日本血管外科学会雑誌
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18 巻 , 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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巻頭言
原著
  • 森景 則保, 小野田 雅彦, 野村 真治, 吉村 耕一, 古谷 彰, 濱野 公一
    18 巻 (2009) 1 号 p. 1-8
    公開日: 2009/02/27
    ジャーナル フリー
    【背景】われわれは破裂性腹部大動脈瘤(RAAA)の予後因子としてRutherford分類レベル3,4(R3,R4)が高感度の指標であることを報告してきた.今回はR3,R4に対する当科の治療戦略および治療成績について報告する.【方法】RAAAで手術を施行した前期(1996~2000年)18例と後期(2001~2007年)30例のうち,重症ショックを呈した前期R3,R4の 6 例,後期R3,R4の14例について,在院死亡率,死亡原因,術後合併症を比較検討した.後期R3,R4の治療戦略として,胸部下行大動脈遮断を 9 例(64.3%),abdominal compartment syndrome(ACS)回避のための腹壁仮閉鎖を12例(85.7%)に行った.腹壁仮閉鎖は 2 例に皮膚のみ縫合閉鎖,2 例にラテックスと皮膚を縫合,2 例にラテックス上にvacuum-assisted closure(VAC)techniqueを併用し,最近の 6 例はVAC techniqueのみで仮閉鎖した.【結果】R3,R4の在院死亡は前期 4 例(66.7%)から後期 2 例(14.3%)と有意に低下した(P = 0.019).術後合併症は前期の腎不全 4 例(66.7%),結腸壊死 3 例(50%)に対して,後期はいずれもみられなかった(P = 0.001,P = 0.007).死亡原因は前期がショック離脱不能のlow cardiac output syndrome(LOS)2 例,結腸壊死,腎不全からの多臓器不全 2 例で,後期の 2 例はLOSであった.【結論】胸部下行大動脈遮断,ACS回避の腹壁仮閉鎖は,重症ショックを呈する破裂性腹部大動脈瘤の救命率向上へ有効な治療戦略であることが示唆された.
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  • 古川 浩, 小西 敏雄, 深田 睦
    18 巻 (2009) 1 号 p. 9-16
    公開日: 2009/02/27
    ジャーナル フリー
    【背景】Expanded polytetrafluoroethylene(ePTFE)人工血管は被覆人工血管と比較し術後の炎症反応再燃が少ないことを期待し,腹部大動脈瘤(AAA)手術に使用した.【方法】1998年 5 月から2006年 9 月までのAAA手術138例(緊急21例,男性116例,平均年齢70.9歳)を対象とし,周術期炎症反応と遠隔期画像検査とを比較した.【結果】手術死亡は 4 例,在院死は 1 例あり,いずれも破裂緊急例であった.重症な合併症としてS状結腸壊死が緊急の 1 例に発生したが,術後の腹腔内圧上昇に起因する腹部コンパートメント症候群が原因であった.緊急例を除いた同種血輸血率は18.8%に留まり止血性は良好であった.術後の体温と白血球数は第 1 病日(37.7℃,9400 / mm3)をピークに,CRPは第 4 病日の14.4mg / dlをピークに,以後漸減した.いずれにも再燃を思わせる二相性の推移は観察されなかった.遠隔期(平均1180日)の画像検索にて,外腸骨動脈および内腸骨動脈を再建した人工血管の開存率はそれぞれ,96.3%,および87.9%と良好であり,内腸骨動脈瘤発生を 2 例にのみ認めた.その他に,グラフト周囲漿液腫を10例に認め,1 例に開腹し除去術を行った.【結論】ePTFE人工血管は,術後の炎症反応再燃がなく,遠隔期開存率も良好である一方,グラフト周囲漿液腫が生じやすい可能性がある.
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症例
  • 佐藤 俊充, 宮内 正之
    18 巻 (2009) 1 号 p. 17-20
    公開日: 2009/02/27
    ジャーナル フリー
    【背景】腹部大動脈瘤(AAA)と上腸間膜動脈(SMA)または腹壁との間で十二指腸が壁外性に圧迫され,閉塞に至る症例は比較的稀であるが,このような症例を 2 例経験したので報告する.【症例】症例 1:81歳,男性.2005年11月下旬頃から,頻回の嘔吐を認め,近医受診.2005年12月上旬当科を紹介受診.CTにて右上方に突出するAAA(最大径75mm)とSMAにより十二指腸水平部が壁外性に圧迫され閉塞していることを確認した.症例 2:71歳,男性.2006年 7 月中旬から食後の嘔吐が頻回となり,近医を受診.上腹部に拍動性腫瘤をふれたため,2006年 7 月下旬当科を紹介受診.腹部単純写真ではガス像から胃および十二指腸の拡張を認めるのみであった.CTで右上方に突出するAAA(最大径65mm)と腹壁により十二指腸水平部が壁外性に圧迫され閉塞していることを確認した.【結果】2 症例とも最終的に人工血管置換術を施行することで軽快した.【結論】AAAを有する高齢者の上腹部イレウスの 2 例を経験し,適切な治療により治癒することができた.
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  • 本田 二郎, 与那覇 俊美, 黒木 慶一郎, 和田 秀一, 山本 晋
    18 巻 (2009) 1 号 p. 21-25
    公開日: 2009/02/27
    ジャーナル フリー
    【背景】外傷性胸部大動脈破裂(traumatic aortic rupture; TAR)の 2 例を提示するとともに,本邦での治療報告例につき,その臨床的特徴,手術方法と成績を検討し考察を加えた.【症例】症例 1 は34歳男性で交通事故で受傷したが受傷時には診断されず,4 日後にショック状態となり救急搬送された.大動脈峡部のTARと診断され緊急手術となった.症例 2 は65歳の男性で交通事故で受傷した大動脈峡部のTARである.受傷後約10時間で手術が行われた.いずれの症例も左心バイパス下に下行置換術を行い良好な結果を得た.文献上検索し得た本邦でのTAR手術報告例に自験例を加えた162例を比較検討した.【結果】破裂部位は大動脈峡部121例,下行11例,弓部12例,上行 3 例,峡部 + 弓部 1 例,胸腹部移行部 1 例,不明13例であった.術式は外科的修復142例,ステントグラフト20例.手術死亡は外科的修復 9 例(6.3%),ステントグラフト 2 例(10%)であった.受傷後緊急でTAR手術を優先して行ったものは75例で手術死亡 9 例(12.0%)であった.一方他の処置や治療を先行させ,緊急あるいは待機して手術を行った54例の成績は良好で,手術死亡 1 例(1.9%)であった.急性期症例の手術死亡のうち40%は脳合併症であった.初期の報告では受傷時に診断されず慢性期手術となった例が多く(30例),その成績は良好であった(手術死亡 1 例,3.3%).【結語】TARは脳を始めとした重篤な他臓器障害が存在しないか,またはそれらの治療が先行可能な状態であれば救命率は良好であった.ステントグラフトに関しては今後の症例の蓄積が待たれる.
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  • 神作 麗, 齊藤 寛文, 江口 昭治, 丸山 行夫
    18 巻 (2009) 1 号 p. 27-30
    公開日: 2009/02/27
    ジャーナル フリー
    【背景】大動脈瘤と総腸骨動脈瘤の合併はしばしば経験するが,大動脈瘤と両側の総腸骨動脈瘤が一体化した症例はまれである.【症例】71歳の女性.検診の超音波検査で腹部大動脈瘤を認め,CTで直径が68mmあり,手術適応とされた.【結果】動脈瘤は中央部がくびれ,全体としてひょうたんのような形で,両側の外腸骨動脈・内腸骨動脈のいずれも動脈瘤下端から直接分枝していた.本症例の動脈瘤は,(1)腹部大動脈瘤のみ,(2)腹部大動脈瘤と片側の総腸骨動脈瘤が癒合,あるいは(1)腹部大動脈瘤と両側の総腸骨動脈瘤が癒合,の 3 通りが考えられるが,(1)(2)ならば総腸骨動脈の欠損を伴う必要がある.しかし,総腸骨動脈の欠損の頻度は非常に低く,ほかの先天性異常を伴わないものはさらにまれである.【結論】大動脈瘤と両側の総腸骨動脈瘤が一体化し,まれな形態(ひょうたん型)になったと思われる 1 例を報告した.
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  • 鈴木 博之, 藤松 利浩, 南淵 明宏, 小坂 眞一, 高井 文恵, 橋本 昌紀
    18 巻 (2009) 1 号 p. 31-35
    公開日: 2009/02/27
    ジャーナル フリー
    【背景】馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤(AAA)に対して,腎峡部を離断し人工血管置換術を施行した症例を経験したので報告する.【症例】76歳,男性.術前CTではAAAの腹側に跨ぐ状態で馬蹄腎峡部が存在し,腎峡部には腎実質を含むが腎盂・腎杯構造は認めなかった.術前には異所性腎動脈(ARA)は確認できなかった.手術は腹部正中切開にてアプローチした.幅約 4cmの腎峡部を離断しAAAの全貌を確認すると径約 3mmのARAを 1 本認めた.AAAをY型人工血管にて置換しARAも再建した.【結果】術後腎機能低下はなくMRAでは再建したARAの開存を認めた.【結論】馬蹄腎を伴ったAAAの手術において腎峡部が腎実質のみからなる場合,AAAの全貌露出を容易としARAを正確に確認する目的で,腎峡部を離断する術式は有用であると思われた.そのことで人工血管置換が容易となるだけでなくARAの再建も良好な視野で行うことができた.
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  • 矢田 真希, 貴志 直哉, 湯浅 右人, 徳井 俊也, 庄村 赤裸
    18 巻 (2009) 1 号 p. 37-41
    公開日: 2009/02/27
    ジャーナル フリー
    【背景】腹部臓器血流障害を伴うIIIb逆行性A型急性大動脈解離に対し,緊急ステントグラフト内挿術を施行し,良好な結果を得たので報告する.【症例】66歳,男性.突然の胸背部痛に対し,Stanford A型急性大動脈解離と診断され,当院に搬送となった.当院搬送時より軽度腹痛を認め,回数を増す嘔吐,アシドーシスの進行を認めたため再度造影CT検査を行った.エントリーは下行大動脈近位部にあり,末梢側偽腔は拡大して腹腔動脈,上腸間膜動脈のレベルで真腔は著しく圧迫され,各々の動脈分岐部で途絶像を認めた.このため,偽腔による真腔圧迫に伴う血流障害と判断し,エントリー閉鎖目的に緊急ステントグラフト内挿術を施行した.【結果】術後アシドーシスは改善し,腹部症状も消失し,経過良好にて退院となった.【結論】大動脈解離急性期の腹部臓器血流障害に対するステントグラフト内挿術によるエントリー閉鎖は,有効かつ救命率を高める手段の一つであると考える.
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