日本血管外科学会雑誌
検索
OR
閲覧
検索
19 巻 , 5 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
巻頭言
原著
  • 森田 一郎, 木下 真一郎, 猶本 良夫
    19 巻 (2010) 5 号 p. 605-609
    公開日: 2010/10/16
    ジャーナル フリー
    【目的】シャント閉塞に対しては従来,血栓除去をフォガティカテーテルにて施行していたが,再開通させるだけで,閉塞の原因に対する治療は置き去りにされていた.そこで,われわれは血栓除去と閉塞に至った責任病変の解除,ならびに術後の透析までを1期的に施行し,切らずに日帰りを可能とした血管内治療を考案したので,本治療法の現状を報告する.【対象】われわれは,2007年1月より経皮的血栓除去術用カテーテル(ハイドロライザー)とPTAにて(ハイドロPTAと呼んでいる)グラフト閉塞(とくに人工血管)に対応しており,2009年9月までに59例経験した.治療成績ならびに高圧バルーン(コンクエスト)導入前後での再狭窄期間を比較検討した.【結果】初期成功率は97%で,9例に再閉塞を認めた.そのうち7例はハイドロPTAにて再開通に成功した.1カ月,3カ月,6カ月,12カ月の1次開存率は,コンクエスト群で91.9%,59.4%,29.7%,16.2%,非コンクエスト群で75%,40%,15%,5%であり,コンクエスト群で有意に良好であった(p<0.05).静脈吻合部の高度狭窄症例に再狭窄・閉塞を早期に来す可能性が高かった.合併症は4例,透析後のシース圧迫時出血を1例,過拡張による軽度血管破裂を1例,リコイルによる再閉塞を2例認めたが,最も危惧された,肺塞栓は1例も認めなかった.高圧バルーン導入前と導入後での再狭窄までの平均日数は,前で79.3日,後で146.7日と導入後で有意に延長した(p<0.05).【結論】人工血管シャント閉塞に対して,ハイドロPTAは有用であった.現段階では患者の満足度も高く,シャント閉塞の1治療法として成り立つと思われた.今後は再狭窄までの期間をより延長できるように検討する.
    抄録全体を表示
症例
  • 花田 智樹, 金築 一摩, 今井 健介, 織田 禎二
    19 巻 (2010) 5 号 p. 611-613
    公開日: 2010/10/16
    ジャーナル フリー
    症例は19歳,女性.腰椎椎間板ヘルニア摘出術中に血圧が低下し,腹部の膨隆を認めた.CTにて左総腸骨動脈損傷と診断され当院へ搬送,緊急手術を行った.後腹膜腔には多量の血腫を認め,左総腸骨動脈は完全に断裂していたため人工血管を用いて再建した.腰椎椎間板ヘルニア摘出術を行う際には,大血管損傷を生じる危険性を常に認識すべきであり,その兆候があれば迅速な診断・治療が必要である.
    抄録全体を表示
  • 早津 幸弘, 永谷 公一, 佐久間 啓, 長嶺 進
    19 巻 (2010) 5 号 p. 615-618
    公開日: 2010/10/16
    ジャーナル フリー
    症例は53歳女性.30歳頃から上腕で血圧がうまく測れないということをしばしば経験するようになった.また平成20年頃から高血圧を指摘されていたが,放置していた.今年3月頃に呼吸困難が出現したため近医受診し,高血圧性心不全の診断で当院へ転院となった.精査の結果,横隔膜レベルでの下行大動脈の著明な狭小化を認め,高安病大動脈炎による異型大動脈縮窄症の診断となり,後負荷軽減目的に非解剖学的バイパス術を施行した.術後大きな合併症などもなく良好に経過し,術後22日目に退院となった.
    抄録全体を表示
  • 山中 勝弘, 杉本 貴樹, 森本 喜久
    19 巻 (2010) 5 号 p. 619-623
    公開日: 2010/10/16
    ジャーナル フリー
    遺残坐骨動脈は稀な先天異常で,瘤化,閉塞などを起こしやすい.今回,閉塞を伴った動脈瘤例に対し瘤切除+非解剖学的バイパスを施行した.症例は66歳女性,左殿部痛と間歇性跛行で来院した.ABIは0.7と低下,左殿部に拍動性腫瘤を触知し,CTおよびMRアンギオで左の遺残坐骨動脈瘤とその末梢の閉塞を認めた.手術は右半側臥位で,まず左側後腹膜経路で発達した内腸骨動脈から分枝する遺残坐骨動脈を骨盤内深部で結紮し,同時に左殿部にMooreの切開を置き瘤切除した.血行再建は,同一体位から大腿後面で膝窩動脈に連なる坐骨動脈を露出,左内腸骨動脈から閉鎖孔経由の最短経路で8 mmリング付ePTFEを用いてバイパスを行った.グラフトは良好に開存し,現在術後1年になるが症状は完全に消失している.
    抄録全体を表示
  • 猪狩 公宏, 地引 政利, 寺崎 宏明, 工藤 敏文, 菅野 範英, 井上 芳徳
    19 巻 (2010) 5 号 p. 625-629
    公開日: 2010/10/16
    ジャーナル フリー
    人工血管感染に対する人工血管の温存は困難であり,感染人工血管を摘除することが必要である.今回,われわれは人工血管感染に対しドレナージ術とgentian violet洗浄にて感染が軽快した2例を経験した.症例1は79歳,男性.閉塞性動脈硬化症に対するバイパス術後の尿管狭窄に対し尿管ステントを留置したが,MRSA陽性の尿が後腹膜腔に漏出しその20カ月後に人工血管感染となった.症例2は65歳,男性.腹部大動脈瘤切除人工血管置換術の既往があり,維持透析中だった.透析用の人工血管内シャントがMRSA感染し,その5カ月後に腹部人工血管感染となった.吻合部に感染の波及がなく,解剖学的に人工血管摘除が適さない場合や全身状態が不良な症例ではMRSA感染でもドレナージ術およびgentian violet洗浄により人工血管を温存したままで軽快しうることが示唆された.
    抄録全体を表示
  • 深田 睦, 古川 浩, 小西 敏雄
    19 巻 (2010) 5 号 p. 631-637
    公開日: 2010/10/16
    ジャーナル フリー
    孤立性内腸骨動脈瘤は稀で,破裂が多くその死亡率は高い.今回下腹部腹直筋鞘内血腫を呈した破裂例を経験し,診断に難渋したので報告する.症例1は77歳男性,下腹部痛で発症,CT検査で右孤立性内腸骨動脈瘤と,下腹部腹直筋下腹膜外から膀胱に接し骨盤内右後腹膜腔までの血腫を認めた.瘤周囲に血腫はなく破裂の確定診断には至らないも,貧血進行のため2日目に試験開腹術を施行した.瘤底部での破裂と判明し瘤内より血流遮断後縫縮術を施行したが,術後肺炎合併し死亡した.症例2は76歳男性,下腹部痛で発症,CT検査で左孤立性内腸骨動脈瘤と周囲に少量の血腫,下腹部腹直筋鞘内血腫を認め破裂と診断,瘤内より血流遮断後縫縮術を行い,合併症なく退院した.動脈瘤で周囲に血腫を伴わない非典型例では,破裂の診断に窮することがある.しかし破裂例の救命率向上には迅速な診断と適切な治療が必要であり,臨床像で瘤破裂を疑うなら試験開腹術も必要である.
    抄録全体を表示
  • 向井 省吾
    19 巻 (2010) 5 号 p. 639-642
    公開日: 2010/10/16
    ジャーナル フリー
    患者は61歳の男性で,左総腸骨動脈閉塞に対して人工血管を用いてFFバイパスを行った.術後2週間目患者は左鼠径部創部からの排膿をきたし,MRSAが検出された.創部はデブリドマンと連日洗浄を行った.感染鎮静後に人工血管切除術を行ったが,左下腿の急性虚血症状をきたした.血行再建術は大伏在静脈グラフトを使用し,中枢側は右外腸骨動脈に吻合しグラフトは腹膜前脂肪織内を通過させた.末梢側吻合は左外腸骨動脈から左総大腿動脈に至る5 cmものon-lay patch吻合となった.患者は3年後の現在,感染の再発なくバイパスは健全である.FFバイパス感染に対する治療法は,常に難しい問題である.大伏在静脈グラフトを用いて腹膜前脂肪織内を通過させるバイパスは,選択肢の一つである.外腸骨動脈から総大腿動脈に至る長いon-lay patch吻合は,股関節で静脈グラフトが屈曲する危険性を軽減することができる.
    抄録全体を表示
  • 三岡 博, 桝田 幹郎, 新谷 恒弘, 中尾 佳永, 東 茂樹
    19 巻 (2010) 5 号 p. 643-646
    公開日: 2010/10/16
    ジャーナル フリー
    上腕動静脈間に人工血管を使用して作成されたと思われていたブラッドアクセスの動脈側吻合部瘤の破裂の手術を行ったが,実際の動脈側吻合は腋窩動脈から高位分岐した橈骨動脈に作成されていた.橈骨動脈の分岐異常に対する注意を怠りがちであるが,上肢動脈の血管外科治療や血管造影時のカテーテル走行などに異変が発生した場合,この分岐異常に関して意識する必要がある.
    抄録全体を表示
  • 岡村 誉, 安達 秀雄, 木村 知恵里, 根本 一成, 由利 康一, 山口 敦司
    19 巻 (2010) 5 号 p. 647-650
    公開日: 2010/10/16
    ジャーナル フリー
    今回われわれは感染性仮性大腿動脈瘤に対して瘤切除および大腿外側を通るバイパス術を施行した1例を経験したので報告する.症例は61歳,男性.2009年1月肝細胞癌の治療目的で右大腿動脈から肝動注リザーバーを留置した.その後,同部位の感染を認めリザーバーを抜去したが,大腿仮性動脈瘤を形成した.同年3月,瘤切除術および自家大伏在静脈を用いた右外腸骨動脈-浅大腿動脈バイパスを施行した.感染の再燃なく下肢血流も保たれ,軽快退院した.
    抄録全体を表示
  • 木内 竜太, 池田 真浩
    19 巻 (2010) 5 号 p. 651-655
    公開日: 2010/10/16
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈瘤の自然血栓性閉塞は比較的稀である.今回われわれが経験した1例を述べる.症例は73歳の男性で右下肢の痺れ・疼痛を主訴に来院した.MDCTでは血栓で完全閉塞した最大径4.8 cmの腎動脈下腹部大動脈瘤を認めた.閉塞は腎動脈分岐部の直下から外腸骨動脈まで続き,両側とも総大腿動脈で再造影されていた.右側は浅大腿動脈も閉塞していた.上腸間膜動脈が腎動脈とほぼ同じ高さより分岐するため,解剖学的血行再建はそれより中枢での遮断,臓器保護を必要とするため侵襲が大きく,また低呼吸機能もあり開腹手術はリスクが高いと判断し,左腋窩動脈-両側総大腿動脈バイパス術および右大腿動脈-膝上膝窩動脈バイパス術を施行した.術後,症状は改善し独歩退院した.現在術後2年経過し瘤径,血栓ともに変化はないが,今後も瘤破裂,血栓の上行進展による腎動脈閉塞などが発症する可能性があり,厳重な経過観察が必要と考えられた.
    抄録全体を表示
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top