日本血管外科学会雑誌
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20 巻 , 7 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
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巻頭言
特別寄稿
第38 回学術総会 シンポジウム5 重症虚血肢に対する集学的治療
原著
  • 正木 久男, 田淵 篤, 柚木 靖弘, 久保 裕司, 西川 幸作, 滝内 宏樹, 種本 和雄
    20 巻 (2011) 7 号 p. 905-911
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    【目的】閉塞性動脈硬化症(ASO)の重症虚血肢に対して施行した各種治療成績をもとに治療戦略を明らかにする.【対象および方法】1995年5月から2009年7月までに当科で入院治療した重症虚血肢292例318肢を対象とした.年齢42–92歳,平均73歳,男性226例,女性66例で,治療の内訳は,バイパス167例(バイパス単独149例,血栓内膜摘除との併用10例,血管内治療との併用6例,腰部交感神経切除との併用2例),血栓内膜摘除と血管内治療の併用4例,血管内治療単独19例,腰部交感神経切除単独6例,薬物療法57例,血管新生療法4例,大切断31例,その他4例で治療成績につき検討した.P3 risk scoreも測定した.さらに治療前後には経皮的酸素分圧(tcPO2)ないし皮膚灌流圧(SPP)を測定し重症度評価を行った.【結果】血行再建を施行した症例の救肢率は2年87%であった.1年救肢率でP3 risk scoreが3以下の低リスクグループで96%,4–7の中等度リスクグループ88%,8以上の高リスクグループ66%であった.血行再建群の病院死亡率は3.2%ですべてバイパス群であった.潰瘍症例で,治療後にtcPO2ないしSPPが30 mmHg以上であった144例中感染例4例を除いて,潰瘍は治癒した.20–30 mmHgの5例中4例では潰瘍は治癒せず大切断となった.20 mmHg未満の6例ではすべて潰瘍は治癒せず結局大切断となった.【結語】tcPO2ないしSPPが30 mmHg以上であれば感染例を除いて潰瘍は治癒するが,30 mmHg未満であれば積極的に追加の血行再建に努める.P3 risk scoreは,救肢率の予測に有用であった.全身状態不良な人には,可能であれば血管内治療や血管内治療とのハイブリッド治療を行い,十分な周術期管理とともに救肢および手術死亡率の改善に努めることが重要である.
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  • 井野 康, 清川 兼輔, 赤岩 圭一, 石田 勝, 古山 正, 小野原 俊博
    20 巻 (2011) 7 号 p. 913-920
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    【目的】難治性足潰瘍に対しては,血管外科や代謝内科などの関連各科とチームで集学的治療を行うことが必要である.形成外科が関わった難治性足潰瘍を有する患者の治療成績について検討した.【方法】当科で治療を行った難治性足潰瘍を有する患者73例79肢について,潰瘍周囲の皮膚灌流圧(skin perfusion pressure; SPP)を測定して血行再建による血流改善の評価および創に治癒を検討した.SPPが45 mmHg未満を血行障害あり(PAD群),45 mmHg以上を血行障害なし(No-PAD群)とした.潰瘍に対する局所治療として,創内持続陰圧洗浄療法や持続陰圧閉鎖療法等を用いた.【結果】PAD群(52例58肢)とNo-PAD(21例21肢)群とを比較し,性別,糖尿病合併,維持透析の頻度に有意差はなかった.PAD群66%,No-PAD群81%で潰瘍の治癒が得られ,治癒率に差はなかった.PAD群で37例41肢に血行再建を行った(血行再建群).術後の足背および足底のSPPは,それぞれ,55.6±18.7 mmHgおよび56.3±22.4 mmHgであり,術前より有意に増加し,31肢中25肢(81%)で足部以下での血流改善を認めた.血行再建群66%,非血行再建群59%で潰瘍の治癒が得られた.血行再建群において,維持透析,感染,SPPの改善の有無が,治癒率に影響していた.主たる再建手技では,バイパス群(83%)が血管内治療(EVT)群(52%)より治癒率は高かったが,有意差はなかった.全41肢の救肢率は,1年83%であった.治癒が得られた症例では,観察期間内に肢切断に至った症例はなかった.再建動脈の一次開存率は1年70%であり,バイパス術(1年87%)と比較し,EVTの一次開存率(1年58%)は低かったが,有意差はなかった.【結論】血管外科による血行再建術と積極的な形成外科的処置を用いることにより難治性足潰瘍の妥当な治癒率が得られた.すなわち,複数科によるフットケアチーム医療は,創の治癒率をあげ,大切断を少なくする上で有効な手段であると考えられた.
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  • 竹林 聡, 迫 秀則, 高山 哲志, 岡 敬二, 古川 雅英, 澁谷 博美, 葉玉 哲生, 立川 洋一
    20 巻 (2011) 7 号 p. 921-926
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    【目的】糖尿病,透析患者の増加に伴い,重症虚血肢症例も増加している.バイパス術,血管内治療,血管再生医療などの治療法が発達しているが,それでもなお救肢できずに下肢切断術に至るケースも依然少なくない.このような従来の血行再建のみでは救肢困難な重症虚血肢症例に対して当院ではバイパスに加えて遊離組織弁(皮弁・筋皮弁)移植を行い,良好な成績をあげている.これらの症例について検討したので報告する.【方法】2004年2月から2010年4月までに当院で経験した911部位の下肢難治性潰瘍症例のうち,足部に潰瘍,壊死を生じ,血行再建が困難あるいは血行再建単独では救肢できないと判断され,バイパス+遊離組織弁移植術を要した7例(男6,女1)を対象とした.平均年齢67.1歳(44–77歳)で,原因疾患は全例閉塞性動脈硬化症であった.6例は糖尿病を合併し,4例は透析患者であった.手術は全例大伏在静脈グラフトを用いたdistal bypassによる血行再建術と遊離組織弁移植術を一期的に行った.筋皮弁は初期の2例を除いて広背筋を用いた.術後は可及的早期に装具を作成し,リハビリテーションを積極的に行った.【結果】皮弁壊死した1例を除いて下肢切断せずに救肢できた.救肢6例のうち4例は自力歩行,1例は装具歩行と5例で歩行能を維持できた.【結論】遊離組織弁移植とバイパス術を併用することにより,従来救肢困難であった重症虚血肢症例において,救肢のみならず多くのケースで歩行可能であった.一期的に手術を行うことで術後早期のリハビリテーションが可能となり,高い歩行能の維持につながっている.
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  • 土田 博光
    20 巻 (2011) 7 号 p. 927-932
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    本邦においては,末梢動脈疾患に対する侵襲的治療の流行と対象的に,それが第一選択と位置づけられるにも拘らず,間歇性跛行患者に対する運動療法の普及は乏しいものである。ましてや,慢性重症虚血肢(CLI)に対する血管リハビリテーション(VR)は,ほとんど行われていない.血行再建(REC:バイパス手術ないし経皮的血管形成術)施行後,12週の包括的VRプログラム(監視下トレッドミル運動ないし代替運動療法,物理療法,日常生活指導)を施行した10例の患者(VR群)と,血行再建のみ施行しVRは行わなかった10例の患者(REC群)の予後とを比較したところ,開存率や救肢率に差はなかったが,歩行能力,SF-36,およびBNPはVR群のほうが良好であった.これはVRがCLI患者のQOL改善に必須の治療法であることを示唆している.
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症例
  • 村上 栄司, 東 健一郎, 村川 眞司
    20 巻 (2011) 7 号 p. 933-936
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    【背景】拡張型心筋症に合併した急性大動脈解離に対する手術例は極めて稀である.【症例】症例は70歳女性で,5年前から拡張型心筋症の治療中であった.今回,突然の意識消失を認め,急性大動脈解離(DeBakey type II)と診断された.急性大動脈解離発症時の左心室駆出率は26%で,心タンポナーデを合併しており心嚢穿刺を施行した後に緊急手術となった.内膜亀裂部は,右冠動脈口の直上から左冠動脈直上まで大動脈を横断するように存在しており,右冠動脈口を迂回してフェルトによる断端形成を行った.右心室の収縮力低下のため人工心肺からの離脱には,大伏在静脈による右冠動脈へのバイパス術とIABPを要した.術後経過は,縦隔洞炎を合併し長期の集中治療を要したが,独歩退院となった.【結論】拡張型心筋症のため低心機能を呈した急性A型大動脈解離症例に対し,上行大動脈置換に加え冠動脈バイパス術とIABPにより救命した.
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  • 月岡 祐介, 村井 則之
    20 巻 (2011) 7 号 p. 937-940
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    膝窩動脈外膜嚢腫は外膜に生じた嚢腫が動脈内腔を圧排することにより下肢虚血症状を来す,外傷歴のない若年者に生じる比較的稀な疾患である.今回われわれは,運動時に生じる下肢痛を契機に診断され,加療前に自然軽快した症例を経験したので報告した.下肢に外傷の既往のない41歳の活動性の高い男性.主訴は運動時の左下腿痛.下肢造影CTで,左膝窩動脈を圧排する径19 mm,長さ48 mmの造影効果のない半月状の内部均一嚢腫を認めた.左膝窩動脈外膜嚢腫と診断し,エコーガイド下穿刺予定とした.しかし術前日になり症状の改善を認め,下肢造影CTでも嚢腫の縮小(径13 mm,長さ38 mm)と膝窩動脈内腔の拡張を認めたため経過観察することとした.膝窩動脈外膜嚢腫は稀な疾患であるが,活動性の高い年齢層に発症し治療によりADLの著明な改善が期待できる良性疾患である.下肢虚血の症例では本症例を念頭に置いて診療に当たる必要がある.
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  • 道本 智, 中村 喜次, 清家 愛幹, 伊藤 雄二郎, 高井 秀明, 田鎖 治
    20 巻 (2011) 7 号 p. 941-945
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    激しい腹痛を主訴に来院した37歳男性.31歳時より特発性血小板減少症,再生不良性貧血で免疫抑制療法施行されていた.36歳時に間欠性跛行にてCT施行,末梢動脈疾患を認めたが腹部大動脈は径22×23 mmで,血栓による壁不整を認めるのみであった.今回のCTで腹部大動脈44×47 mmと18カ月で24 mmの急速な拡大を認め,腹痛の原因が他にないことから腹部大動脈瘤切迫破裂の診断で緊急Y型人工血管置換術施行した.病理組織検査では活動性の炎症を疑う所見に乏しく動脈硬化性であり,動脈瘤の形成,拡大にはシクロスポリン,蛋白同化ステロイドが関与している可能性が示唆された.再生不良性貧血に対して免疫抑制剤投与中の若年患者における,急速に拡大し切迫破裂を呈した動脈硬化性腹部大動脈瘤を経験したので報告する.
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  • 藤永 一弥, 近藤 智昭, 井上 健太郎, 天白 宏典
    20 巻 (2011) 7 号 p. 947-951
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    【背景】急性大動脈解離に伴う腸管虚血は依然として予後不良である.今回われわれは急性大動脈解離に伴う腸管虚血に対して上腸間膜動脈(SMA)形成術を施行し救命し得た1例を経験したので報告する.【症例】54歳男性.胸背部痛を主訴に受診.急性大動脈解離(Stanford A型)の診断で上行弓部大動脈置換術を施行した.術後2日目に腹部膨満と下血あり,CTにてSMAの高度狭窄を認めたため,SMAの血流不全による腸管虚血と診断し,緊急開腹術を施行した.SMAは血栓化した偽腔に圧迫され閉塞していたが,血栓除去後intimal flap切除を行い,flapと外膜を固定しSMA切開部をPTFEパッチで閉鎖した.これにより腸管虚血は改善し救命し得た.【結論】急性大動脈解離に伴う臓器虚血,とくに腸管虚血に対しては早期診断と不可逆性変化を来す前の血行再建が重要である.
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  • 佐久間 啓, 永谷 公一, 小田 克彦, 長嶺 進
    20 巻 (2011) 7 号 p. 953-957
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    【目的】大動脈腸管瘻で一次性大動脈腸管瘻はまれな病態である.大量下血で発症した炎症性腹部大動脈瘤による一次性大動脈腸管瘻を経験したので報告する.【症例】症例は65歳,男性.2カ月前より腹部膨満感出現し下剤内服.2009年8月中旬,突然大量に下血(黒色便)し,意識朦朧となり救急要請.救急車内にて一時血圧60 mmHgとなる出血性ショックの状態で緊急入院となった.消化管出血を疑い上部消化管内視鏡検査を施行.Vater乳頭対側に拍動とoozingを伴う巨大な露出血管あり.クリッピング施行.手技中,噴出性出血も出現したが一応止血された.しかし,その後も持続性の出血を疑われ塞栓術目的に血管造影施行したところ巨大な腹部大動脈瘤を認めたため造影CT施行し,大動脈腸管瘻と診断.緊急手術となる.開腹すると十二指腸と大動脈の間に交通を有する大動脈腸管瘻を確認し周囲組織の性状から感染が明白でないことから,十二指腸と大動脈瘤壁を一塊として切除し,十二指腸を再吻合した.大動脈は人工血管を用いて解剖学的再建を行い,さらに同部への大網充填術を施行した.術後Vater乳頭部浮腫による閉塞性黄疸を併発したが絶食,高カロリー輸液にて軽快した.他は感染兆候もなく経過は良好で術後36日目に退院となった.術後18カ月の現在良好な経過である.【結論】炎症性腹部大動脈瘤が原因と考えられる一次性大動脈腸管瘻というきわめてまれな1救命例を経験した.大動脈腸管瘻は大量出血の可能性があるため血行動態が安定している早期に手術に踏み切ることが大切である.
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  • 前田 拓也, 豊田 泰幸, 石山 雅邦, 青見 茂之
    20 巻 (2011) 7 号 p. 959-963
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈縮窄症(mid-aortic syndrome)は,小児期に発症する稀な疾患であり,薬剤抵抗性の高血圧や腎機能障害,脳血管障害の合併を認め,外科的治療を必要とすることが多い.しかし,外科的治療介入時期の決定が難しく,治療方針に苦慮する疾患である.症例は生後1カ月時に心雑音,上下肢血圧差を指摘され,magnetic resonance angiography(MRA)および血管造影検査で腹部大動脈縮窄症と診断された.利尿剤,降圧剤の内服治療が導入されたが薬剤抵抗性高血圧を認め,3歳時の血管造影検査では狭窄部は大動脈閉塞へ進行していたため,4歳時に手術を施行した.手術は,8 mmのring付きePTFE graftを用いて,上行大動脈から下腸間膜動脈分岐部レベルの腹部大動脈へバイパス術を施行した.術後の経過は良好であり,報告する.
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  • 永谷 公一, 長嶺 進, 早津 幸弘, 小田 克彦, 佐久間 啓
    20 巻 (2011) 7 号 p. 965-967
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    【背景】大動脈弁置換後の仮性瘤に対し手術を施行したが遠隔期に再び仮性瘤を来した症例を経験した.【症例】59歳,女性で感染性心内膜炎の診断で47歳のとき大動脈弁置換術を施行しており,術後10年目に大動脈切開部の仮性瘤でパッチ形成術を行っていた.外来通院中,胸部CT検査で,上行大動脈前面に再び仮性瘤を形成してきたため今回手術予定で入院となった.手術は,大腿動静脈バイパスで人工心肺を確立し,人工血管置換術を施行した.開胸時,仮性瘤の破裂を来し低体温循環停止を併用した.【結果】術後,覚醒遅延があり,脳梗塞を併発したが急性期ラジカットの使用,早期リハビリで麻痺は改善した.術後CTでは瘤は消失し,仮性瘤は消失した.【結論】大動脈弁置換後の仮性瘤の再発に対し,人工血管置換を施行した症例を経験した.
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