日本血管外科学会雑誌
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18 巻 , 6 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
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巻頭言
原著
  • 三岡 博, 新谷 恒弘, 桝田 幹郎, 東 茂樹
    18 巻 (2009) 6 号 p. 591-594
    公開日: 2009/11/06
    ジャーナル フリー
    【目的】当院で2007年度に施行した頸動脈ステント留置術(CAS)症例と頸動脈血栓内膜切除術(CEA)症例を比較検討する.【対象】2007年 4 月 1 日から2008年 3 月31日までのCAS(9 例10病変)およびCEA(9 例 9 病変)症例.CASは原則的にCEAハイリスク症例を適応とした.術後30日以内の治療対象側の症候性脳梗塞,術後心筋梗塞,患者死亡,術後MRI拡散強調画像(DWI)を比較検討した.【結果】両群とも30日以内の治療対象側の症候性脳梗塞の発生,脳神経合併症,術後心筋梗塞,患者死亡は発生しなかった.CASは10施術中10例,CEAは 9 施術中 7 例に術後 7 日以内のMRIを施行.CASでは70%に,CEAでは 0%のDWIのhigh intensity lesionが発生した(χ2 = 8.33,p = 0.0039).【結論】CASはCEAがハイリスクとされる患者に対しても,臨床神経学的な合併症の発生なしで施行が可能であった.CASは高頻度に微小脳塞栓症を発生するため,その適応は慎重にするべきである.
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  • 北川 敦士, 大北 裕, 岡田 健次, 長谷川 智巳, 南 一司, 松森 正術, 宗像 宏, 野村 佳克, 山口 雅人, 杉本 幸司
    18 巻 (2009) 6 号 p. 595-602
    公開日: 2009/11/06
    ジャーナル フリー
    【目的】日本人の腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術(EVAR)の適応と限界についてZenith AAAステントグラフトの適応基準に従い検討した.【方法】2006年 1 月から2007年12月の間,当科で評価した腹部大動脈瘤(AAA)125人のうち,CT評価可能であった106人(男性88人,平均年齢73歳)を対象とした.マルチスライスCTスキャンを用い,以下について計測,解析を行った.1)腹部大動脈瘤最大短径,2)Proximal neck外径,長,3)総腸骨動脈外径,長,4)Proximal neckの腎動脈上方大動脈に対する角度,大動脈瘤長軸に対する角度,5)外腸骨動脈径,6)低位腎動脈から大動脈分岐部までの腹部大動脈長.【結果】EVAR可能症例27例(25.5%),除外症例79例(74.5%)であった.男女別EVAR適応率は男性29.5%(26 / 88例),女性5.6%(1 / 18例)であり,女性でよりEVAR除外例が多かった(P = 0.04).おもな除外理由は,short proximal neck 32例(40.5%),腸骨動脈狭小24例(30.4%),腎動脈下proximal neck高度屈曲23例(29.1%)であった.【結論】文献上,欧米人のEVAR適応率は48~66%と報告されているが,日本人においてZenith AAAステントグラフトの適応基準を順守すると,short proximal neck,腸骨動脈狭小,proximal neck高度屈曲等の問題から,とくに女性においてEVARの適応は限界があると言わざるを得ない.
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  • 福田 篤志, 星野 祐二, 岡留 健一郎
    18 巻 (2009) 6 号 p. 603-607
    公開日: 2009/11/06
    ジャーナル フリー
    【背景】従来,腹部大動脈瘤術後の腸管虚血発生時には,重症例に対しては,壊死腸管の切除,軽症例に対しては,絶食による腸管安静と抗生剤投与以外に有効な治療法はなかった.われわれは,軽度から中等度の腸管虚血症例に対し,octreotideを使用しているので,その有効性を報告する.【方法】2000年以降,腹部大動脈瘤または腸骨動脈瘤術後に,下痢や発熱をきたし,大腸内視鏡検査にて,粘膜まで(grade 1)または筋層まで(grade 2)の腸管虚血と診断した症例を対象とし,octreotide 50~100μgを 1 日 2 回皮下注射し,臨床症状と内視鏡所見で有効性を検討した.【結果】2000年から2007年に当院で腹部大動脈瘤または腸骨動脈瘤で手術をしたのは,187例(破裂42例,非破裂145例)で,このうち 7 例(破裂 4 例,非破裂 3 例)が腸管虚血と診断され,発症率は,破裂例で9.5%,非破裂例で2.1%であり,いずれもgrade 1 および 2 であった.Octreotideを使用すると,7 例中 6 例で24時間以内に発熱または下痢が軽快し,5 例では 2 日以内に下痢が消失した.内視鏡的にも,1 週間で潰瘍の縮小と周囲の粘膜再生が確認され,遠隔期にも腸管狭窄をきたした例はなかった.【結論】作用機序は不明であるが,非全層性の腸管虚血にはoctreotideが有効であると思われた.
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  • 石井 廣人, 中村 都英, 中村 栄作, 松山 正和, 新名 克彦, 児嶋 一司
    18 巻 (2009) 6 号 p. 609-613
    公開日: 2009/11/06
    ジャーナル フリー
    【目的】孤立性上腸間膜動脈(SMA)解離症例を散見するようになったが治療法の選択において一定の見解を得られていない.われわれはSMA解離に対する保存的治療の有用性について報告する.【方法】2006年10月から2008年11月までに当施設にて経験した 7 例の孤立性SMA解離症例について臨床的検討を行い,保存的治療の結果について考察した.【結果】症例の平均年齢は55歳(39~82歳)で女性は 1 例であった.確定診断は造影CTで行い,偽腔の開存を認めたのは 1 例であった.全例とも急性腹症として発症し,腹膜刺激症状を認めず,保存的治療を選択した.来院時に腹部症状を認めた 5 例に対し入院加療を行い,絶食・安静,降圧療法,抗血栓療法,PGE1製剤投与を行った.経過中に症状の増悪を認めたものはなく,画像フォロー可能であった 4 例とも偽腔の縮小もしくは閉鎖を認め,動脈瘤化を認めていない.【結論】いずれの症例でも保存的加療で良好な結果が得られた.初期に腸管虚血を回避でき動脈瘤化を認めない孤立性上腸間膜解離症例については保存的治療で良好な経過を得られることが示唆された.
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症例
  • 野村 真治, 白澤 文吾, 森景 則保, 古谷 彰, 吉村 耕一, 濱野 公一
    18 巻 (2009) 6 号 p. 615-618
    公開日: 2009/11/06
    ジャーナル フリー
    症例は43歳男性.尿路結石の精査目的で行われたCTで下膵十二指腸動脈瘤と弓状靭帯による腹腔動脈起始部圧迫症候群(celiac axis compression syndrome; CACS)を指摘された.血管造影検査で,下膵十二指腸動脈が側副血行路として発達し,腹腔動脈領域を灌流していた.本疾患に対しての手術では,周術期の腹腔内臓器虚血を回避する必要がある.われわれは(1)弓状靭帯の切離による腹腔動脈の圧迫解除の後に,(2)下膵十二指腸動脈を試験遮断し,腹腔動脈の血流が維持されていることを確認し,(3)瘤切除を行い,良好な経過を得ることができた.下膵十二指腸動脈瘤は稀な疾患ではあるが,CACSを合併することが少なくない.そのような場合には本症例のように,膵十二指腸動脈が腹腔動脈への重要な側副血行路であるため,瘤切除を行う際,周術期の腹腔内臓器虚血を回避すべく,慎重に治療戦略を組み立てる必要がある.
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  • 郡谷 篤史, 山岡 輝年, 本間 健一, 岩佐 憲臣, 松本 拓也, 前原 喜彦
    18 巻 (2009) 6 号 p. 619-624
    公開日: 2009/11/06
    ジャーナル フリー
    高齢かつ合併症を有する嚢状腹部大動脈瘤に対し,Powerlinkを用いたステントグラフト内挿術が有効であった症例を経験した.大動脈-腸骨動脈分岐部が内径12mmと細く,他の 2 機種のステントグラフト(Zenith,Excluder)は,解剖学的適応外であった.1 ピース構造のY型ステントグラフトという特徴をもつPowerlinkを用いることにより,安全にステントグラフト内挿術を行うことが可能であった.
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  • 小山 裕, 澤崎 優, 泊 史朗
    18 巻 (2009) 6 号 p. 625-629
    公開日: 2009/11/06
    ジャーナル フリー
    抗血小板剤投与中の症例に対する胸部大動脈瘤手術,とくに破裂症例では出血のリスクが高く適応の決定に苦慮する.われわれは抗血小板療法中の胸部大動脈瘤破裂に対して,保存的治療後に待機的手術を行った 2 例を経験したので報告する.症例 1 は75歳男性.背部痛を主訴に当院救急外来受診.CTで胸部下行大動脈瘤切迫破裂と診断.クロピドグレル内服中であり状態も安定していたため,保存的治療後入院24日目に胸部下行大動脈人工血管置換術施行.症例 2 は81歳女性.食欲低下,発熱の精査で前医受診し,CTで遠位弓部大動脈瘤破裂疑いにて当院搬送.多剤抗血小板剤内服中で,全身状態も不良であったため,保存的治療後入院12日目に弓部全置換術を施行.2 例とも経過良好であった.抗血小板剤内服中の大動脈瘤破裂症例では,降圧療法により症状や血行動態を落ち着かせることが可能な場合もあり,薬効が消失するのを待った後に安全に手術を行うことが可能な症例も存在する.
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  • 長 知樹, 鈴木 伸一, 南 智行, 益田 宗孝
    18 巻 (2009) 6 号 p. 631-634
    公開日: 2009/11/06
    ジャーナル フリー
    症例は75歳男性.6 年前にリウマチ性多発筋痛症と診断され,ステロイドが開始された.1 カ月後に突然の胸背部痛で来院しStanford B型急性大動脈解離と診断し,厳重な降圧治療を開始した.発熱,炎症反応の高度上昇,CT所見から感染性大動脈解離を疑い抗菌薬治療を同時に開始した.血液培養からSalmonellaが検出された.5 週間後,突然の腰背部痛が出現し,CTで再解離,右下肢虚血を認めたため,緊急右腋窩動脈-右大腿動脈バイパス術を行った.その後も抗菌薬治療を継続し独歩退院となった.感染性大動脈解離は比較的稀であるが,急激な経過をたどることがある.感染性B型解離に対しては,降圧保存治療と抗菌薬投与による感染の沈静化が重要である.しかし治療の急性期に大動脈の急速な拡大や再解離発生の危険は高く,厳重に経過観察し,合併症発生時には迅速に外科治療を施行する必要がある.
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  • 高垣 有作, 駒井 宏好, 重里 政信, 岩橋 正尋, 林 弘樹, 山本 修司
    18 巻 (2009) 6 号 p. 635-639
    公開日: 2009/11/06
    ジャーナル フリー
    症例は80歳の女性.左総腸骨動脈閉塞による左下肢間欠性跛行に対し,6mmリング付ゼラチン被覆ダクロン人工血管を用いて右外腸骨-左総大腿動脈交差バイパス術を行った.術直後の血管造影検査では異常なく,上肢 / 下肢血圧比(ABI)は0.49から0.84に改善した.術後 2 年 8 カ月に間欠性跛行が再発しABIが左0.56と低下した.血管造影検査を行ったところ吻合部から離れた人工血管非吻合部に著明な狭窄がみられ再手術を施行した.狭窄部位には器質化した血栓様構造物がみられ,これを除去してABIは0.73と回復,術後 3 年 2 カ月現在再狭窄はない.狭窄の原因は,通常の吻合部での仮性内膜肥厚による狭窄とは異なり,同様の報告はなく原因不明であるが,人工血管の変形はないものの,一時的な圧迫によって内膜損傷を生じ,血栓形成が生じた可能性が推察された.
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  • 藤村 博信, 黒瀬 公啓
    18 巻 (2009) 6 号 p. 641-645
    公開日: 2009/11/06
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍に対する放射線治療により,晩期に局所的な血管病変を生じる場合があり,radiation arteritisとして知られている.そのような病態が疑われる症例に対して,放射線照射部位への直接皮膚切開は高い合併症率をきたすことより,直達手術を避け,非解剖学的バイパスおよび血管内治療にて安全に血行再建を行った症例を経験したので報告する.症例 1 は53歳男性であり,35歳時に睾丸腫瘍に対して放射線治療を行い,51歳時より右間歇性跛行が出現した.病変は右外腸骨動脈の完全閉塞であった.非解剖学的バイパス術にて血行再建を行った.症例 2 は59歳の女性であり,40歳時に子宮癌に対して放射線治療を行った.放射線照射 4 カ月後より間歇性跛行が出現した.病変は両側外腸骨動脈の完全閉塞であり,血管内治療にて血行再建を行った.両症例とも術後,症状は消失した.Radiation arteritisによると思われる間歇性跛行に対し,照射部位の直接皮膚切開を避け,安全に血行再建を行い得たので報告する.
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