日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
23 巻 , 1 号
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巻頭言
原著
  • 森山 周二, 國友 隆二, 坂口 尚, 岡本 健, 吉永 隆, 田爪 宏和, 川筋 道雄
    2014 年 23 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:【目的】J Graft SHIELD NEO®(J Graft)を用いた腹部大動脈手術で臨床経過および術後の炎症反応についてこれまで使用した人工血管で比較検討した.【対象および方法】2002 年1 月から2012 年3 月までの腹部大動脈瘤手術例のうち,動脈瘤破裂,炎症性動脈瘤,全身性炎症性疾患合併例などを除いた連続112 例(72.4±9.7 歳,男/ 女92/20)を対象とし,臨床経過および術後の炎症反応について検討した.【結果】使用した人工血管はIntergard® 56 例(72.1 歳,男/ 女49/7),UBE SHIELD® 13 例(73.6 歳,男/ 女11/2),Gelweave® 23 例(70.0 歳,男/ 女17/6),J Graft 20 例(75.2 歳,男/ 女15/5)で患者背景に差を認めなかった.後腹膜アプローチは6 例,ほかは全例開腹アプローチで,分岐型人工血管を106 例に用い術式に有意差を認めなかった.手術時間,出血量も差はなかった.術後の発熱,白血球数,CRP 値は術後2日までにピークを迎え,J Graft 以外の人工血管では発熱,白血球数は術後7 日目には正常値に復したが,J Graft では発熱,CRP 値は術後約7〜10 日で再上昇し,37˚C 以上の発熱およびCRP 高値は有意に遷延した(38˚C 以上の発熱持続期間:p0.001,CRP1 の期間:p0.01).【結論】J Graft では術後炎症反応が遷延する傾向にあったが,出血量や術後合併症に関しては他の人工血管と差を認めなかった.今後症例を重ね,本結果の臨床的意義を検討する必要がある.
  • 神谷 健太郎, 進藤 俊哉, 佐藤 正宏, 本橋 慎也, 榊原 賢士, 井上 秀範, 加賀 重亜喜, 鈴木 章司, 松本 雅彦
    2014 年 23 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:【目的】膝窩動脈瘤は破裂しても生命の危険は少ないが,下肢切断となる危険性が高い疾患である.今回われわれは,膝窩動脈瘤の治療戦略について検討した.【方法】山梨大学(1992〜2011)と東京医科大学八王子医療センター(2005〜2011)の症例をretrospective に比較検討した.【結果】21 人29 肢(男17 女4,平均73.6 歳),平均瘤径33.9 mm.手術は23 肢(79.3%)に施行(血行再建術21,膝下切断術2).血行再建の術式は,直接吻合術1 肢とバイパス手術20 肢(SVG 10,人工血管10).術後平均観察期間は1364日,全グラフト5 年開存率は71.8%であった.有症状の12 肢で緊急手術(血行再建術11)が必要であった.瘤径が小さい2 症例(15,30 mm)で膝下切断となった.開存率は待機手術で100%,緊急手術で44.3%であった.アプローチ別開存率では,内側アプローチのSVG もしくは直接吻合で88.9%,人工血管で45.7%となり,後方アプローチの人工血管で100%であった.内側アプローチ中1 例で瘤再拡大により再手術が必要となった.グラフト別開存率では,SVG で87.5%,人工血管8 mm 以上で100%,8 mm未満で31.3%であった.【結論】膝窩動脈瘤は無症状での待機的血行再建手術を推奨する.アプローチ別による開存率に有意差はないが,後方アプローチによる術式には根治性が高い可能性が示唆された.グラフト別の開存率では,8 mm 以上の人工血管はSVG 同様の良好な開存率があると考えられた.
症例
  • 田中 慎一, 福永 亮大, 岡留 淳, 久良木 亮一, 松本 拓也, 前原 喜彦
    2014 年 23 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は51 歳女性.全身性エリテマトーデス,末期腎不全で維持透析中である.左足趾潰瘍壊疽に対し前医で前脛骨動脈,腓骨動脈に血管内治療が行われたが治癒しないため,膝下での大切断を勧められた.自宅近くでの加療を希望され当科紹介となった.血管造影検査では前脛骨動脈は開存しているものの,後脛骨動脈領域の血流は乏しく,皮膚灌流圧も足底部は低値であった.自家静脈グラフトを用いた左膝窩動脈-後脛骨動脈バイパス術,左足中足骨切断を施行した.切除断端の肉芽の盛り上がりは良好であった.グラフト閉塞予防のためにヘパリンを投与していたが術後7 日目に閉塞した.しかし,前脛骨動脈に対する血管内治療,持続陰圧閉鎖療法,分層植皮術などの集学的治療を行ったところ,救肢できた.
  • 三岡 博, 齋藤 孝晶, 相馬 祐介, 東 茂樹, 笠原 正男
    2014 年 23 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:頭蓋外内頸動脈瘤(ECICA)は,発生頻度が低いが放置した場合の予後が不良である.また,頸動脈蛇行症も稀であり,その病態と脳血管障害との関連は不明である.今回われわれは,71 歳の女性の頸動脈蛇行症をともなったECICA の治療を経験した.第2 頸椎高の高位病変だったが,血管長が蛇行により余剰があったため,第4–5 頸椎高の良好な視野で瘤切除と血行再建が可能だった.経過は良好で術後第10 病日に退院した.
  • 曽我部 長徳, 黒川 浩典
    2014 年 23 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:下臀動脈瘤は稀な疾患で,その報告例のほとんどが外傷後に自覚症状を伴って発見された仮性動脈瘤である.今回,外傷の既往なく無症状で発見され,画像診断にて真性動脈瘤と判断された下臀動脈瘤の1 例を経験したので報告する.患者は60 歳の男性で,5 年前にCT にて左臀筋間に26 mm 径の動脈瘤を偶然指摘されたが,無症状であったため経過観察となっていた.今回肝細胞癌の診断目的で施行した造影CT 検査において最大短径39 mm の下臀動脈瘤と診断された.動脈瘤径が約1.5 倍に増大していたため治療を行うこととし,担癌患者であることを考慮して経動脈的コイル塞栓術を施行した.術後はとくに問題なく経過し,術後3 カ月の現在も瘤内の血流は消失している.なお,本例は臀部動脈瘤の長期自然経過が把握できた初めての報告例である.
  • 小野原 大介, 久冨 一輝, 山田 卓史
    2014 年 23 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:腹部大動脈から下肢動脈にかけてびまん性の血管拡張を認める病態はarteriomegaly といわれており稀な疾患である.Arteriomegaly の症例の多くは腹部大動脈瘤や膝窩動脈瘤を主とした末梢動脈瘤を合併するため,その手術戦略には工夫を要する.症例は45 歳男性,左大腿部の腫脹と間歇性跛行を主訴に来院.下肢造影CT を行ったところ,左総腸骨動脈の拡張,外腸骨動脈の蛇行・拡張,総大腿動脈から浅大腿動脈の瘤化とその内腔の血栓閉鎖を認めた.浅大腿動脈瘤を形成していた部位は11 年前に仮性動脈瘤を形成して手術をしていた部位であった.手術は,外腸骨動脈から膝窩動脈にかけて人工血管にて下肢バイパス術を行い,浅大腿動脈瘤は血栓を摘出したのち瘤を縫縮した.良好な術後経過を得ることができたため文献的考察を含めて報告する.
  • 井上 有方, 福田 宏嗣, 松下 恭, 土屋 豪, 関 雅浩, 桐谷 ゆり子
    2014 年 23 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:腹部大動脈破裂により下大静脈と動静脈瘻(aortocaval fistula; ACF)を形成し心不全,ショックを呈した症例に対しステントグラフトで治療し救命した症例を経験したので報告する.症例は83 歳,女性.呼吸苦,腰痛を主訴に救急搬送されCT 検査で腹部大動脈瘤(7.8 cm),ACF を認め,同日緊急ステントグラフト内挿術を施行した.術後経過は良好で軽快退院した.腹部大動脈瘤-下大静脈穿破に対してステントグラフトで治療した報告は稀であるので文献的考察を加え報告する.
  • 川﨑 裕満, 中山 義博, 里 学, 迎 洋輔
    2014 年 23 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:腹部大動脈瘤・腸骨動脈瘤破裂(RAAA)は致死率の高い疾患であり,緊急手術を要する.循環動態が破たんした場合には,速やかに破裂部位の中枢で大動脈を遮断することが唯一の救命手段となる.当院では離島でRAAA を発症し,緊急大動脈遮断を施され,緊急搬送された症例を3 例経験している.症例1 は68 歳,男性.前医でRAAA と診断,転送待機中に脈拍触知不能となったため,緊急大動脈遮断が施され当院に緊急搬送された.緊急手術により救命できた.症例2 は58 歳,男性.症例1 と同様にRAAA と診断され転送待機中に急変,大動脈遮断が施され当院に緊急搬送された.緊急手術により救命できた.症例3 は70 歳,男性.RAAA と診断されたのち,急変したため大動脈遮断が施されたが,ショック状態から離脱できず.当院搬送時,血圧測定不能であり,手術室で再遮断,心肺蘇生を継続したが救命できなかった.循環動態の破たんしたRAAA に腎動脈分岐下の大動脈遮断を行い手術が可能な施設に転送する方法は有用であることが示唆された.
  • 井上 天宏, 橋本 和弘, 坂本 吉正, 儀武 路雄, 松村 洋高, 中尾 充貴
    2014 年 23 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:大動脈解離における術中の再解離とそれに伴う臓器血流障害は,予測が困難なうえ,手術成績を著しく悪化させる非常に重篤な合併症である.症例は66 歳男性.早期血栓閉塞型のA 型解離に対して準緊急手術を行った.人工血管置換術が終了し,体外循環停止後に右大脳の局所混合血酸素飽和度と右橈骨動脈圧が突然低下した.腕頭動脈の再解離による右脳血流障害と判断したが,常温下であったため迅速な処置が必要であった.右腋窩動脈に吻合した送血用グラフトと人工血管側枝とをコネクターを介し簡易的に接続したところ,局所混合血酸素飽和度と右橈骨動脈圧は回復した.よって点滴用ルートをシャントチューブとして用い,血流を維持した状態で両グラフトを速やかに吻合した.症例は術後の覚醒遅延がみられたものの,重篤な脳障害を回避することができた.脳の局所混合血酸素飽和度測定と送血用グラフトの有用性を再認識することができた1 例であった.
  • 内田 徹郎, 浜崎 安純, 前川 慶之, 黒田 吉則, 水本 雅弘, 貞弘 光章
    2014 年 23 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:リンパ漏を伴った鼠径部人工血管感染に対し,vacuum-assisted closure(VAC)療法と縫工筋弁充填を行い,良好な結果を得た.症例は78 歳男性で,腹部大動脈瘤に対して人工血管置換術を行い,末梢側は大腿動脈に吻合した.術後,右鼠径部創からリンパ漏を認め,感染を併発した.ドレナージ後,VACを開始した.開始後7 日でリンパ漏が消失し,感染所見の改善とともに創培養も陰性化した.VAC を25日間行い,肉芽形成は良好であったが,人工血管周囲に死腔が残存した.VAC 継続による創閉鎖に長期間を要すると判断し,縫工筋弁を充填した.創治癒は良好で筋弁充填から15 日後に退院し,感染の再燃は認めていない.VAC の適応や合併症の問題は未解決だが,VAC はリンパ漏に対する治療の有効な選択肢の一つになり得ると考える.また人工血管周囲の残存死腔への縫工筋弁充填は早期の創閉鎖と入院期間短縮に有効と考える.
  • 小池 則匡, 高橋 徹, 茂原 淳, 渋谷 圭, 蜂谷 貴, 竹吉 泉
    2014 年 23 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は64 歳男性.臀部悪性線維性組織球症の左肺転移に対し手術予定となり,その全身検索のCT で最大径54 mm の腹部大動脈瘤(AAA)が認められたため,肺の手術後にステントグラフト内挿術(EVAR)の方針となった.画像上,左総腸骨動脈〜外腸骨動脈は115˚ の屈曲があった.ENDURANT® を用いてEVAR を施行した.最終造影で左内外腸骨動脈分岐部に50%程度の狭窄がみられたが経過観察とした.術後のABPI は正常範囲内であった.術後20 日目,気温35˚C の日中に長時間蹲踞姿勢で庭仕事をした夜,一過性の左下肢痙攣を自覚し,翌日より間歇跛行症状があったが放置していた.術後28 日目にCT でステントグラフト左脚閉塞が判明したため右外腸骨動脈-左総大腿動脈バイパス術を施行した.今回われわれはENDURANT® AAA stent graft 留置術後早期に脚閉塞をきたした1 例を経験したので文献的考察を加え報告する.
  • 猪狩 公宏, 工藤 敏文, 豊福 崇浩, 地引 政利, 井上 芳徳
    2014 年 23 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:Buerger 病の潰瘍に対しては腰部交感神経切除術(lumbar sympathectomy; LS)が施行されるが,今回われわれは新しい診断法であるインドシアニングリーン蛍光造影法(indocyanine green fluorescence imaging; ICG-FI)を用いてLS の治療効果判定に有用であった症例を経験した.症例は39 歳,男性.Buerger 病による右第5 趾潰瘍が保存的治療に抵抗性であったことからLS を施行した.ICG-FI では最大輝度および最大輝度到達までの時間を計測項目とし,足背部および足趾基部で測定したところ,治療前:足背部(59.7,44 秒),足趾基部(22.3,46 秒),治療後:足背部(63.9,25 秒),足趾基部(21.2,35 秒)と,いずれも治療後に改善を認めた.ICG-FI は潰瘍部の局所血流評価も可能であり,新たな検査として期待できる.
  • 溝口 和博, 安宅 啓二, 山本 浩詞, 井上 亨三, 田中 陽介
    2014 年 23 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:破裂性腹部大動脈瘤(rAAA)の症例に対して,ステントグラフト内挿術(EVAR)を行い良好な結果を得た.症例は56 歳,男性.左側腹部痛を自覚した後にショック状態となり救急搬送された.救急外来で気管内挿管,人工呼吸を開始.急速輸液を行いつつ直ちに造影CT を施行した.確定診断がついた時点では循環動態の可及的な安定化を得ることができ,形態的にもEVAR 可能と判断した.EVAR 直後,type II エンドリーク(EL)を認めたが循環動態は劇的に安定化した.以後,貧血の進行や血行動態の悪化は認めなかった.術後早期の造影CT でもtype II EL を認めたが追加の治療は行わずに経過観察した.術後6 カ月目にはEL を認めたが後腹膜血腫はほとんど消失し大動脈瘤径の著明な縮小を認め,12 カ月目にはEL の減弱も認めた.rAAA に対する緊急EVAR 後にtype II EL が残存したが,追加の処置は要せず経過した.
  • 江藤 政尚, 西村 陽介
    2014 年 23 巻 1 号 p. 62-66
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は29 歳の男性で,25 歳の時に完全型ベーチェット病の診断を受けていた.右大腿動脈に動脈瘤を認め,経過観察されていた.今回,右腓腹部痛を主訴に来院され,下肢造影CT 検査上,最大径64 mm の右大腿動脈仮性瘤を認めた.入院安静により一時症状は改善傾向を認めたが,右大腿動脈瘤からの血栓によるものと考えられる右母趾皮膚壊死を認めたため,Dacron graft を用いた右大腿動脈人工血管置換術を行った.術後2 年が経過しているが,吻合部瘤を形成することなく良好に経過している.
  • 渡邊 正明, 三澤 幸辰, 猪狩 次雄
    2014 年 23 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は67 歳,男性.交通外傷で搬送されたが,胸腹部造影CT でStanford B 型大動脈解離と最大径52 mm の腹部大動脈瘤を認め,解離は大動脈瘤を越えて左外腸骨動脈に進展していた.発症8 日目に右下肢虚血を呈し,造影CT で腹部大動脈瘤内での偽腔の拡大による真腔圧迫を認めたため準緊急的に中枢側に開窓術を併用した瘤切除 + 人工血管置換術を施行した.大動脈瘤壁の病理組織診断は中膜2/3からの解離で急性変化と判断された.術後4 年経過したが偽腔の拡大を認めていない.大動脈解離が腹部大動脈瘤を越えて末梢側に進展することは稀であり,この解離が外傷性と判断される症例を経験したので報告した.
  • 坂下 英樹, 藤野 隆之, 三笠 圭太
    2014 年 23 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:慢性腎不全患者に対する血液透析を維持していくうえで,バスキュラーアクセス合併症は深刻な問題である.今回われわれは,右上肢,バスキュラーアクセス肢に発症した鎖骨下静脈閉塞症に対しバイパス術を行った症例を経験した.患者は75 歳男性で,肘部に内シャントを造設されており,バスキュラーアクセス肢の腫脹が出現した.シャント造影にて鎖骨下静脈閉塞が確認され,血管内治療を試みるもガイドワイヤーが通過しなかったため鎖骨下-鎖骨下静脈交差バイパスを施行し,上肢腫脹は軽減した.治療法としては内シャント閉鎖,吻合部修復,banding,血管内治療,バイパス術が考えられるが,シャント血流のドレナージ効果をすみやかに発揮するバイパス術が効果的であったと考えられた.
  • 坂口 昌幸, 後藤 博久, 中原 孝, 福家 愛, 西村 和典
    2014 年 23 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は多発性囊胞腎(PKD),高血圧,慢性腎不全の既往がある53 歳女性.自宅で倒れているところを家人に発見され,急性大動脈解離Stanford A 型+心タンポナーデと診断され当院に搬送された.来院時の全身状態が不良であったため,急性期手術での救命は困難と判断し内科的治療を行ったところ徐々に全身状態が改善したため,慢性期での手術方針とした.大動脈解離発症3 カ月後に上行弓部大動脈全置換術(末梢側はエレファントトランク作製)を施行した.術直後無尿となり透析を必要としたが,その後腎機能は回復し透析から離脱,独歩退院した.近年PKD に大動脈解離を合併した報告が散見されるようになったが,重篤な合併症であり,病態を考慮した治療戦略が必要と考えられた.
  • 橋本 昌紀, 小林 美里, 泉本 浩史
    2014 年 23 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨:閉塞性動脈硬化症のカテーテル治療後の止血に使用された止血デバイス(Angioseal®)のために,総大腿動脈の狭窄を来し,下肢虚血症状を来した症例を経験したので報告する.症例は76 歳,男性.経皮的血管形成術後に急速に悪化した間欠性跛行のために当科を受診し,精査の結果,大腿動脈穿刺部の止血デバイス留置部に一致した狭窄の進行を認めた.止血デバイスの血管内のアンカーが原因と考え,手術を施行した.血管背面に著明な偏心性の硬化病変を認め,内腔がアンカーに起因すると思われる物質で狭窄していた.血栓内膜摘除・パッチ形成を行い,虚血症状は改善した.
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