日本血管外科学会雑誌
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18 巻 , 3 号
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巻頭言
原著
  • 渡辺 健一, 谷口 哲, 小田桐 聡, 山内 早苗, 大徳 和之, 皆川 正仁, 福井 康三, 鈴木 保之, 福田 幾夫, 河野 元嗣
    18 巻 (2009) 3 号 p. 413-420
    公開日: 2009/05/13
    ジャーナル フリー
    【背景】外傷性胸部大動脈損傷は比較的高い死亡率を有しているが,本邦における一施設での経験数は少なく,治療方針の決定に関して定まった方向性はなく治療が行われているのが現状である.さらに本症は出血性合併症,他臓器損傷を有していることが多く,治療の優先順位の決定が,体外循環使用の適否,ひいては手術成績に大きく影響する.今回われわれは手術施行症例について,多発外傷の重症度評価によるリスクの評価を行い,手術成績を比較しその妥当性を検討した.【対象・方法】1985年から2006年までに手術を行った外傷性胸部大動脈損傷14例を,他臓器損傷,合併損傷の観点から後方視的に検討した.多発外傷の重症度はAbbreviated injury score(AIS-90)にそって数値化し,Trauma Injury Severity Score(TRISS)法による予測生存率(Probability of survival; Ps)を計算した.年齢は16~61歳(平均36 ± 17歳),性別は男12例,女 2 例であった.合併外傷は頭頸部が 3 例,顔面が 3 例,腹部が 6 例,四肢骨盤が 7 例,体表は 1 例であった.予測救命率は55~97.5%(0.89 ± 0.03)であった.これをGroup I(Ps < 80%),Group II(80 ≤ Ps < 95%),Group III(Ps ≥ 95%)に分け,手術成績と比較した.【結果】緊急手術 / 待機手術の症例はそれぞれGroup I:1 / 2,Group II:2 / 3,Group III:5 / 1 であった.手術はGroup IIでステントグラフト内挿術が 1 例,Group II,IIIでそれぞれ 1 例ずつ直接縫合を施行し,その他の11例は人工血管置換を施行した.単純遮断が 2 例,大腿動静脈からの補助循環が 9 例,左心バイパスが 1 例であった.循環停止を 2 例,選択的脳環流を 2 例に併用した.これら14例中,在院死亡は 1 例のみであった.術前より軸索損傷を認めた症例では術後も不全麻痺が残存し,術後 1 例にICU症候群を合併したが改善した.【結論】外傷性胸部大動脈損傷に対しては他臓器損傷の重傷度をきちんと評価し治療方針を決定する必要がある.リスクが高い症例にはステントグラフト内挿術も選択されるべきである.
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  • 遠藤 穣治, 矢野 光洋, 鬼塚 敏男, 中村 栄作, 中村 都英, 桑原 正知
    18 巻 (2009) 3 号 p. 421-424
    公開日: 2009/05/13
    ジャーナル フリー
    【背景】われわれは低濃度大量浸潤局所麻酔(TLA)を用いた非全身麻酔下血管外科手術を80例以上経験した.【症例】対象は2003年 9 月から2008年 3 月の間,TLAを用いて血管外科手術を行った82例.麻酔法はTLAと局所麻酔,硬膜外麻酔,腰椎麻酔,静脈麻酔を組み合わせて行った.【結果】TLA併用麻酔下に施行した手術の内訳は下肢静脈瘤ストリッピング47例,末梢動脈系手術22例,大動脈内ステント内挿術 4 例,透析シャント作製 6 例,ペースメーカ埋込 2 例,感染透析グラフトのデブリドマン 1 例であった.TLAの使用方法はTLA単独35例,TLA併用47例であった.手術は安全に執り行われ,術死・入院死例はなく手術創感染もみられなかった.術中安静不良例のうち 3 例は大腿―膝窩バイパスをTLA単独で施行した例であった.いずれも静脈麻酔薬の持続注射を追加し,とくに合併症なく手術を終了できた.【結論】TLAはその簡便性・安全性・疼痛軽減の持続性といった観点より,末梢血管外科手術の麻酔法としても比較的有用であると考えられたが,TLA単独での手術は症例を選ぶべきであると考える.
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  • 川崎 富夫, 小山 信彌
    18 巻 (2009) 3 号 p. 425-430
    公開日: 2009/05/13
    ジャーナル フリー
    【はじめに】平成20年 4 月に開催された第36回日本血管外科学会総会の記録集(CD-ROM版)が会員に郵送された.この記録集には新しい試みとして「司会者のまとめ」が記載された.会長の根岸七雄教授がなされたこの新しい試みについて,メッセージ論の立場から検討した.【方法】第36回日本血管外科学会学術総会(抄録集)のシンポジウム 5 「再生医療・遺伝子治療の成績と問題点」を対象に,対象疾患,治療法,治療結果,医学的な安全性・有効性・問題点に分けてまとめ,それを記録集(CD-ROM版)の内容と比較検討した.【結果】シンポジウムの検討結果にあらわれた内容は,抄録集の内容と大きく異なっていた.学会記録集の「司会者のまとめ」の内容には,演者間での内容の比較を通じて会員の理解が進むように検討が進み,演者の結論間に存在する相違点については共通の理解ができるような概念形成を促す方向に向かうという特徴がみられた.さらに,医療倫理や社会的使命に結びつく内容が取り上げられるという特徴もみられた.【結論】記録集における「司会者のまとめ」は,単に学会総会の記録を残すという行為にとどまらない.困難なコンセンサス形成に向かう努力を記録し,透明性を高めて社会への説明責任を果たし,また,医療訴訟に関わる医療の限界を司法に示すうえで,非常に有用である.社会や司法に対して,医学の偽らざる現実問題をその苦悩として示す一つの手段として重要である.
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  • 駒井 宏好, 重里 政信
    18 巻 (2009) 3 号 p. 431-435
    公開日: 2009/05/13
    ジャーナル フリー
    【背景】動脈手術における手術部位感染から派生する代用血管感染は時に致命的な結果をもたらす重大な合併症でありその予防が最も確実な回避法と考えられている.感染で死亡した例を契機として動脈手術においていくつかの手術部位感染予防措置を加えたのでその効果を検証してみた.【方法】2002年 4 月より2007年 5 月に同一手術チームによって施行された代用血管を用いた動脈手術全症例197例を対象とし,2005年 1 月に感染予防措置を一新する以前の前期群101例と以後の後期群96例に分け手術部位感染の発生を比較した.なお糖尿病合併例,透析例,膠原病合併例,術前ステロイド使用例などは群間で差はなかった.感染に対する変更した主な予防措置としては(1)抗生剤は皮膚切開前に投与,(2)グルコン酸クロルヘキシジンエタノールでの皮膚消毒,(3)手洗い時ブラシ使用の中止,(4)閉創前の創部生食洗浄,(5)ePTFE製人工血管の多用,(6)創のフィルムドレッシングでの隔離,(7)術後の創消毒の中止であった.【結果】手術部位感染(皮下組織以下に及ぶ感染)が生じたのは前期で 7 例,後期では 0 であった(p = 0.015).手術関連死亡は前期で 5 例(4.9%),後期で 2 例(2.1%)と,有意差はないものの前期死亡例のうちグラフト感染を伴い病院死した例が 3 例あった.感染発生と糖尿病,膠原病合併,透析の有無に有意な相関関係はなかった.【結論】手術部位感染予防として上記措置を講じることは手術部位感染の頻度を低下させ術後成績を向上させる可能性が示唆された.
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症例
  • 藤井 奨, 澤 重治, 西田 佑児
    18 巻 (2009) 3 号 p. 437-440
    公開日: 2009/05/13
    ジャーナル フリー
    【背景】解離が既存の腹部大動脈瘤に重複発症した症例は稀で,その急性期手術の報告はほとんどない.【症例】症例は58歳,女性.激しい腰痛を訴え近医受診した.症例は以前より腹部大動脈瘤で経過観察中であった.CT検査で,腎下から大動脈終末までの腹部大動脈瘤と,その瘤内に限局した解離を認めた.緊急手術を行った.腹部大動脈瘤に解離がみられ,前壁に径 2cmのエントリーを認めた.解離は腎動脈分岐近くまで及んでいた.中枢側をフェルトストリップで補強し,Y字型人工血管にて置換した.【結果】術後経過は良好で,術後第16病日に退院となった.【結論】腹部大動脈瘤に限局性解離を重複発症した場合の急性期手術では,動脈壁の脆弱性を考慮した吻合が必要であるが,通常の手術が可能であった.
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  • 流郷 昌裕, 今川 弘, 塩崎 隆博, 鹿田 文昭, 河内 寛治, 金香 充範
    18 巻 (2009) 3 号 p. 441-445
    公開日: 2009/05/13
    ジャーナル フリー
    【背景】ハイリスク症例における経皮的ステントグラフト内挿術を施行する際,合併症が起これば致命的になりうる.【症例】82歳男性.膀胱癌の術前精査のため施行した胸部Xpにて異常陰影を指摘され,当科紹介された.胸部CTにて下行大動脈に最大径52mmの嚢状動脈瘤を指摘された.また全身精査にて,慢性腎不全(CCr 30ml / 分),冠動脈硬化症,脳動脈硬化症を指摘された.【結果】本症例に対し,泌尿器科にて内視鏡的腫瘍切除術を施行ののち,平成18年10月に経大腿動脈アプローチにてTPEGを施行した.しかし,デリバリーシース引き抜き後ショック状態となり,緊急開腹にて腹部大動脈損傷および右外腸骨動脈の内膜剥離を認め,損傷部に対し人工血管置換術を施行し,救命しえた.【結論】TPEGは低侵襲治療として確立しつつあるが,本症例のようなステントグラフト特有の合併症を念頭において施行する必要がある.
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  • 関 啓二, 山本 文雄, 千田 佳史, 石橋 和幸
    18 巻 (2009) 3 号 p. 447-451
    公開日: 2009/05/13
    ジャーナル フリー
    【背景】鈍的外傷による内胸動脈仮性瘤は極めてまれである.【症例】今回われわれは,転落外傷により生じ,皮下へ突出した内胸動脈仮性瘤の 1 例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.【結果】症例は76歳男性.梯子から転落して受傷し,その翌日全身苦痛を訴えて近医を受診した.右血気胸,骨盤骨折,左橈骨骨折の診断にて同医に入院となった.入院時より右前胸部の腫脹が認められており,入院から 2 週間後に切開を試みられた.動脈性の出血が認められたものの,出血源が同定できないため,圧迫処置で終了した.さらにその 2 週後,カテーテル血管造影にて右内胸動脈仮性瘤と診断され,当院へ紹介転院となった.転院当日ただちに結紮術を行い,手術後22病日に退院した.【結論】鈍的外傷により生じ,皮下へ突出した内胸動脈仮性瘤という稀有な症例を経験したので報告した.
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  • 原田 宏輝, 正木 久男, 柚木 靖久, 田淵 篤, 前田 愛, 種本 和雄
    18 巻 (2009) 3 号 p. 453-456
    公開日: 2009/05/13
    ジャーナル フリー
    【背景】腹部大動脈瘤の壁在血栓が原因と考えられる下肢急性動脈閉塞をきたした比較的稀な 1 例を経験した.【症例】77歳男性で,両下肢痛を主訴に来院.来院時両下肢とも斑紋状のチアノーゼを認め,右下肢では,足背,後脛骨動脈は触知不能,左下肢は,左膝窩動脈以下末梢の動脈は触知不能であった.その30分後に両下肢の動脈はすべて触知可能となった.ヘパリン,ウロキナーゼを開始,来院時血液生化学検査では異常はなかったが,翌日にはCPK,ミオグロビンともに高値となり,その後改善してきた.CTにて非常に不整な壁在血栓がある腹部大動脈瘤,両側総腸骨動脈瘤を認め,それが塞栓症の原因と考えられた.【結果】手術は,瘤切除,人工血管置換を行い,合併症もなく,術後 2 週目に退院した.【結論】大動脈瘤内壁在血栓により両下肢の急性動脈閉塞を起こすことは稀ではあるが,原因の一つとして念頭におくべきであると考える.
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  • 山中 勝弘, 杉本 貴樹, 本多 祐, 北出 貴嗣
    18 巻 (2009) 3 号 p. 457-461
    公開日: 2009/05/13
    ジャーナル フリー
    両側腎動脈再建を要した腎動脈上腹部大動脈瘤を経験したので報告する.症例は75歳男性,CTで腎動脈分岐上部より始まる最大径70mmの大動脈瘤を認めた.3-DCTで腎動脈は両側ともに 2 本ずつ認め,左上腎動脈を除く 3 本は瘤より分岐していた.手術は,腹部正中切開・開腹にて行い,左腎静脈を切離し瘤頸部および両側 4 本の腎動脈を露出した.腎保護として左腋窩動脈よりの一時的腎灌流を行い,18 × 9mm woven Dacron graftにて中枢側吻合を行った後,左下,右上,右下腎動脈の順にグラフトに直接吻合し順次灌流を再開した.腎動脈再建時中は 4C乳酸加リンゲル液注入を行った.腎灌流を終了し,両側総腸骨動脈に末梢吻合を行い,最後に下腸間膜動脈再建を行った.術後経過は良好で,腎機能の悪化なく22日目に元気に退院した.腎動脈上腹部大動脈瘤に対する腋窩動脈よりの一時的腎灌流の手技と有用性について報告する.
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  • 西本 昌義, 柚木 知之, 福本 仁志, 秋元 寛
    18 巻 (2009) 3 号 p. 463-467
    公開日: 2009/05/13
    ジャーナル フリー
    【背景】胸部大動脈瘤に対するステントグラフト留置術はその臨床応用例が報告されて以来,本邦においても急速に普及しつつある.今回われわれは,胸部大動脈瘤破裂の患者に対し準緊急的にステントグラフト内挿術を施行し救命しえた 1 例を経験したので報告する.【症例】症例は64歳,男性.夕食中に突然の胸背部痛と呼吸困難を生じ,当センターへ救急搬送となった.搬入時,意識レベル清,血圧124 / 60mmHg,脈拍100回 / 分,眼瞼結膜は蒼白であった.胸腹部造影CTで左胸腔内に大量の液体貯留を認め,Th6~10にかけて最大径 8cmの動脈瘤を認めたことから,胸部大動脈瘤破裂と診断した.Landing zoneが十分とれることからステントグラフト内挿術可能と判断したが,適切なサイズのステントグラフトを用意するため全身麻酔による厳重な血圧管理下に翌朝まで待機した.手術は右大腿動脈をカットダウンし,Dacron covered Z stentを留置した.術翌日のCTで瘤内血栓化は良好であった.【結果】気管切開を必要としたが,術後24日目に独歩退院となった.現在で約 1 年 6 カ月の観察をしているが瘤は消退している.【結論】胸部大動脈領域の緊急手術はいまだ成績不良であり,本症例のような破裂症例に対して準緊急的にステントグラフト内挿術を行えたことは有用であったと考えられる.
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