日本血管外科学会雑誌
検索
OR
閲覧
検索
20 巻 , 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
巻頭言
原著
  • 柳清 洋佑, 村木 里誌, 小柳 哲也, 渡辺 祝安
    20 巻 (2011) 1 号 p. 1-6
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    【目的】透析患者の予後改善に伴い,長期維持透析の患者が増加している.バスキュラーアクセスは自己血管による内シャントが第一選択となるが,透析歴の長期化や透析患者の高齢化・複雑化により,自己血管での内シャント作成が困難なため透析用人工血管を移植せざるを得ない症例もある.透析用人工血管はさまざまな種類があるが,当科では早期穿刺が可能な人工血管の使用を優先しており,その開存成績を調べた.【方法】2006年7月から2009年11月の間で,当科において移植した早期穿刺可能なTHORATEC®(以下ソラテックと記載)とADVANTA PTFEグラフトVXT®(以下アドバンタと記載)の2種類の人工血管について開存成績を比較検討した.手術は全身麻酔下で行い,人工血管を皮下に通した後に動脈・静脈へ端側吻合した.【結果】対象期間中に移植された人工血管はソラテック39本,アドバンタ27本であった.患者平均年齢はソラテック71.3歳,アドバンタ68.7歳.調査期間中にソラテック群は死亡18例,追跡不能2例,アドバンタ群では9例で死亡を認めた.移植後に治療を介入していない状態を一次開存,血栓除去術や経皮的血管形成術などの治療介入を要したが救済可能であった状態を二次開存として累積開存率を求めると,一次開存率はソラテック群1年37.2%,2年23.2%,アドバンタ群1年72.5%,2年60.4%(p=0.0098).二次開存率はソラテック群1年67.5%,2年67.5%,アドバンタ群1年96.3%,2年96.3%であり(p=0.0118),アドバンタ群で有意に良好であった.初穿刺までの期間はソラテック群中央値3日,アドバンタ群9日であり,ソラテック群が早期に穿刺可能であった(p=0.0044).【結論】早期穿刺可能な透析用人工血管としてのアドバンタは一次・二次開存成績が優れていることが示唆された.
    抄録全体を表示
症例
  • 山尾 順, 今村 敦, 斉藤 隆道, 田中 宏典, 高田 秀穂, 權 雅憲
    20 巻 (2011) 1 号 p. 7-11
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    今回われわれは腰椎椎間板ヘルニア術後の外傷性動静脈瘻に対してステントグラフト(SG)を留置して良好な成績が得られたので報告する.症例は40歳代の女性.近医を受診した際に腹部の血管雑音を指摘され精査目的で当院を紹介された.既往歴として24歳時に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けている.聴診所見で右下腹部のシャント音が聴取され,胸部X-Pでは心陰影の軽度拡大が認められた.CT検査では右腸骨動脈の拡張,右総腸骨静脈から下大静脈の高度拡張が認められた.血管造影検査では右総腸骨動脈-下大静脈交差部位に直径約10 mmの動静脈瘻が確認された.腰椎術後外傷性動静脈瘻の診断の下にSGを留置して加療を行った.腰椎椎間板ヘルニア術後の腸骨動脈動静脈瘻は非常に稀な症例であるが,低侵襲性を第一に考えSGでの加療を行った.術後の経過は良好であるがSGの耐久性の問題などから今後長期間の経過観察が必要であると考えられた.
    抄録全体を表示
  • 飯田 泰功, 小櫃 由樹生, 佐伯 直純, 小泉 信達, 駒井 宏好, 重松 宏
    20 巻 (2011) 1 号 p. 13-16
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は20歳男性.兄が25歳時に解離性腹部大動脈破裂で死亡.2008年3月,呼吸苦にて当院受診.レントゲン,CT上異常所見を認めず一度帰宅したが,再度症状の増悪があり,救急外来を受診.検査中にショック状態となり,血管造影にて左鎖骨下動脈破裂を来していたため,コイル塞栓術を施行した.第22病日に退院となり,以後外来にて経過観察中であったが,2009年3月,心肺停止状態で救急搬送され,CTにて腹部大動脈破裂を認めた.蘇生処置が奏功せず,死亡した.IV型Ehlers-Danlos症候群(EDS)の血管合併症は急性発症を来し,重篤かつ致命的である.IV型EDSにつき文献的考察を加え報告する.
    抄録全体を表示
  • 橋詰 賢一, 高橋 隆一, 本多 正徳, 木村 成卓, 岩崎 美佳, 蜂谷 貴
    20 巻 (2011) 1 号 p. 17-21
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は50歳男性.46歳時に慢性大動脈解離(DeBakey IIIb)で近位下行置換術,47歳時に胸腹部大動脈瘤に対し人工血管置換術,腹部4分枝再建,分枝型グラフト術を施行した.今回,下行,胸腹部間の残存大動脈瘤が62 mmに拡大し手術目的で入院となった.二度の左側開胸手術後の強固な癒着による肺損傷のリスクを考慮しステントグラフト治療を施行した.さらに瘤のdistal neckが短くステントグラフト遠位端ランディングゾーンが前回胸腹部人工血管の腹部分枝を覆うため脾動脈,上腸間膜動脈へのバイパス後にステントグラフトを留置するハイブリッド治療を行い良好な結果を得た.胸部下行および胸腹部大動脈瘤術後のグラフト間残存瘤に対するハイブリッド治療は,ステントグラフト遠位端のランディングゾーンの自由度が広がり,左側開胸再手術において癒着剥離による肺損傷が予想される症例では安全かつ低侵襲な治療法であると示唆された.
    抄録全体を表示
  • 貫井 義久, 地引 政利, 工藤 敏文, 菅野 範英, 豊福 崇浩, 井上 芳徳
    20 巻 (2011) 1 号 p. 23-27
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.突然,左下肢の安静時痛を主訴として当院を受診した.3DCTから血栓性閉塞した左膝窩動脈瘤(径3.0 cm)と壁在血栓を有する右膝窩動脈瘤(径2.5 cm)を認めた.軽度の感覚障害のみで足関節の背屈障害がなかったため準緊急手術とした.下腿動脈の血栓を除去できず,左総大腿動脈よりカテーテルを留置し血栓溶解療法を1週間施行した.その後,左前脛骨動脈に血流が得られ左膝窩動脈瘤空置,左浅大腿動脈-足背動脈バイパス術を施行した.さらに待機的に右膝窩動脈瘤切除,右浅大腿動脈-前脛骨動脈バイパス術を施行した.膝窩動脈瘤に下腿の動脈閉塞を合併した場合には急性下肢虚血の臨床的分類I,IIaでは血栓溶解療法後に手術を施行することも考慮されよう.
    抄録全体を表示
  • 山本 経尚, 東 理人, 笹生 正樹, 三宅 武史, 高 英成
    20 巻 (2011) 1 号 p. 29-32
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    急性大動脈解離時に,上行大動脈が環状面で内膜が全周性に離断し,内膜flapが重積(intimal intussusception)することによりさまざまな合併症を呈することは稀である.しかしながら,flap重積に伴う合併症は非常に重篤であり緊急を要する.症例は51歳,男性.胸背部痛にて当院救急搬入.来院直後よりショック状態であり,左冠動脈領域の虚血とaortic regurgitationを伴った偽腔開存型のtype A dissectionと診断し緊急手術施行.術中所見ではST junction levelで内膜は全周性に完全離断しflapとなっていた.このflapが中枢側に篏入することにより,左冠動脈入孔部への血流低下,大動脈弁閉鎖不全症を発症した.術後経過は良好,術後22日目に独歩退院した.Intimal intussusceptionを伴ったA型解離は重度の合併症を呈するため,速やかな診断・治療が必要である.
    抄録全体を表示
  • 矢田 真希, 湯浅 右人, 徳井 俊也, 庄村 赤裸, 加藤 憲幸
    20 巻 (2011) 1 号 p. 33-38
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    本邦で急速に普及しつつある胸部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術は,本来の適応外とはいえ,胸部大動脈破裂症例でも有効とする報告がみられる.症例は80歳男性で,突然の胸痛のため救急外来に搬送された.CTで破裂を伴ったB型大動脈解離と診断された.大動脈破裂を伴い,高齢であったため,血管内治療を選択した.DSAでエントリーが左鎖骨下動脈起始部近傍にあることを確認したため,適切な近位のlanding zoneを確保する目的で右鎖骨下動脈と左総頸動脈の間にバイパスを作製した.その後近位端が腕頭動脈と左総頸動脈の間に位置するようにステントグラフトを留置し,さらに左鎖骨下動脈起始部を金属コイルで塞栓した.救命は成功し,現在外来で経過観察中である.エントリーが弓部近傍にある,破裂を伴った急性大動脈解離においても,弓部分枝再建を併用したステントグラフト内挿術は一つの選択肢となるかもしれない.
    抄録全体を表示
  • 渡辺 正明, 村松 賢一
    20 巻 (2011) 1 号 p. 39-42
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は85歳,男性.肝細胞癌のため2009年6月右上腕動脈から化学療法肝動注用リザーバー埋め込み術が施行され肝動注化学療法が開始された.同年8月右肘部の発赤,腫脹ならびに疼痛を来し,リザーバー留置部の感染が疑われ入院となった.その後同部に拍動性腫瘤が出現し徐々に出血を繰り返したがカテーテル挿入部の上腕動脈仮性動脈瘤と診断された.抗生物質の点滴静注により感染は軽減したが,リザーバーカテーテルの露出も認めたためリザーバーおよびカテーテルを抜去した.径20 mmの仮性動脈瘤内は血栓で充満しておりこれを切除した後充分トリミングした上腕動脈を端々吻合した.術後軽度浮腫が出現したが感染の再発もなく経過した.上腕動脈領域は側副血行の発達が不十分とされ,上腕動脈からカテーテル挿入によるリザーバー留置は虚血の合併症が報告され逆に感染出現は大腿動脈経由に比し少ない.今回感染を契機として発症した上腕動脈仮性動脈瘤を経験したがその頻度は稀であり報告した.
    抄録全体を表示
  • 栗山 充仁, 田邊 敦, 喜岡 幸央
    20 巻 (2011) 1 号 p. 43-46
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    当院では,急性大動脈解離の断端形成に解離腔にGRF glueを用いてきた.術中吻合部出血の問題は生じなかったが,術後遠隔期にformaldehydeが原因と思われる吻合部仮性瘤形成のため再手術を要した2例を経験した.仮性瘤形成を回避するために断端形成法を変更した.2006年1月から2008年6月までに16例の急性大動脈解離に対して断端形成にGRF glueを使用せずに外膜内翻法を導入した.Stanford type A型急性大動脈解離16例中,上行大動脈置換術7例の近位側・遠位側両断端,上行弓部大動脈置換術9例の近位側断端に外膜内翻法を施行した.両者の平均体外循環時間は188±19分と243±32分で,平均大動脈遮断時間は123±21分と143±26分であった.手術死亡は0例で,術中に吻合後の止血に難渋した症例はなく,2週間後の術後造影CT検査で,大動脈基部の解離腔開存および仮性瘤形成は認めなかった.最長3年の短期成績ではあるが,急性大動脈解離手術時で外膜内翻による断端処理法は吻合部からの出血を減少でき良好な成績であった.
    抄録全体を表示
  • 白石 学, 由利 康一, 根本 一成, 山口 敦司, 安達 秀雄
    20 巻 (2011) 1 号 p. 47-51
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,男性.胸部CTで65 mm大の弓部下行大動脈瘤と診断された.手術ハイリスク症例であったために経過観察の方針となったが,翌年のCTで瘤径が70 mmと拡大し,ステントグラフト(SG)治療の適応と診断され,手術目的に入院となった.SGは左鎖骨下動脈起始部から第10胸椎レベルまで左鎖骨下動脈を閉塞するかたちで留置を施行.手術同日の夜間から左下肢の脱力が出現.脊髄虚血による麻痺を疑い緊急で脳脊髄液ドレナージ(CSF-D)およびメチルプレドニゾロン大量静注,その後メチルプレドニゾロン,ナロキソン持続静脈内投与を開始した.術後2日目頃より徐々に改善がみられ,術後6日目にはつかまり立ちで立位保持が可能となった.術後20日目には杖を必要とするも自力で歩行ができるまで改善した.術後CTでエンドリークはなく,左鎖骨下動脈の閉塞も確認された.SG術後の脊髄虚血に対しては早期にCSF-D,メチルプレドニゾロンおよびナロキソン投与が有効であることが示唆された.
    抄録全体を表示
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top