日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
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20 巻 , 4 号
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巻頭言
原著
  • 向井 省吾, 尾畑 昇悟, 森元 博信, 古川 智邦, 平岡 俊文
    20 巻 (2011) 4 号 p. 705-710
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    遠位弓部大動脈瘤に対する弓部大動脈再建術(TAR)は,従来の胸骨正中切開・弓部大動脈を介してのアプローチでは,末梢側吻合部が左肺門部に近接すると術野が狭く,しばしば深部の手術操作に難渋する.本稿では胸骨正中創から左胸腔を大きく開放し下行大動脈に直接アプローチすることにより,大動脈瘤末梢側が左肺門部レベルであっても視野が良好で吻合操作が容易な術野展開を紹介する.【対象】2006. 1. 1~2009. 12. 31に大動脈瘤や大動脈解離の慢性期拡大により病変部が左肺門部近傍に伸展した24例にTARを行った.【術式】左側胸骨裏面に接する左胸膜を大動脈弓の高さから横隔膜に至るまで大きく切開して左胸腔を開放する.体外循環を確立後,心停止させ左室にventing tubeを挿入し心臓を充分に虚脱させる.心臓と左肺を一塊に右側へ授動すると,下行大動脈を横隔膜近傍まで俯瞰することができる.中等度低体温で弓部大動脈を切開して選択的脳灌流を開始する.大動脈瘤切除を行い吻合部に3~4箇所水平マットレス縫合をおいて牽引すると,良好な術野を得ることができる.末梢側吻合はturn-up法で行う.弓部グラフト側枝から送血を開始し,次いで弓部分枝再建を行う.【結果】本術式での下肢循環停止時間は51.9±18.5分であった.術後重篤な呼吸器合併症を来した症例はなく,概ね術後1日目に呼吸器から離脱した.死亡例は1例であった.【結語】われわれの術式は従来の大動脈弓からのアプローチに比し,術野の展開が良好で吻合・止血方法も容易であった.左胸腔内の強固な癒着のため,本術式が適応できない症例があった.
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症例
  • 北野 育郎, 辻 義彦, 保島 匡和, 辻 依子, 寺師 浩人
    20 巻 (2011) 4 号 p. 711-715
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    Klinefelter症候群は,2つ以上のX染色体,1つ以上のY染色体を有する性染色体異常症で,男性性腺不全のなかでは最も頻度が高いと報告されている.またKlinefelter症候群に静脈瘤や下腿潰瘍が合併することは知られているが,実際には見逃されている例も多い.最近6年間にうっ滞性皮膚炎を伴った難治性下腿潰瘍を主訴に受診し,Klinefelter症候群と診断された4例を経験した.明らかな基礎疾患がない男性のうっ滞性皮膚炎や難治性下腿潰瘍を診察した場合,Klinefelter症候群も念頭におく必要があると思われた.
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  • 森 秀暁, 柴田 正幸
    20 巻 (2011) 4 号 p. 717-720
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.38°C台の発熱,右膝関節周囲の発赤,疼痛を伴う拍動性腫瘤が出現した.右膝上膝窩動脈に石灰化および壁在血栓を伴った最大径37 mmの動脈瘤を認めた.血液検査では炎症所見を有したが,他臓器に感染徴候はなかった.血液細菌培養は陰性であった.炎症の沈静化を待ち手術を行う方針であったが,疼痛コントロールが困難であった.炎症所見は右膝窩動脈周囲に限局していることから準緊急的に動脈瘤切除術を行う方針とした.手術は動脈瘤を切除し,対側の大伏在静脈を用いて血行再建を行った.動脈瘤は周囲組織との癒着が高度ですべての炎症組織を摘出するのは困難であった.摘出した動脈瘤壁および壁在血栓の細菌培養の結果は陰性であった.術後約1カ月のリハビリテーションを要したが,神経学的異常は認めなかった.
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  • 森下 篤, 冨岡 秀行, 片平 誠一郎
    20 巻 (2011) 4 号 p. 721-724
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は,66歳,女性.両上肢のしびれ,めまいにて来院.両側鎖骨下動脈閉塞を認めた鎖骨下動脈盗血症候群に対して,総大腿動脈をinflowとする左腋窩動脈および右上腕動脈への非解剖学的バイパス術を施行した.術後3年経った現在でも,症状は消失し良好なバイパスの開存を確認している.両上肢への血行再建を要する症例で胸部大動脈の石灰化が激しい場合はinflowを総大腿動脈とする術式も選択肢の一つとして有用であると考えられた.
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  • 佐藤 久, 吉戒 勝, 池田 和幸, 陣内 宏紀
    20 巻 (2011) 4 号 p. 725-728
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈瘤(AAA)が破裂し,下大静脈(IVC)へ穿破して動静脈瘻を形成した症例を経験した.症例は71歳,男性.突然の腹痛にて近医で腹部大動脈瘤破裂と診断され,当院へ搬送された.臍の右側で連続性血管雑音を聴取した.CTにて最大径57 mmのAAAを認め,動脈相でIVCが造影されており,AAA破裂,IVC穿破と診断し緊急手術を行った.右大腿静脈からIVCへocclusion balloon(Fogarty occlusion catheter, 8 Fr, balloon 22 Fr)を挿入し,大動脈瘤を切開した.Occlusion balloonを瘻孔部で拡張させ,IVCからの出血を制御した.IVCへの瘻孔は46×16 mmで,polytetrafluoroethylene(PTFE)パッチにて閉鎖し,腹部大動脈をY字型人工血管にて置換した.AAAとIVCの瘻孔部でocclusion balloonを拡張させることで,IVCからの出血を比較的容易に制御することができた.
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  • 石井 修, 季白 雅文, 酒井 浩
    20 巻 (2011) 4 号 p. 729-732
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    人工血管の感染は難治となり,人工血管の摘出を必要とすることが多い.今回われわれはPTFE人工血管バイパス術後の創感染に対し,人工血管を温存した1例を経験したので報告する.症例は糖尿病治療中の70歳女性.右大腿-膝窩動脈バイパスの術後に膝窩創の感染により排膿した.人工血管は創内に完全に露出していた.創の洗浄の後にvacuum-assisted closure(V.A.C.)療法で肉芽形成を図った.V.A.C.療法開始18日目に局麻下に人工血管を肉芽組織に埋め閉創した.その際0.01%クリスタルバイオレット液で人工血管表面を充分に洗浄した.今回,洗浄とV.A.C.療法により健康な肉芽形成を促し,感染の再燃なく閉創することができた.また人工血管を温存することにより下肢の虚血が回避できた.V.A.C.療法は,人工血管バイパス後の人工血管感染やリンパ漏においても感染のコントロールと良好な肉芽形成に有効と考えられた.
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  • 島田 晃治, 名村 理
    20 巻 (2011) 4 号 p. 733-736
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は72歳の女性.腹部エコー検査で偶然に脾動脈瘤を指摘され精査加療目的に当科紹介された.CTで多発する脾動脈瘤,肝動脈瘤,膵十二指腸動脈瘤,胃大網動脈瘤を認め手術方針となった.2.6 cm大の固有肝動脈瘤は切除・血行再建を行い,最大6 cm大を含む3個の脾動脈瘤は切開し流入・流出動脈を縫合閉鎖した.1 cm大の右胃大網動脈瘤は単純に切除を行った.病理診断では非特異的な動脈硬化性の動脈瘤の所見であり炎症や感染の関与は明らかではなかった.術後に膵液漏による腹腔内膿瘍を合併し長期間のドレナージを要したが保存的に軽快退院した.内臓動脈瘤は比較的稀な疾患で外科的治療の成績は良好とされているが,術後稀に膵炎や腹腔内膿瘍を合併することがあり膵臓周囲への手術操作を行う際には注意を要すると思われた.
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  • 江口 大彦, 川崎 勝己
    20 巻 (2011) 4 号 p. 737-740
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    今回われわれは稀なステント感染に伴う敗血症と感染性動脈瘤の1例を経験したので報告する.症例は77歳男性.発熱・食欲不振・全身倦怠感のため当院救急外来受診.患者は両下肢の閉塞性動脈硬化症のため,当科にて二期的に血管内治療を施行(1カ月前に左総腸骨動脈,9日前に左浅大腿動脈にステント留置)されていた.血液培養で黄色ブドウ球菌が検出され,入院11日後の造影CTで左浅大腿動脈仮性瘤形成と周囲組織の造影増強を認め,ステント感染・感染性動脈瘤の診断で手術を行った.ステントおよび感染瘤の除去と,自家静脈による血行再建を二期的に行い良好な結果を得た.ステント感染は稀な合併症であるが,血管内治療の重篤な合併症として認識が必要である.コンセンサスは得られていないが,当院では本合併症の重篤度を考慮して血管内治療を行う全例で予防的抗生剤投与を行っている.
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  • 喜瀬 勇也, 仲栄真 盛保, 盛島 裕次, 永野 貴昭, 新垣 勝也, 山城 聡, 國吉 幸男
    20 巻 (2011) 4 号 p. 741-746
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,女性.2カ月前より労作時呼吸苦を自覚し,症状の増悪を認めたため救急受診となった.造影CT検査で右主肺動脈に巨大血栓を,さらに左肺動脈上葉枝にも血栓塞栓像を認め,抗凝固,血栓溶解療法を20日間行ったが,右主肺動脈血栓の退縮を認めず,低酸素血症(酸素吸入ネーザル3 L/minでSpO2 92~94%),肺高血圧症(平均肺動脈圧=42 mmHg)が遷延したため,発症3カ月後の亜急性期に人工心肺使用,心停止下に血栓摘除術を行った.術後は合併症なく,症状の著明な改善を認め,平均肺動脈圧は21 mmHgへと正常化した.血栓溶解療法に抵抗性を示し,亜急性期から慢性期への移行段階で手術を施行した比較的稀な症例であった.肺血栓塞栓症は薬物治療にて溶解せず,血栓が器質化した場合,その塞栓範囲や肺高血圧症の程度によってはQOLを著しく障害し,予後も不良となるため,本症例のごとく,亜急性期といえども手術療法は有用であると考えられた.
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  • 佐久間 啓, 永谷 公一, 小田 克彦, 長嶺 進
    20 巻 (2011) 4 号 p. 747-750
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    特発性孤立性上腸間膜動脈解離は比較的まれな疾患である.本疾患では出血性ショックや腹膜炎の症状を呈した症例の多くは外科的に治療される.来院時に症状が消失していたり,CTにて偶然発見された無症候性のものでは保存的に経過観察が可能な症例もあるがその自然経過ははっきりしない.このような症例を中,長期にわたり観察した報告もまれであるため報告する.症例1:53歳男性.臍周囲痛にて発症.近医受診.腹部造影CTにて上腸間膜動脈血栓もしくは解離を疑われ当院消化器内科にて血管造影施行.上腸間膜動脈解離の診断となり当科紹介受診.来院時腸管虚血の症状は消失していたので降圧剤による血圧管理とアスピリンによる抗血小板療法にて経過観察した.発症後22カ月後解離腔消失.62カ月後の現在再発認めず.症例2:56歳男性.右精巣腫(seminoma)手術後の経過観察の腹部造影CTにてSMA解離を認め当科紹介受診.腹部症状なかったので降圧剤による血圧管理とアスピリンによる抗血小板療法にて経過観察.12カ月後解離腔消失.51カ月後の現在再発認めず.特発性孤立性上腸間膜動脈解離に対し来院時症状が消失もしくは無症候性の症例に降圧剤,抗血小板療法にて保存療法を行ったところ解離腔が自然に消失した2例を経験したので報告した.
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