日本血管外科学会雑誌
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20 巻 , 3 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
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巻頭言
原著
  • 向井 資正, 木村 英二, 鍵谷 聡介, 山川 智之
    20 巻 (2011) 3 号 p. 641-646
    公開日: 2011/04/26
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    【目的】透析用ポリウレタン製人工血管ソラテック®の手術操作性における欠点の克服のためePTFE人工血管を併用する術式を考案し,その手術成績,遠隔成績を調査した.【方法】2005年7月より2010年4月までに,前腕での人工血管内シャント造設に際し動脈側吻合部より直線部分をソラテック®人工血管とし残りの手関節付近でループを描き静脈側吻合部までをePTFE人工血管を用いる術式(以下コンポジット手技)を行った症例は97例であった.男39例,女58例,平均年齢68.7±11.2(34~87)歳でこれらを対象とした.【結果】手術成績は8例(9%)に早期閉塞を認めた.このうち静脈側延長術3例,外科的血栓除去2例の合計5例は血流再開しアクセスとして使用可能であった.人工血管皮膚露出を1例に認めたが,感染症,血清腫,スティール症候群等の重大な合併症は認めなかった.遠隔調査は透析シャントとして使用可能であった94症例に対し行い91例(97%)が追跡可能であった.遠隔期のアクセス関連事象で最も多いものは狭窄や閉塞であり,人工血管感染を11例に認めた.また静脈高血圧症,人工血管露出をそれぞれ2例,スティール症候群を1例に認めた.血清腫は認めなかった.観察期間は最長4.3年,平均1.6年であった.シャントの二次開存率は1年94.3±2.8%,2年92.1±3.5%,3年89.4±4.3%と良好であった.【結論】ソラテック®を用いたコンポジットグラフト手技は,比較的初心者の術者でも施行可能な,有用な術式である.
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  • 末澤 孝徳, 青木 淳, 峰 良成
    20 巻 (2011) 3 号 p. 647-652
    公開日: 2011/04/26
    ジャーナル フリー
    【目的】腎動脈下腹部大動脈瘤(abdominal aortic aneurysm; AAA)に対する小開腹手術は,腸管操作の減少,創部痛の軽減などの点から低侵襲性になることが期待されるが,術野の展開に特殊な器械を用いる場合が多く,普及しにくい現状がある.当院では通常の開創器に加え,Kent牽引開創器(高砂医科工業,東京)やターニケットといった消化器外科や心臓血管外科でよく使われる器械を用いて小開腹手術を行っている.今回われわれは小開腹によるAAAの手術が従来のfull laparotomyによる手術に比べ,低侵襲であるかどうかを検討した.【方法】2006年1月から2009年11月までに,腎動脈下腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術を行った75歳未満の症例(38例)を対象とした.そのうち剣状突起下から恥骨上縁まで皮膚切開をおいた症例(C群)は21例で,小開腹下(13±1 cm)に手術を行った症例(M群)は17例であった.【結果】両群間で年齢,男女比,基礎疾患に差はなく,両群で入院死亡はなかった.腎動脈上遮断症例数(M群;41%,C群;24%,P=0.25),内腸骨動脈再建症例数(M群;35%,C群;24%,P=0.44)に差はなく,セルセーバ返血量にも差はなかった.M群で手術時間,胃管留置期間,維持輸液期間が短く,飲水開始,固形食開始,離床が早く,入院日数が短い傾向にあった.【結論】小開腹手術は特殊な器械を用いなくても施行可能であり,full laparotomyによる手術に比し手術操作が煩雑になることなく早期の離床や経口摂取につながり,より低侵襲と思われた.
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  • 後藤 新之介, 松井 雅史, 真鍋 秀明, 高木 寿人, 梅本 琢也
    20 巻 (2011) 3 号 p. 653-658
    公開日: 2011/04/26
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    【目的】当院での破裂性腹部大動脈瘤(RAAA)における1期的閉腹の可否に関わる予後因子を明らかにすること.【方法】2006年1月から2009年12月までの4年間のRAAA 64例のうち,術前心肺停止状態で手術後24時間以内に死亡した9例を除く55例について,1期的閉腹群38例(A群),1期的閉腹されなかった群17例(B群)について術前,術中因子を比較した.【結果】年齢(p=0.048),術前収縮期血圧(p=0.0001),BE(p=0.0007)はA群で有意に高値であり,出血量(p=0.014),輸血量(RCC)(p=0.01)はA群で有意に低値であった.男女比(p=0.43),術前CK(p=0.29),術前Hb(p=0.419),大動脈遮断時間(p=0.9),手術時間(p=0.088)は両群に有意差を認めなかった.手術死亡率(術後30日)は除外群を含むRAAA全体で27.7%,A群5.3%,B群41%(p=0.0009)であった.【結論】1期的閉腹の可否に関わる因子としては年齢,術前収縮期血圧,BE,Rutherford分類レベル,出血量,輸血量(RCC)であった.
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症例
  • 末澤 孝徳, 青木 淳, 峰 良成, 櫻井 淳
    20 巻 (2011) 3 号 p. 659-663
    公開日: 2011/04/26
    ジャーナル フリー
    近年,馬蹄腎を伴った腹部大動脈瘤に対する,ステントグラフト内挿術(EVAR)の報告が散見されるが,異所性腎動脈の再建については議論の余地がある.本疾患に対し,異所性腎動脈の再建を行わずにEVARを施行した症例を報告する.症例は72歳,男性.腎機能は年齢相応.術前CTで最大径52 mmの腎動脈下腹部大動脈瘤を認め,馬蹄腎を伴っていた.術中選択的腎動脈造影で,腎峡部への異所性腎動脈の灌流域が腎全体の1/3未満であったため,この血管を再建することなく,EVARを行った.術後造影CTで腎峡部梗塞領域は腎全体の約20%であった.経過は良好で腎機能値の上昇は軽度で一過性であった.本疾患にEVARを施行する際の異所性腎動脈の再建の必要性については今後の検討を要するが,術前腎機能に問題がなく,異所性腎動脈の灌流域が広くない場合は,再建する必要がないことが示唆された.
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  • 坪井 栄俊, 近藤 俊一, 廣田 潤
    20 巻 (2011) 3 号 p. 665-668
    公開日: 2011/04/26
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈瘤破裂に急性下肢動脈閉塞を合併した比較的稀な症例を経験し,modified controlled limb reperfusionで救命した.症例は61歳男性,突然の下腹部痛と左下肢のしびれで発症し救急搬送された.左下肢の動脈は触知不能であり,CTで腹部大動脈瘤破裂と左外腸骨動脈の閉塞がみられた.緊急腹部大動脈人工血管置換術を施行した.左総大腿動脈に人工血管左脚を吻合した後から血圧低下,wide QRSの徐脈となった.虚血再灌流障害と診断し人工血管左脚を遮断,左総大腿静脈を露出しmodified controlled limb reperfusionを施行した.約2 Lの灌流液で洗浄し,血流を再開した.MNMSの発症なく術後経過は良好で独歩退院した.腹部大動脈瘤破裂を機に下肢動脈閉塞を合併することは稀ではあるが,腹部大動脈人工血管置換術が先行されるため下肢の血流の再開は遅れることになる.この際にcontrolled limb reperfusionで虚血肢からの高カリウム血症,アシドーシスに対処し救命率の向上につながると考えられる.
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  • 村上 栄司, 東 健一郎, 村川 眞司
    20 巻 (2011) 3 号 p. 669-673
    公開日: 2011/04/26
    ジャーナル フリー
    ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)は比較的稀な病態とされ,血栓症を発症した場合の予後は不良とされる.症例は80歳女性で,急性大動脈解離(DeBakey II型)に対し,ヘパリン18,000単位を使用し,上行大動脈置換術を施行した.術後10日目に急性血栓性肺塞栓症を発症したため,治療薬として,ヘパリン10,000単位/日の持続投与を開始した.術後14日目に肺炎からの敗血性ショックを併発し,急激な血小板減少を認めた.血小板減少は,敗血症性DICによるものと思われたが,術後18日目には血小板が0.4×104/μlまで低下し,血液検査でHIT抗体陽性であったため,ヘパリンを中止しアルガトロバン0.2 μg/kg/minの持続投与を行った.血小板は,術後30日目には30×104/μlまで回復し,独歩退院となった.急激な血小板減少を認めた場合,DICとHITは鑑別困難なことがある.血管外科手術で,先行するヘパリンの使用がある場合はHITを念頭に置く必要がある.
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  • 久世 真悟, 小林 昌義
    20 巻 (2011) 3 号 p. 675-679
    公開日: 2011/04/26
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    症例は81歳,男性.左下肢腫脹出現し当科紹介.CTで腹部大動脈・両側総腸骨動脈瘤および右総腸骨動脈瘤と左総腸骨静脈との動静脈瘻を認めた.腹部超音波検査でも右総腸骨動脈瘤から左総腸骨静脈へのシャントを認め,瘻孔の大きさは14 mmであった.左外腸骨-大腿静脈に血栓を認め左下肢深部静脈血栓症を合併していた.腹部大動脈瘤,両側総腸骨動脈瘤,右総腸骨動脈-左総腸骨静脈動静脈瘻,左下肢深部静脈血栓症の診断の元に術前に一時的下大静脈フィルターを留置し手術を行った.用手的圧迫により動静脈瘻を動脈瘤内より単純縫合閉鎖,Y型人工血管置換術を施行した.動静脈瘻の有無と部位を術前に同定することにより安全に手術が行えた.
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  • 前田 俊之, 川原田 修義, 小柳 哲也, 伊藤 寿朗, 栗本 義彦, 樋上 哲哉
    20 巻 (2011) 3 号 p. 681-685
    公開日: 2011/04/26
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    症例は73歳,男性.2009年頃より左下肢の浮腫を自覚した.近医通院し利尿剤を処方されるも効果なく,CT検査で腹部大動脈瘤を指摘され当科紹介となった.精査にて馬蹄腎を伴った腹部大動脈瘤(Crawford Group 2)であり,さらに左内腸骨動脈瘤と左腸骨静脈で動静脈瘻を形成しているために左下肢の浮腫が著明であることが判明した.そのためまず馬蹄腎を伴った腹部大動脈瘤に対して人工血管置換術と左内腸骨動脈瘤空置術を施行し,左腸骨静脈への動脈血流入を減少させ心不全徴候を改善し,半年後に左内腸骨動脈瘤切除と動静脈瘻閉鎖を施行した.経過は良好で,外来に独歩通院中である.
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  • 木内 竜太, 斉藤 裕
    20 巻 (2011) 3 号 p. 687-690
    公開日: 2011/04/26
    ジャーナル フリー
    症例は突然の左腰部の激痛にて来院した65歳の男性で,腹部CT検査にて最大径7.6 cmの腎動脈下腹部大動脈瘤に合併した急性大動脈解離の破裂所見を認めた.以前より存在した腹部大動脈瘤内にentryをもつ急性大動脈解離を発症し,それが破裂したものと診断し,同日緊急手術となった.破裂部位は瘤左側壁の比較的中枢側に存在した.また瘤を切開すると,同部位の瘤内の解離した内膜に1 cmのentryが存在した.脆弱な瘤壁が解離し,外膜の破綻を来したものと考えられた.解離は大動脈中枢側離断端まで及んでいたため,帯フェルトにて補強のうえ,Y字型人工血管にて置換した.術後は問題なく経過し,術後21病日に退院した.
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  • 森嶌 淳友, 岡 克彦, 井上 享三, 金田 幸三, 西脇 登
    20 巻 (2011) 3 号 p. 691-695
    公開日: 2011/04/26
    ジャーナル フリー
    76歳,女性.3カ月前から血痰出現しCT検査にて下行大動脈に仮性瘤を認め,ステントグラフト内挿術を施行した.術後3カ月後,吐血にて入院,胃潰瘍からの出血で内視鏡的に止血術施行された.その1週間後,再度吐血あり,内視鏡施行されるも明らかな出血源は認めず,CTにて下行瘤の拡大と発熱,炎症反応の増大,血液培養から黄色ブドウ球菌を認め感染性大動脈瘤による肺内穿破の診断にて入院,ステントグラフト抜去術,リファンピシン浸漬人工血管にて下行大動脈人工血管置換術,左肺部分切除術施行した.術後33日目腰痛あり歩行困難となりMRIにて腰椎の硬膜外膿瘍を確認した.ドレナージ術施行され,歩行可能となり術後190日目に退院となった.退院後1年半経過するが,感染の再燃を認めていない.ステントグラフトの低侵襲性から安易に適応される傾向にあるが,適応に関して慎重になるべきであると考えられた.
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