日本血管外科学会雑誌
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19 巻 , 7 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
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巻頭言
原著
  • 佐藤 真剛, 今井 章人, 坂本 裕昭, 佐々木 昭暢, 渡辺 泰徳, 軸屋 智昭
    19 巻 (2010) 7 号 p. 723-730
    公開日: 2011/01/13
    ジャーナル フリー
    【背景】PAUは血管壁に潰瘍を伴う動脈硬化性病変において,その潰瘍が内膜・中膜へと進展し,内弾性板を穿破するものと定義されている.動脈硬化の強い高齢者に起こりやすく,胸部とくに下行大動脈に発症することが多いとされているが,動脈硬化性変化は腹部大動脈にも同様に起こりやすいことが報告されている.【目的】PAUが原因と考えられる腹部大動脈疾患について臨床的特徴・自然歴・治療法について検討する.【対象】2006年4月から2009年3月までに2施設にて手術を行った腹部大動脈疾患症例67症例の内PAUが原因と診断された腹部大動脈疾患は4例(男性4例・平均年齢63.5歳).これに過去15年間に腹部大動脈に発症したPAU・腹部限局解離・腹部大動脈破裂についての英文報告で検索しえた61症例を合わせた65症例を加え検討を行った.【結果】53%の症例で自覚症状を認めた;腹痛や腰痛40%(n=26),ショック症状4.6%(n=3),PAUが塞栓源である下肢塞栓症9.2%(n=6).他方全くの無症状で発見されたものが40%(n=26)であった.15症例(23%)に破裂を認めた.診断の多くはCTにてなされたが(88%,n=57),血管造影やMRIも診断に有用であった.7症例は内科的治療にて経過観察され,58症例(89%)に積極的治療が行われた;open surgery 46%(n=30),stent graft 43%(n=28).2例の周術期死亡を認めた.【結論】PAUは腹部大動脈にも起こりえる病態であり,腹部大動脈限局解離や嚢状動脈瘤,動脈破裂の原因となる.手術のmorbidityやmortalityは良好であり,自覚症状を有する場合,画像上急速に増悪する場合などは早期の加療が必要と考える.
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  • 浦山 博
    19 巻 (2010) 7 号 p. 731-736
    公開日: 2011/01/13
    ジャーナル フリー
    【目的】前腕での橈骨動脈-橈側皮静脈シャントは手術手技も容易で開存率も高く,標準術式となっている.一方,尺骨動脈-尺側皮静脈シャントは動脈,静脈ともに細く,前腕の背側から静脈を遊離して吻合する必要がある.したがって橈骨動脈-橈側皮静脈シャントが行えなくなったら,肘部でのシャントを選択することも多い.われわれは超音波検査にて吻合可能な血管があった場合は前腕での尺骨動脈-尺側皮静脈シャントを選択肢としてきた.今回,その臨床成績を検討した.【対象・方法】過去9年間に当院で行った内シャント手術症例552例のうち,前腕での尺骨動脈-尺側皮静脈シャントは44例(8%)であった.年齢は35歳から87歳(中央値68歳),男30人,女14人であった.観察期間は1日から106カ月(中央値4カ月)であり,シャントの開存率はKaplan-Meier法を用いて算出した.【成績】術後2人が1カ月以内に他病死した.静脈高血圧,盗血症候群は認めなかった.21人にシャント狭窄・閉塞を認めた.一次開存率は1年で45.1%,4年で27.0%であった.5人のシャント狭窄・閉塞に対して1回から7回のカテーテル拡張術が施行された.二次開存率は1年で51.6%,4年で41.3%であった.【結語】 尺骨動脈-尺側皮静脈シャントは橈骨動脈-橈側皮静脈シャントに比べて開存率は低いが,長期に上肢でのシャントを続けていくために肘部でのシャントを選択する前に考慮すべき術式と思われた.
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症例
  • 溝口 裕規, 榊 雅之, 吉岡 良晃
    19 巻 (2010) 7 号 p. 737-741
    公開日: 2011/01/13
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性.65歳時に間欠性跛行が出現し,閉塞性動脈硬化症の診断にて右浅大腿動脈に,66歳時には左浅大腿動脈にSelf-expanding stent(SE stent)留置による血管内治療を受けている.血管内治療の6カ月後,左間欠性跛行の再発,しびれ,冷感を認めたため下肢血管造影を施行したところ,左浅大腿動脈に留置したSE stent内に血栓閉塞がみられた.血栓吸引,血栓溶解療法を開始するも効果を認めず,ABIも0.73から測定不可へと低下したため,救肢目的でFogartyカテーテル血栓除去術を施行した.術中SE stent内から多量の血栓を除去することができ,術後のABIは0.78へと改善し,臨床症状も軽快した.本症例では,SE stentの特性(高い弾力性,外力による変形が起こらない)がカテーテルバルーン内圧に許容されたため血栓除去術が可能であったと考えられた.
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  • 藤原 靖恵, 洞井 和彦, 飯井 克明, 河野 智
    19 巻 (2010) 7 号 p. 743-747
    公開日: 2011/01/13
    ジャーナル フリー
    症例は84歳男性で,右浅大腿動脈の完全閉塞による閉塞性動脈硬化症の診断で外来通院していたが,今回は腎盂腎炎の診断で入院となった.入院後,熱発が続き,突然右大腿部の腫脹と疼痛が出現した.造影CT上,右浅大腿動脈仮性瘤に巨大膿瘍を伴い,感染性浅大腿動脈仮性瘤と診断した.まず,初回手術ではlimb salvageを目的として,瘤への流入血管である浅大腿動脈の結紮と,感染部を回避しての大伏在静脈による右総大腿動脈-後脛骨動脈バイパス術を施行した.続く手術では瘤切除と,膿瘍ドレナージを行い開放創とした.膿の培養より腎盂腎炎の起因菌と同じEscherichia coliを検出し,術後は抗生剤投与と開放創の洗浄,デブリドマンを行い,術後67日目に独歩退院できた.今回は巨大な感染性浅大腿動脈仮性瘤の症例において,二期的に手術を行うことで良好な結果が得られたので報告した.
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  • 白方 秀二, 大川 和成, 渡辺 太治, 井上 智也, 山本 経尚
    19 巻 (2010) 7 号 p. 749-755
    公開日: 2011/01/13
    ジャーナル フリー
    馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤では大抵accessory renal artery(ARA)を合併しており,瘤切除時にその再建の是非が問題となる.自験3例では,瘤壁から出ていたARAをすべて再建した.手術は経腹的に全例馬蹄腎峡部の切断を行い,ARAのうち瘤壁から出ている径5 mm以上のものは腎機能温存目的で瘤切除と同時に再建(右1例,左2例)を行った.腸骨動脈から腎へ分岐していた細いARAは結紮した.3例中2例はARA遮断中の腎保護は行わず,1例は4 ℃の乳酸リンゲル液に加え表面冷却を併用した.下腸間膜動脈とARAが瘤壁から別々に出ていた1例は,病変が内腸骨動脈まで及んでいたためinferior mesenteric artery(IMA)とARAの再建を併せて行った.術後再建したIMAおよびARAはともに開存し,腎機能障害および虚血性腸炎の合併もなく良好に経過,退院した.3例とも峡部切断により良視野が得られ,ARAと人工血管との吻合も容易であり,合併症もなく腎機能温存を図ることができた.(日血外会誌2010;19:749–755)
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  • 青木 淳, 末澤 孝徳, 櫻井 淳
    19 巻 (2010) 7 号 p. 757-761
    公開日: 2011/01/13
    ジャーナル フリー
    破裂性腹部大動脈瘤(rAAA)の死亡率は高く,低侵襲なステントグラフト内挿術(以下EVAR)により救命率が向上する可能性があり,海外では多くの報告がなされている.今回,われわれはショックに陥ったrAAAに対して緊急EVARを施行した.症例は74歳女性で,他院で単純CTが施行され,rAAAと診断され,当院へ救急搬送された.来院時ショック状態であり,造影CTにてEVARが可能と判断,来院後1時間22分で手術を開始した.EVAR後循環動態は安定し,術後1日目に腹腔穿刺によるドレナージを行い,腹部高血圧症は回避できた.術後造影CTにてendoleakは認めず,術後14日目に退院した.緊急EVARを施行するためには,血管造影装置などの設備整備,ステントグラフト指導医,ステントグラフトの常備などの体制が必要であるが,EVARの普及により,今後わが国でも増加する可能性がある.
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  • 前田 孝一, 阪越 信雄, 松浦 良平, 島崎 靖久
    19 巻 (2010) 7 号 p. 763-766
    公開日: 2011/01/13
    ジャーナル フリー
    常染色体優性遺伝多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease; ADPKD)の兄弟に発症した大動脈解離を経験した.症例1(兄):48歳時に透析導入.このとき多発性嚢胞腎を指摘された.50歳時に急性大動脈解離(Stanford A)を発症し,上行大動脈人工血管置換術を施行された.症例2(弟):58歳時に急性大動脈解離(Stanford A)を発症し上行および部分弓部大動脈人工血管置換術を施行,このときに多発性嚢胞腎を指摘した.ADPKD患者に大動脈解離を発症した報告例は散見されるが,筆者らが調べ得た限り兄弟発症例はなかった.これまでADPKDについては大動脈解離を含めたさまざまな心血管系の合併症が報告されているが,とくに大動脈解離との関連については遺伝子異常により生じた血管機能異常で起こる高血圧に加えて細胞外マトリックスの異常による血管壁の脆弱性のために発症するとの報告がみられる.ADPKDをもつ症例においては,厳密な血圧管理が必要と考えられた.
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  • 濱本 正樹
    19 巻 (2010) 7 号 p. 767-771
    公開日: 2011/01/13
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍の過凝固状態に合併したと思われる両頸部深部静脈血栓症という稀な症例を経験した.症例は66歳,男性.顔面の浮腫と頭痛を主訴に精査を行ったところ,両頸部深部静脈血栓症,右肺腫瘍を認めた.有症状であったため,緊急手術を行った.血栓は両側内頸静脈から上大静脈まで及んでおり,術中の肺動脈血栓塞栓症を回避するため,胸骨正中切開下に上大静脈-右房合流部を単純遮断したうえで血栓除去を行った.プラスチック製吸引管を上大静脈横切開口から直接静脈内に挿入し,吸引しながら血栓を除去した.左内頸静脈は血栓除去が困難なため無名静脈で結紮した.右内頸静脈の血流は再開したが,血栓が残存したため,術直後に上大静脈に一時留置型静脈フィルターを留置した.術後,症状はすみやかに改善し,抗凝固療法により約3カ月で右内頸静脈に残存した血栓は完全に消失した.
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  • 渡邊 晃佑, 菅野 惠, 緑川 博文, 高野 隆志
    19 巻 (2010) 7 号 p. 773-776
    公開日: 2011/01/13
    ジャーナル フリー
    症例は66歳男性,ステントグラフト留置術(EVAR)後のdistal type I endoleakに対し開腹瘤空置術施行5年後に腰動脈による空置瘤の著明な拡大を認めたため手術施行となった.手術は腹部正中切開で行い,露出した瘤を切開し,一対の腰動脈を閉鎖した.術後10日目のCTでは瘤内腔に造影効果を認めず,術後14日目術後経過良好にて退院となった.本症例では腰動脈流入による瘤拡大を認め,EVARの合併症であるtype II endoleakによる瘤拡大の可能性を考えるうえにおいて示唆に富む症例であった.
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  • 金子 泰史, 吉永 隆, 土井口 幸
    19 巻 (2010) 7 号 p. 777-781
    公開日: 2011/01/13
    ジャーナル フリー
    症例は56歳の男性で腹部大動脈十二指腸瘻と診断され,Y字型人工血管による腹部動脈瘤置換術,十二指腸穿孔部の縫合閉鎖と大網充填術を行った.術後に瘻孔再発による人工血管感染を起こしたため人工血管を抜去,瘻孔の再閉鎖と腋窩-大腿動脈バイパス術を行った.発熱もなく順調に経過していたが,再手術後3年ほどして突然の腹腔内出血で搬送された.腹部大動脈断端からの出血を疑い胸腹部斜切開による解剖学的再建法で胸腹部大動脈置換術を行った.術後は対麻痺や感染兆候はなく順調に経過している.感染を合併した2回の開腹による動脈手術後に起きた腹部大動脈断端破裂に対して,本法は危険性が高いものの有用な方法と思われた.
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