日本血管外科学会雑誌
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20 巻 , 5 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
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巻頭言
原著
  • 赤坂 和美, 稲葉 雅史, 中森 理江, 数野 圭, 小久保 拓, 古屋 敦宏, 内田 恒, 赤坂 伸之, 東 信良, 笹嶋 唯博
    20 巻 (2011) 5 号 p. 755-760
    公開日: 2011/08/27
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    【目的】近年,脈管診療におけるVascular Labの重要性が確固たるものとなっているが,当院における現状から,Vascular Lab確立に必要とされる条件を提示する.【方法】旭川医科大学病院臨床検査・輸血部においては血行再建術前・術後に年間2793件の脈管検査を行っている.内訳は術前に施行する血圧脈波検査,経胸壁心エコー,頸動脈エコー,静脈グラフト評価,術後定期的に施行するduplex scanによるgraft surveillanceである.【結果】2009年のグラフト狭窄あるいは閉塞に対して行った修復術計41例中,graft surveillanceを施行していた24例ではグラフト閉塞は1例のみ(4.2%)であるが,未施行であった17例では5例(29.4%)に発生し有意に閉塞率が高かった(p<0.05).検査技師は,画像情報統合システムによる他の画像所見の参照や,診療医とともに血流外来で検査に関わることに意義を見出している.【結論】Vascular Labは各施設の需要に応じて多様性を有するものの,高い検査技術は必須条件であると考える.さらには,医師とのディスカッション,総合的な病態把握能力,迅速性が望まれる.
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総説
  • 杉本 郁夫, 太田 敬, 石橋 宏之, 岩田 博英, 山田 哲也, 只腰 雅夫, 肥田 典之, 折本 有貴, 佐藤 淑子, 岡田 敦子
    20 巻 (2011) 5 号 p. 761-766
    公開日: 2011/08/27
    ジャーナル フリー
    血管疾患の機能診断をはじめとした無侵襲検査を確実に行うためにはVascular Laboratory(Vascular Lab)の設置と血管診療技師(clinical vascular technologist; CVT)の配置が重要なポイントとなる.当院では1999年に血管外科内にVascular Labを開設し,機能検査結果の集積からいくつかの知見を得ることができた.間歇性跛行肢に対するトレッドミル歩行試験では歩行能力評価とともに,運動療法の効果が予測できることがわかった.重症下肢虚血肢に対する無侵襲検査(足関節血圧,第1趾血圧,皮膚灌流圧,経皮酸素分圧)では,虚血性潰瘍や切断端の治癒可能性の評価に有用であり,とくに皮膚灌流圧が40 mmHg未満,第1趾血圧が30 mmHg未満の時,創治癒の可能性は低いことがわかった.本邦におけるVascular Labの内容は施設によってさまざまであるが,どこに所属しているかによってその方向性が決まるといっても過言ではない.Vascular Labの多くは臨床検査部に所属し,生理機能検査部門の一部がVascular Labを担っている.そのため血管外科に特化した機能検査を中心としたVascular Labは少なく,超音波検査を主体としたVascular Labが多い.Vascular Labの専門性,高い技術を持った検査技師の育成,さらにコストなど問題があるが,よりよい脈管医療の提供のためには多くの施設にVascular Labが設置されることが望まれる.
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症例報告
  • 峰 良成, 青木 淳, 末澤 孝徳, 櫻井 淳
    20 巻 (2011) 5 号 p. 767-771
    公開日: 2011/08/27
    ジャーナル フリー
    陰茎癌は高率に鼠径部リンパ節転移をきたし,しばしば大腿動脈から出血をきたす.症例は73歳,男性.陰茎癌にて陰茎部分切除術,右鼠径部腫瘤切除術,両側鼠径部リンパ節郭清術後,二期的に骨盤リンパ節郭清術を施行されていた.今回右鼠径部リンパ節転移腫瘍が右大腿動脈外膜に浸潤し,腫瘍が自潰し,皮膚と瘻孔を形成し,大腿動脈破綻の危険が高いと判断された.本症例は複数回手術のため直達的な手術は困難と判断,血管内治療を施行した.対側大腿動脈アプローチで,右大腿深動脈をコイル塞栓後,同側大腿部の浅大腿動脈から,中枢側のみPalmazステントで固定したGore-tex graftを内挿し,中枢側は外腸骨動脈にステントで固定,末梢側は浅大腿動脈に縫合固定した.術後3カ月で癌死するまで,大腿動脈からの出血はなかった.
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  • 仁科 洋人, 谷嶋 紀行, 山口 聖一, 中谷 充, 山崎 一人, 西村 克樹
    20 巻 (2011) 5 号 p. 773-776
    公開日: 2011/08/27
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈瘤に大動脈周囲悪性リンパ腫を合併した1例を経験した.症例は86歳,女性.数日間持続する腹痛のため,腹部超音波検査で破裂性腹部大動脈瘤の疑いとなり,当院を紹介受診した.造影CTで腎動脈下腹部大動脈瘤の切迫破裂と診断し,緊急で分岐型人工血管置換術を施行した.術中診断は炎症性腹部大動脈瘤であったが,瘤壁の病理検査ではびまん型大細胞性B細胞リンパ腫と診断された.術後に化学療法を施行したが,多臓器不全にて死亡した.
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  • 佐藤 雄哉, 地引 政利, 工藤 敏文, 菅野 範英, 井上 芳徳
    20 巻 (2011) 5 号 p. 777-782
    公開日: 2011/08/27
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.心窩部痛を主訴に来院し,造影CTおよび血管造影にて腹腔動脈から脾動脈にかけて巨大な動脈瘤を認めた.脾動脈瘤,脾臓摘出術,腹腔動脈および脾動脈根部結紮術,腎動脈下腹部大動脈-総肝動脈バイパス術,大網充填術を施行した.術後に膵液漏を合併したが人工血管との交通はなく,洗浄ドレナージにより吻合部仮性動脈瘤やグラフト感染を併発せずに軽快し退院した.
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  • 坂井 修, 高橋 章之, 渡辺 太治, 合志 桂太郎, 西木 菜苗, 中島 昌道
    20 巻 (2011) 5 号 p. 783-786
    公開日: 2011/08/27
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術術後,エンドリークによる大動脈瘤径拡大を来し,開腹手術に移行した1例を経験したので報告する.症例は87歳の男性.最大径60 mmの腹部大動脈瘤に対し,Excluder®を用いたステントグラフト内挿術を施行した.術中残存したtype IIエンドリークは術後CTでは消失しており,1年後の動脈瘤径は56 mmと縮小した.しかし,術後17カ月目にエンドリークが再出現し,大動脈瘤径は73 mmと急速拡大した.2度にわたり塞栓術を施行したがエンドリークは消失せず,瘤径拡大(78 mm)を認めたため,術後19カ月目に腹部大動脈瘤切除・ステントグラフト抜去・人工血管置換術を施行した.ステントグラフト抜去は比較的容易で,landing zoneであった部位を吻合に使用できた.エンドリークは下腸間膜動脈からのtype IIであり,ステントグラフト本体には明らかな異常を認めなかった.
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  • 福原 菜摘, 保科 克行, 山本 諭, 岡本 宏之, 重松 邦広, 宮田 哲郎
    20 巻 (2011) 5 号 p. 787-791
    公開日: 2011/08/27
    ジャーナル フリー
    解剖学的困難症例の超高齢腹部大動脈瘤に対してendovascular aneurysm repair(EVAR)を施行し,良好な結果を得たので報告する.症例は92歳女性で2003年に径30 mm大の腹部大動脈瘤を指摘されていたが2009年に最大短径55 mmと増大した.既往に胃癌に対する幽門温存胃切除およびその後の腹壁瘢痕ヘルニアがある.高度閉塞性呼吸障害および高血圧を認めた.瘤のproximal neckは13 mmと短く,腹部大動脈終末径は15 mmと狭小で,アクセスルートの石灰化は著明であった.解剖学的にはEVAR困難症例であったが,open surgeryのリスクも高く2009年7月Zenith® AAA endovascular graftを使用しEVAR施行となった.術後CTで中枢側type 1エンドリークおよび左脚狭小化・右脚接合部拡張不良を認めたため,局所麻酔下にproximal neckおよび接合部・狭小部の再圧着を行った.脚狭窄の改善および中枢エンドリークの消失を確認し,翌日に退院した.術後1年経過し合併症なく瘤径は41 mmと縮小を認めた.EVARの限界と患者のリスクの両者を考慮するうえで示唆に富む症例であった.
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  • 武内 克憲, 上田 哲之
    20 巻 (2011) 5 号 p. 793-796
    公開日: 2011/08/27
    ジャーナル フリー
    馬蹄腎を伴う腹部大動脈瘤(AAA)手術の際に,異所性腎動脈(ARA)の再建法が問題となるが,われわれは腹部4分枝人工血管を用いたARA再建人工血管置換術を経験したので報告する.症例は48歳,男性.術前腹部CTにて腎動脈下に最大径50 mmのAAAと馬蹄腎,さらに左右腎動脈以外に大動脈瘤から分岐するARAを認めた.手術は腹部正中切開開腹でアプローチし,AAAを切開し動脈瘤前壁と馬蹄腎峡部をあわせて牽引し視野を確保した.4分枝人工血管で中枢を吻合後,まずARAを7 mmの分枝で再建した.末梢側左脚2本をそれぞれ内外腸骨動脈,右脚は総腸骨動脈に分枝を端々吻合した.術後経過は良好で腎機能低下は認めず,術後造影CTではARAは開存していた.馬蹄腎は分節的な血管支配を受けているため,ARAの再建は可及的に行い部分的な梗塞を避ける必要があり,4分枝人工血管を用いたARAの再建は有用と思われた.
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  • 古川 貢之, 福島 靖典
    20 巻 (2011) 5 号 p. 797-800
    公開日: 2011/08/27
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    人工血管置換術後非感染性吻合部仮性動脈瘤破裂の1例を経験した.症例は65歳,男性.平成16年腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術の既往あり.平成22年9月4日腹痛が出現,増悪のため翌朝当院へ緊急搬送された.CT検査で人工血管置換術後吻合部仮性動脈瘤破裂と診断し,緊急手術を行った.手術は小網を切開し,腹腔動脈分岐直上で大動脈を遮断し,仮性瘤より上方の腎動脈分岐部直下を中枢吻合としたストレートダクロン人工血管による置換術を行い,術後26日目に軽快退院した.人工血管置換術後非感染性吻合部仮性動脈瘤は術早期には稀で,5年以上の年余を経て発生し,破裂例などの重症例の手術成績は極めて不良であることより,初回術後より長期にわたる画像診断を含めた定期的観察と破裂以前の手術が肝要である.
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  • 佐野 真規, 海野 直樹, 山本 尚人, 田中 宏樹, 鈴木 実, 西山 元啓
    20 巻 (2011) 5 号 p. 801-806
    公開日: 2011/08/27
    ジャーナル フリー
    橈骨動脈は手背タバコ窩では筋に覆われず,些細な外傷でも瘤化の原因となりうる.橈骨動脈末梢領域の側副血行路の発達は個体差が大きく,瘤切除後の血行再建術の適応には末梢血流の評価が重要である.症例は48歳男性.徐々に増大する左手背の拍動性腫瘤を主訴に当院を受診した.超音波検査とMRA検査からタバコ窩に発生した径13 mmの橈骨動脈瘤と診断し,瘤破裂のリスクを考慮し手術を施行した.術中,左拇指の経皮酸素分圧(TcpO2)を経時的にモニターし,動脈瘤中枢側の橈骨動脈を遮断後にTcpO2の低下を認め,血行再建術の適応と考えた.橈骨動脈と第1背側中手動脈の端々吻合を手術用顕微鏡下で施行した.血流再開後に同部位のTcpO2は改善した.病理検査結果は真性瘤であり,些細な外傷が原因で発症した可能性が考えられた.タバコ窩橈骨動脈瘤は本邦でこれまでに6例が報告されている.術中の血流評価にTcpO2測定は有用と考えられた.
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  • 田崎 大, 広岡 一信, 大貫 雅裕, 藤田 聡子
    20 巻 (2011) 5 号 p. 807-811
    公開日: 2011/08/27
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.呼吸苦を主訴に気道狭窄を伴う右総頸動脈瘤切迫破裂と診断され,当院へ救急搬送された.緊急手術としてF-Fバイパス補助下,胸骨正中切開を行い,瘤口である右総頸動脈起始部を直接縫合閉鎖した.術後細菌性肺炎を併発するも改善し,21 PODにリハビリ目的で前医へ転院した.転院後43日目に突然意識消失となり,右総頸動脈の再発が疑われ当院へ再搬送された.意識は回復するも仮性瘤増大による気道狭窄は進行し,再入院後7日目に気管内挿管を行った.以前からのアスベストによる肺癌進行とその多発性脳転移なども考慮した結果,血管内治療を選択した.右腋窩動脈アプローチで,2個の自作ステントグラフトを留置することで瘤口を閉鎖し得た.8 PODのCTでは瘤は閉鎖縮小されていた.左中大脳動脈領域に新たな脳梗塞を併発していたため意識障害は遷延し,29 PODに気管切開を施行して人工呼吸器より離脱し,42 PODに前医へ転院となった.
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  • 久岡 崇宏, 山本 修司
    20 巻 (2011) 5 号 p. 813-817
    公開日: 2011/08/27
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    症例は60歳男性.突発的な右下腿疼痛で発症.来院時知覚鈍麻,チアノーゼ,両側膝窩部に拍動性腫瘤を認めた.単純CTで両側膝窩動脈瘤を認め,下肢造影MRAで右下腿3分枝はほとんど描出されない状態.右膝窩動脈瘤急性閉塞の診断で緊急手術となった.手術は腹臥位,後方アプローチから瘤切除,血栓除去+人工血管置換術を施行し,独歩退院に至った.膝窩動脈瘤の手術術式は内側アプローチによるバイパス術か後方アプローチによる人工血管置換術かに大別される.しかし急性閉塞の緊急手術治療適応症例において,下腿動脈3分岐以下のrun-off不良な場合,術式選択に苦慮する.今回術式決定の判断材料として下肢造影MRAの下腿動脈血流の確認と単純CTによる動脈瘤形態も評価した.動脈瘤が膝窩部に限局していたため,後方アプローチから動脈瘤を開放し,末梢側動脈血栓除去を可及的迅速に行うことができ,結果的に良好な末梢血流が得られた.
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  • 内室 智也, 福井 寿啓, 中道 司, 三原 和平
    20 巻 (2011) 5 号 p. 819-822
    公開日: 2011/08/27
    ジャーナル フリー
    顕微鏡的多発血管炎(MPA)は小血管(毛細血管,細小動・静脈)に壊死性血管炎が生じ,抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性率が高いANCA関連型血管炎の中の一疾患であり,一般的には大動脈や主要分枝には血管炎を生じないとされる.今回,われわれはMPA発症後1年間に大動脈解離と瘤化を繰り返した症例を経験した.症例は63歳女性,2007年7月にMPA発症,急速進行性糸球体腎炎・末期腎不全に至り,ステロイド内服と透析を導入した.同年10月Stanford B型急性大動脈解離を発症し,保存的加療を行うも,11月に再解離,12月に再々解離を発症した.2008年6月,下行大動脈径60 mmと拡大を認め,7月に下行大動脈置換術を施行したが,2009年6月には弓部大動脈に嚢状瘤形成を認め,7月に弓部大動脈全置換術を施行した.ANCA関連型血管炎と大動脈疾患の合併は過去に少数の報告を認めるのみであり,文献的考察を加えて報告する.
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