁閉鎖不全による心不全のため人工心肺から離脱できずに死亡した.B型急性大動脈解離の 2 例は保存的治療で良好な結果が得られた.【結語】90歳以上の高齢者であっても救命することを優先すべきと思われるが,認知症を伴った症例の手術適応については検討する必要がある.
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症例
  • 渡辺 俊明, 中島 昌道, 平山 亮
    17 巻 (2008) 3 号 p. 447-451
    公開日: 2008/05/14
    ジャーナル フリー
    【目的】腹部大動脈人工血管手術後の大動脈-腸管瘻は知られた合併症であるがその発生は比較的稀である.術後遠隔期に発生した 2 例を同時期に経験したので報告する.【症例】症例 1:64歳,男性.腹部大動脈閉塞に対し平成15年 4 月に他院で腹部大動脈-両側外腸骨動脈人工血管バイパス術を受けた.平成17年 8 月 2 日より腹痛・下血を認め,同院で消化管精査を受けるも異常を認めず,8 月19日に再び下血を認め当院受診,8 月31日に大量吐下血ありショックとなった.CTを施行したところ消化管内に造影剤の流出あり大動脈-腸管瘻と診断され緊急手術(腹部大動脈-人工血管再吻合)を行った.症例 2:55歳,男性.腹部大動脈瘤に対し平成 7 年10月に他院で腹部大動脈人工血管置換術を受けた.平成17年 7 月22日に腹痛・下血を認め当院受診,消化管精査では明らかな異常はなかった.8 月27日に再度下血あり大動脈-腸管瘻を疑われ 9 月 2 日に緊急手術(腹部大動脈人工血管置換術)を行った.【結論】腹部大動脈の人工血管手術後に原因不明の消化管出血をきたした際には,大動脈-腸管瘻を疑う必要がある.画像検査での診断確定はしばしば困難であり,大量出血の可能性があるため早期に手術治療を考慮する必要がある.
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  • 郡谷 篤史, 山岡 輝年
    17 巻 (2008) 3 号 p. 453-456
    公開日: 2008/05/14
    ジャーナル フリー
    症例は87歳・男性.主訴は両下肢間歇性跛行,食後の腹痛,下痢.CTアンギオにて血栓閉塞した腹部大動脈瘤(腎動脈下,8cm)を認め,さらに腹腔動脈起始部の高度狭窄,上腸間膜動脈根部の慢性完全閉塞を合併していた.腹部大動脈瘤切除再建(末梢吻合部は両側総大腿動脈,右内腸骨動脈再建)および上腸間膜動脈再建術を施行した.術後経過は良好で間歇性跛行,腹部症状は軽快した.
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  • 松下 明仁, 小宮 達彦, 田村 暢成, 坂口 元一, 小林 平, 古川 智邦
    17 巻 (2008) 3 号 p. 457-461
    公開日: 2008/05/14
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.腹部大動脈瘤破裂を発症後,約30時間を経過して診断された.当院来院時に血圧低下,ショック状態であり緊急手術を施行した.腹腔内に血液の漏出があり,破裂を伴う 6cm径の腹部大動脈瘤と後腹膜腔内に多量の血腫を確認した.またS状結腸から結腸にいたる虚血所見を認めた.Y字型人工血管置換術を施行し,後腹膜を可及的に閉鎖した後に,一期的にハルトマン手術(S状結腸,直腸切除+人工肛門造設術)を施行した.急性腎不全のほか,呼吸不全,肝機能障害を合併したが,鎮静下の全身管理により血液透析,呼吸器からの離脱に成功した.一般病棟でのリハビリテーション後,重篤な後遺症なく術後23日に軽快退院した.
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  • 前田 俊之, 栗本 義彦, 大澤 久慶, 川原田 修義, 森下 清文, 樋上 哲哉
    17 巻 (2008) 3 号 p. 463-466
    公開日: 2008/05/14
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,男性.突然の胸背部痛にて他院に緊急搬送された.造影CT検査にてStanford B型急性大動脈解離と診断され,降圧療法が開始された.第 9 病日に高度真腔狭小化に伴う両下肢虚血と腎機能障害が認められ,緊急手術の適応と判断され当院緊急搬送された.当院搬送後,エントリー閉鎖目的に緊急ステントグラフト内挿術を施行した.術後,両下肢虚血と腎機能障害は改善し,他院転院となった.
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  • 坂田 雅宏, 安宅 啓二, 谷村 信宏
    17 巻 (2008) 3 号 p. 467-470
    公開日: 2008/05/14
    ジャーナル フリー
    症例は,62歳女性で,腹痛の精査中に,最大径19mmの下膵十二指腸動脈瘤と下膵十二指腸動脈後枝にも瘤状の拡大が認められ,さらに腹腔動脈にも高度狭窄が認められた.本症例では,腹腔動脈の高度狭窄のため,下膵十二指腸動脈が側副血行路として発達したことが,下膵十二指腸動脈の動脈瘤と後枝の動脈拡張の要因と考えられる.術中術後の血流障害のリスクを回避するためと,術後遠隔期の側副血行路の発達をおさえるために,大動脈総肝動脈バイパス術を行ったうえで,下膵十二指腸動脈瘤と拡張した後枝の切除を行った.術後経過は順調で,術後の血管造影検査では,上・下膵十二指腸動脈の拡張は消失していた.腹腔動脈の高度狭窄を伴った下膵十二指腸動脈瘤に対し,動脈瘤切除と腹部大動脈総肝動脈バイパス術と下膵十二指腸動脈瘤切除とを行う方法は,周術期の臓器虚血を回避し,下膵十二指腸動脈瘤の再発を防止する有用な方法と考える
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  • 森嶌 淳友, 平尾 真吾, 横山 晋也, 長門 久雄, 金田 幸三, 西脇 登
    17 巻 (2008) 3 号 p. 471-474
    公開日: 2008/05/14
    ジャーナル フリー
    Segmental arterial mediolysis(SAM)という概念は近年,腹部内臓動脈瘤の成因として注目されているが,SAMに起因する腹腔動脈瘤を経験したので報告する.症例は41歳,女性.平成18年 6 月下旬突然の腹痛あり,近医に救急搬送されCT撮影した結果,両側腎梗塞,脾梗塞を認め緊急入院となった.ヘパリン5000単位/日投与開始,その後腹痛消失,CTにて脾梗塞像も消失した.7 月上旬造影CTにて腹腔動脈瘤が指摘され,急激な拡大傾向があるため手術目的にて同日当院に紹介となった.明らかな感染所見は認めず,降圧療法を行い 7 月中旬腹腔動脈瘤切除術,血行再建術を施行した.術後経過良好にて13日目退院となった.病理組織検査ではSAMであった.SAMの報告例のほとんどが緊急症例であり,本症例のように待機的手術を施行した例は稀であり,文献的考察をふまえて報告する.
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  • 井上 天宏, 蜂谷 貴
    17 巻 (2008) 3 号 p. 475-478
    公開日: 2008/05/14
    ジャーナル フリー
    腎回転異常を合併した腹部大動脈瘤の症例を経験したので報告する.症例は56歳男性,CT検査にて径58mmの腎動脈下腹部大動脈瘤を認め,右腎は腎門部が腹側を向く不完全型腎回転異常であった.右腎動脈は大動脈から正常に分枝する 1 本と,左総腸骨動脈から分枝する下極枝の 2 本存在し,下極枝は右腎の約半分を灌流していた.手術では,この下極枝に橈骨動脈圧ラインから選択的持続血液灌流を行いながら,Y字人工血管置換術および下極枝-人工血管右脚の直接吻合を施行した.なお,術中右腎静脈下極枝が存在,右総腸骨動脈の腹側を走行し,左総腸骨静脈に流入していることが判明した.術後は腎機能においても良好な結果を得た.術中,腎虚血時間が長くなる場合には,選択的持続血液灌流法は適切な腎保護法であると考えられた.また,腹部大動脈瘤手術において腎の形態・位置異常を合併した症例では腎動脈とともに腎静脈にも起始・走行異常を合併することがあるため,術中の損傷を防ぐために術前の詳細な画像評価が重要であると考えられた.
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  • 石川 訓行, 和泉 裕一, 眞岸 克明, 木村 文昭
    17 巻 (2008) 3 号 p. 479-482
    公開日: 2008/05/14
    ジャーナル フリー
    症例は73歳の女性.左手指蒼白を主訴に近医受診後 2 カ月の経過で左上肢冷感,脱力へと症状が進行し,日常生活に支障を来すようになったため当科紹介となった.両上肢動脈拍動を触知せず,血管造影にて両側腋窩動脈閉塞を認めたため,2000年 1 月左尺側皮静脈を用いて左鎖骨下–上腕動脈バイパス術を行った.術後左上肢の症状が改善したことから,右上肢の脱力症状が顕著となり,同年 3 月同様に右上肢のバイパス術を行った.術前後での上肢/下肢血圧比は右0.33→0.83,左0.41→1.01で,術後は日常生活に支障を来すことがなくなり,QOLが向上した.病因は非特異的血管炎と考えられたが,長期開存が得られた.
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