日本血管外科学会雑誌
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17 巻 , 7 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
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巻頭言
症例
  • 木内 竜太, 池田 真浩
    17 巻 (2008) 7 号 p. 659-662
    公開日: 2009/01/08
    ジャーナル フリー
    膝窩動脈捕捉症候群の診断に64列MDCTが有用であった 1 例を経験したので報告する.症例は42歳の男性.主訴は運動時の間歇性跛行.数年前より主訴あり近医受診したところ,右下肢の動脈触知減弱を指摘されたため,精査加療目的に当科紹介受診.右足背動脈と右後脛骨動脈の動脈触知は減弱しており,ABIは右0.70,左1.00であった.術前MDCTでは右足の腓腹筋内側頭の起始部が外側頭よりに偏位しているため,内側筋が膝窩動脈をまたぐ形になり,そのために膝窩動脈が閉塞しておりDelaney分類のII型の膝窩動脈捕捉症候群と診断した.手術は自家大伏在静脈を用いた膝上膝窩動脈-膝下膝窩動脈バイパス術を施行した.術後経過は良好であり術前0.70であったABIは1.00に回復し,主訴も消失した.64列MDCTのような画像診断装置の進歩により,低侵襲で正確な診断が可能であった.
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  • 澤田 健太郎, 田中 厚寿, 鬼塚 誠二, 廣松 伸一, 明石 英俊, 青柳 成明
    17 巻 (2008) 7 号 p. 663-667
    公開日: 2009/01/08
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性で,ASOに対する両下肢バイパス手術歴があり,小瘤径の腹部大動脈瘤を合併した胸部下行大動脈瘤切迫破裂に対してステントグラフト内挿術を施行した.胸部ステントグラフト内挿術後に腹部大動脈瘤の壁在血栓剥離による腹部大動脈瘤血栓閉塞をきたし,緊急に腹部大動脈置換術と下肢グラフト内血栓除去を行った.下肢の運動機能は緊急手術の直前まで保たれていたが,緊急手術後に膀胱直腸障害と第11胸髄レベル以下の不全対麻痺を発症した.高圧酸素治療(HBO)と理学療法により膀胱直腸障害は消失し独歩退院となった.今回の不全対麻痺発症は胸部ステントグラフト内挿術後に腰動脈が脊髄への側副血行になっていた可能性があり,腹部大動脈置換術時の腰動脈閉鎖が脊髄虚血に影響を及ぼしたのではないかと考えられた.
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  • 福田 卓也, 福島 靖典, 児嶋 一司
    17 巻 (2008) 7 号 p. 669-676
    公開日: 2009/01/08
    ジャーナル フリー
    馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤の手術を経験したので報告する.症例は81歳,男性.急性心筋梗塞発症時に馬蹄腎を合併した腎動脈下腹部大動脈瘤を指摘された.術前の 3D-CT血管造影にて左右主腎動脈,副動脈,左右尿管の走行を確認し手術に臨んだ.手術は腹部正中切開,経腹膜アプローチにて行った.大動脈遮断にて動脈瘤の減圧を行うことで,腎峡部は大動脈前面との間で容易に剥離可能であり,腎峡部を上下へ牽引することで良好な視野が得られた.副動脈末梢より人工血管置換を施行し,術後経過は良好で腎機能の悪化も認められなかった.術前評価としては腎動脈の分枝異常,尿管の走行の評価が重要と考えられた.分枝血管は 3D-CT血管造影のみで評価可能であったが尿管は静脈性腎盂造影などを考慮することも必要と考えられた.これらの術前評価から腎動脈再建,腎峡部の処理,アプローチ方法を検討し手術に臨む必要があると考えられる.
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  • 大堀 俊介, 栗本 義彦, 伊藤 寿朗, 馬場 俊雄, 川原田 修義, 樋上 哲哉
    17 巻 (2008) 7 号 p. 677-680
    公開日: 2009/01/08
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性.腹部大動脈瘤に対して69歳時に自作ステントグラフトによる治療を受け,術後エンドリークを認めず外来フォローされていた.経過観察中にステントグラフト末梢側よりエンドリークが認められるようになり経過にて腹部大動脈瘤の最大径が70mmに拡大してきたため再治療が必要と判断された.しかし,在宅酸素療法中であり全身麻酔による通常手術は困難と判断し再血管内治療を選択した.前回留置された自作ステントグラフトの中枢側が腎動脈直下に存在しているため中枢側がベアステントになっているゼニスグラフトを使用することとした.術中,術後とも再ステントグラフト治療に伴う合併症を認めず経過良好で退院した.調べ得る限りでは自作ステントグラフト内挿術後の再治療に対してゼニスグラフトを使用した報告はなく,良好な結果を得たので報告する.
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  • 平野 雅生, 林田 直樹, 村山 博和
    17 巻 (2008) 7 号 p. 681-684
    公開日: 2009/01/08
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈瘤の手術では対麻痺の合併は比較的まれである.今回,破裂性腹部大動脈瘤術後に対麻痺をきたした 1 例を報告する.症例は60歳男性で,右下腹部痛・腰背部痛を主訴に来院した.腹部CT検査にて腎動脈下腹部大動脈瘤と後腹膜の血腫を認め,破裂性腹部大動脈瘤と診断した.手術準備中に血圧40mmHgのショックとなり,直ちに瘤切除術,straight graft置換術,下腸間膜動脈再建を行った.術後Th11以下の不全対麻痺を合併した.ナロキソン投与,ステロイドパルス療法,早期リハビリにて自力歩行まで改善した.本症例では術前・術中の低血圧がその発症に深く関与していると考えられた.
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  • 山崎 武則, 石田 英樹
    17 巻 (2008) 7 号 p. 685-688
    公開日: 2009/01/08
    ジャーナル フリー
    血行再建術後の後腹膜乳び液貯留に対してオクトレオチドが有効であった症例を経験した.症例は65歳,男性.両側下肢閉塞性動脈硬化症に対し腹部大動脈–両側総大腿動脈バイパスおよび両側大腿動脈–膝窩動脈バイパス術を施行した.術後,後腹膜乳び液貯留を発症し,脂肪制限食への変更を行ったが改善しなかった.第12病日に腹部大動脈周囲のリンパ管結紮術を施行し,術後保存的(絶食と完全静脈栄養)に管理したが改善傾向を認めなかったため第15病日よりオクトレオチドを投与した.治療に良好に反応し乳び液の流出は投与後10日で消失した.オクトレオチドは本合併症の治療に有効で,早期からの積極的な投与が治療期間を短縮させうると考えられた.
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  • 神作 麗, 齊藤 寛文, 江口 昭治, 丸山 行夫
    17 巻 (2008) 7 号 p. 689-693
    公開日: 2009/01/08
    ジャーナル フリー
    症例は57歳の男性.突然の上腹部痛を認め,腹部造影CTで上腸間膜動脈(SMA)の起始部より約0.5cmから末梢にかけて孤立性の解離を認めた.偽腔は血栓で閉塞していた.真腔は大きく開存していたため,保存的療法を行う方針とした.絶食および血圧コントロールのみで翌日には腹痛は消失した.入院後 2 日目に再度施行した腹部造影CTで解離の進展を認めなかったため,摂食を再開し,アスピリンの内服を開始した.症状の再発を認めず,入院後 8 日目に退院した.3 カ月後の腹部造影CTでは偽腔は消失していた.大動脈解離に伴わない孤立性のSMA解離は比較的まれな疾患であり,その治療法は確立していない.抗凝固療法の必要性に関しては議論があるが,本疾患では真腔の狭窄の重症度によって抗血小板療法や抗凝固療法を考慮すべきと思われる.適切な内科的療法を行っても虚血性腸炎や偽腔の拡大がみられた場合には,侵襲的治療が必要である.
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手術の工夫
  • 菊地 慶太, 山本 平, 丹原 圭一, 今井 健介, 金築 一摩, 山岡 啓信, 岩村 泰, 斉藤 洋輔, 佐川 直彦, 山崎 元成
    17 巻 (2008) 7 号 p. 695-699
    公開日: 2009/01/08
    ジャーナル フリー
    【はじめに】急性大動脈解離における緊急手術では,偽腔閉鎖を目的としてGRF(gelatin-resorcin-formalin)glueと,新しく開発したGRF用クリップを用いている.また大動脈の縫合部補強には内外 2 層のフェルトストリップを用いるが,止血のための工夫を行っている.本法を用いた急性大動脈解離の手術結果を報告する.【方法】対象は,2005年 2 月~2006年 1 月の間に,Stanford A型急性大動脈解離と診断され島根大学医学部にて緊急手術を行った,連続した急性大動脈解離 6 例を対象とした.平均年齢75.2 ± 6.0歳.方法:偽腔内にGRF glueを薄く塗り,GRFクリップで把持したまま内側と外側にフェルトをおき可及的にマットレス縫合を行う.5 分後にクリップを抜き取り糸を結紮する.GRFクリップ:クリップは洗濯ばさみの先に小さい櫛を 2 枚重ねた形状ものを作成した.その特徴は,櫛状の間からフェルト縫合を同時に行えることである.フェルトの工夫:人工血管吻合後に偽腔の減圧を目的として,外側のフェルトの縫合線より大動脈側にマットレス縫合をおきフェルトを締め付ける.【結果】上行置換術を 2 例,弓部置換術 + elephant trunk法を 3 例,上行弓部置換術 + elephant trunk法 + 1 枝冠動脈バイパス術(CABG)を 1 例に施行した.平均手術時間は323.0 ± 43.0分,平均術中出血量は750.0 ± 596.5cc,平均術中輸血量はMAP 7.8 ± 5.9単位,凍結血漿7.0 ± 3.9単位,血小板8.3 ± 4.1単位.手術死亡は腸管虚血による 1 例であった.術中止血に難渋する症例はなく,術後に止血のための再開胸手術は必要としなかった.【まとめ】縫合操作を同時に行える新しいGRF glueクリップと,外側に巻いたフェルトストリップを締め付ける本法は,急性大動脈解離緊急手術における極めて有用な止血手段であった.(日血外会誌 17:695–699,2008)
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